江戸城宝物庫の楢柴肩衝【徳川家康編】
時系列で考えたら織田信長の次は豊臣秀吉になりそうなものだが、先に徳川家康編を知っていた方が秀吉の話が理解しやすい。
時代は前後するがご承知願いたい。
織田信長垂涎の的だった天下三肩衝を初めてすべて手にしたのは豊臣秀吉だった。
天下三肩衝をすべて手に入れた者が天下を獲るとまで言われたが事実そうなった。
問題の楢柴肩衝も江戸城の宝物庫深く眠っていたのだろうが、明暦3年(1657年)の明暦の大火の際に破損し修復された記録が残っている。
ここまでは事実だろう。
しかし後に何故か行方知れずとなっている。
天下三肩衝のひとつ、楢柴肩衝は忽然とその姿を消してしまったのだ。
東照大権現以来、徳川家の家宝とも言える楢柴肩衝が紛失したのだから大事件になりそうなものだが、不可解なことに江戸城内で大した騒ぎになっていない。
江戸城は当時の政治の中心だ。
その宝物庫ならばセキュリティーが半端なわけがない。
厳重なセキュリティーをくぐり抜けて、大事件にも発展せず、まるで最初からそんなものは存在しなかったかのように、静かに楢柴肩衝はその姿を消した。
この謎を解くヒントが豊臣秀吉編に隠されている。
徳川家康の最新研究 伝説化された「天下人」の虚像をはぎ取る (朝日新書)