アニメ
GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり
『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』とは
『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』は、柳内たくみ先生によるファンタジー小説。
2006年4月から2009年6月にかけて、柳内先生が「とどく=たくさん」名義で小説投稿サイト「Arcadia」に掲載していたweb小説『自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』が元になっている。
2010年にアルファポリスから単行本化された。
単行本第1巻・第2巻は、「Arcadia」掲載のweb小説版(以下、web版)から作中の一部表現を修正したものとなっている。
また、第3巻以降も大幅に改訂されており、単行本とweb版で結末が異なる登場人物もいる。
本記事では特に記述がない限り、単行本及び文庫版の内容に基づいた記述とする。
本編は当初の予定では第3巻で完結の予定だったが第4巻まで延長され、さらに内容が東日本大震災を連想させることを配慮して第5巻まで延長された。
本編完結後も、後日談や本編の挿話、前日談などが収録された外伝が刊行されている。
この他に、web版には『湯煙温泉編』『商売繁盛編』という番外編があり、「Arcadia」においてサイト管理者の了解を得た上で掲載されている(『商売繁盛編』は未完)。
他にも『混家冬の陣編』が同所で掲載されていたが、これは削除されている。
2017年夏に続編となる海上自衛隊を主役とした『ゲートSeason2 自衛隊 彼の海にて、斯く戦えり』の刊行が始まった。
2021年12月時点で電子版を含めたシリーズ累計発行部数は630万部を突破している。
ゲート―自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり〈1〉接触編〈上〉 (アルファライト文庫)
アニメ『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』とは
2014年12月19日にはテレビアニメ化が発表され、『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』のタイトルで、2015年7月から9月まで第1クールが、2016年1月から3月まで第2クールがそれぞれ放送された。
3部構成となっており、第1話から第10話までが『接触編』。
第11話から第18話までが『炎龍編』。
第19話から第24話までが『動乱編』と称されている。
イタリカでの帝国正統政府宣言までがアニメ化されているが、尺の都合から細かいエピソードや、やや過激な描写は省略されている。
テレビアニメ化を記念し、元自衛官でもある柳内の提案で自衛隊東京地方協力本部とのコラボレーションが行われ、2015年の自衛官募集ポスターでは一部地域でテレビアニメ版のキービジュアルが使用された。
GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり Blu-ray BOX 1<初回仕様版>
GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり Blu-ray BOX 2<初回仕様版>
あらすじ
突如銀座に「門」(ゲート)が開き、 モンスターを引き連れた軍勢が現れた。
彼らは民間人を無差別に殺害し屍の山を築くが、自衛隊や警察の応戦により敵軍勢は壊滅、兵の1割を捕虜とすることで事態は収束を迎えた(銀座事件)。
特地(特別地域)と名付けられた門の向こうに膨大な資源が存在する可能性を知った日本国政府は、自衛隊を特地に派遣。
特地派遣部隊は門を確保し、そこに大規模な陣を築きあげた。
特地の軍勢は門(聖地アルヌス)奪回のため進軍してくるが、一方的な殺戮に近い状態で軍勢は撃退される。
軍勢を撃退した自衛隊は、特地調査のため1部隊12名から成る偵察隊6個、深部偵察部隊を臨時に創設する。
主人公の伊丹耀司率いる第三偵察隊(3Rec)は、植生や動物・地質等よりも人々との交流に重点を置くことで、自衛隊にとくに警戒心や敵意を抱いていない現地の住人と良好な関係を築いていく。
ある日、門近辺の人間族の村、コダ村の紹介で訪れようとしたエルフ族の集落が、火を吐く巨大な龍、炎龍によって襲われているのを発見する。
集落の唯一の生き残りテュカ・ルナ・マルソーを救助した第三偵察隊は、炎龍が出現したと知るや否や家財をまとめて避難しようとするコダ村の住人に協力を申し出る。
コダ村の住人である魔道士レレイ・ラ・レレーナ、亜神のロゥリィ・マーキュリーも加わり、伊丹ら第三偵察隊とコダ村の住人は行くあてのない逃避行を続けるが、不運にも炎龍が伊丹たちの目の前に舞い降り、両者は戦闘状態に突入する。
死闘の末、左腕を撃ち落としてなんとか炎龍を撃退することに成功した伊丹たちだが、避難民の4分の1を失う。
やがて生き延びたコダ村の住人たちと無事に別れた伊丹は、炎龍によって家族をなくした子供たちや行くあてのない老人たちに向かって、自分たちを信用するように言う。
最初の帝国皇族との接触はピニャ・コ・ラーダ第三皇女殿下で、麾下の騎士団と離れていたおり、イタリカ防衛のため、伊丹らと共闘しなければならなかったが、第四戦闘団(空中機動=ヘリコプター部隊)の威力を目の当たりにし、ピニャは講和できなければ帝国が滅ぶと考え、講和派として最も積極的に動くことになる。
ほとんど誰からも馬鹿だと思われているゾルザル・エル・カエサル第一皇子は、自分では馬鹿を演じていると思い、他人の意思に操られている自覚はない。
日本人拉致被害者を奴隷にしていたこと、レレイ(炎龍退治者中唯一の帝国民のヒト種、ただし本人に帝国民としての自覚はない)に対し嫉妬し、暗殺者を向けるなど、日本にとって講和の最大の障害となる。
伊丹と3人娘+1(ダークエルフ、ヤオ・ハー・デュッシ)は、炎龍退治、迷宮での探索、魔法都市ロンデルでの刺客撃退とレレイの導師号合格を経て、ハーディの神殿に至る。
そこでハーディより、地震と更なる多大なる被害が門を開け続けている所為だと教えられ、門の開閉の技を与えられる。
このことにより、伊丹と3人娘ら(日本国政府も同意見)は門をいったん閉じた後に開閉をしようとするが、アルヌス生活協同組合(の一般の者)は閉じたままになることを懼れ閉門反対に、帝国首脳部は自衛隊の戦力を恐れて閉門したままにしようと考える。
更に自国に門を開けたい中国などが絡み、互いの勢力が相手の邪魔をするなか、ゾルザルが皇帝不予に際しクーデターを起こして帝国の実権を握り、元老院主戦派とともに恐怖政治を断行する。
自衛隊によりゾルザルの手から救出された皇帝モルトは、ともに救出されたピニャを皇太女(ゾルザルの皇太子位は剥奪)とし、イタリカで帝国正統政府を宣言する。
「特地」の世界観
「門」を介して地球と繋がった異世界。
ヒト種やエルフ、さらに多種多様な種族が暮らす大陸・ファルマート。
「帝国」を中心としていくつかの都市国家が存在している。
大陸内では帝国語が大抵の土地で共通語として通用するが、ごく限られた土地や辺境と言われるほど帝国から離れた土地だと訛りや聞きなれない単語が多くなる。
大陸内や海洋部でもドラゴンを始めとして人間を食料と認識して襲う害獣も多く生息しているため、大抵の知的種族は防備を固めた集落などを作って一か所にまとまって暮らしている。
ヒト種が都市国家を作り出すも都市間の行き来は危険が伴う。
特地での1年は389.3日で、地球の1年より少し長く、逆に1日は少し短い。
地盤が安定しており、火山性のものを除いて地震は滅多に起こらない。
そのため、一度地震が起こると「この世の終わりだ」というレベルの騒ぎになる。
地球の欧州などと同様に水質は硬く、入浴剤などを使用しないで洗うとかえって肌や髪が荒れる。
そのため自衛隊が設営した入浴設備「アルヌス温泉」は非常に好評。
全体的に支配階級や必要とされる職業を除いて識字率は低く、読み書きが出来ない者は「自身を表す簡単な絵」を署名代りにする。
計算に関しても数学レベルは学者に限られ、商人でも大半は道具を使った計算は出来ても「暗算」は出来ない(天才のレレイも「日本人の特殊能力」と評している)。
書籍なども手書きの物が一般的で非常に高額。
奴隷制も存在するため、「人件費」という概念が無い。
当然「有給休暇」などという待遇は異様であり、メイアは当初食べ物だと誤解していた。
医療水準も庶民のレベルだとあまり高くはなく、傷病者も肺炎や敗血症などに症状を悪化させて亡くなることが多い。
流行り病が疑われる場合は患者やその関係者を町から追放することもある様子である。
ほかに妊産婦や新生児の死亡率も高いため、誕生後の数カ月を無事に過ごした赤ん坊には、ナッシダという「入信式」を行う。
生後数ヶ月を過ごした子を連れて、入信する神の神殿に行き、貴族の場合はここで正式な名前を与えられて公に公表される。
特地ではこの日を公式な誕生日とする風習がある。
資源に関しては金・銀・銅・鉄などの古代から利用されていた物以外は完全に手つかずで、原油を始め、地球の技術産業で必要とされる資源や希少鉱物も「もうレアなんて呼べない」ほどの埋蔵量が確認されている。
また、特地独特の鉱物として「神銀(ミスリル)」や「神鉄」と呼ばれる物も存在する。
地図に関しては衛星を打ち上げられないため実際の世界地図は把握できないが、ファルマート大陸に関しては空自組による航空写真からの測量に加え、アルヌスへ流れ着く移民達の情報によりほぼ緻密な大陸地図が完成している。
当然軍事機密であり、特地側だけではなく地球側でも公開はされていない。
PXで特地で作られた一品物の大陸地図が日本円で38万という値段で販売されていたのが発見された際に地球側各国の視察団がカードで購入しようとしたが、まだ大きな商会間の高額取引で為替が運用され始めたばかりの特地では当然カードは使用できず、原作では現金を融通出来たドイツ人視察団が手に入れ、アニメでは自衛隊ガイドが隊員達から金をかき集めて購入し死守した。
メチャクチャ優秀な自衛隊ではあるが…
自衛隊がメチャクチャ優秀に描かれている本作。
だが、視聴には注意が必要かもしれない。
それは、いくら敵性異世界人が相手とはいえ、自衛隊の容赦ない攻撃シーンが多数見受けられるからだ。
しかも圧倒的に武力が劣る相手に対して。
現実の、領海及び領空侵犯にすこぶる慎重な自衛隊の姿はそこにはない。
とにかく撃ちまくり敵性異世界人の軍団を壊滅させている。
敵性異世界人に対しては、皆殺しに近い攻撃をみせている。
はて?
自衛隊ってこんなに攻撃的だったか…
これではまるで軍隊のような攻撃性ではないか?
その点で好みが分かれるところだが、この一点のみ、違和感を覚えてしまうのはたしかだ。
もちろん正当防衛ではあるが、そういうシーンが存在することだけは先にお断りしておこう。
何故ならそれを承知の上で、それでもおすすめしたいと思っているからだ。
だが、そういうシーンに不快感を覚える人は避けた方がいい。
似て非なるものではあるが…
頭をよぎるは『戦国自衛隊』
『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』の設定は、多少の差異はあるものの、1979年の映画『戦国自衛隊』に似ているのかもしれない。
『戦国自衛隊』は、近代武器で武装した21名の陸上自衛官および海上自衛官が、演習に参加するための移動時に突然、新潟県の補給地ごと戦国時代にタイムスリップしてしまう…という内容だ。
文明差がある世界で自衛隊が活躍するというストーリーは、確かによく似ている。
ただ『戦国自衛隊』との決定的な違いは、『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』では、自衛隊が大戦力を順次投入しまくる点にある。
最終的には戦闘機や戦闘ヘリから、輸送機まで異世界へ持ち込んでいる。
特に空自にとって異世界の空は、障害物のない夢のような空らしい。
不謹慎なのかもしれないが、強い自衛隊の姿をみるのは気持ちのいいものだ。
序盤の名セリフでハートを鷲掴み
「怪獣と戦うのは自衛隊の伝統だかりよ」(笑)
タイトルに銘打ったのは、異世界に到着してはじめてドラゴン(炎龍)と交戦した時の、ある自衛隊員の名セリフである。
「怪獣と戦うのは自衛隊の伝統だからよ!」
思わず笑ってしまった。
いやはや、何と粋なセリフだろう(笑)
皆さんはご存知かわからないが、日本は長いこと、ある怪獣の侵攻に悩まされてきた。
これが強いのなんのって。
聞いたことないかなぁ?
ゴジラって名前の怪獣なんだけど…
その怪獣は破壊の王として、たまに救世主として、頻繁に日本に上陸している。
そしてその度に自衛隊が大活躍しているのだ。
たしかに自衛隊の伝統だわ(爆笑)
この名セリフは物語序盤で聞けるのだが、これを聞いた瞬間に、本作が名作であると確信するに至る。
これほどの遊び心がある作品に駄作なんかない。
☆今すぐApp Storeでダウンロード⤵︎