あいみょんの2016年のデビュー・シングル
生きていたんだよな
『生きていたんだよな』とは
『生きていたんだよな』は、シンガーソングライター・あいみょんのメジャー1stシングル。
ワーナーミュージック・ジャパン内のレーベル「unBORDE」から2016年11月30日に発売された。
表題曲の『生きていたんだよな』は、テレビドラマ『吉祥寺だけが住みたい街ですか?』のオープニングテーマとなっており、初のドラマのタイアップ曲になっている。
ポエトリーリーディング(詩人が自作の詩を読み上げる行為を指す)を取り入れている。
ジャケットのアートワークのディレクション、イラスト、撮影は、アーティストのとんだ林蘭さんが手がけた。
あいみょん - 生きていたんだよな 【OFFICIAL MUSIC VIDEO】
YouTubeにて公開された『生きていたんだよな』のミュージック・ビデオはTwitterと連動した「リアルタイム・ツイートムービー」という映像作品で、Twitter上の「死ね」というキーワードを含んだツイートを約4分ごとに抽出し、そのツイートがほぼリアルタイムで動画に反映されていた。
2022年1月現在2700万回以上再生されている。
あいみょん - 生きていたんだよな 【弾き語りMOVIE】
2016年4月に幕張メッセで行なわれた、ワーナーミュジック内レーベルunBORDE一大イベントにて、unBORDE加入が電撃発表されたシンガーソングライター・あいみょん。
メジャー1stシングル『生きていたんだよな』弾き語りMOVIE。
あいみょんの音楽性の本質にして最高傑作
本作には、飛び降り自殺のニュースを目の当たりにした際に感じた心境が、リアルな描写と真っ直ぐな言葉で綴られている。
二日前このへんで
飛び降り自殺した人のニュースが流れてきた
血まみれセーラー 濡れ衣センコー
たちまちここらはネットの餌食
「危ないですから離れてください」
そのセリフが集合の合図なのにな
馬鹿騒ぎした奴らがアホみたいに撮りまくった
冷たいアスファルトに流れるあの血の何とも言えない
赤さが綺麗で綺麗で
スマホとSNSの普及で、誰もが簡単に、不躾に赤の他人へカメラを向ける。
奴ら頭の中に礼節なんて言葉は存在しない。
己の承認欲求が満たされればそれでいいのだ。
それが「ネットの餌食」。
だが語り手はそんな連中のことには目もくれず、淡々と冷静に様子を眺めているのが印象的だ。
そしてサビで歌われる「生きて 生きて 生きて」のリフレインが聴く人の心をハッとさせ、強烈な印象を与える。
生きて生きて生きて生きて生きて
生きて生きて生きていたんだよな
最後のサヨナラは他の誰でもなく
自分に叫んだんだろう
飛び降り自殺のニュースが話題だったのに、「生きて」という、真逆の言葉が聴く者の胸を打つ。
白も黒も、善も悪もない、真っ直ぐな心で人に寄り添うようなフレーズの数々。
あいみょん本人は本作についてのインタビュー
でこう答えている。
ー描かれている内容は、とても生々しいと思いましたが?
歌詞にある通り、2日前に観たニュースの話です。
ニュースを観た瞬間に曲にしようと思ったわけではなくて、2日間経っても頭に残っていたことを自然と歌詞にしていました。
ポジティブでもネガティブでもなく、野次馬を批判しているわけでも、死を否定しているわけでもなく、人によってさまざまな聴き方ができる曲だと思います。
できれば生きてほしいと、私も思っています。
でも、他の人の人生を決め付けることも、“気持ちが分かる”とも言えないんですよね。
ーこういう事柄は耳当たりの良い綺麗事に流れがちですけど、“分からない”という前提に立って描いているところに、あいみょんさんの表現に対する姿勢を感じます。
命を題材にしたこういう曲だからこそ、分かったようなことは歌いたくなかったんです。
精いっぱい生きるのは、もちろんいいことなんですけど、その“精いっぱい”は何か決まったかたちがあるわけではないと思うんです。
結果的に命を絶ってしまうことがその人にとっての“精いっぱい”なのであれば、それはやはり“精いっぱい”。
そして、100歳まで生きるのも、その人にとっての“精いっぱい”ということなんだと思います。
「分かったようなことは歌いたくなかった」。
まったくその通りだ。
著名人の突然死が取り沙汰され、あれこれ邪推されてしまう昨今。
たしかに衝撃的ではあるから、ニュースになるのは仕方ないことだろう。
ましてや著名人ともなると、ただでさえ影響力を持っている。
残念ながら、ある程度騒がれるのは仕方がない。
だが赤の他人による邪推だけはいただけない。
「自殺」はいけないこと。
そんなことは当事者が一番わかっていることではないのか。
「今ある命を精一杯生きなさい」なんて
綺麗事だな。
精一杯勇気を振り絞って彼女は空を飛んだ
鳥になって 雲をつかんで
風になって 遥遠くへ
希望を抱いて飛んだ
「自殺」はいけないことというならば、逆に近くにいる人間が何故、その人のSOSに気づけなかったのか?…という議論も成立してしまう。
もちろん、そこまで問い詰める気もないし、たしかに「自殺」はいけないことなのだろう。
ただ、ほんのもう少しだけ他人の心に寄り添える社会だったなら、自ら命を絶つ行為は減るのではないだろうか。
許可なく他人にカメラを向けるな。
そういうところからして、すでに優しくはない。
加害者に優しい日本社会は、加害者以外には優しくない。
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