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完全趣味の世界

ioritorei’s blog

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【日本映画『キサラギ』】爆笑の裏に隠された骨太な仕掛け!推しのアイドルの死を巡る、5人のヲタクの五転六転の密室ミステリー。

 

日本映画

キサラギ

※本稿はネタバレを含みます。ご注意下さい。

 

 

爆笑の裏に隠された骨太な仕掛け!推しのアイドルの死を巡る、5人のヲタクの五転六転の密室ミステリー

 

 

 

 

 

 

 

日本映画『キサラギ』とは

 

 

D級アイドル・如月ミキ。

彼女の自殺の真相は!?

男・5人、愛とドキドキの密室サスペンス!!

 

売れないアイドル・如月ミキの一周忌ーーー。

一つの部屋にファンサイトで知り合った5人の男が集まった。

5人の純粋な想いは、温かな奇跡を呼び起こす。

かつてない笑いと驚きと感動がつまった極上の密室サスペンス誕生!

『ALWAYS 三丁目の夕日』の古沢良太氏によるオリジナル脚本を、『シムソンズ』の佐藤祐市監督が映像化。

小栗旬氏、ユースケ・サンタマリア氏、小出恵介氏、塚地武雅氏、香川照之氏ら、個性と実力を兼ねそなえた5人によるコミカルな会話劇。

 

 

キサラギ

キサラギ

 

 

 

あらすじ

 

 

自殺したD級アイドル、如月ミキの一周忌に、ネットで知り合った熱狂的ファン5人が追悼オフ会を開催。

初対面ながらそれぞれに思い出を語り合ううち、やがて彼女は参加者のひとりに殺されたのでは、という疑惑が持ち上がる。

 

 


www.youtube.com

 

 

 

登場人物

 

 

家元(いえもと)

演 - 小栗旬

 

如月ミキのファンサイトの運営者であり、「如月ミキ1周忌追悼会」の主催者。

自称、しがない公務員。

如月ミキに関する知識ならば誰にも負けないと自負している。

事実、彼が収集した如月ミキのデータブックの中にはメジャーデビュー前や事務所を通していない仕事のものもあり、一般的には入手不可能な情報までほぼ100パーセント完璧にチェックしている。

情報収集以外にも毎週1通以上のペースで3年間以上、都合200枚以上のファンレターを如月ミキに宛てている。

 

 

オダ・ユージ

演 - ユースケ・サンタマリア

 

「如月ミキ1周忌追悼会」の企画者。

服装や言葉遣いなど、細かい部分に非常に厳しい生真面目な男性。

「如月ミキは自殺ではなく何者かによって殺された」と信じており、真犯人を見つけ出し復讐するために1年間を過ごして来た。

 

 

スネーク

演 - 小出恵介

 

「如月ミキ1周忌追悼会」の参加者で、都内の雑貨屋で働いている元バンドマン。

 

 

安男

演 - 塚地武雅

 

福島で農業を営んでおり、家元が主催した「如月ミキ1周忌追悼会」には片道6時間弱をかけて参加した。

お菓子作りが趣味であり、追悼会当日には手作りのアップルパイを持ち寄る。

 

 

いちご娘。

演 - 香川照之

 

「如月ミキ1周忌追悼会」の参加者。

電子掲示板上での女性らしい言動とハンドルネームとは裏腹に、実際は無職の中年男性。

 

 

如月ミキ

演 - 酒井香奈子

 

2006年2月4日に死亡したグラビアアイドル。

タイトルにもなっている「如月」という姓は芸名で本名は山田美紀。

特にプロポーションが良いわけでもなく歌も演技も下手であったが、そこがまた彼女の魅力であったと追悼会に集まったファンたちは評した。

映画では終盤まで顔をはっきりと映さない演出がされているが、エンディングで初めて生前の姿と歌声が披露される。

 

 

イベントの司会

演 - 宍戸錠(特別出演)

 

生前のミキが出演したイベントで司会をしていた男。

 

 

 

脚本の筆力と役者の演技力がダイレクトに伝わってくる掘り出し物的名作

 

 

密室ミステリーと聞くと、シリアスなサスペンスを想像するだろう。

が、本作は良い意味でその期待を裏切ってくれている。

切ないアイドルの死をめぐる謎解きのはずなのに、なぜか笑える。

しかし、そのコメディ要素の裏には、驚くほど骨太で本格ミステリーとしての緻密な計算が隠されている、傑作と呼べる作品である。

物語は、1年前に自殺したD級アイドル・如月ミキの一周忌オフ会。

集まったのは、5人の男たち。

最初はヲタクの、ただの思い出話だった。

主催者が所有する激レアコレクションのお披露目会のはずだった。

ところが、「彼女は他殺されたのではないか?」という一言から、部屋の空気は一変する。

いよいよ密室ミステリーの始まり…かと思いきや、なかなかそうはならない。

理由は、5人の正体が明かされていく二転三転どころか、五転六転する秀逸なそのシナリオにある。

いかにも胡散臭そうな5人。

実は一癖も二癖もある訳ありだった。

それぞれが隠していた、推しとの驚きの繋がり。

物語が進むうちに、一人ひとり正体が判明していく。

そして、まるで空いていたパズルのピースがビタっとハマるように、序盤の何気ない笑い話や、部屋に散りばめられた小道具すべてが、伏線として次々と気持ちよく回収されていく。

D級アイドル・如月ミキへ、どんどん近づいていく関係性。

次々と、加速度的に塗り替えられていく優位性。

もうこれ以上はないと思った矢先の意外性。

敗者復活からの大逆転。

正体が明かされるたび、

「まさか?」

「おまえだったんかい!?」

と、演者と同じツッコミを入れる。

このノンストップの会話劇を支えるキャスト陣がまた秀逸。

小栗旬氏の生真面目なヲタクっぷり、塚地武雅氏の癒やしとスパイス、小出恵介氏のチャラさと純粋さ、香川照之氏の怪演と、蓋を開けてみれば全員がハマり役。

大変失礼ながら、D級アイドル・如月ミキのビジュアルも絶妙(この「売れそうで売れない絶妙なライン」が物語にリアリティを与えている)。

そして、5人の男たちの中でも、ユースケ・サンタマリア氏が演じる「オダ・ユージ」。

まず、ハンドルネームが最高。

これは制作陣が絶対に狙って付けているに決まっている。

おまけに、あの名セリフまで言っちゃってるし。

この絶妙に胡散臭く、プライドが高くてひねくれた「オダ・ユージ」なるキャラクターを、ユースケ氏がコミカルかつ不気味に演じきっているからこそ、物語の緊張感と緩和が最高のバランスで保たれていると言ってもけっして大袈裟ではない。

ワンシチュエーション(密室)だからこそ、脚本の筆力と役者の演技力がダイレクトに伝わってくる本作。

コメディとして腹を抱えて笑いながら、ミステリーとして極上のカタルシスを味わえる、大満足の一本。

最後に全員で踊るヲタ芸は必見。

香川照之氏が少し合ってなかったような気もするけど、そこはご愛嬌ということで。

正直、少々舐めていたが本当に面白かった。

興味がある人はぜひ。

 

 

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【歴史の闇に葬られた真実】秀吉への恩義を捨てきれなかった "関ヶ原の功労者" 「福島正則」。

 

歴史の闇に葬られた真実

 

 

福島正則

 

 

 

 

 

 

 

歴史は勝者によってつくられる

 

 

我々がよく知る歴史の記述は、必ずしも客観的な事実の記録ではなく、勝者の視点や都合の良いように解釈・再構成されることが多い。

歴史は、過去の出来事を単に記録するだけでなく、その出来事をどのように解釈し、どのように伝えるかによって、人々の認識や価値観を形成する力を持つ。

そのため、勝者が自らの正当性や優位性を強調するために、歴史を都合よく書き換えることがあるのだ。

たとえば戦争や革命などの歴史的な出来事では、勝者が自らの行為を正当化し、敗者を悪として描くことで、自らの立場を強化しようとすることがある。

また、国家の成立や発展の過程でも、建国の英雄や偉人たちの物語を美化し、都合の悪い事実を隠蔽することがある。

このことから歴史の解釈や記述において、権力や支配者の影響がいかに大きいかがよくわかる。

だが歴史の解釈はひとつではない。

歴史を鵜呑みにしていいのか?

勝者の言い分は、本当に正しいのか?

教科書に書かれたことを疑うことで、初めてみえてくるものがある。

そのためには、敗者や弱者の視点から歴史を再考することが肝要だ。

歴史を多角的に捉え、様々な視点から検証することで、より客観的な歴史認識に近づくことができる。

 

 

 

勝者=善と単純に結びつけてしまう思考の危険性

 

 

特に中学・高校の日本史の教科書は政治史が中心で、必然的に勝者の歴史が描かれ、それが日本史の流れとして理解される。

勝った側が善とされ、敗者は悪とされることで、結果的に「正義は勝つ」と教え込まれる。

勝者が善で、敗者が悪という歴史観の極致が「征伐」という言葉である。

たとえば豊臣秀吉の天下一統の流れを追う時、無意識のうちに四国征伐、九州征伐、小田原征伐、さらに朝鮮征伐という言い方がされてきた。

これは敗者は悪とされ、悪人だったために、正義、すなわち勝者によって滅ぼされたという論理の組み立てで、勧善懲悪という考え方を深くすり込まれてきた。

そのせいで、現代日本人は多角的な考え方が苦手になってしまったように思えてならない。

勝者=善という決めつけは、思考の柔軟性を奪ってしまう。

敗者=悪という決めつけが、同調圧力を生み出す。

敗者にも成したことがあり、言い分だってあるのだ。

固定観念ほど怖いものはない。

歴史の闇に葬られた真実に目を向けることで、固定観念にとらわれない、柔軟な思考を手に入れる。

本稿がその一助になれば幸いだ。

 

 

 

判断力に優れた男が没落したのは、自分だけは違うという慢心と同情心が原因だった?

 

 

福島正則は、幼少の頃から秀吉に仕えた武将で、柴田勝家との賤ヶ岳の戦いで手柄を立てた「賤ヶ岳七本槍」の筆頭にあげられる。

秀吉の武将のなかでも特に勇猛ぶりで名を知られた一人である。

その猛々しさに、関ヶ原の戦いの折、徳川家康は、正則が西軍につくのではないかと心配し、正則と親しい黒田長政に頼んで、東軍につくように説得してもらうほどだった。

豊臣恩顧の大名たちのなかでも、正則はとりわけ敵にまわしたくない武将だったのだ。

正則は説得に応じ、東軍側についた。

正則としても、もともと犬猿の仲だった石田三成の西軍につく気はなかっただろうから、まさに渡りに船だったはずだ。

正則の理屈によれば東軍についた理由を「秀頼殿のためにならない三成を排除する」としていたが、実は、秀頼のためという理由ばかりでなく、家康の実力をよく知っており、西軍の不利を見抜いていたからと思われる。

歴戦の武将だけに、そういった判断力に優れていたのだろう。

戦いの結果、東軍が勝利すると、正則は尾張清洲24万石から、安芸備後49万8200石という大幅な加増を受けた。

確かな判断で栄転した正則だが、「関ヶ原の功労者」という自信のためか、その後、徳川家を甘くみすぎて失敗している。

正則は、関ヶ原では東軍に味方したが、加藤清正同様、大坂城の秀類には深い同情心を抱いており、それを隠そうとはしなかった。

徳川に歯向かうつもりはなかったのだが、豊臣家への断ち切りがたい思いと、関ヶ原の戦いの功労者だから大目にみてもらえるという安心感からか、そのような態度をとったようである。

家康はこれを不快に感じた。

それでも家康が生きているうちは、正則の功労を思ってか見逃していたのだが、1619(元和5)年、正則が洪水で崩れた石垣を修理するにあたって、幕閣の本多正純に届けただけで、正式な許可を取らずに工事に取りかかると、武家諸法度で禁じられていた「居城無断修復」として咎められた。

当時は大名の改易が頻繁に行なわれていた時期で、さすがに危機感を感じた正則は、剃髪して蟄居することにより、なんとか福島家取り潰しを回避した。

家名は存続したが、それで済むことはなかった。

跡を継いだ息子・正勝は移封を命じられる。

その移封先とは、信濃川中島4万5000石。

大幅な減封となったのだ。

正則自身は隠居して五年後に没する。

自殺説も囁かれているほどで、過去の栄光の果てに不遇な境遇をかこっての死だった。

 

 

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言訳座頭

 

落語『言訳座頭』は客という杖を免罪符に他人の店で凄み散らすカスハラオヤジ

 

 

 

 

 

 

 

落語『言訳座頭』

 

 

「大晦日首でも取ってくる気なり」、「大晦日首でよければやる気なり」※1なんて川柳がありますが、大晦日は借金を取る方も、取られる方もまあ必死。

今年の大晦日も借金がたまりにたまってにっちもさっちもいかない長屋の甚兵衛夫婦。

掛取り※2や睨み返し※3のような手を、もう使うわけにもいかない。

そこで女房は、

「長屋の富の市っあんは、口達者で知恵も回り、機転もきくから一円のお礼で借金取りの断りを頼もう」

と提案。

すぐに甚兵衛は座頭※4の富の市の家へ出向いた。

富の市、初めは金でも借りに来たのかと勘違いして渋い顔をしていたが、これこれこうとわけを聞くと、

「米屋でも酒屋でも、決まった店から買っているのなら義理のいい借金だ。それじゃああたしが行って断ってあげよう」

と、快く引き受けてくれた。

「もう掛取りが来る時分ですから家へ一緒に来てください」

「商人(あきんど)は大晦日は大忙しなんだよ。無駄足をさしちゃいけないよ。向こうから来ないうちに、こっちから出掛けて行かなくちゃいけねえ」

と、直接、敵の城に乗り込もうという寸法だ。

富の市は、

「万事あたしが言うから、おまえさんは一言も口をきかないように」

とくれぐれも注意して、二人はまず米屋の大和屋やまとやに出かけていく。

大和屋の主人は、有名なしみったれ。

富の市が頼み込むと、

「今日の夕方にはなんとかするって言質をとってある以上、待てない」

と突っぱねる。

富の市は居直って、

「たとえそうでも、貧乏人で、逆さにしても払えないところから取ろうというのは理不尽だ。こうなったら、ウンというまで帰らねえ」

と、店先に座り込み。

他の客の手前、大和屋も困って、結局来春まで待つことを承知させられた。

お次は、名うての頑固者の炭屋の和泉屋。

富の市は以前買った炭にケチをつけ、甚兵衛の借金を切り出す。

しかし頑固一徹の和泉屋。

「炭に因縁つけるようなことしないで、何で最初(はな)から頭を下げて借金を待ってくださいと言わないんだ。きっちりと今晩、払ってもらいますよ」

と手ごわい。

すると富の市。

「それじゃあ、甚兵衛さんに頼まれたあたしの顔は丸つぶれだ。申し分けが立たないから死んでお詫びをする。目が見えないので一人じゃ死ねないからあたしをここで殺せ!さあ、殺しゃあがれ!」

と往来に向かって怒鳴りはじめた。

挙げ句の果ては、「人殺しだ」とわめくので、周りはたちまちの人だかり。

店の前には何事かと人が群がり、店の中を覗き始めた。

これにはさすがの和泉屋も参って、

「いいよ、いいよ待つよ、春まで待つよ」

外聞が悪ってえことでついに降参。

お次は町内一の喧嘩好きの魚屋の金さんの所だ。

喧嘩っ早いから、和泉屋のような手は使えない。

「さあ殺せ」

となんて言えば、すぐ殺されてしまう。

こういう奴は下手に出るに限るというので、

「実は甚兵衛さんが貧乏で飢え死にしかかっているが、たった一つの冥土のさわりは、魚金の親方への借金で、これを返さなければ死んでも死にきれない…と。甚兵衛さんが可哀そうで "春まで待ってください" と親方の所へお願いに参りました」

なんて下手に丁重に出て頭を下げた。

出鼻をくじかれたような形の魚屋は、

「まあ、待つのは仕方ねえが、昨日、床屋で甚兵衛さんを見かけたが…」

すると富の市。

「へい、その髭面では一緒に魚金さんの所へ行くのは失礼だし、万一病が治らず冥土からお迎えが来たとしても閻魔さまの印象も悪かろうと、あたしが無理を言って床屋へ行かせました…」

と、よどみがない。

「うーむ、飢え死にしかかっているにしちゃあ顔色もいいじゃねえか…」

さすがの富の市も慌てて、

「熱っぽいから、ほてっている」

とシドロモドロでやっとゴマかした。

まだ半信半疑だが、魚屋も借金を春まで待ってくれた。

魚屋の店を出た二人。

「どうだい、うめえもんだろう?…おやおや百八つの鐘を突き始めたぜ…おらあ急いで帰ろう」

「富さん、まだ三軒ばかりあるよ」

「そうしちゃあいられねえんだ。これから家へ帰って自分の言い訳をしなくちゃならねえ」

 

 


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※1. 「大晦日首でも取ってくる気なり」、「大晦日首でよければやる気なり」

「首でも取ってくる気なり」…お金を返してもらわなければ商売あがったりだと、借金取りが鬼のような形相で借主の家へ押しかけていく様子を表している。

「首でよければやる気なり」…それに対して借主が「お金は本当にない。あるのはこの首(命)くらいだが、それでもよければ持って行け!」とヤケクソになって開き直っている様子のこと。

 

※2.掛取り

商品やサービスの代金をその場ですぐに支払わず、一定期間の取引をまとめて後払い(掛け売り・ツケ)にする取引において、その代金を集金・回収すること、またはその集金人のこと。

江戸時代から昭和初期にかけては、日常の買い物も「ツケ(掛け)」で行うことが一般的だった。

特に年末は、商家にとって一年の代金を精算する重要な時期で、大晦日に行われる過酷な集金や、借金取りそのものを「掛け取り」と呼んでいた。

 

※3.睨み返し

相手から睨まれた際、ひるまずに(あるいは反発して)見つめ返すこと、または睨みつけることを指し、敵対心や対抗意識を示す行動。

一言も喋らず、ただ煙草をふかしながら「凄みのある鋭い睨み(=睨み返し)」を利かせ、その迫力に気圧された借金取りたちは、何も言わずにすごすごと引き返していく。

 

※4.座頭

江戸時代の盲人の官位で最高位を表す言葉。

盲人組織「当道座」の位階で、座頭になると按摩や音曲で生計を立て、社会的にも一定の地位が認められていた。

 

 

落語の世界の富の市なら、相手の弱みを握ってあの手この手で言い分を通すその「口八丁」に、敵ながらあっぱれと膝を叩いて笑っていられますが、現代となると少々厄介な富の市もいるようでして……。

最近、街のあちこちに出没する「令和の言訳座頭」。

その名もカスタマー・ハラスメント・オヤジ。

略して、カスハラオヤジ。

こいつらを眺めていると、本当に呆れて、開いた口が塞がらない。

お店のスタッフや駅員相手に、マナーもモラルもどこかで行き倒れたような理不尽なキレ方をする、カスハラオヤジども。

こいつらのタチが悪いのは、自分の不注意や確認不足を棚に上げて、とにかく1から10まで店側のせいにすること。

やれ「説明が足りない」「マニュアルが悪い」と、次から次へと自分を正当化するための「言い訳(屁理屈)」の弾丸を繰り出し、若い店員を精神的に締め上げる。

彼らにしてみれば、「客」という立場は、富の市の「座頭の杖」と同じ。

それを免罪符にすれば、どれだけ理不尽に人を傷つけ、大声を張り上げて店に居座っても許されると本気で信じ込んでいるようでして。

大和屋で居直り、和泉屋で「人殺し」とわめき散らした富の市さながらに、「誠意を見せろ!」「お前の目は節穴か!」とマウントを取るその不遜さ。

他人の粗探しなんてする前に、まずはその薄汚れた品性への言い訳を考えたらどうなんだい?なんて言いたくなります。

そんな外弁慶のオヤジどもが、伝家の宝刀のごとく抜いてくるのが、時代錯誤な伝説のあのセリフ。

「おい、お客様は神様だろ!」

本当に言っているとこなんて実際に見たことありません。

でも、本当に言っちゃうカスハラオヤジが現実に存在するようで、近ごろSNSで見かけた、ある投稿。

このセリフに対して、店の若い店員さんが放った啖呵が、じつに胸のすく痛快なものだったそうでして。

お客という立場を利用して凄むカスハラオヤジを冷ややかな目で一瞥し、こう言い放つ。

「他の神様方に迷惑ですので、お引き取りください」

実にうまい、これ以上ない切り返し。

これにはさすがの言訳座頭も、返す言葉がなかったとか。

この時のカスハラオヤジの顔を想像しただけで、なんとも爽快な気分になってまいります。

「お客様は神様」を自称する疫病神を、これ以上ない正論で一刀両断する。

まさに現代の "大岡裁き" じゃあありませんか。

現代のカスハラオヤジどもよ、よおくお聞きなさい。

自分の非を認めず、弱い立場の人間を、言葉の暴力で己の承認欲求だけ満たしているその情けない姿。

あなたが「私は客だ」と凄んだ相手が、もしかしたらいつかあなたのお客になるのかもしれない。

その時あなたは、どんな無茶を言われても「お客様は神様」だって耐えられるんですかね?

それとも自分のその醜い顔で、いったいどんな言い訳をするんでしょう?

「カスハラオヤジは疫病神」とは申しましたが、疫病神ってえのは「心の正しい人を守り、祝福する善い神様」としての性格も持っております。

するってえと、心の正しくないカスハラオヤジはどうなるんでしょう?

「そうしちゃあいられねえんだ。これから家へ帰って自分の言い訳をしなくちゃならねえ」

なんて、疫病神にすら見捨てられなきゃいいんですがね。

 

 

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今すぐ誰かに話したくなる知的雑学【知識の泉】「人力車では "レディーファースト" がNG? 旅を彩る、裏返しの乗車マナー」

 

知識の泉

今すぐ誰かに話したくなる知的雑学

 

 

人力車では「レディーファースト」がNG? 旅を彩る、裏返しの乗車マナー

 

 

 

 

 

 

 

知識は力なり

 

 

かの有名なイギリスの哲学者、フランシス・ベーコンは言った。

「知識は力なり」と。

この言葉には、読んで字の如く「知識は自身の力になる」という意味とは別に、「経験によって得た知識を、いかにして実践的に使用することができるのか」という意味も込められている。

雑学も同様だと思う。

実際には、生きていく上で何の役にも立たないと思われている、どうでもいい情報群。

それが雑学という分野といえるだろう。

しかし雑学で得た知識を、どのように使うのかは人それぞれ。

普段の話のネタに困っている人。

トーク力を上げたい人。

飲み会やデートなどで知識を披露したい人。

知識を吸収したいけどあれこれ調べるのが面倒な人。

そして、物事の本質や奥深さを知りたい人。

純粋に「なるほど!」と思いたい人まで。

当たり前に感じていたことも、角度を変えた視野からみることで、別の面があることに初めて気付かされる。

その知識を他人にひけらかすだけでなく、その知識をもとに、固定観念から解放され、世の中の見え方を変えようではないか。

さすれば、「知識は力なり」の言葉の意味を実感できるはずである。

 

 

 

男性のプライドを救い、女性をヒロインにする魔法の「ジェントルマンファースト」

 

 

観光地を粋に駆け抜ける人力車。

その旅情を誘う姿に、一度は乗ってみたいと憧れる方も多いのではないだろうか。

しかし、いざ大切なパートナーと乗り込もうとしたその瞬間、日常の「常識」がひっくり返る、人力車特有の絶対ルールに直面することになる。

それが「ジェントルマンファースト」である。

欧米仕込みの「レディーファースト(女性優先)」に慣れた大人の男性ほど、つい女性を先にエスコートしたくなるが、人力車においてそれは御法度。

なぜ、男性が先に動かなければならないのだろうか?

そこには、物理的な「安全」と、車夫が仕掛ける「粋な気配り」のドラマが隠されているのだ。

理由は、人力車という乗り物の繊細な構造にある。

もし、先に小柄な女性が手前の席に腰掛けてしまうと、後から体格の大きな男性が乗り込む際に、車体がグラリと大きく傾いてしまう。

最悪の場合、女性がバランスを崩して転落する危険があるのだ。

また、人力車は左右の体重バランスが運行の命。

まず重い荷(男性)が座席の奥にドスンと収まることで、後から乗る女性が手前のスペースへ滑り込むように、安全かつ美しく着席できるのである。

ここからが、車夫と呼ばれるプロフェッショナルたちの腕の見せ所。

物理的な理由だけを追うならば、「体重の重い方から乗ってください」と言えば事は足りてしまう。

しかし、デート中にそんな生々しい言葉を使われたら、男性も女性も興ざめしてしまう。

場合によっては「自分は太っていると思われたのだろうか」と恥ずかしい思いをさせてしまうかもしれない。

そこで車夫は、笑顔でこう告げるのだ。

「当店はジェントルマンファーストでございます。旦那様、お先に奥へどうぞ」

「体重」という無粋な単語を一切使わず、言葉の魔法でスマートに誘導する。

これこそが、乗客に1ミリの恥もかかせないための、プロの接客技術なのである。 

この「ジェントルマンファースト」という響きは、エスコートしようと意気込む男性のプライドをも救うことになる。

男性が先に乗り込む姿は、一見すると自分勝手に見えてしまうリスクがある。

しかし、車夫がこの言葉を添えることで、男性は「マナー違反な人」ではなく、「ルールを遵守し、後に続く女性を安全に迎え入れるスマートな紳士」へと格上げされるのだ。

奥にバシッと腰掛けた男性の手を借りるようにして、女性がふわりと席に収まる。

その一連の流れは、まるで舞台の一幕のようにエレガントにみえるだろう。

日常のレディーファーストをあえて逆転させるこのルール。

それは、大切な人を危険から守り、旅の始まりを最高にドラマチックに演出するための究極の優しさだったのだ。

次に人力車を見かけた際は、ぜひその美しい乗車劇に注目してみてほしい。

ちなみに、この「ジェントルマンファースト」を実際に体験し、プロの粋なもてなしに身を委ねられる場所は、日本全国の美しい観光地に点在している。

次の旅の目的地に、こんな舞台を選んでみてはいかがだろうか。

 

  • 東京・浅草 / 神奈川・鎌倉

人力車が最も街の風景に溶け込んでいるエリア。

浅草の下町情緒や、鎌倉の厳かな古刹を巡るルートは、大人のデートにこれ以上ない彩りを添えてくれる。

 

  • 京都・嵐山・東山

青々とした竹林の陰や、風情ある石畳の路地。

人力車だからこそ立ち入れる特別なルートもあり、喧騒を離れて京都の真髄に触れる贅沢な時間を過ごせる。

 

  • 北海道・小樽 / 石川・金沢

小樽運河沿いのノスタルジックなレンガ倉庫群や、金沢の美しいひがし茶屋街。

歴史的な建築物を背景に走る人力車は、まるで大正ロマンの時代へタイムスリップしたかのような錯覚を覚えさせてくれる。

 

  • 秋田・角館 / 広島・宮島

春のしだれ桜が舞う武家屋敷通りや、瀬戸内海の潮風を感じる宮島の海岸線。

日本の豊かな四季と自然の美しさを、一番贅沢な特等席から眺めることができる。

 

いつもの旅に、ほんの少しの緊張感と、それ以上の感動をもたらしてくれる人力車の旅。

次の休日は、大切な人の手をスマートに引きながら、「ジェントルマンファーストで」と車夫に微笑みかけてみませんか?

その瞬間から、あなたの旅はきっと特別な物語へと変わり始める。

 

 

◆川上澄生 直筆◆【人力車の図】◆水彩画◆サイン・印有り

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【心に沁みる名言『日村誠司(日本映画「任侠学園」より)』】今日を精一杯生きるために…。#235

 

#235

心に沁みる名言

 

 

 

 

 

 

 

 

今日を精一杯生きるために…

 

 

明日ではなく今日。

今、この時を精一杯生きるあなたのために素敵な言葉を綴ろう。

 

 

 

日村誠司(日本映画「任侠学園」より)

 

 

困っている人は見過ごせない、義理と人情に厚すぎるヤクザ "阿岐本組"。

組長(西田敏行)は社会貢献に目がなく、次から次へと厄介な案件を引き受けてしまう。

今度はなんと、経営不振の高校の建て直し。

いつも親分に振り回されてばかりの阿岐本組NO.2の日村(西島秀俊)は、学校には嫌な思い出しかなく気が進まなかったが、"親分の言うことは絶対"!

子分たちを連れて、仕方なく学園へ。

待ち受けていたのは、無気力・無関心のイマドキ高校生と、事なかれ主義の先生たちだったー。

 

 

何にも残らねえのはな

闘わなかった時だけだ

 

 


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変わりたい、変わらなくちゃいけない。

でも、失敗が怖い。

傷つくのは嫌だ。

そんなつまらない理由で、我々はつい何もしないことを選んでしまう。

準備ができてから。

もっと実力がついてから。

傷つかないよう都合の良いと言い訳ばかりを探して、スタートラインにすら立とうとしない。

何もしなければ、たしかに傷つくことはない。

しかし代わりに、そこには何も生まれない。

だが、行動すれば何かは起こる。

たとえ挑戦してボロボロに負けたとしても、そこには悔しさが残る。

「自分の弱さ」というデータが残る。

そしてそれは次に進むための強力な武器になる。

でも闘わずに逃げた後に残るのは、冷え切った後悔と、何も変わらない退屈な明日だけである。

まだ本気を出していないだけ?

その気になればいつでもできる?

そんなつまらないプライドなら捨ててしまえ。

四の五の言わずに一歩踏み出せ。

人生の敗北とは、挑戦して負けることではない。

傷つくことを恐れて、何ひとつ選ばないまま、空虚に歳を重ねていくことである。

転んだっていい。

転んで大怪我することもあるかもしれない。

だが、行動の果てに感じたその痛みこそが、生きている実感を与えてくれる。

生きる意味を与えてくれる。

結果なんてどうでもいい。

"動いた" というその事実こそが、あなたの人生に確かな足跡を刻む。

 

 

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今すぐ誰かに話したくなる知的雑学【知識の泉】「見つめるだけで人を安心させる不思議なマーク "★(星)"、その格付け裏事情」

 

知識の泉

今すぐ誰かに話したくなる知的雑学

 

 

見つめるだけで人を安心させる不思議なマーク「★(星)」、その格付け裏事情

 

 

 

 

 

 

 

 

知識は力なり

 

 

かの有名なイギリスの哲学者、フランシス・ベーコンは言った。

「知識は力なり」と。

この言葉には、読んで字の如く「知識は自身の力になる」という意味とは別に、「経験によって得た知識を、いかにして実践的に使用することができるのか」という意味も込められている。

雑学も同様だと思う。

実際には、生きていく上で何の役にも立たないと思われている、どうでもいい情報群。

それが雑学という分野といえるだろう。

しかし雑学で得た知識を、どのように使うのかは人それぞれ。

普段の話のネタに困っている人。

トーク力を上げたい人。

飲み会やデートなどで知識を披露したい人。

知識を吸収したいけどあれこれ調べるのが面倒な人。

そして、物事の本質や奥深さを知りたい人。

純粋に「なるほど!」と思いたい人まで。

当たり前に感じていたことも、角度を変えた視野からみることで、別の面があることに初めて気付かされる。

その知識を他人にひけらかすだけでなく、その知識をもとに、固定観念から解放され、世の中の見え方を変えようではないか。

さすれば、「知識は力なり」の言葉の意味を実感できるはずである。

 

 

 

思考停止で「星の数」を信じる人が、静かにカモられている現実

 

 

世の中には、見つめるだけで人を安心させる不思議なマークが存在する。

そう、「★(星)」である。

グルメアプリの★3.8に一喜一憂し、旅先では「せっかくの旅行だから5つ星ホテルにしよう」と奮発する。

我々は無意識に、星の数を厳格な正義のメーターだと思い込んでしまっているのである。

でも、ちょっと待ってほしい。

その星、誰がつけたか知っていますか?

結論から言おう。

世の中の「星」の半分は、大人の事情と自己申告(自称)でできている。

付いている「星」の数ががすべての判断基準になってしまっている、そこのあなた。

大人の格付け裏事情を知ってしまったら、二度と星の数を純粋に見られなくなるかもしれない。

 

① みんなの基準「ミシュランの星」は、本当にガチ

そもそも、なぜ我々がこれほど「星」を信用しているかというと、すべての元凶は「ミシュランガイド」にある。

たしかに、あそこは本当にガチ。

身分を隠した調査員が、自腹で店に通い、料理の味だけで評価を下す。

東京で三つ星レストランを目指した名作ドラマ『グランメゾン東京』の一幕。

〈私たちのジャッジは、時にお店や、そこで働く人々の人生にまで影響を与えてしまいます。今年も責任を持ち、厳正な審査を行いましょう。〉

セレクション会議(スターセッション)でのミシュラン審査員の言葉は、けっして大げさな話ではない。

星を落とされたシェフが絶望するほど、その影響力と信頼性は本物だ。

我々はこのミシュランのガチ感を、他のすべての星にも勝手に当てはめてしまっているのである。

ここから、すべての悲劇が始まる。

 

② ホテルの星は「プールがあるから★5」という現実

では、憧れの「5つ星ホテル」はどうだろう。

「さぞかしミシュランのような厳しい覆面調査員が、おもてなしの心を審査したのだろう」と思ったら大間違いである。

多くの旅行予約サイトにおけるホテルの星は、ただの「設備のチェックリスト」に過ぎない。

  • 24時間対応のフロントはあるか?(チェック!)
  • プールやフィットネスジムはあるか?(チェック!)
  • 客室にミニバーはあるか?(チェック!)

極端な話、サービスがどれだけ冷徹で、部屋が少しカビ臭くても、設備さえ揃っていればシステム上で「5つ星」の資格を得られてしまうケースが多々あるのだ。

さらに言えば、ホテル側が「うちは5つ星クラスの価値がある!」と自分で言い張っている、"自称5つ星" だらけのサイトもある。

「最高級の感動」を期待して行ったら、ただ「無駄に設備が広いだけの上級ビジネスホテル」だった、なんてことが起きるのはこのためなのだ。


③ 映画の星は「好みの押し付け」、ワインの星は「個人の味覚」

ホテルだけではない。

他の業界の「星」も、なかなかのガバガバ具合だ。

 

  • 映画のレビューサイト(★5満点)

ネットの映画評価は、もはや信憑性うんぬんではなく「ファンの熱量」と「アンチの嫌がらせ」の殴り合い。

公開初日にファンが★5を連投し、気に入らない層が★1を叩き込む。

それはもはや格付けではなく、ただのネットの喧嘩のスコアなのだ。

 

  • ワインの格付け(★や点数)

ワインの世界には「パーカー・ポイント」をはじめとする有名な評価(星や100点満点のスコア)がある。

一見プロの厳格な審査に見えるが、あれは基本的に、その評論家個人の好みでしかない。

一人の人間が「俺はこれ好き」と言っただけで、ワインの価格が数倍に跳ね上がる。

非常に人間味に溢れた(悪く言えば偏った)世界なのだ。

 

 

じゃあ、いったい何を信じればいいの?

そう思われた人も多いだろう。

では、今一度世の中の星の正体を見返してみよう。

まとめると、こうなる。

 

  • ミシュランの星:ガチの覆面調査(信頼度:高)
  • ホテルの星:ただの設備の有無、または自称(信頼度:目安程度)
  • 映画・ネットの星:一般人の感情の爆発(信頼度:エンタメ)

 

星の数が多いからといって、中身が最高とは限らない。

これからは★5という文字を見たら、お財布と相談する前に、一瞬だけ疑ってみてほしい。

「これ、どこの誰がつけた星?」と。

それだけで、あなたは仕掛けられた「星の罠」から、一歩抜け出すことができるはずだ。

 

 

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こんにゃく問答

 

落語『こんにゃく問答』はナフサ危機そっちのけでお子様ランチの旗がどうのこうのと真剣に議論するお気楽な政治家

 

 

 

 

 

 

 

落語『こんにゃく問答』

 

 

昔はやくざ者だった六兵衛。

今ではすっかり足を洗い、こんにゃく屋を営んでいる。

足を洗ったとはいうものの、面倒見の良さから、江戸にいられなくなった者たちが次々と訪ねてくる。

そういう者たちを家において、しばらくすると仕事を紹介してやったり、草鞋銭を持たせて送り出してやったりしていたから居候が絶えない。

そこへ江戸を食いつめた八五郎が転がりこんできた。

この八五郎、何か仕事をするわけでもなく二ヶ月経ち、すっかり居ついてしまった。

「おい八。このところこんにゃく屋に人相風体の悪い男が出入りしていると村中で噂になってやがる。世間体が悪いからおめえも何か仕事をしねえか」

気の進まない八五郎だったが、いつまでも遊んでいられない。

そこでちょうど空きのあった寺のにわか住職におさまってしまう。

だが、もちろん経も知らないし、行(ぎょう)をするわけでもない。

寺男の権助と、毎日、本堂で酒を飲んで寝転んでいる。

お経も読めないくせに、

「この村には弔いがないから食えねえ」

などと不満をいう始末で、住職らしいのは頭が坊主ということだけ。

そんな八五郎の寺に、ある日、修行僧が訪ねてきた。

「禅家の御寺とお見受け致します。大和尚ご在宅なれば、修行のため一問答願わしゅう存じます」

早い話が門前の、〈葷酒山門に入るを許さず〉と刻まれた戒壇石を見て、問答を申し込んできたというわけ。

慌てた八五郎は、和尚はいないと断るが僧は引き下がらない。

和尚は一度出かけると何年も帰らないことがあるから待っても無駄だと嘘八百。

しかし修行僧は諦めず、帰ってくるまで二年でも三年でも毎日来ると言い残して立ち去った。

困った八五郎は権助と相談し、本堂にある金目の物を売っ払って、別の空き寺へ移ろうと二人で家捜しを始めた。

バタバタやっているところへ、こんにゃく屋の六兵衛がやってきた。

二人から事情を聞いた六兵衛は、自分が大和尚になって問答してやろうと言う。

そのかわり僧がきても黙っているから、大和尚は口がきけず、耳も聞こえないと言え、と八五郎に策を授けた。

ずっとにらめっこをしていれば、相手の僧もくたびれて立ちあがる。

「それでもダメなら角塔婆で張り倒して煮え湯をぶっかけちまえ」

という乱暴な作戦だ。

翌日、修行僧がやってきた。

いろいろと問答をしかけるものの、六兵衛は知らん顔。

なまじ学問があるだけに、僧はこれが黙行という黙っている修行と勘違い。

それならと、「ハッ」と両の人指し指と親指で小さい丸をこしらえ、前へ突きだした。

これを見た六兵衛が両手で空に大きな丸を描くと、僧は平伏。

次は両手の指をパッと開いた。

六兵衛は片手をパッ。

また平伏。

次に僧は右手の三本指を出す。

これには六兵衛があかんべえをすると、

「大和尚に遠く及びません 三年修行してまいります。これにて御免」

と逃げ出してしまった。

不思議に思った八五郎が外で僧を捕まえ、どうなったと尋ねると、いかにも坊さんらしい大まじめな解釈。

「大和尚は禅家荒行のうち、無言の行のさなかと心得、こちらも無言で問いかけました」

最初の小さい丸は、

「天地の間は?」

という問い。

すると六兵衛が両手の輪で、

「大海のごとし」

と答えた。

「十方世界は?」

と問えば、

「五戒で保つ」

もう一つ、

「三尊の弥陀は?」

と問うと、

「目の前を見ろ」

と答えたからすっかり感服したと言う。

感心しながら八五郎が寺に戻ると、本堂では六兵衛がプンプン怒っている。

「ありゃ乞食坊主だ。手真似でおれの商売物にケチをつけやがったのよ。おめえとこのこんにゃくはこれっぱかりかってやりやがる。しゃくにさわるからこんなに大きいやいってやったんだ。十枚でいくらだときやがるから五百だと言ったら、しみったれが三百に負けろってからあかんべえ」

 

 


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絶対に見なければわからないだろう仕方噺の一つ。

修行に自分の一生を捧げている僧とこんにゃく屋の主人との問答で、僧の勝手な思い込みからこんにゃく屋が勝つ、お互いの強烈な勘違いが奇跡的な大逆転を生むドタバタ劇。

この噺からは権威、知識人などへの庶民の感情が反映しており、それらを笑い飛ばす落語の姿勢がうかがわれる。

こんな馬鹿馬鹿しい問答を聞いたって、「馬鹿だねえ」とカラリと笑っていられるのが落語の世界。

実に痛快じゃありませんか。

しかしこれが現代に起こっているとなると、ケラケラ笑ってなどいられません。

今の永田町と国民の間の、 筆舌に尽くしがたい温度差。

どうもこれが『こんにゃく問答』のちぐはぐさと重なって見えて仕方がない。

物価高と重税に加え、突如降って湧いた令和のオイルショック「ナフサ危機」。

しかし青天井の物価高騰に怯える国民をそっちのけで、どこまでも的外れでお気楽な政治家たちの間で繰り広げられている、国会という名の学級会。

ホームルームじゃありません、あれは学級会と呼ぶのが相応しい。

基礎原料が足りなくて医療崩壊だのほぼ全業種で倒産激増。

それこそ日本の死活問題に行き倒れかけているあたしたち国民は、必死の思いで両手を広げて問いかけている。

「この国はこれからどうなるんだい? こんなんじゃあ暮らしが立ち行かないよ」

真剣極まる、それこそ命に関わる無言の訴えでございます。

ところが、です。

それを受け止める永田町の政治家たちの解釈ときたら、これが実におめでたい。

国民が必死に広げた両手を見て、「お、お子様ランチの旗をこんな風に立てるのかい?」と、自分たちのイデオロギーやパフォーマンスのサイズくらいにしか思っちゃいない。

日本中が「ナフサが、原材料が足りなくて首が回らない!」と、指を十本突き出して悲鳴をあげている真っ最中に、お上のプロジェクトチームとやらが大真面目な顔をして話し合っているのは、なんと「国旗を破ったら罰金。ただしお子様ランチの日の丸は対象外にするか否か」なんてぇ、ほとんどギャグのようなお裁きの話。

「生活の危機」という命がけの問いを国民がぶつけているというのに、政治家という名の偽和尚たちは、「お子様ランチの旗」なんてえ心の底から本当にどうでもいいと思える話をドヤ顔で答弁しております。

それじゃあお聞きしますがね、頭に国旗を刺したハタ坊は罪に問われたりしないんでしょうか?

 

 

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もし旗が折れたりなんかしてしまったなら、国旗損壊の罪なんでしょうか?

なんて馬鹿馬鹿しい議論なんでしょう。

まさかこんな『おそ松』、もとい、お粗末な世が現実にやってこようとは。

赤塚不二夫先生も天国で「シェー」と、さぞやお嘆きのことでしょうな。

「国旗損壊罪」なんてもっともらしいジェスチャーだけは一丁前ですが、中身はスカスカ、それこそ水に浮いたこんにゃくそのものじゃあないですか。

つまらないことを粗探しをして規制を増やす前に、まずはその噛み合わないおめでたい頭の中を厳しく取り締まったらどうなんだい、と言いたくなります。

修行僧は最後に勝手に勘違いして「あの和尚には敵わない」とすごすごと逃げ出していきますが、現代に生きる我々はそうもいきません。

とはいえ政治家たちのあんまりな頓珍漢ぶりに呆れ果て、疲れ果てて言葉を交わす気力すらありゃしません。

できることなら彼らには、静かにお引き取り願いたいってえのが本音でございます。

国民は最初の小さい丸で、

「金が掛かって仕方ない」

すると政治家は両手の輪で、

「大丈夫、まかしとけ」

国民は両手の指をパッと開き、

「待て待て、そんな議論は後にしろ」

すると政治家、片手をパッと開いて、

「給付金で五万くらい握らせときゃいいだろう」

国民は涙ながらに右手の三本指を出して、

「そんなんじゃ三十日と持ちやしない」

すると、しみったれた政治家は、

「てやんでえ、だったらやらねえ」

と、あっかんべえ。

 

 

蒟蒻問答

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