次作の結末を変えたかもしれない
機動戦士ガンダムNT
『機動戦士ガンダムNT』とは
『機動戦士ガンダムNT』(英題: MOBILE SUIT GUNDAM NARRATIVE)はアニメーション映画。
「ガンダムシリーズ」に属するロボットアニメ作品であり、2018年11月30日に全国90劇場で公開された。
監督の吉沢俊一氏は、本作が初監督作品となる。
宇宙世紀を舞台にしたガンダム作品の完全新作劇場映画としては、『機動戦士ガンダムF91』以来27年ぶりとなる本作は、アニメ版『機動戦士ガンダムUC』(以下、『UC』)以降の物語を各種メディアで展開するシリーズ「UC NexT 0100」の第1弾として製作される。
ストーリ-は、脚本の福井晴敏氏が本作以前に執筆した小説版『UC』の追補小説「不死鳥狩り」をモチーフに、『UC』までの宇宙世紀を総括する内容や「戦後の戦争」を取り入れて1本の映画として再構成した内容となっている。小説「不死鳥狩り」は、元々『UC』の原作小説とアニメ版の結末の差異を埋めることを目的とした作品であり、『UC』のアニメ版で独自に最後の敵として登場した兵器、ネオ・ジオングの存在を整理し、原作小説上での処遇を描くための作品であった。
こうした経緯から、本作では小説「不死鳥狩り」で焦点が当てられた『UC』の小説版とアニメ版の相違点を、再びアニメ版『UC』の設定に合わせるための変更が行われており、小説版『UC』の物語からは繋がらない内容となっている。
福井氏によれば、小説「不死鳥狩り」は小説版『UC』の外伝に過ぎなかったのに対し、本作は宇宙世紀の本伝を描くことを意識した作品であるとしている。
アニメーション制作はサンライズ第1スタジオが担当し、アニメ版『UC』のスタッフも多く参加している。
その一方、主要スタッフには本作が初監督となる吉沢俊一氏や金世俊氏ら30代のアニメーターが起用されており、若い世代による作品作りが志向されている。
表題の「NT」とは、ガンダムシリーズに登場する概念である「ニュータイプ」と、「物語」などを意味する単語「ナラティブ」のダブル・ミーニングであり、ニュータイプについて物語る、再定義する、といった意味が込められている。
ガンダムシリーズの原作者として位置づけられる富野由悠季氏が多くを語らなかったニュータイプの概念の解釈には、脚本を担当した福井氏による解釈が反映されており、本作の内容そのものが、2014年に角川書店より発売された書籍『ガンダムUC証言集』に福井氏が寄稿したニュータイプ解釈論の要約を映像化したものとも言え、監督の吉沢氏は福井氏の解釈に従うという立場を取っている。
福井氏は、ガンダムシリーズにおけるニュータイプの概念は作劇上の事情で生まれた御都合主義の設定だとしても、ガンダムシリーズの中では1979年のシリーズ第1作『機動戦士ガンダム』から一貫して「存在と魂」という人間の本質に根ざしたテーマに関連づけて語り継がれてきた設定でもあるとし、それを現代の観点から「語り直す」ことを意図したとしている。
このため、従来のガンダムシリーズで扱われてきた要素のうち、本作では超能力や霊魂といったオカルティックな一面に焦点が当てられるが、そうしたトンデモ(疑似科学)として受け取られがちだった設定を突き詰めることも意図されており、宇宙世紀シリーズの世界設定における異質な存在の象徴であるユニコーンガンダム3号機フェネクスを巡る物語が繰り広げられる。
なお、2021年1月1日にBS11(1月2日にTOKYO MX、1月3日にはMBS)で「ガンプラ40周年記念『機動戦士ガンダムNT』特番」と題して地上波初放送されている。
あらすじ
宇宙世紀0079年。
ヨナ、ミシェル、リタの3人の少年少女は、ジオン公国軍のコロニー落としを事前に察知し、多くの人々を避難させて命を救ったことで「奇蹟の子供たち」と呼ばれるようになる。
しかし身寄りをなくした彼らは、その能力に着目した地球連邦軍により、一年戦争終結後には特殊な施設で過酷な実験に晒されることとなった。
数年が経過した後、ミシェルの一計によってヨナとミシェルは施設から逃れられるも、残されたリタはやがてユニコーンガンダム3号機フェネクスと共に行方が途絶えてしまう。
そして宇宙世紀0097年。
「ラプラスの箱」をめぐるラプラス事変は、「袖付き」の壊滅と「箱」の開放によって決着。
その立役者となったユニコーンガンダム1号機と2号機バンシィは、現在では扱い切れない技術的特異点「シンギュラリティ・ワン」として解体・封印されていた。
だが、それと前後して行方不明であったフェネクスが地球圏各所で目撃されるようになる。
ルオ商会の重鎮となっていたミシェルはシンギュラリティ・ワンと同等の力を手にするため、フェネクス捕獲作戦「不死鳥狩り」に着手するとナラティブガンダムを調達し、そのパイロットとしてヨナを参加させる。
だが、ミシェルはジオン共和国軍にもIIネオ・ジオングを譲渡しており、サイコフレーム搭載機同士を争わせることによってフェネクスをおびき出すことを画策していた。
秘密任務のために「袖付き」の残党を装うゾルタン・アッカネン率いるジオン共和国正規軍は、ミシェルの思惑に乗せられてスペースコロニー内で「不死鳥狩り」部隊と戦闘を開始する。
多数の民間人犠牲者が出る中、ナラティブガンダムは一時的にフェネクスを捕らえる事に成功するも、ヨナの激情に端を発した暴走を経て、最終的には飛び去られてしまう。
戦闘後、ミシェルはリタへの贖罪を兼ねて、ユニコーンガンダムの力を手に入れようとしたことを告白する。
一方、ゾルタンの戦闘行為を問題視したジオン共和国側は、責任を追及される前に彼を切り捨てようと目論む。
しかし、それを知ったゾルタンは自暴自棄になって、IIネオ・ジオングの力で新サイド6のヘリウム3備蓄基地を臨界爆発させ、地球圏に壊滅的な打撃を与えようと暴れだす。
リタの思念を感じて戦場に駆けつけたヨナとミシェルらは、フェネクスと共闘してゾルタンと対決。
ヨナはミシェルを喪いつつも、最終的にはフェネクスの力を引き出してIIネオ・ジオングを撃破する。
全てを終えたフェネクスは、最後にヨナを降ろして銀河の中心に向けて飛び去っていったのだった。
主題歌
- 主題歌「narrative」
歌 - SawanoHiroyuki[nZk]:LiSA / 作詞・作曲 - 澤野弘之
エンディングテーマとして使用される。
映画のラストシーンにかかる形でイントロが始まり、このとき初めて本作のメインタイトルロゴが画面に映し出される。
ガンダムシリーズの映画作品においてエンディングまでメインタイトルが出ない演出を用いるのは、本作が初めてとされる。
また、ガンダムシリーズの主題歌を担当することが少ないLiSAが歌った数少ない楽曲である。
narrative/NOISEofRAIN(初回生産限定盤)(DVD付)(特典なし)
『機動戦士ガンダムUC』の続編
『UC』の後日譚は描かれず
『機動戦士ガンダムNT』は『UC』の正統な続編である。
だが『UC』の後日譚ではなく、新たな物語である。
『UC』の中核を成したラプラス事変については、ほとんどといっていいほど触れられていない。
ニュータイプに重きを置く
『機動戦士ガンダムUC』はニュータイプの概念、またはニュータイプに存在について重きを置いた作品である。
だが実際には、ニュータイプ・パイロットが登場しない(※思念として登場)。
その代わりこの時代におけるニュータイプの扱われ方についてリアルに描かれており、いまだにニュータイプが危険視され、また実験対象であることを窺い知ることができる。
バナージ・リンクスの登場
バナージ・リンクスは『UC』の主人公であるが、『UC』では最後にどうなったのか詳しく描かれていない。
もちろんその後もわからなかった。
だが『機動戦士ガンダムNT』の最後でその存在が確認されている。
バナージの存在が後のガンダム史を変える?
『UC』の主人公であるバナージ・リンクスの存在が、もしかしたら後のガンダム史を変えるかもしれない。
後のガンダム史というのも矛盾しているように聞こえるかもしれないが、基本的に「ガンダムシリーズ」には原作となる小説が存在している。
だから次作(※現時点で)となる『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の、原作での結末はすでに判明しているのだ。
そしてこの次作『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』が、ガンダム史上稀にみるほどの鬱エンディングなのである。
だが『機動戦士ガンダムNT』のバナージの存在が、鬱エンディングを塗り替えてくれるかもしれない希望となっている。
『機動戦士ガンダムNT』でバナージは謎の組織に属し、最終的にナラティブガンダムのパイロット・ヨナを救っている。
この事実が今後どのように描かれていくのか?
非常に興味深く、また鬱エンディング回避の希望となっているのだ。
ちなみに劇場版アニメである『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』は、いまだ鋭意制作中でまだまだ完結していない。
今後どうなっていくのか?
原作とは異なるエンディングを迎えるのか?
バナージの存在がその鍵を握っているような気がしてならない。
『機動戦士ガンダムNT』に登場する主なモビルスーツ
MG 1/100 RX-0 ユニコーンガンダム3号機 フェネクス (機動戦士ガンダムUC)
HGUC 機動戦士ガンダムNT ナラティブガンダム A装備 1/144スケール 色分け済みプラモデル
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