アニメ
オーバーロード
『オーバーロード』とは
『オーバーロード』(OVERLORD)は、丸山くがね(旧名:むちむちぷりりん)先生によるライトノベル作品。
ファンタジーものとして「剣と魔法」の世界を舞台にしつつ、通常のロールプレイングゲームにおける「魔王」に相当する敵キャラクターを主人公とした、アンチヒーロー的作品である。
そのため、主人公やその部下たちが平然と残虐非道な行為に及ぶ場面も散見される。
当初はウェブ版として連載が始められたが、これを下敷きにして新たな設定を加えた書籍版が後に刊行され、本作を原作として展開されているテレビアニメ、漫画、ゲームは書籍版をベースにしている。
ウェブ版と書籍版では、世界観や基本的な設定は共通するが、物語の進行や登場人物が一部異なる。
ウェブ版は2010年5月、小説投稿サイト「Arcadia」にて連載開始。
後に「小説家になろう」にも掲載。
書籍版が刊行されてからも並行して連載されている。
書籍版は2012年7月からKADOKAWA(エンターブレイン)より刊行開始。
イラストレーターはso-bin。
2021年12月時点でシリーズ累計発行部数は1100万部を突破している。
『このライトノベルがすごい!』単行本・ノベルズ部門では2017年版で第1位、2018年版・2019年版で第4位に入っている。
第2期アニメ公式サイトで2017年12月26日から2018年2月10日まで限定でスピンオフ4コマ『2期エンディングを考えよう』が配信された。
アニメ『オーバーロード』とは
アニメ『オーバーロード』(OVERLORD)は、第1期が2015年7月より9月までAT-X、TOKYO MXほかにて放送された。
テレビアニメ版公式サイト及び「YouTube」上で掲載される各エピソードの次回予告の動画には、「ノーマルVer.」(約30秒)と、期間限定で配信される「スペシャルVer.」(約40秒)があり、「ノーマルVer.」ではモモンガ(アインズ)が、「スペシャルVer.」ではモモンガ(アインズ)やアルベドら階層守護者及び各エピソードに登場するキャラクターがナレーションを務めている。
登場キャラクターの外見等については、書籍版のものに準拠している(一部例外あり)。
テレビアニメ第2期『オーバーロードII』は、『劇場版総集編 オーバーロード 漆黒の英雄』のED後に制作が発表された。
制作は引き続きマッドハウスが担当し、第1期から一部スタッフが変更されている。
2018年1月より4月まで放送された。
第2期の放送終了後には第3期『オーバーロードIII』の制作が発表され、同年7月より10月まで放送された。
2021年5年8日には、テレビアニメ版四期と完全新作劇場版の制作が決定した。
劇場版は『聖王国』編を描くとされる。
2021年12月に第4期『オーバーロードIV』第1弾PVが公開され、第2弾PV公開と併せて2022年7月よりの放送予定が発表され、第3弾PVも公開されている。
あらすじ
時は2138年。
一大ブームを巻き起こしたVRMMORPG(仮想実体感型オンラインゲーム)「ユグドラシル」がサービス終了を迎え、ゲーム内で栄光を誇ったギルド「アインズ・ウール・ゴウン」のメンバーであるプレイヤー、モモンガはギルドの本拠地「ナザリック大墳墓」で一人、最後の瞬間を待っていた。
カウントダウンが始まり、モモンガは目を閉じてかつての仲間達との思い出に浸る。
しかし、サービス終了の時刻になっても強制ログアウトは起こらず、それどころか、プレイヤーが命令しなければ行動しないはずのNPCたちが意思を持って動き出し、生きて言葉を発することに驚いたモモンガは、彼自身もゲームの中の(自分が作った)キャラクターとなってしまっていることに気付く。
ナザリック大墳墓は、「ユグドラシル」とは似通っているが異なる世界に転移していた。
転移後の世界で、モモンガはかつてのギルド名「アインズ・ウール・ゴウン」に名乗りを改め、ナザリック地下大墳墓の勢力を率いて行動を起こす。その目的は、アインズ(モモンガ)が不用意に口にした「世界征服」である。
彼は、自分たちの力がこの世界の水準と比較してあまりにも強大であることを認識しつつも、まだ見ぬ強者、未知の技術の可能性を疑い、何よりその裏に見え隠れする別のプレイヤーの存在や痕跡を探るため、慎重な姿勢を崩さずに挑んでいく。
『オーバーロード』の世界観
人間種
最初の主な舞台となる王国にして、人間種の国家の中でも最大の版図と人口を有する大国。
しかし、政治の腐敗と犯罪組織「八本指」の暗躍、スレイン法国による工作、バハルス帝国との戦争など、多種多様な内憂外患に悩まされている。
- バハルス帝国
リ・エスティーゼ王国とアゼルリシア山脈を隔てて東側に位置する、人間種の国。
当代皇帝ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスの改革と統治によって、目覚ましい発展を遂げて屈指の大国に成長しており、その軍勢は数は少ないながらも精強無比。
王国とは戦争状態にあり、カッツェ平野で毎年戦争を繰り広げている。
- スレイン法国
600年前に降臨した伝説の「六大神」によって造られた国で、六大神信仰を頂く強固な政治体制を築き上げ、特殊工作部隊「六色聖典」を筆頭とする非常に強大な軍事力を有する。
人類至上主義を掲げ、人類以外の人間種や亜人、異形種の排除を徹底している。
- ローブル聖王国
スレイン法国とアベリオン丘陵を隔てて、西側に位置する人間種の半島国家。ここでの国王は「聖王」と呼ばれている。
四大神信仰を頂く宗教国家でもあり、神殿勢力の意向や影響力が非常に強い。
隣接するアベリオン丘陵から侵攻してくる亜人達に悩まされてきた歴史があり、聖王から認められた「九色」と呼ばれる精鋭達を筆頭に加え、長い戦いの歴史と神殿勢力の影響力の中で発達した聖騎士団や神官団、比較的練度の高い正規軍など、強力な軍事力を有している。
- 竜王国
スレイン法国とカッツェ平野を隔てて東側に位置する、人間種の国家。
人間と交わって子を成した “七彩の竜王(ブライトネス・ドラゴンロード)” の子孫が統治する国で、竜人でもある国王は、「始原の魔法(ワイルド・マジック)」を行使できる能力を有している。
しかし、近年では隣国のビーストマン達から侵攻を受け、滅亡の危機に瀕している。
- カルサナス都市国家連合
バハルス帝国の北東に位置する国家。
その名の通り、複数の都市国家で構成された連合国家であり、住民の主体は人間種だが亜人種が治める都市も含まれ、冒険者組合も存在している。
- 山小人の国
アゼルリシア山脈に位置する、山小人(ドワーフ)達の王制国家。
非常に高い鍛冶技術を有しており、ルーン技術による武具のマジックアイテム化が人類種の国家で重用されていたが、近年では人類の魔化技術に押され、廃れている。
また、クアゴアとの抗争で国土の大半を失陥し、滅亡の危機に瀕している。
- 森妖精の王国
スレイン法国南方のエイヴァーシャー大森林にある、森妖精(エルフ)達の王制国家。
スレイン法国とは戦争状態にあり、現在では国土深く浸食され劣勢にある。
それ故に、強者の子供による軍隊を作らんと企む国王が、日々子作りに励んでいる。
- インベリア王国
外伝『亡国の吸血姫(ヴァンパイアプリンセス)』に登場した国。
ヒロイン・キーノの父であるファスリス王が統治していた国で、人口は約500万程度。
首都の名は「インベルン」。
七色に輝く瞳が特徴の、四大系統の魔法を強化する能力を持つ魔法職に秀でた “虹瞳人(アルコバーナ)” という種族が、人口の九割以上を占めていた。
宝珠を持つ太陽の男神 “ベ・ニアラ” と、宝杖を持つ月の女神 “ル・キニス” の二神を主に信仰する、「ナ・ベール」を国教としている。
作中(本編含む)では竜王(ドラゴンロード)の一体である、キュアイーリム=ロスマルヴァーによって滅ぼされている。
亜人種
- アーグランド評議国
リ・エスティーゼ王国の北西に位置する亜人種の国家(人間もいる事はいるが、10%にも満たないらしい)。
強大な力を持つ竜王の評議達によって治められており、その中には転移後の世界では最強と目される、“白金の竜王(プラチナム・ドラゴンロード)” も居る。
- ビーストマンの国
竜王国に苛烈な侵攻作戦を展開しており、竜王国の民らを食料として食い荒らしている。
- 西方六大国
人間種の国家群の西方、大陸中央部で覇を競い合っているとされる亜人種の大国群。
人間種が転移後の世界で、如何に弱い立場にあるかを物語っている。
トロールの国、ビーストマン連邦、ミノタウロスの国などが該当するとされる。
新感覚設定
絶対強者の主人公は悪者
本作における最大の特徴は「異世界転移した人間による世界征服」という、この手のファンタジーにおける定番である「異世界転移した人間が世界を救う勇者になる」という話を、反転させた事である。
それも主人公側を徹底的に「悪」として描き、現地に存在する英雄的・勇者的な人間がなす術も無く、ただ一方的かつ絶対的な力の前に情け容赦なく踏み潰されるという、救いようのない展開をみせる事である。
更に作者も過去に明言している通り、作風及びメインテーマは「弱肉強食」となっている。
基本的には、絶対強者である主人公陣営が現地の弱者を圧倒することが作品のメイン描写であり、主人公陣営以外の「強者」が無力な「弱者」を蹂躙するという展開も、往々にして見られる(運良く主人公の庇護下、または傘下に入れた事で、滅亡を免れた集団や国家も幾つか存在する)。
この手の絶対的な悪意になす術も無く踏み躙られるという話は、クトゥルフ神話と言う前例があるものの、日本の漫画・ラノベ的な文脈で描かれる事は珍しい(実際のところ、クトゥルフ神話をリスペクトしている節があり、登場人物の設定や魔法の名前に、クトゥルフ神話の要素が見受けられる事がある)。
多少は強引な展開ではあるものの…
前述の通り本作の主人公は世界征服を目指す悪者になるのだが、もともとはバーチャルゲームから抜け出せなくなった普通の人間である。
いわゆる「異世界転生」モノの主人公というのは、例えば必死で現実世界へ帰ろうとしてみたりするものだ。
しかし本作の主人公の物分かりの早さといったら、他の作品の非ではない。
取り残されたゲーム内で、何ができるのかを冷静を見極めている。
いや、その行為自体には何ら問題はない。
ただそれが第1話の中盤で描かれてしまうという、納得するにはあまりに早すぎる展開に違和感を覚えてしまった。
そんなに早く受け入れられる展開でもないだろうに…
そのおかげかどうかはわからないが、主人公が早くに状況を理解してくれたおかげで、その後の展開は実にスムーズだ。
おまけに物分かりがいい主人公という設定も同時に理解できたから、その後起きる多少無茶な展開でもあまり気になることはない。
ときどきわからなくなる…
どちらが正義でどちらが悪?
主人公が悪者に描かれていることでときどきわからなくなるのが、どちらが正義でどちらが悪かということ。
悪者として描かれている主人公も、ときどきは人助けをする。
来てほしいタイミングで助けに入られると、なんだかんだいっても主人公=正義の味方にみえてくる。
でも別のシーンでは正義の味方風のキャラたちを、主人公組織が圧倒的に蹂躙していたりもする。
要するに、最終的な落とし所がまったくわからない。
最後には主人公を正義にしたいのか、それとも絶対悪の征服者としたいのか…
今のところ後者の線は薄い。
だが前者になりきれなくもある。
これからも物語はまだまだ続いていくだろうから、先が楽しみな作品ではあるが頭がこんがらがって仕方ない。
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