自己流大河ドラマの楽しみ方
大河ドラマとは
『大河ドラマ』または『NHK大河ドラマ』は、1963年(昭和38年)から放送されているNHKによる歴史ドラマシリーズの総称。
略称は大河。
日本史上実在した人物の生涯を描いた作品や群像劇が多いが、ドラマオリジナルの架空の人物を通して時代そのものを描き出す作品もある。
NHK側は「大河ドラマはドキュメンタリーではなくあくまでドラマであり、演出も必要である」と述べている。
原則1年1作で、1月初回、12月最終回である。
放送形態は1回45分・日曜夜・1年間(50回前後)。
第1作放送開始以来、後述のように変則的な制作や放映クールと採用されたことはあっても枠としての中断は一度もない。
1963年4月から放送されており、当時は1月開始ではなく、4月の番組改編期からスタートしていた。
『連続テレビ小説』と並んで、メディアなどでもNHKひいては日本のドラマの代表格として取り上げられ、視聴率の変遷がインターネットニュースなどで話題になることも多い。
大河ドラマの主人公には男性が選ばれることが多いが、時代の変化から特に2000年代以降は女性を主人公にした作品も20世紀中より作られるようになっている。
天皇については、後白河天皇・後醍醐天皇・明治天皇など日本史を語る際に欠かせない重要なポジションであっても登場人物のひとりとされ、主役に選ばれたケースは60余作で一度もない。
大河ドラマとは超大型歴史時代劇であれ
もちろん、なかには純粋に大河ドラマという存在自体が好きだという方もいるのだろうが、著者は違う。
あくまでも歴史好きの延長線上にあるもの。
それが大河ドラマである。
だからその大河ドラマで近代史を取り上げることに対しては懐疑的だ。
ただし「近代史が嫌い」というわけではなく、「大河ドラマで近代史を扱う」ことに対して、である。
でもそれが、例えば太平洋戦争の真実を知る作品のようなものであれば、間違いなく観るだろう。
なかなか矛盾しているが、要するに大河ドラマを観ることで、時代が動いたその裏側を知りたいという欲求を満たしたいのである。
地上波連続ドラマとしては何から何まで規格外
なんといっても国営放送が制作である。
民放のようにスポンサーの多寡が、作品のクオリティーに影響しない。
これは非常に大きな要因だ。
民放では豪華すぎるキャスティングも、大河ドラマなら可能にする。
若手有望株から有名俳優、はたまた旬真っ盛りの著名人までまさにキャスティング無双状態だ。
また、大河ドラマが歴史時代劇として非常に優秀な点は、なんといっても1年という長期スパンの放送期間であろう。
1年もあれば、歴史的大事件に至るまでの経緯を事細かく描くことができる。
これは歴史時代劇にとって、最強の強みといえる。
何故そこに至ったのか。
どういう歴史的背景があったのか。
それによって、その後どうなったのか。
その過程を詳細に描くことができる大河ドラマは、歴史好きにとって非常に貴重な存在なのだ。
最新の研究結果に基づく時代考証とその描き方
奇しくも2016年大河ドラマ『真田丸』は、2022年大河ドラマ『鎌倉の13人』と同じ三谷幸喜氏が脚本をつとめている。
そこかしこに三谷演出が散りばめられていた『真田丸』だが、歴史的大事件の描写についても斬新な三谷演出が見受けられた。
『真田丸』での関ヶ原合戦
関ヶ原合戦といえば天下分け目の大いくさだ。
誰もが壮大な合戦シーンを思い描くだろう。
たとえ主人公が直接いくさに参戦していなかったとしても、少しでも絡みがあるなら描かれて然るべき大いくさだ。
それなりの視聴率だって、当然望めるだろう。
しかし三谷幸喜氏はとんでもない演出で『真田丸』の関ヶ原を描いた。
それを説明するためには多少の歴史認識が必要になる。
歴史に疎い人のために簡単に説明すると、『真田丸』の主人公・真田信繁(幸村)は、西軍に属してはいるものの、直接関ヶ原合戦には参陣していない。
関ヶ原から遠く離れた信州上田で、東軍を迎え撃っていた。
結論からいうと三谷幸喜氏は『真田丸』で関ヶ原合戦を描かなかった。
いや、正確には合戦前のシーンだけは描いたが、視聴率が取れそうな勇壮な合戦シーンは描かなかった。
歴史時代劇においては斬新すぎるこの演出に、ネットが一時騒然としたのを覚えている。
しかしそこはさすが歴史好きたち。
「真田家から見た関ヶ原」ならこうなる!と、すぐに皆が納得している。
これは大河ドラマにおける革新だった。
歴史時代劇にはいくさシーンという固定観念にとらわれているから、歴史の真実が見えなくなってしまっていたのだ。
『真田丸』での豊臣秀次
これまた歴史に疎い人のために簡単に説明すると、豊臣秀次とは豊臣秀吉の後継者に指名されたものの、その後生まれた実子に後継を譲りたい秀吉から疎まれ、最終的には自刃に追いやられたとされる悲劇の人物である。
これが通説だ。
しかし最新の研究結果に基づく大河ドラマ『真田丸』では、これまでの通説を覆す新説が描かれていた。
『真田丸』曰く、秀吉は秀次を疎んでなどいなかった。
実子が成人になるまでは秀次を後継者として認めるていた。
これは当初の約束通りである。
しかし秀吉に実子が生まれたことで、秀次が勝手にテンパってしまった。
今ある地位が奪われるのではないかという強迫観念で、秀次は自分で自分を追い込んでしまった。
結果として秀次は、秀吉の顔に泥を塗る形で自刃。
時の関白が自分勝手に自ら病んで自刃したとあれば、豊臣政権の沽券に関わる。
秀吉は権威を保つために、仕方なく秀次一族をも厳罰に処した。
後日調べてみると、どうやら『真田丸』での描写が最新の研究結果だそうだ。
関ヶ原合戦もそうだが『真田丸』は、今までの大河ドラマの固定観念を覆すような描写がふんだんに散りばめられていた。
『鎌倉殿の13人』にも期待大?
奇しくも2022年の大河ドラマも『真田丸』と同じ三谷幸喜脚本『鎌倉殿の13人』だ。
おそらく、一般的な頼朝のイメージはすでに覆されているのではないだろうか。
一般的には知名度が高く人気がありそうな源頼朝だが、歴史上ではずっと不人気だった武将なのだ。
唯一、徳川家康からの熱烈支持を除いて。
『鎌倉殿の13人』では不人気の理由も、いずれ描かれるだろう。
え?
もう十分わかるって?
ならば今後は三谷幸喜氏が、義経についてどう描くのか注目してほしい。
所詮は勝者が作った歴史書・吾妻鏡を鵜呑みにしたなら、きっとつまらない義経が描かれるだろうが、そこはやはりやり手の三谷幸喜氏。
きっとまだ明らかになっていない、新しい歴史認識で描いてくれることだろう。
大河ドラマには、そういう楽しい方もある。
また『真田丸』の先例に倣うなら、『鎌倉殿の13人』でもいくさのシーンはほとんど描かれないということになる。
激化していく源平合戦を、どのようにして三谷幸喜氏が描くのか?
自分が思い描いていた歴史認識との違いを楽しみたいと思う。
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