A.S.A.P. / Little Kiss (1997年)
色モノ曲か?名曲か?
『A.S.A.P.』とは
『A.S.A.P.』(エー・エス・エー・ピー)は、音楽ユニット・Little Kissの唯一のシングル。
1997年2月14日発売。
発売元はポニーキャニオン。
Little Kissとは、日本テレビ系で放送されたバラエティ番組『とんねるずの生でダラダラいかせて!!』の企画によって結成されたユニットであり、歌手である工藤静香さんとお笑いコンビであるとんねるずの石橋貴明氏の2人で構成されている。
きっかけは『とんねるずの生でダラダラいかせて!!』内で誕生した企画である。
企画内容としては、当時コマーシャルソングに起用されると大ヒットが期待された「カメリアダイヤモンド」に楽曲を持ちかけ、コマーシャルソングに採用されることを目指したもの。
三貴側の要望にあう楽曲の作成風景などを、逐一テレビで追い放送された。
発売されたシングル盤に収録された2曲は、第2回プレゼンの曲である。
第1回プレゼンの「共犯者」はボツになっている。
なお企画実行の前段階において工藤さんが、以前同社のコマーシャルソングに決まりかけたが結局採用されなかったという裏話を披露している(だから採用されるのは難しい、という話の流れ)。
秋元康氏が工藤さんの楽曲を手がけるのは、1988年に発売されたシングル『抱いてくれたらいいのに』のカップリング曲『夜明けに見送られて』以来約9年ぶり。
後藤次利氏による作曲の作品は、1993年11月19日発表の『炎の中へ』以来約4年ぶりとなった。
石橋氏はこの後も引き続き、「野猿」として二人から提供を受けている。
なおとんねるずの木梨憲武氏と工藤さんは、とんねるずのアルバム『みのもんたの逆襲』収録されている『You can do it』で石橋よりも先に共演している。
表題曲のタイトルである『A.S.A.P.』とは、「As Soon As Possible」の略で「出来るだけ早く」の意味をもつ。
ユニット名に関しては、「Every Little Thing」や「My Little Lover」など当時売れていたユニットには共通してLittleが入っていたことから、Littleを使った名前になっている。
本作は工藤さんのアルバムにも、石橋氏関連のアルバムにも収録されてはおらず、ユニバーサルミュージックに発売されたコンピレーション・アルバム『WITH YOU 〜Love Duet Collection〜』(2003年)及び、徳間ジャパンコミュニケーションズから発売された『R40'S SURE THINGS!! 本命ふたりで唄うラブソングス』(2010年)に収録されているのみである。
なおカップリング曲は、工藤さんのアルバム及び、石橋氏関連のアルバムにも未収録となっている。
絶妙な立ち位置
色モノ曲か名曲か?
イメージはバラエティ番組発の楽曲
本作が絶妙な立ち位置なのは、バラエティ番組の企画発信の楽曲だからである。
そのことによって楽曲への正当な評価がブレてしまっている可能性がある。
どうしても色モノのような印象は払拭できない。
故に時を経た今だからこそ、楽曲と純粋に向き合えるようになったといえるだろう。
聴きたいけど買うほどではないジレンマ
発表当時から好きな曲ではあった。
だがその立ち位置は絶妙。
あの頃も、たしかに何度も聴きたい曲ではあったが、CDを買うほどではないとも思ってしまった。
このジレンマは音楽のサブスクが誕生したことで解決する。
サブスクのおかげで痒いところへ手が届くようになった。
改めて『A.S.A.P.』を聴き込んでみる。
そこにあったのは、けっして色モノなんかではない本物だった。
(男女):見えないものは
(男女):信じにくいけど
(男女):真実なんてひとつさ
(男):腕の中に
(女):答えがある
(男女):今すぐ さあキスをしよう
(女):あなたを知ったその日に
(男女):恋は始まる
(男):偶然に身を焦がして
(男女):今すぐ さあキスをしよう
(女):引き寄せられた
(男女):愛しさに
(男女):この唇は止められない
男女デュオではパート分けも作品の優劣に重要な要因となるが、本作のそれは見事という他ない。
絶妙に振り分けられた男女パート。
Aメロ・Bメロからサビへと繋がる盛り上げ方。
サビでも見事なコーラス。
デュエット曲としてのクオリティは相当高いと思われる。
ただ哀しいかな、この曲をカラオケで歌う女性がとても少ない。
歌いたいけど相手が見つからない。
こんなツラい思いをした男性も、結構多いのではないだろうか。
何と運命的な映像か!?
工藤静香×木村拓哉ver.『A.S.A.P.』
偶然みつけた動画だが、いろいろな意味で貴重な映像となっている。
いやはや、何と運命的な動画だろうか。
それでも色モノ扱いされてしまうのね…
Little Kissを構成している工藤静香さんと石橋貴明氏は、モノマネのレパートリーとしても多くの名人たちに好まれている。
だからこうなってしまうのも致し方ない。
これはこれで面白くはあるが、楽曲に罪はない。
世間で本作が今だに色モノのイメージを払拭できないでいるのは、こういう理由からだろう。
こっち↓の2人は恐ろしいほど似ているな…。
しかも歌ウマっ。
似すぎていてちょっと怖い…。
茶化してくれてなきゃ本物と聴き分ける自信がない。
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