この曲のこの歌詞がスゴい
イチブトゼンブ / B'z
他の99%より大切な1%
はじめに
いろいろな人から聞いた話を総合すると、音楽を聴く時あまり歌詞は重視していない傾向にあるようだ。
洋楽はヴォーカルも楽器のひとつとして聴いてしまう気持ちはわからなくない。
しかし何の気無しに聴いている音楽の中に、とんでもない名言や格別、果ては生きる指針にもなりうる人生訓が隠されていたりするものだ。
作詞家・稲葉浩志の考え方にはいつも非常に感銘を覚える。
B'zファンとしては手前味噌も申し訳ないのだが、その中のひとつをご紹介したいと思う。
誰かひとりでも共感してもらえたら嬉しい。
『イチブトゼンブ / B'z』とは
『イチブトゼンブ / DIVE』はB'zの46作目のシングルだ。
フジテレビ系月9ドラマ「ブザー・ビート〜崖っぷちのヒーロー〜」の主題歌でもあったので、B'zを知らなくても耳にしたことがある人は多いだろう。
前作『BURN -フメツノフェイス-』から約1年4か月ぶりのリリースで、B'zのシングルでは19thシングル『ミエナイチカラ 〜INVISIBLE ONE〜/MOVE』以来2作目となる両A面シングル。
シングルのリリース間隔が1年以上空いたのは本作が初だった。
本作のレコーディングには、ドラムスにレッド・ホット・チリ・ペッパーズのチャド・スミスが初参加、ベースにマーズ・ヴォルタのホアン・アルデレッテ(英詞版)が、16thアルバム「ACTION」から引き続き参加した。
また、レコーディングにライブサポートメンバーの増田隆宣が参加するのは、26thシングル『ギリギリchop』以来約10年ぶりとなった。
発売日前後のメンバーのテレビ出演によるプロモーション活動はドラマ宣伝特番でのコメントでわずかに出演したのみで、テレビ番組での披露は2012年の「ミュージックステーションスーパーライブ」まで行われなかった。
オリコン週間シングルチャートでは1990年発売の5thシングル『太陽のKomachi Angel』以来42作連続通算42度目、20年連続での1位獲得となった。
8週連続TOP10入りは12thシングル『愛のままにわがままに 僕は君だけを傷つけない』以来16年ぶり。
8週連続TOP5入りは1991年発売の8thシングル『LADY NAVIGATION』、1992年発売の10thシングル『BLOWIN'』の7週連続を抜き17年ぶりに自己最高記録を更新。
また39thシングル『OCEAN』以来となる4年ぶりに年間チャートTOP10入りとなり、2000年代でのB'zのシングルとしては最高の年間6位となる。
PC配信主要2社での年間ランキングはiTunes Storeでは5位、moraでは4位をそれぞれ記録。
Billboard JAPANによる、Billboard Japan Hot 100 Year End 2009(2009年年間シングルチャート)では年間1位を記録。
同社が主催するBillboard JAPAN Music Awardではシングル総合チャート部門を受賞している。
この曲のこの歌詞、実はとんでもなくスゴい思想
歌い出しはこんな歌詞から始まる。
アナタは私のほんのイチブしか知らない
何でもわかった気になっている人には耳が痛いのでは?
そうでなくてもハッとさせられる言葉だ。
そして上記の言葉を補完するように次のフレーズへ続く。
すべて知るのは到底無理なのに
僕らはどうして
あくまでなんでも征服したがる
カンペキを追い求め
愛しぬけるポイントがひとつありゃいいのに
さらにハッとさせられる。
誰にとっても思い当たる節はあるだろう。
人はどうしても自分の型に他人をはめたがる。
うわべだけ見て相手のすべてをわかった気になってしまう。
そんなものはただの自己満足に過ぎないのに。
わかった気になっているから、相手の本当の姿を見ようとしない。
都合の悪いことは見て見ぬふりをする。
それだって真実のひとつなのに。
君にしかわからないこと
僕だけが見えていること
どれもホントのこと
そしてこんな言葉で最後は結ばれる。
すべて何かのイチブってことに
僕らは気づかない
愛しい理由を見つけたのなら
もう失わないで
愛しぬけるポイントがひとつありゃいいのに
それだけでいいのに
相手を嫌いになる理由を99個探すのは比較的簡単だ。
しかし嫌いな99%に勝る、愛しぬける1%さえあれば充分ではないだろうか。
所詮は他人同士。
合わないことの方が多いに決まっているのだ。
その中で上手く折り合いをつけているに過ぎない。
あなたには一緒にいてくれる相手を愛しぬける1%があるだろうか?
忘れかけてはいないか?
今一度、大好きになった1%を思い返してみたら如何だろう。
他の99%より大切な1%
その昔、一世を風靡したドラマ『東京ラブストーリー』。
どのくらい人気があったのかって?
結末が気に入らないと抗議が局に殺到しまくり、上層部が最終回のシナリオ変更を本気で会議したとかしないとか。
それほど熱狂的な人気を誇っていた。
当時の主人公だったふたりが、近年の月9で久しぶりにキャスティングされたのは記憶に新しい。
柴門ふみさんの言い回しがとても好きで何度も原作を読み返したのを覚えている。
とりわけ大好きだったのがこんな言葉だった。
誰もいないから寂しいってわけじゃないよ。
誰かがいないから寂しいんだよ。
劇中の名台詞だが、実はこの誰かについて原作ではこんな補足説明がされていた。
原作通りではないが、それはだいたいこんな感じのものだった。
あなたにとって本当に、心の底から大切だと思える人は周りに一体どのくらい居ますか?
誰にだってたぶんそれほど多くはいないでしょう。
割合で言えばあなたの人間関係全体のせいぜい1%くらい?
100人の知人の中で、大切な人がひとりいるなら割合としては悪くない。
たった1%だけどその1%をあなたは少ないと思いますか?
それとも多いと思いますか?
例えば車を想像してみて下さい。
さらにその車の鍵の部分を想像してみて。
車全体からみたら鍵が占める割合なんてたかだか1%ほどでしかありません。
でもその1%がなければ車は動かないんですよ。
たった1%でも大切な1%がある。
ここでいう誰かとは鍵と同じなんです。
他の99%より大切な1%だってあるんです。
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言葉で表すのが非常に難しくてとかくチープになりがちな大切な誰かの表現。
身近な具体例で非常に解かりやすく説明してあって、初めて詞を読んだ時とても感動したのを覚えている。
そして稲葉氏も大切なこの1%を、言葉で表現するのがすこぶる上手い。
しかし稲葉詞では、いわゆる愛とか夢とか幸せとか勇気の描写は比較的抽象的に表現されていることが多い。
それは100%満たされることが無いことを知っているからだろう。
満たされないと知ってなお、自分自身の絶対的にゆずれないもの。
どうしても譲れない大切な1%を見つけ出す事が出来たなら、それを人は希望と呼ぶのではないだろうか。
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