はじめに
「日本の代表的なアニメといえば?」
こう聞かれたなら、あなたならどう答えるだろう。
全世界にコアなファンを抱える庵野秀明監督の『エヴァンゲリオン』?
富野由悠季監督の『ガンダム』も、未だ根強い人気を誇っている。
『サマーウォーズ』に代表される細田守監督作品だって人気がある。
世界的大ヒット映画『マトリックス』に影響を与えた押井守監督の『攻殻機動隊』…は、少しマニアックか。
大人向けアニメの先駆者とも呼べる、大友克洋監督の『アキラ』はその昔ハリウッドでも人気を博した。
興行収入だけでいえば『鬼滅の刃無限列車編』は、日本のみならず世界でも大ヒットした。
原作の人気でいうなら、鳥山明先生の『ドラゴンボール』だって、井上雄彦先生の『スラムダンク』だって、尾田栄一郎先生の『ワンピース』だって、世界中で爆発的な人気だ。
これらの作品は、どれも日本を代表するアニメといっていいだろう。
しかし、日本のアニメの実力はまだまだこんなもんじゃない。
たとえ有名でなくたって名作は存在する。
あまり周知されていない作品の中にだって、名作は存在する。
そこで、知名度や興行収入はイマイチでも、絶対にハマるアニメをご紹介したいと思う。
アニメ
へうげもの
『へうげもの』とは
『へうげもの』(「ひょうげもの」と読む)は、山田芳裕による漫画作品とそれを原案としたアニメ(2011年版)、および原作としたWebアニメ(2018年版)である。
講談社刊「モーニング」にて、2005年38号から2017年53号まで隔号連載されていた。
第13回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、第14回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞作。
2011年(平成23年)春にNHK BSプレミアムにてアニメ化されている。
アニメ『へうげもの』とは
2011年4月から2012年1月にかけて、NHK BSプレミアムにて放送された。
全39話。
漫画版の利休切腹(第9巻)までをアニメ化している。
開始当初は山田芳裕の漫画が原作とされていたが、途中から原案となり、オープニングでのテロップも第11話より変更となった。
モーニング編集部による「へうげもの公式Facebook」では「なお、アニメ版との関係は原作から原案に変更となりました。原作者&編集部は一切関知していません。お問い合わせにはお答えしかねますんでそこんとこヨロシクお願いします」とあるが、理由は不明。
ただし、第11話以降も細かい部分のアレンジはあっても漫画に忠実な内容となっている。
なお、2011年8月の一挙再放送以降では第1話よりテロップも原案となっている。
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概要
戦国時代、織田信長、豊臣秀吉に仕えた戦国武将・古田織部を主人公として描いた歴史漫画作品。
雑誌掲載時の欄外のあらすじでは毎回「これは『出世』と『物』、2つの【欲】の間で日々葛藤と悶絶を繰り返す戦国武将【古田織部】の物語である」と紹介されている。
この時代を舞台にした作品には合戦などの「武」を主題にしたものが多いが、本作は茶道や茶器、美術や建築など、戦国時代に花開いた「美」や「数奇」からスポットライトをあてて同時代を切り取った作品である。
作者の山田芳裕は、この作品を描くにあたって最初は千利休から調べ始めたが、利休の宗教的・求道的ストイックな厳しさは自分には描ききれないと感じ、物欲の強さやエンターテインメント性に親近感が沸き、調べていくうちに面白くなっていった古田織部を主人公に据えたと述べている。
数寄についてだけでなく、山田芳裕独特の豪快でコミカルな描写と緻密な時代考証によって、当時の天下の動勢や戦国武将たちの生き様も描かれている。
そのため、本作は「世界初の本格的歴史長編ギャグマンガ」ともいわれている。
タイトルにもなっている「へうげる(ひょうげる)」は「剽げる」とも書き、「ふざける」「おどける」の意。
「へうげる」は「剽」の字音仮名遣いからきている。
各話のサブタイトルは楽曲のタイトルを捩ったものであり、元ネタの一覧が単行本に収録されている。
あらすじ
織田信長の家臣として仕えながらも、戦での武勲より茶の湯や茶道具に入れ込む武人・古田佐助(後の古田織部)。
だが、その数寄者ぶりゆえの行動が縁となり千利休の弟子となったことで、彼は戦国乱世の激動の渦中に関わることに。
「武」と「数寄」の間で心揺れながらも、古田 織部は数寄の天下を取るべく奔走することに…。
あまりにも通好みすぎた歴史アニメ
古田織部と千利休の人生を描いたマニアックな作品
古田織部とは
そもそも、古田織部という人物をどれだけの人が知っているのだろうか?
古田織部。
本名は古田重然(ふるた しげなり)。
戦国時代から江戸時代初期にかけての武将、大名、茶人、芸術家である。
通称の古田織部(ふるた おりべ)は、重然の官位である従五位下織部助からきたもの。
南山城・東大和1万石の大名。
豊臣秀吉・徳川家康の茶堂、徳川秀忠の茶の湯指南役で茶道織部流の祖である。
江戸幕府(柳営)の御茶吟味役で柳営茶道の祖でもある。
千利休とともに茶の湯を大成し、茶器・会席具製作・建築・作庭などにわたって「織部好み」と呼ばれる一大流行を安土桃山時代から江戸時代前期にもたらした。
子供に、長子・重行(九郎八、豊臣秀頼家臣)、嗣子・重広、重尚(前田利常家臣)、小三郎(池田利隆家臣)、重久(左近、徳川秀忠家臣)がいる。
古田織部と千利休
はっきりいって、古田織部という名前に馴染みのない人がほとんどだろうがそれは致し方ないことだ。
茶道において大家といえば、やはり千利休だから。
だが、アニメ『へうげもの』は漫画版の利休切腹(第9巻)までを描いているから、ほぼほぼ千利休の物語ともいえなくはない。
いくら茶道界で一番の有名人・千利休の物語を描いたからといっても、それでも残念ながらそのマニアック度はやはり変わらなかったと思う。
あまりにマニアックすぎる作品だが、これがなかなかどうして面白い。
古田織部がかなりぶっ飛んだ人物のように描かれているのが若干気になるが、そこはコメディとして目を瞑ろう。
それでも知らないことを知るというのは、やはり喜びだ。
実に知識欲を満たしてくれる。
こんなアニメでも見ない限り、古田織部という人物について調べる機会なんて皆無に等しかっただろう。
織部が本当に活躍するのは利休切腹以後だとか、茶の湯政道を取り仕切る茶頭が辿る悲運だとかは、アニメ『へうげもの』を見なければ知らなかったかもしれない。
また茶道目線で描かれた戦国三覇王の人生というのも、非常に興味深かった。
実は秀吉の髭はつけ髭だったなんてエピソードは、王道歴史作品ではなかなか描かれないだろう。
歴史ヲタクとしては外せないアニメだが、原案が「世界初の本格的歴史長編ギャグマンガ」と呼ばれるだけあって、何をするにも大袈裟な描写が多い。
それが故に、どんな人が見てもそれなりに楽しめるアニメになっていると思う。
何度もいうが、知らないことを知るというのはこの上ない喜びだ。
もし少しでも興味を持たれたのなら、この喜びを是非体験してみては如何だろう。
今も残る織部焼
千利休の弟子であった大名茶人、古田織部の指導で創始され、織部好みの奇抜で斬新な形や文様の茶器などを多く産した。
当時の南蛮貿易で中国南方からもたらされ、茶人たちに珍重された交趾焼(華南三彩)を元にしたと考えられる。
大量生産のため、陶工加藤景延が唐津から連房式登窯を導入したと伝えられる。
代表的な窯としては、元屋敷窯が挙げられる。
開窯直後の慶長年間が最盛期で、優品の多くはこの時期に造られた。
織部焼には京風の意匠が用いられたことや、1989年京都三条の中之町から大量の美濃焼が発掘されたことから、ここから美濃へ発注されていたことが想定される。
当時の三条界隈には「唐物屋」と呼ばれる、陶磁器や絵画、染織を売る道具屋が軒を連ねており、織部焼もここで売られていた。
織部焼には、しばしば唐津焼と共通した文様が見られるが、これは唐津にも唐物屋から発注されていたことから起きる現象であろう。
整然とした端正な形を好み、抽象を重んじる他の茶器とは違い、歪んだ形の沓(くつかけ)茶碗や、市松模様や幾何学模様の絵付け、後代には扇子などの形をした食器や香炉など、具象的なものが多いのが織部焼の特徴である。
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