劇場版映画
岸辺露伴は動かない 懺悔室
※本稿はネタバレを含みます。ご注意下さい。
前作より美しく、前作よりミステリアスに
劇場版映画『岸辺露伴は動かない 懺悔室』
邦画初イタリア・ヴェネツィア、オールロケ
「岸辺露伴」史上最大スケールでの映像化実現
荒木飛呂彦先生の大人気コミック『ジョジョの奇妙な冒険』から生まれた「岸辺露伴」シリーズ映画化最新作!
漫画『岸辺露伴は動かない』の原点であり、最も高い人気を誇る「懺悔室」を "世界遺産" の街・ヴェネツィアで邦画初となるオールロケを敢行し完全実写化。
原作に映画オリジナルのエピソードを加え、時空を超えて続く「呪い」に満ちた極上サスペンスが完成した。
原作『岸辺露伴は動かない』ー原作:岸辺露伴 作画:荒木飛呂彦」(設定上)
原作『岸辺露伴は動かない』とは、『ジョジョの奇妙な冒険』第4部「ダイヤモンドは砕けない」に登場する漫画家・岸辺露伴が狂言回しとなる外伝シリーズ。
1話完結型で、それぞれ独立した短編のエピソードから成る。
原作を露伴が手がけ作画を荒木飛呂彦先生が担当した、という設定になっている。
また本作のスピンオフ作品として、短編小説集『岸辺露伴は叫ばない』『岸辺露伴は戯れない』『岸辺露伴は倒れない』がある。
あくまで露伴は主人公ではなく「事件の目撃者」であり、解決に奔走することはあまりない。
そのため岸辺露伴は『動かない』話なのである。
ジョジョシリーズの外伝というよりは、荒木飛呂彦先生が形にしてみたいアイディアを漫画にする際の便宜的な主人公(語り手)として岸辺露伴を採用しているだけの、実験的な短編シリーズといった趣が強い。
また、エピソードのナンバリングは時間系列通りとは限らない。
作品間の時系列やジョジョシリーズとの設定の整合性等には細かくこだわらず、あえて曖昧にしているようである。
1997年に第1話「懺悔室」が発表されたきり、長らく単発スピンオフとして知られていたが、それから実に11年の間を開けて2008年に「六壁坂」が発表されファンを歓喜させた。
そして2011年の「グッチへ行く」以降は発表ペースが飛躍的にアップし、ほぼ1年に1本の新作が掲載されるようになったほか単行本やメディアミックスも展開されている。
2013年、それまで発表された作品をまとめた単行本第1巻が発売された。
2016年、OVAとして「富豪村」が初のアニメ化。
第4部アニメのDVD・BD-BOXに特典として収録された。
2018年には単行本第2巻が発売。
さらに「六壁坂」のOVAが特別版に同梱された。
2019年にはさらに新作OVAとして「懺悔室」「ザ・ラン」が制作された。
2020年、実写ドラマ化が実現。
2024年までに9話が放送されている他、2023年にはアスミック・エースによって「ルーヴルへ行く」が実写映画化された。
あらすじ
仮面の街で、幸福と絶望が交錯するー
漫画家・岸辺露伴はヴェネツィアの教会で、仮面を被った男の恐ろしい懺悔を聞く。
それは誤って浮浪者を殺したことでかけられた「幸せの絶頂の時に "絶望" を味わう」呪いの告白だった。
幸福から必死に逃れようと生きてきた男は、ある日無邪気に遊ぶ娘を見て「心からの幸せ」を感じてしまう。
その瞬間、死んだ筈の浮浪者が現れ、ポップコーンを使った試練に挑まされる。
「ポップコーンを投げて3回続けて口でキャッチできたら俺の呪いは消える。しかし失敗したら最大の絶望を受け入れろ…」。
奇妙な告白にのめり込む露伴は、相手を本にして人の記憶や体験を読むことができる特殊能力を使ってしまう…。
やがて自身にも「幸福になる呪い」が襲いかかっている事に気付く。
最高の幸せは "最大の絶望" を連れてくる
ヴェネツィア、罪深き "告白" が招く極上サスペンス
登場人物
岸辺露伴
演 - 高橋一生
人気漫画家。
人の心や記憶を本にして読み、指示を書き込むこともできる特殊能力を持つ。
泉京香
演 - 飯豊まりえ
「集明社」に勤務する露伴の担当編集。
田宮
演 - 井浦新
懺悔室で露伴に自らの犯した「あやまち」を告白する謎の男。
マリア
演 - 玉城ティナ
ソトバ
演 - 戸次重幸
田宮が告白する恐ろしい話のカギを握る浮浪者。
水尾
演 - 大東駿介
ソトバを誤って死なせてしまったことで、不気味なほどの“幸運”に襲われる "呪い" をかけられてしまった男。
原作屈指の名シーン「運命の審判」を完全再現
『岸辺露伴は動かない』シリーズの中でも屈指の人気を誇り、名シーンといわれる「運命の審判」。
本作の見どころはなんといってもこれに尽きる。
運命の審判
ベネチアの解体現場で働く水尾が、誤って死なせてしまった浮浪者のソトバから「お前が幸せの絶頂の時に "絶望" を味あわせてやる」と呪いをかけられてから10年後。
ソトバの言葉が現実にならぬよう、幸福に怯えながらも必死に生きてきた水尾だが、ある日無邪気に遊ぶ娘の姿を見て「心からの幸せ」を感じてしまう。
その瞬間、死んだはずのソトバが現れ、ポップコーンを街灯より高く投げて口で3回キャッチするという試練を水尾に突きつけ、「運命の審判」が始まった。
ソトバに憑依された娘、宙に舞い散るポップコーン、勝負のカギを握る鳩たち―。
運命のポップコーンバトルが今、はじまる。
「運命の審判」の実写化は不可能。
これまでずっとそう思ってきた。
たとえばVFXやSFX、CGなど最新映像技術を駆使すれば、実写映像化だけなら、さほど難しいことではないのかもしれない。
しかしそれでは『ジョジョ』の世界観にそぐわない。
好きと嫌いがはっきり分かれてしまうほどの独特の世界観(キャラクターも含む)こそ、『ジョジョの奇妙な冒険』最大の魅力である。
そのスピンオフである本作の世界観も、もちろん本編に準じている。
しかし加工しデジタル化し過ぎた映像では、『ジョジョ』の世界観が醸し出す、そこはかとないアナログ感が感じられない。
映像化したというだけでは意味がないのだ。
このジレンマを制作陣がどう解消するか。
それが「運命の審判」を実写化する上で一番の課題だったと思う。
しかし本作を観れば、そんなことは杞憂に終わった。
もちろん最新映像技術は駆使されまくっているのだろうが、それをまったく感じさせない完璧な実写感は『ジョジョ』の世界観をまったく損なっていない。
それもそのはず。
このシーンは、制作陣の並々ならぬ熱意の結晶だった。
件のポップコーンバトル。
劇中ではたった3回投げるだけのシーンを、なんと2日間もかけて撮影されたという。
撮影は、延べ150カット。
ロケハンを重ねて見つけた原作さながらの美しいヴェネツィアのCampo=広場、そして鳩たち。
これ以上ない条件のロケーションの中で、水尾役を熱演する大東氏。
すべてが完璧な実写化を目指した制作陣の情熱に依るものだ。
水尾役を務めた大東氏の功績も非常に大きい。
おまけに『ジョジョ』には、絶妙にイラッとさせるキャラクターが非常に多い。
それも、ただムカつかせればいいというわけではない。
イライラではなく、絶妙にイラッ。
表情や態度や言葉選びが絶妙に腹立たしいキャラクターこそ、『ジョジョ』の真骨頂なのである。
そして水尾も、もちろんそのひとり。
大東氏はそれを見事演じきってみせてくれた。
おかげで原作屈指の名シーン「運命の審判」の実写化は、大東氏の名演があったからこそ、実写版シリーズにおいても屈指の名シーンになった。
撮影技術だけでは、けっしてこうはならなかっただろう。
『ジョジョ』のアナログな世界観を実写化するためには、マンパワーに依るところが非常に大きい。
なかでも演者の出来は、作品のクオリティを左右する。
癖の強い『ジョジョ』ワールドのキャラクターたちを演じきった、すべての演者たちに拍手を。
そして演者たちの熱演を、実写映像化という形に見事してくれた、優秀な制作陣に惜しみない拍手を送りたい。
前作より美しく、前作よりミステリアスに
前作『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』は、映像美に優れた作品だった。
だが、本作は前作の美しさをさらに上回っていたように感じる。
アドリア海の干潟に丸太の杭を打ち込み、118の小島に街が築かれ、運河と橋で結ばれている他に類を見ない都市・ヴェネツィア。
ナポレオンが "ヨーロッパで最も美しい広場" と称したサン・マルコ広場。
サン・ロッコ教会、ぺスカリア市場、プンタ・デラ・ドガーナ、バルバリーゴ・ミノット宮殿、パロッツォ・ダ・モスト、そして原作にも登場するサンティ・ジョヴァンニ・エ・パオロ広場。
中世からルネサンス期にかけて貿易で栄え、その時代に発展したビザンチン様式やゴシック様式、ルネサンス様式が混在する建築物や芸術の数々。
そのすべてがため息の連続で、ただただ "美しい" のひと言だった。
さらには神秘的なヴェネツィアの持つ複雑な歴史と文化の重層性。
かつての海洋共和国としての栄華、数々の戦争、そして繰り返し襲ったペストの記憶。
美しき海上都市・ヴェネツィアが内包するこれらの "影" が、華やかな外観の裏に潜む独特の雰囲気を生み出し、『岸辺露伴』の物語に新たな深みを与えてくれた。
前作より、よりミステリアスに感じたのは、そんなヴェネツィアの独特の雰囲気にあてられたからかもしれない。
ヴェネツィアの美しさばかりが取り沙汰される本作だが、それに頼りきらない制作陣のカメラワークも見どころだ。
なかでも特に素晴らしいと感じたカメラワークは、ラストシーン。
大運河とジュデッカ運河を分かつ三角形をした地区の先端(プンタ)で、かつて税関(ドガーナ)があったプンタ・デッラ・ドガーナで会話する露伴と京香。
2人のお約束のやり取り。
BGMでお馴染みのテーマ曲が流れ出し、2人がフレームアウトしたところでエンディングを迎える。
と、普通ならここでブラックアウトしエンドロールと思うだろう。
しかし本作では、2人が去ったあとも画面を固定。
美しいヴェネツィアの街並みだけが、静かにただ佇むだけのエンディング。
それが革新的な手法というわけではない。
が、エンディングの入り方、その細部にまでこだわり抜いた制作陣の本作に注がれた情熱に最大級の敬意を表したい。
回を重ねるごと、シリーズを重ねるごとに、どんどんハイクオリティになっていく実写版『岸辺露伴は動かない』。
次はどんな風に魅せてくれるのか。
どんどん良くなるこの作品の次作が楽しみで仕方ない。
余談
ちなみに余談ではあるが、エンドロールをみて初めて気づいたことがある。
「運命の審判」の鍵を握るソトバ。
その、あまりに入念なメイクと気合いの入りまくった怪演のせい(おかげ?)で、演じていたのが戸次重幸氏だったと最後まで気づかなかった。
いや、正確に言えばエンドロールみて気づいたのは戸次重幸氏が出演していたことだけ。
結局役名まではわからず、結局調べてソトバ役だとようやくわかる。
大泉洋氏の盟友である戸次重幸氏。
嫌いな役者じゃないだけに、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
さらに余談ではあるが、演者も含めた本作制作陣のチームワークの良さが伝わるあるシーンにもぜひ注目してほしい。
本作には京香が花嫁からブーケを受け取るシーンがある。
これは間違いなく制作陣の粋な計らいに依るものだろう。
なぜなら、そもそも原作「懺悔室」に泉京香は登場しない。
だからすなわち、京香が花嫁からブーケを受け取るシーンなんて原作には存在しない。
では、なぜ蛇足にもなり得るこのようなシーンを制作陣はわざわざ足したのだろう。
たしかに、シリーズを重ね確立された京香のとぼけたキャラクターイメージにぴったりのシーンではあった。
だが本当の理由はきっとそうじゃない。
ご存知の通り、岸辺露伴役の高橋一生氏と泉京香役の飯豊まりえさんはめでたくご結婚されている。
その結婚発表は、『岸辺露伴は動かない 懺悔室』の公開(2025年5月23日)後ではなく、公開前の2024年5月16日。
時期的に、ちょうど本作ロケの真っ最中だったのではないだろうか。
そして高橋氏と飯豊さんが出会うきっかけとなったのは、この『岸辺露伴は動かない』シリーズだ。
その2人の結婚を、2人が出会った作品の中でさりげなく祝う制作陣の粋な演出。
あくまで推測にすぎないが、なんだか良い話じゃあないか。
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