1971年
翼をください / 赤い鳥
はじめて聴いた時より今の方がずっと魅力的な名曲シリーズ
ふと懐かしい音楽を耳にすることがある。
TVやラジオで流れてくる懐かしい曲の数々。
時に「あれ?こんな良い曲だったかな?」なんて感じる曲も中にはあったりするから音楽は面白い。
本稿ではそんな「はじめて聴いた時より今の方がずっと魅力的な名曲」ばかりを取り上げていこうと思う。
『翼71をください』とは
『翼をください』は作詞:山上路夫氏、作曲・編曲:村井邦彦氏による楽曲。
フォークグループの赤い鳥が、1971年2月5日にシングル『竹田の子守唄』のB面曲として発表した。
1970年に三重県志摩郡浜島町(現:志摩市)の「合歓の郷」(現・NEMU RESORT)で開かれたヤマハ主催のコンテスト『合歓ねむポピュラーフェスティバル'70』に出場する楽曲として作られ、メンバーがこの曲を提供されたのはレコーディングの2時間前であった。
1973年9月25日にはやまがたすみこさんが『あの日のことは やまがたすみこフォークアルバム第二集』の1曲としてカバーし、澄んだのびやかな歌声でこの曲のファンを増やした。
1976年以後、音楽教科書にもたびたび掲載されている。
教科書出版社の教育芸術社の橋本祥路が教科書に収録して以来、合唱曲として有名となり、1970年代後半から学校教育の場でもよく採り上げられるようになっていた。
そのため、日本国内では老若男女誰もが歌える愛唱歌である。
FIFAワールドカップフランス大会予選のUAE戦(1997年10月26日開催)からサッカー日本代表チームの応援歌として歌われるようになった。
1998年にはこれに便乗する形で小宮悦子さん、川平慈英氏、山本シュウ氏らによって結成された企画ユニット「ザ・つばさーず」が「翼をください」をレコーディングし、同年3月発売のミニアルバム『サッカー天国』に収録した。
1998年の長野オリンピックでは山本潤子版が、2021年の2020年東京オリンピック開会式ではスーザン・ボイルの英語詞版が流れた。
2007年には「日本の歌百選」に選出されている。
林原めぐみ ver.
アニメ『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』挿入歌。
アルバム『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 オリジナルサウンドトラック』に収録されている。
エヴァが払拭した合唱曲のイメージ
『翼をください』といえば合唱曲。
これが今までのイメージであった。
事実、子供の頃に学校で何度も歌ってきた曲である。
そのせいで、ある意味では聞き飽きた感のある楽曲でもある。
特に心は踊らないし、無に近い感想しか持ち合わせていない。
何ら魅力を感じない曲でしかなかった。
しかしエヴァンゲリオンに採用されたことで、そのイメージが激変する。
エヴァンゲリオンの挿入歌として流れてきた時には本当に驚いたものだ。
やられた感が半端なかった。
と同時に、心のどこかで「庵野監督ならやりそう」と納得もしていた。
だから正直「悔しかった」というのが本音だ。
ここ(重要なシーン)で『翼をください』を流した時の効果を、庵野監督に完全に見透かされているような気分になったからだ。
そしてその効果は監督の狙い通り、絶大なものだった。
こうなると悔しいかな、さすがは庵野秀明監督というしかないではないか…。
まるで賛美歌のような合唱曲
エヴァンゲリオンをご覧になっていない方にはわからないだろうが、『翼をください』が流れてくるのは、物語上非常に重要なシーンでだった。
それこそすべての謎の核心に迫るような超重要なシーンで、映像の激しさとは真逆ののほほんとした音楽が流れてくる。
このギャップの演出については後述するが、とにかく選曲が抜群だった。
すると不思議な現象が起こる。
日本人なら誰もが知っているであろうこの有名な合唱曲が、エヴァンゲリオンと混ざり合うことで何故か神聖な賛美歌のように聴こえてきたのだ。
この瞬間をもって、学校で歌う程度の素朴なイメージの『翼をください』が、大聖堂で合唱団が歌っているような荘厳で神聖なイメージに塗り替えられた。
天才・庵野秀明監督
前述したギャップの演出は、実はあまり珍しいものではない。
出来の良い作品なら、しばしば見られる演出だ。
しかし庵野監督が飛び抜けていたのが選曲の妙だ。
凡人なら格好良い曲を選びたがる。
合唱曲はまず選ばないだろう。
しかし庵野監督は、日本人ならおそらく誰もが知っているであろう合唱曲を選んだ。
もちろんエヴァンゲリオンの作風には、およそ似つかわしくない選曲だ。
あまりに振り切った選曲だったといえる。
しかしこれほどまでに思い切り振り切れる才能こそ、天才と凡人の差なのだろう。
"シン" シリーズを一手に手掛ける庵野秀明監督の、今後の活躍に大注目だ。
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