ioritorei’s blog

完全趣味の世界

【池井戸潤原作連続ドラマW『アキラとあきら』】尺の足りなさがそのまま作品の物足りなさになってしまった残念名作シナリオ。

池井戸潤原作連続ドラマW

アキラとあきら

 

 

『アキラとあきら』とは

 

 

『アキラとあきら』は、池井戸潤先生による経済小説

「問題小説」(徳間書店)にて2006年12月号から2009年4月号まで約3年かけて連載され、徳間文庫より2017年5月17日に刊行された。

約30年という年月を丹念に語るスタイルが、池井戸作品としては新鮮であり、二人の主人公を対等に描く点というそれまでの作品と比べて革新的な要素が含まれている。

同時期に書かれた同氏の作品としては、他ではシャイロックの子供たち』『空飛ぶタイヤ』『鉄の骨』がある。

しかし、本作の連載終了後約8年間も単行本として出版されないままであったが、2017年にテレビドラマ化されたことがきっかけで、改稿を行った上で同年5月に書籍化された。

文庫オリジナルとして刊行された作品としては、『かばん屋の相続』『ようこそ、わが家へ』に続いて第3作目となる。

物語の舞台は、1970年代前半から2000年代前半の約30年間、つまり、オイルショックからバブル期、失われた10年を背景としている。

 

 

【合本版】アキラとあきら(上下巻) (集英社文庫)

【合本版】アキラとあきら(上下巻) (集英社文庫)

 

 

 

ドラマ『アキラとあきら』とは

 

 

WOWOWの「連続ドラマW」枠にてテレビドラマ化され、2017年7月9日から9月3日まで放送された。

池井戸潤先生の同名小説を原作発売に合わせ最速でドラマ化されている。

WOWOWが池井戸作品を手掛けるのは『連続ドラマW 空飛ぶタイヤ』『連続ドラマW 下町ロケット』『連続ドラマW 株価暴落』に次いで4作目だが、今回はその中でも最長の全9話で制作。

スリリングな展開と重厚な人間ドラマが持ち味の池井戸作品をじっくりと味わえる。

大企業の御曹司として、約束された次期社長という “宿命” にあらがう階堂彬(かいどうあきら)。

父の会社の倒産、夜逃げなど過酷な “運命” に翻弄されながらも、理想を育んだ山崎瑛(やまざきあきら)。

2人の人生は、何かに導かれるかのように交差する。

幼少期から青年期にかけて、誰もが経験する人生の選択。

別れ、肉親の死、初恋、就職、成功、挫折…。

そのキーワードを盛り込みながら、バブル経済とその崩壊、激動の時代を背景に、『アキラとあきら』の “宿命” のドラマを描く。

彬役には6月に自らが企画した映画『いつまた、君と何日君再来(ホーリージュンザイライ)~』の公開が控える向井理氏。

瑛役には俳優としてだけではなく、映画情報番組『映画工房』の司会など幅広い分野で活躍する斎藤工氏。

W主演の2人は連続ドラマW初登場。

第34回ATP賞テレビグランプリ受賞作。

 

 

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あらすじ

 

 

山崎瑛の実家は工場を経営しており、貧しいながらも温かい家庭で育っていた。

だがある時、真面目な父親が取引先に騙されてしまう。

そのため運転資金はショートし、工場の機材は差し押さえられてしまう。

そして山崎瑛は夜逃げ同然に、父親から離れ母親の実家で暮らす事になる。
山崎瑛が高校生になった頃、父親は自己破産して再就職していた。

ここでもまた父親はトラブルに巻き込まれ会社を辞めさせられそうになってしまう。

全てを諦めそうになった時に、若き銀行員が父親の会社に融資する事を決め、父親は新しい人生を歩み始めた。

一方階堂彬は何不自由ない裕福な家庭で育っていたが、一族には常に不穏な空気が流れていた。

階堂彬の父親は「東海郵船」を創業した祖父から目をかけられるほどの実力を持っていたが、次男と三男は出来が悪く兄に対してコンプレックスを感じていた。

そのため祖父は不仲な兄弟を離れさせるために、「東海郵船」を分社化する事を決断する。

階堂彬が高校生になった時に祖父が亡くなる。

次男と三男はここぞとばかりに財産を求め、長男である階堂彬の父親は僅かな財産しか得る事ができず、次男と三男の会社の赤字を背負わされる事となる。

しかし確かな実力を持つ父親はすぐに会社を建て直し、その裏には若い銀行員が支えていた事が判明する。

成長した山崎瑛と階堂彬は「産業中央銀行」に入行し新人研修を受けていた。

2人は同期300人の中でも特に優秀とされ、新人研修のメインイベントで融資対決を行うことになる。

階堂彬は恐ろしく巧妙な粉飾を使って融資を受けようとするが、山崎瑛はこの粉飾を見抜いてみせた。

そして2人はお互いの実力を認めあい、この戦いは銀行内の伝説として語り継がれる事となる。

山崎瑛と階堂彬が「産業中央銀行」に入行して3年が経った。

階堂彬は融資先の事を考えずに自らの利益ばかりを求める上司に反発していた。

また山崎瑛は融資先を救いたいと想いを持ちながらも、変える事のできない現実との狭間で苦しんでいた。

その頃山崎瑛はとある零細企業の融資を担当していたが、努力の甲斐なく零細企業は倒産してしまう。

零細企業の社長の娘は難病を抱えており、別の通帳に貯めていた治療費も差し押さえの対象にされる可能性があった。

そこで山崎瑛は、銀行で働いている立場でありながら、娘を守るために通帳を変える事をアドバイスした。

一方階堂彬が「産業中央銀行」に入行して6年が経った頃、父親が倒れ肺ガンを患っていることが判明する。

余命が1年と宣言されたが、それでも仕事を続けていた。

そして次期社長の問題が浮上する中で、父親はとある決断をする。

次期社長に関する話し合いが行われる中で、階堂彬の父親は番頭格の役員が妥当だと考えていた。

しかし入社4年目の次男・龍馬が手を挙げ、叔父たちの後押しもあって次期社長へと据えらえそうになる。

圧倒的に経験が足りない龍馬の社長就任に彬は難色を示す。

次期社長が決まらない中で彬の父親は「階堂家はお前が引っ張れ」と言い残し、この世を去ってしまう。

次期社長問題は前社長の考えた通りに一旦は落ち着いた。

しかし叔父たちはここぞとばかりに攻めた経営をはじめる。

彬が反対する中で、叔父たちは高級リゾートホテル「ロイヤルマリン下田」を建設していた。

だが途中で「産業中央銀行」に見限られ、叔父たちはメインバンクを「三友銀行」に変更してしまう。

叔父たちは「東海郵船」の社長人事にも口を挟む。

そして扱いやすい龍馬を社長へと就任させるのであった。

彬が問題視していた高級リゾートホテル「ロイヤルマリン下田」は90億円の融資を受けてホテルは完成するが、ちょうどバブルが崩壊しホテルは毎年5億円の赤字を出す負の遺産に変貌してしまっていた。

それでも叔父たちはコンサルタントの言葉を信じホテルが利益を出す日を待っている。

しかし資金がショートしそうになったため、叔父たちは「東海郵船」から資金を引き出そうとする。

龍馬に融資を持ち掛け、「東海郵船」は50億円の連帯保証を行ってしまう。

「ロイヤルマリン下田」の問題から1年が経った。

龍馬が社長へと就任した「東海郵船」だが業績は徐々に下がっており、問題の「ロイヤルマリン下田」は赤字を垂れ流していた。

そんな中、龍馬が心筋梗塞で倒れ入院してしまう。

そこで龍馬はようやく自分の愚かさを認め、彬に社長の座を譲る事を決めるのだった。

しかし彬は龍馬の申し出を断っていた。

だが「東海郵船」は倒産の危機に瀕していた。

誰かが立て直さなければいけない。

ここで彬はようやく自らが背負っている宿命を受けるのであった。

「産業中央銀行」を退社した彬は「東海郵船」の新社長に就任する。

社長に就任した彬は「ロイヤルマリン下田」の財務データを見ていた。

「ロイヤルマリン下田」の財源データは叔父たちが改ざんしていたが、元銀行員の彬はその不正をすぐに見抜く。

そして彬は不良債権と化している「ロイヤルマリン下田」を売却する事を決め、その売却を「産業中央銀行」の山崎瑛が担当する事になった。

彬が「ロイヤルマリン下田」の売却を決めるも、不景気のためなかなか買い手が付かない。

そんな中で「能登島ホテル」が手を挙げ売却の話が前に進んでいくが、「三友銀行」の情報が漏洩した事で、「能登島ホテル」が「ロイヤルマリン下田」を買い取る話は白紙に戻ってしまう。

その後も「ロイヤルマリン下田」の買い手はまったく現れない。

そこで彬は最大出資者である「東海商会」も売却する事を決める。

「東海商会」の社長を務めている叔父は度重なる失態にすっかり意気消沈しており、彬の提案を渋々だがようやく了承した。

「東海商会」の売却の条件は多額の負債を抱える「ロイヤルマリン下田」も一緒に買い取ること。

いくら老舗の「東海商会」でも、その条件ではなかなか買い手が見つからない。

それでも山崎瑛が奔走し、ようやく「大日麦酒」という企業と交渉の機会を得ることができた。

しかし「大日麦酒」は「東海商会」単体でしか買い取らないと提案してきた。

それでは「ロイヤルマリン下田」が抱える140億円の負債は完済できない。

彬は「三友銀行」に返済条件の譲歩を頼んだが、「三友銀行」側は「東海郵船」が残りの20億を保証すれば善処すると伝えるのみだった。

今や「東海郵船」も余裕はない。

20億円の保証はとても危険な道だった。

そのため彬はメインバンクを「三友銀行」から「産業中央銀行」に移す事を決める。

そして「三友銀行」からの借入金を返済するために、彬は瑛に140億円の融資を依頼するのであった。

140億円の融資を受けるためには「産業中央銀行」の不動に稟議書を通す必要があった。

不動はクールなバンカーとして出世しており、瑛とは真逆の考え方を持っている。

また瑛の行動を問題視する向きもあった。

その不動に稟議書を通すことは至難の業である。

瑛は考えに考え抜いて「ロイヤルマリン下田」には直接融資せず、「東海郵船」に融資をしてそれを「ロイヤルマリン下田」に出資する提案を行った。

瑛の提案を聞いていた不動は、頭取の後押しもあって、長い沈黙の後に「東海郵船」に融資を行う事を決断するのであった。

「産業中央銀行」が「東海郵船」への融資を決めて5年後が経ち、彬は「東海郵船」の再建を実現していた。

彬と瑛は船を眺めている。

「東海郵船」を再建したばかりの彬だが、笑顔で再び瑛に「金を貸してくれ」と伝える。

140億円の融資を受けたばかりの「東海郵船」へ、再び多額の融資を行うことは通常は難しい。

しかし瑛は彬に「詳しく聞かせてくれ」と答える。

ふたりの夢は始まったばかりであった…。

 

 


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豪華なWキャスト

 

 

主演は向井理氏と斎藤工氏。

脇には小泉孝太郎氏や賀来賢人氏らが名を連ね、俳優陣は若手有望株を揃えている。

さらには木下ほうか氏やTKO木下氏という、裏W木下出演も果たしている。

向井理氏や小泉孝太郎氏からは感じないが、斎藤工氏と賀来賢人氏からは若々しさを感じられるのが新鮮だ。

また要所要所で見せ所をつくってくれるW木下氏にも注目だ。

WOWOWドラマが故か、キャスティングには有名無名俳優が混在しているが、実力派を揃えた印象である。

 

 

 

本当に池井戸潤作品?

 

 

池井戸潤先生の作品の特徴といえば、

  • 暑苦しい主人公。
  • とんでもなく嫌な奴の存在。
  • あり得ないほど苦難の連続。
  • スッキリ大逆転。

というキーワードが思い浮かぶ。

半沢直樹から受けるイメージこそ、池井戸潤作品のまさにそれなのだ。

しかし本作にはこれらの特徴があまり感じられない。

池井戸潤作品として本作は、善し悪しとは別の話で、ある意味画期的な作品だったといえる。

 

 

 

約30年という年月を全9話で描く

 

 

劇中での約30年という年月を、約45分×9話で描き切れというのは、正直いって無理があったと感じざるを得ない。

もう少し丹念に描いてくれていたら…。

その思いが強い。

時間経過が大雑把で早い。

そのくせわりと時間を掛けて描いた事柄ですら、その内容は薄い。

伏線を引いている時間も、それを回収する時間もまったくない。

逆転につぐ逆転が魅力の池井戸潤作品は、言うまでもなく伏線が肝である。

しかし伏線がない本作のあまりに薄っぺらい描写には、少し残念な気持ちになってしまった。

 

 

 

期待値が高すぎたか?

池井戸潤作品としてはどうしても物足りない

 

 

前述した特徴は、あくまでも個人的な意見ではあるが、そのまま作品の魅力にもなっている。

故に「特徴がない=魅力がない」という方程式が成り立つ。

池井戸潤作品が大好きな著者としては、本作は物足りないと言わざるを得ないのが正直な感想だ。

経済の話は面白い。

バブル期の銀行の対応も、バブル崩壊後のそれも、非常に興味深かった。

話でしか聞いたことのない、銀行のリアルを感じることができた。

しかしいかんせん、圧倒的に尺がたりない。

こと細かく描いて欲しいシーンを、進行優先にせざるを得ない実情があったことは明白だ。

アニメでもそうだが、尺の足りなさは作品の評価を決定する上で非常に重要なファクターである。

名作の香りが漂っていただけに、非常に残念で仕方ない。

 

 

 

映画『アキラとあきら』は大丈夫?

 

 

2022年8月26日に公開。

監督は三木孝浩氏。

主演は竹内涼真氏と横浜流星氏。

ただでさえ圧倒的に尺が足りなかったドラマ版より、さらに短くなってしまう劇場版。

あれほど重厚な内容を、たった2時間ほどで果たしてちゃんと描き切れるのだろうか…。

不安というより、おそらく無理であろう。

シナリオが素晴らしい池井戸潤作品で、シナリオ無視の、人気俳優に乗っかるような真似だけはしてほしくない。

キャスティングではなく、内容で評価されることを切に願う。

 

 


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