ドラマ(2005年)
タイガー&ドラゴン
落語ブームの火付け役!長瀬智也と岡田准一が魅せる高座シーンは見応え満点!!
『タイガー&ドラゴン』とは
『タイガー&ドラゴン』は、TBS系で放送された日本のテレビドラマ。
2005年1月9日に2時間の単発スペシャルドラマとして放送された。
その後続編という形で連続ドラマ化され、2005年4月15日から6月24日まで「金曜ドラマ」枠で放送された。
「落語」と「ヤクザ」という無縁にも思える2つの要素を取り合わせ、毎回テーマとなる噺に沿うように登場人物に起きるできごとを織り交ぜながら、最終的にはひとつの新しいアレンジ噺として1話完結のコメディに仕上げたトリッキーな作りとなっている。
TBSプロデューサー磯山晶氏と脚本宮藤官九郎氏の名コンビによる、『マンハッタンラブストーリー』以来のテレビドラマ。
タイトルはオープニングテーマとして用いられているクレイジーケンバンドの楽曲『タイガー&ドラゴン』に由来する。
また当ドラマに登場する2人の主人公、「虎児」(小虎)と「竜二」(小竜)にも掛かっている。
2005年1月のスペシャルドラマで「第42回ギャラクシー賞」(放送批評懇談会主催)のテレビ部門・選奨を獲得し、同年4月からの連続ドラマで「第43回ギャラクシー賞」(放送批評懇談会主催)のテレビ部門・大賞を受賞した。
あらすじ
子供の頃に両親が借金を苦に自殺し、「笑い」を忘れて生きてきたヤクザの山崎虎児は、ひょんなことから浅草で落語家の林屋亭どん兵衛の高座を聞いて感動し、弟子入りを志願する。
どん兵衛は虎児が属する新宿流星会の組長から400万円の借金をしていた。
そこで虎児は、噺をひとつ習得するごとに10万円の「授業料」(ドラマの途中から20万円に値上げ)をどん兵衛に支払い、それをそのまま「返済金」として虎児に支払うという奇妙な契約をどん兵衛と交わすことになる。
林屋亭門下「林屋亭小虎」として、ヤクザと落語家という二足のわらじを履くこととなった虎児は、裏原宿のダサくて売れない洋服店「ドラゴンソーダ」の店主である谷中竜二と出会う。
竜二はどん兵衛の次男であり、かつては「落語の天才」と言われたが、過去のとある事件で廃業したのだった。
やがて林屋亭どん兵衛と新宿流星会組長の間にも浅からぬ縁があったことが明らかになる。
落語の演目にリンクした秀逸な展開
前述した通り、今作品は毎回テーマとなる噺に沿うように登場人物に起きるできごとを織り交ぜながら、最終的にはひとつの新しいアレンジ噺として1話完結のコメディに仕上げられている。
大ネタの場合は事前に伏線が張られながら、1話で回収しきるといった具合である。
基本的にすべて古典落語の噺だが、現代風にアレンジしまくっているからまるで新作落語を聴いているような感覚に陥る。
それでいてサゲはキッチリ古典落語として成立させていた秀逸な展開が、非常に魅力的でまた面白くもあった。
ちなみに元ネタとなった噺は以下の通り。
スペシャル
- 三枚起請(さんまいきしょう)
ドラマ
- 第1話 芝浜(しばはま)
- 第2話 饅頭怖い(まんじゅうこわい)
- 第3話 茶の湯(ちゃのゆ)
- 第4話 権助提灯(ごんすけちょうちん)
- 第5話 厩火事(うまやかじ)
- 第6話 明烏(あけがらす)
- 第7話 猫の皿(ねこのさら)
- 第8話 出来心(できごころ)
- 第9話 粗忽長屋(そこつながや)
- 第10話 品川心中(しながわしんじゅう)
- 最終話 子は鎹(こはかすがい)
落語ブームの火付け役!
長瀬智也と岡田准一が魅せる高座シーンは見応え満点!!
宮藤官九郎氏の脚本は完璧だった。
落語という、一見非現実的で古臭く感じてしまいそうなテーマを見事具現化してみせてくれた。
しかし放送開始までには一抹の不安があった。
落語はれっきとした伝統芸能である。
噺家が出演(本物の噺家も出演しているが…)するならともかく、素人が一朝一夕でできるものではない。
ましてや主演の二人はアイドルだ。
素人の落語をみせられても興ざめするだけだ。
落語好きだからこそ、なおさら冷めるのが目にみえていた。
そういう意味で今作品には懐疑的な思いがあったのだが、放送を観てその心配が杞憂だったと反省した。
TOKIO・長瀬智也氏とⅤ6・岡田准一氏の高座シーンは、まるで本物の噺家のように素晴らしかった。
何の違和感もなく、落語として聴けた。
宮藤官九郎氏の完璧な脚本は、この二人が出演したことで完成したといっても過言ではない。
二人の師匠役をつとめた西田敏行氏の高座シーンはさすがのひと言。
非現実的な世界観の古典落語も、同じように非現実的な「ヤクザ」の世界を盛り込むことで見事クリア。
多少は有り得ないようなことでも、何だか妙に納得できてしまう。
『タイガー&ドラゴン』は俳優陣の名演と天才的な脚本が見事に融合した傑作ドラマだ。
観れば落語にも興味を持てて一石二鳥。
是非一度ご覧あれ。
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