アナザーガンダム
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
- 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
アナザーガンダムとは
『機動武闘伝Gガンダム』から始まる、作中年号に「宇宙世紀」を用いないガンダム作品の総称 (パラレルワールドとするかどうかは見解が分かれる)。
作品によって歴史はもちろん、モビルスーツの運用思想や技術、地球の環境状態、ガンダムの定義や価値観、存在する人種等、世界観が大きく異なるのが最大の特徴。
同様に、用いられる年号が作品によって違うのも特徴の1つとして挙げられ、『00』のように現実世界と同じ西暦を用いる例もある。
かつては富野由悠季監督が関わっていないのがアナザー、という分け方もあったが、『∀ガンダム』によって消滅。
またタイトルに「機動戦士」と付くのが宇宙世紀、付かないのがアナザーと分けられていたが、『機動戦士ガンダムSEED』以降はこの慣例は無くなっている。
アナザーの中でも分類する場合があり、『G』『W』『X』を「ガンダム平成三部作」と呼称し、『SEED』以降は「ニュージェネレーションガンダム」として区別する動きが、例えば『SDガンダム Gジェネレーション』シリーズ等で見られる。
アナザーガンダム作品一覧
平成三部作
作中年号:未来世紀
作中年号:アフターコロニー
作中年号:アフターコロニー
作中年号:アフターウォー
ニュージェネレーション
作中年号:コズミック・イラ
作中年号:コズミック・イラ
作中年号:コズミック・イラ
作中年号:西暦
作中年号:西暦
作中年号:アドバンスド・ジェネレーション
作中年号:ポスト・ディザスター
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ(1) (角川コミックス・エース)
- 機動戦士ガンダム 水星の魔女 PROLOGUE
作中年号:アド・ステラ
- 機動戦士ガンダム 水星の魔女
作中年号:アド・ステラ
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』とは
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』(英題: MOBILE SUIT GUNDAM IRON-BLOODED ORPHANS)はテレビアニメ作品。
「ガンダムシリーズ」に属するロボットアニメ作品であり、第1期が2015年10月から2016年3月、第2期が同年10月から2017年4月に放送された。
キャッチコピーは「いのちの糧は、戦場にある。」。
マスメディアでの略称は「鉄オル」。
『機動戦士ガンダム』(以下『1st』)などの宇宙世紀作品とは別の世界観を舞台とするガンダム作品の一つ。
サンライズはストーリーの大きなテーマとして「ドラマ性の強い少年たちの物語としての新世代ガンダム」と「段階的に進化するガンダム」を挙げ、ガンプラファンなどの従来層だけでなく、若年層およびアジア圏などの新世代のファン層の獲得を狙った、予備知識がなくても楽しめるガンダム作品であることを強調している。
公式サイトのほかに、2015年7月末から11月1日まで『CGS(CHRYSE GUARD SECURITY)コーポレートサイト』が公開されていたほか、2016年1月25日からはバンダイビジュアルの情報サイト『V-STORAGE online』にて、設定を詳説する『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 鉄血の情報局』が公開されている。
企画は『機動戦士ガンダム00』(以下『00』)の映画『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』公開後にサンライズの小川正和氏のプロデュースで起ち上がった。
『00』が世界の変革を描いた作品だったことを受け、本作は10代から20代のアニメを見る層が受け入れやすい青春群像劇として制作することが決まり、若年層向けの作品を多く手掛けていた長井龍雪を監督に迎えることが決定した。
サンライズ側から「『機動武闘伝Gガンダム』くらい踏み込んだ作品」あるいは「主人公は女の子でもOK」など高い自由度と既存にない作風を求められたこともあり、本作は生活のなかに戦いがある子どもたちの小規模な集団が主軸に据えられ、生存競争のために彼らが戦闘などの行動を能動的に起こすようなストーリー構成となっている。
これはガンダムシリーズの特徴である「大国同士の戦争」や「戦いに巻き込まれる主人公」がターゲットの若年層にとって現実味のないものになっており、スタッフとしても軍隊の正確な描写が難しいとする長井氏の考えによって設定された。
作品のコンセプトとしては、平成以降の暴走族漫画に登場するヤンキー文化やチームのつながりという空気感を意味する「任侠」がスタッフ間で共有され、広島抗争をモチーフとした粛清などの要素が採用された。
さらには『1st』を意識したロードムービーの要素も取り入れられているが、物語の骨子自体はなるべくオーソドックスにすることが意識された。
作品の終着点としては、主人公勢力が最終的に敗北することが企画段階から決められていた。
これはイデオロギーや政治性のない少年たちがただひたすらに頑張る姿を描くことが長井氏の念頭にあり、どんな状況でも進むしかない人たちが実際に突き進むとどうなるかという思考実験に近いところから物語が生まれたことに起因する。
長井氏は放送終了後のインタビューにてこれを「『(人が)わかりあえる・わかりあえない』『(戦争が)終わる・終わらない』という話ではなくて、ただただ前に進み続けるだけの話。『結果』ではなく『過程』の話を描きたかった」という形で表現している。
また、アフレコ開始以降や放送と並行して脚本・設定がリアルタイム作成されたことや、岡田氏の提案もあって二期終盤における結末・エピローグの予定変更なども行われたが、長井氏本人は結末までの過程に紆余曲折や変化はあったが大筋や結果は当初から企画していたものが作れたと語っている。
演出面では劇中における価値観を平行に描くことが注意されており、主人公側と敵対側双方の非情な面を描くなど、単純な勧善懲悪の区別ができない作りになっている。
キャラクター描写においてはリアリティをもたせるために、戦争の場面だけではなく、登場人物の日常の風景を描写することが意識されている。
また、メカニックの演出ではビーム兵器が登場しない設定を踏まえたうえで、「斬るのでなく吹っ飛ばす」「装甲が剥がれてフレームがむき出しになる」といった、これまでのガンダムとは違う新しい見せ方が志向されている。
機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ 弐 1 (特装限定版) [Blu-ray]
あらすじ
無人機動兵器モビルアーマー(MA)の暴走に端を発した大戦争、厄祭戦が終結してから約300年後のP.D.(Post Disaster)323。
地球圏は、大戦の英雄アグニカ・カイエルと同志である7つの家門セブンスターズが創設した治安維持組織ギャラルホルンの監視のもとで、4つの経済圏による分割統治に移行していた。
しかし、長きにわたる平和の中でギャラルホルンは当初の理念を失い腐敗、その余波は民衆にも差別や貧困というかたちで蔓延していき、生活難から過酷な労働に就く孤児たちや、人身売買されるヒューマンデブリを生み出す要因となっていた。
第1期
CGS編(第1話 - 第3話)
主人公の少年兵三日月・オーガスが所属する民間警備会社クリュセ・ガード・セキュリティ(以下CGS)は、火星の独立運動を指揮する少女クーデリア・藍那・バーンスタインの依頼で、地球へ向かう彼女の護衛を引き受ける。
しかしその準備の最中、CGSはクーデリアの存在を疎むギャラルホルンの攻撃を受け、社長のマルバ・アーケイや主力部隊の大人たちは、事態の処理を少年兵で構成される参番組に押し付けて逃亡する。
この危機に対し、参番組隊長のオルガ・イツカはCGSの動力炉として使用されていた厄祭戦時代のモビルスーツ(MS)ガンダム・バルバトスを三日月に託し、ギャラルホルンを撃退する。
戦闘後、オルガは仲間の同意を得て傍若無人に振る舞うCGSの大人たちに対しクーデターを決行。
組織の名を鉄華団と改め、クーデリアの護衛任務を続行する。
鉄血編(第4話 - 第6話)
バルバトスと鹵獲したMSで戦力を整えた三日月たちは、イサリビと改名したCGSの強襲装甲艦を使ってクーデリアを護送する計画を立てる。
出発当日、入団を志願したアトラ・ミクスタを加えた鉄華団は、残留した元・一軍隊員のトド・ミルコネンと仲介業者の背信行為で、コーラル・コンラッドやアイン・ダルトンたちギャラルホルン火星支部の奇襲を受ける。
監査局のマクギリス・ファリドとガエリオ・ボードウィンも参戦し窮地に陥る鉄華団だったが、三日月の奮闘とオルガの指揮で辛くも火星を後にする。
テイワズ編(第7話 - 第10話)
地球までの案内役を失った鉄華団は、ギャラルホルンすら敬遠する木星圏の大企業テイワズを後ろ盾にしようとするが、直後にマルバの依頼を受けたテイワズの下部組織タービンズの襲撃に遭う。
オルガはタービンズのリーダーである名瀬・タービンからCGS時代の財産引渡しを要求されるがこれを拒否し、両陣営は対艦・対MS戦に突入する。
当初は鉄華団を子供の集まりと侮っていた名瀬だったが、オルガたちが自分たちの戦艦を制圧寸前まで追い込んだこととその正当性を目の当たりにすると認識を改めて戦いを中止し、鉄華団とテイワズの代表マクマード・バリストンの会見を取り持つことを決める。
テイワズの本拠地で鉄華団はマクマードからテイワズへの加入と支援を認められ、オルガは名瀬と義兄弟の盃を交わす。
ブルワーズ編(第11話 - 第13話)
タービンズの先導で地球を目指す鉄華団は、クーデリアを狙う宇宙海賊ブルワーズの襲撃を受ける。
哨戒中だった鉄華団の昭弘・アルトランドは、クダル・カデルが率いるブルワーズMS部隊の奇襲に対応するが、その最中に敵の1人が生き別れた弟の昌弘・アルトランドであることを知る。
昭弘から弟の存在を聞いた三日月たちは昌弘の奪還を決め、タービンズと協力してブルワーズ撃退に臨む。
デブリ地帯に潜んでいたブルワーズとの戦いが始まると、昭弘は昌弘に対して説得を試みるが、些細な誤解から昌弘は昭弘を拒絶。
直後に攻撃してきたクダルのガンダム・グシオンから昭弘をかばい戦死する。
その後、犠牲を払いながらもブルワーズを制圧した一行は戦死した仲間の葬儀を営み、昭弘は弟を撃墜したグシオンにあえて乗ることを決意する。
コロニー編(第14話 - 第17話)
遂に地球圏へ到達した鉄華団は、テイワズの仕事の一環で公営会社が管理するドルトコロニーに寄港する。
コロニーの一つ「ドルト2」に寄港したオルガたちは、自分たちの運んできた荷物が大量の武器で、労働者たちの会社に対する武装蜂起の計画を知る。
一方、三日月やクーデリアと「ドルト3」に来たビスケット・グリフォンは兄のサヴァラン・カヌーレと再会するが、蜂起を回避しようとするサヴァランの思惑でアトラとともにギャラルホルンに拘束される。
クーデリアはビスケットたちの救援に向かおうとするが、突如現れた仮面の男によって、一連の騒動の首謀者が自分の支援者ノブリス・ゴルドンであることと、侍女のフミタン・アドモスがノブリスの間者であることを告げられる。
ビスケットたちの救出後、全コロニーで抗議行動が起き、事態を予期していた月外縁軌道統合艦隊アリアンロッドによる虐殺に近い鎮圧が始まる。
自分の代わりに犠牲となったフミタンや労働者たちを見たクーデリアは、テレビ放送を通じて地球の人々に真相を伝える。
地球降下編(第18話 - 第21話)
クーデリアの決死の行動でドルトコロニーからの離脱に成功した鉄華団だったが、ギャラルホルンに所在を知られたことで身動きが取れなくなる。
しかし、そこへ仮面の男モンタークとして秘密裏に行動するマクギリスが支援を申し出たことで、彼らは地球降下を決める。
ガエリオはカルタ・イシュー率いる地球外縁軌道統制統合艦隊と協力して鉄華団の進行を阻もうとするが、鉄華団はユージン・セブンスタークが指揮するイサリビを陽動役とした作戦で防衛ラインを強行突破し、地球への降下に成功する。
流れ着いたミレニアム島でクーデリアは交渉相手の蒔苗東護ノ介と対面するが、既にアーブラウ代表を辞して亡命中だった蒔苗は交渉のためには自身が再度代表に当選する必要があることを告げる。
オルガはアーブラウの中心都市エドモントンで行われる全体会議に蒔苗を連れていく判断を下し、追撃してきたカルタの部隊を退けて島を脱出するが、その中でオルガをかばったビスケットが死亡する。
地球編(第22話 - 第25話)
ビスケットの死を受け止められないオルガは一時ふさぎ込むが、三日月の叱咤を受けて立ち直り、ギャラルホルンへの徹底抗戦を宣言。
雪辱を果たそうとするカルタを撃破してエドモントンを目前にするが、ギャラルホルンの迎撃を受けて多数の犠牲者を出す。
代表議会の開催が近づくなか、オルガは最後の突入作戦を指示し、三日月たちMS隊や宇宙から駆け付けたユージンたちの援護で戦況を盛り返すが、そこにガエリオのガンダム・キマリストルーパーと、体を機械化したアインのグレイズ・アインが立ち塞がる。
火星での因縁に決着をつけようとする2人の前に鉄華団は追いつめられるが、グリムゲルデで参戦したマクギリスの介入によって均衡は崩れる。
自分たちが利用されていたことを知ったガエリオは怒りを胸にマクギリスに迫るが敗北。
三日月は復讐に燃えるアインに圧倒されるも、バルバトスの能力を限界まで引き出し辛くも勝利する。
クーデリアは蒔苗とともに議場に到着し、代表選挙は蒔苗の勝利で決着する。
第2期
大仕事を成し遂げて火星に帰還した鉄華団は、ハーフメタル利権に由来する豊富な資金を元手に、地球に支部を置くほどの大企業に成長する。
その一方でギャラルホルンは社会的信用を失い、海賊などの非合法組織やそれに使役されるヒューマンデブリの数は増大し、世界治安は悪化の一途をたどる。
第26話 - 第29話
エドモントンでの戦いから2年後、アドモス商会を立ち上げたクーデリアからハーフメタル採掘場視察の護衛を依頼された鉄華団は、サンドバル・ロイター率いる宇宙海賊夜明けの地平線団の襲撃を受けるが、テイワズ本部からガンダム・バルバトスルプスを受領した三日月の活躍で撃退に成功する。
その後、鉄華団は協力関係を結んでいたマクギリスの部下の石動・カミーチェとともに地平線団の主力艦隊と交戦するが、そこにマクギリスを警戒するアリアンロッド司令のラスタル・エリオンが派遣したイオク・クジャン率いる第二艦隊が介入。
ラスタルを慕う女性パイロットジュリエッタ・ジュリスも参戦し戦況は混沌と化すが、三日月がサンドバルを拘束したことで戦いは終結し、地平線団と手を結んでいた活動家団体テラ・リベリオニスも三日月たちによって壊滅する。
地球支部編(第30話 - 第33話)
夜明けの地平線団が討伐されたころ、アーブラウでは蒔苗を狙った爆弾テロが発生し、事態はテロを指示したとされるSAUと、アーブラウ防衛軍との武力紛争に発展する。
ラディーチェ・リロトの裏切りで火星本部との通信を封じられたタカキ・ウノら鉄華団地球支部は否応なしに戦闘に参加するが、テロの黒幕でありラスタルの指示でマクギリスの権威失墜を狙うガラン・モッサの策略によって多くの団員を失う。
地球に急行して事態を知った三日月たちは、逃亡しようとしたガランたちを強襲してこれを撃破し、ラディーチェもタカキに粛清される。
それから1か月後、両経済圏が和平調停を受け入れたことで紛争は終結する。
第34話 - 第38話
紛争後に地球から撤退した鉄華団は、マクギリスが提示した火星の統治権限移譲を実現するべく、さらなる軍備拡張を進める。
そんな中、鉄華団のハーフメタル試掘場ではMAハシュマルが発掘され、鉄華団はマクギリスと協力して対処にあたるが、マクギリスを追跡してきたイオクのMS部隊に反応してハシュマルは再起動を果たす。
クリュセ近郊の農業プラントを壊滅させ、市民を抹殺すべく行動するハシュマルに対し、鉄華団実働一番隊隊長ノルバ・シノの駆るガンダム・フラウロスを新たに加えた鉄華団とマクギリスたちは決死の迎撃を行い、最終的には阿頼耶識のリミッターを解除した三日月のバルバトスによって頭部の制御中枢ユニットを破壊されたハシュマルは活動を停止する。
三日月は高負荷の代償として右半身全体の感覚を失うも、オルガの目的のために戦う意志をより明確にする。
第39話 - 第42話
ハシュマルとの戦いから1か月後、鉄華団とタービンズを敵視するテイワズのナンバー2ジャスレイ・ドノミコルスは、同じく鉄華団に恨みを抱くイオクを扇動し、タービンズの摘発と壊滅を目論む。
名瀬を救うべくオルガは昭弘たちを急いで救援に向かわせるが、名瀬は第一夫人のアミダ・アルカとともにイオクの艦に特攻を仕掛け戦死する。
残されたタービンズのメンバーたちは、生前の名瀬の頼みを受けたマクマードの配慮で新たな人生を歩み始めるが、ジャスレイは鉄華団と親しかったメンバーの一人ラフタ・フランクランドを暗殺し、鉄華団を挑発し続ける。
やがてオルガは、テイワズを離脱してジャスレイとの全面抗争を決意。
ジャスレイ側も大部隊を投入して迎え撃つが、生まれ変わった三日月のガンダム・バルバトスルプスレクスや復讐に燃える鉄華団メンバーたちの敵ではなく、一方的に駆逐される。
戦闘後、鉄華団はマクギリスが率いる革命軍に合流する。
第43話 - 第46話
マクギリスはギャラルホルンの地球本部ヴィーンゴールヴを占拠し、アグニカの魂が宿るとされるMSガンダム・バエルを手中に収める。
一方、アリアンロッドでは、ガンダム・ヴィダールのパイロットヴィダールとして活動していたガエリオが自身の素性を明かし、ラスタルとともにマクギリスの討伐を宣言する。
マクギリスはバエルの威光を盾に拘束したセブンスターズ当主たちに戦力の供出を求めるが、強引な手法に反発した当主たちは中立を堅持し、革命軍は倍以上の戦力をもつアリアンロッドとの全面対決を余儀なくされる。
革命軍が劣勢となるなか、鉄華団はフラウロスでラスタルの座乗艦へ奇襲を行うも失敗し、シノは戦死する。
第47話 - 第50話
戦力の半数以上を失った鉄華団と革命軍は、火星支部に退却してアリアンロッドの追撃に備えるが、世論を利用したラスタルの策により犯罪者として指名手配され、孤立無援となる。
敗北を悟ったオルガは、自身とマクギリスの身柄と引き換えに団員たちの助命をラスタルに請うが、ギャラルホルンの権威回復のための生け贄を欲していたラスタルは申し出を拒否。
アリアンロッドのMS部隊が鉄華団本部に迫るなか、オルガはクーデリアの提案を受けてアーブラウへの逃亡を決意する。
オルガは蒔苗や元タービンズメンバーの助力を借りることで全員が生き延びる道を見出すが、アドモス商会を見張っていたノブリスの部下の銃撃を受け死亡する。
団長の死に動揺する鉄華団だったが、三日月は生前のオルガの言葉を胸に前に進むよう仲間たちを諭し、鉄華団はアリアンロッドの包囲網からの脱出を試みる。
一方、鉄華団と別れたマクギリスは単身ラスタルの首を狙ってアリアンロッド本隊への突撃を敢行するが、ガエリオの駆るガンダム・キマリスヴィダールとの死闘の末に戦死する。
再び火星では、三日月と昭弘が脱出の仕上げを果たすべく殿軍を務めるも、大気圏外からのアリアンロッドの攻撃で瀕死の重傷を負う。
それでも抗おうと立ち上がる2人は、イオクを始め多くのMSを破壊し、壮絶な最期を遂げる。
マクギリス・ファリド事件と名付けられた一連の騒乱後、ギャラルホルンはセブンスターズが弱体化したことから、ラスタルの主導でより民主的な組織として再編され、火星はクーデリアを代表とした火星連合として本格的な自治体制に移行する。
生き残った鉄華団メンバーたちもそれぞれの人生を歩み始め、三日月の遺児でもある暁は、アトラやクーデリアと共に平和な生活を送っていた。
ガンダム史に残る名エンディングテーマ
「フリージア」
第2期第2クールで使用されたUruによる楽曲。
作詞はUru、作曲は岩見直明、編曲はトオミヨウ。
異色中の異色ガンダム
反社上等?
盃事や兄弟分まで取り入れた任侠ガンダム
本作が異色中の異色作品と呼ばれる最大の所以は、ガンダムに任侠の世界観を取り入れたことだろう。
いわゆる、ヤクザの世界観である。
何の後ろ盾も持たない主人公勢力。
生き抜くためにはより強い後ろ盾が必要だった。
そこで手を組んだのが大企業・テイワズであり、その下部組織・タービンズであった。
ただし大企業とは名ばかり。
テイワズとはヤクザそのものであった。
主人公勢力がテイワズ傘下へおさまることになった時には、タービンズの名瀬と兄弟盃を交わしているし、五分だと四分六だのの専門用語まで飛び交っている。
この世界観は嫌いではないがガンダムとしては異色中の異色設定。
本作を任侠ガンダムと呼ぶ所以である。
主人公勢力が報わることのない苦しみのガンダム
本作品の終着点として、主人公勢力が最終的に敗北することは企画段階から決められていた。
故に本作の主人公勢力は、ひたすら苦しみに堪えることとなる。
常にピンチの連続で、苦労が報われるのはほんの一瞬。
ほとんどが世の不条理と、意地汚い大人たちとに苦しめ続けられている。
だからといってエグい描写が続くわけでもないが、他のガンダムシリーズよりは味方が多く死んでいく。
これほど苦しみに満ち、報われないガンダムも本作だけではないだろうか。
シリーズ定番兵器
ビーム兵器を使わない異色のガンダム
本作ではガンダムシリーズで定番の兵器であるビーム兵器(ビームサーベルやビームライフルなど)が登場しない。
それは鉄血世界においてモビルスーツに使用されている装甲技術・ナノラミネートアーマーによるものである。
ナノラミネートアーマーとは、エイハブ・リアクターが発するエイハブ粒子に反応する特殊な金属塗料をMSや戦艦の装甲表面に蒸着させ、皮膜にするというもの。
この塗料を用いた装甲はリアクターから発生した重力場の影響を受け、外部からの衝撃に適した複層分子配列を形成、結果として実弾射撃に対して高い防御力を発揮する。
原理的には幾層にも重なった高性能なクッションのようなもので、実弾及び炸薬に対してエネルギーを有した分子が衝撃を吸収・拡散することで無効化する。
そのためMSに対して銃撃は決定打になりにくいが、実際は極めて薄い塗料が装甲に蒸着されているだけのため、近距離からの打撃に弱い。
またこの装甲の表面は鏡面構造となっており、モビルアーマーの持つビーム兵器には極めて高い耐性を発揮する。
ただし熱量は防げないため、ダメージはなくともコクピット内部は高温になるようだ。
またフレームそのものはビームの熱量に耐えられないので、当たりどころが悪ければフレームが破損し行動不能になる場合もある。
厄祭戦が終結するとビーム兵器はモビルアーマーの脅威もあってか表舞台には出てこなくなり、一般には実弾射撃武器しか存在しなくなった。
ナノラミネート処理を施されたMSの鉄壁の防御力はモビルワーカーに搭載できる程度の武器では破ることができず、MSの優位性を確立するには十分すぎるほどの存在となった。
「全ガンダム大投票」キャラ部門で脇役ながら堂々の1位を獲得
ガンダムの全てを網羅したデータベースから、人気作品を視聴者が選ぶ史上初の「全ガンダム大投票」。
「全ガンダム大投票」とは
ガンダムシリーズ40周年を記念し作品・キャラクター・メカ(モビルスーツ)・アニソン(ガンダムソングス)の4ジャンルで2018年2月までの映像56作品、登場キャラクター2000以上、モビルスーツなどメカ900種以上、アニソン200曲以上のデータベースを作成、2018年3月2日から4月20日まで人気投票「全ガンダム大投票 40th」を実施。
同投票の結果発表を中心に声優による生アフレコなどを行いながらシリーズの魅力を取り上げた番組である。
この番組の中で驚愕の出来事が起こる。
人気投票キャラ部門で本作のオルガ・イツカが、脇役(主人公級)でありながら堂々の1位を獲得したのである。
あのシャアやアムロを抑えての快挙に、スタジオがどよめいたのは言うまでもない。
ただしオルガが1位を獲得したのは、キャラ部門でも作品別ランキングでのこと。
複数作品に登場するシャアやアムロの人気は分散されていた。
キャラ部門総合ランキングではシャアとアムロには抜かれたものの、それでも堂々の第3位。
アナザーガンダムの期待の星となった。
驚きの結果は以下の通り。
キャラ部門作品別ランキング
1.オルガ・イツカ
3.アムロ・レイ
4.カミーユ・ビダン
5.アムロ・レイ
7.キラ・ヤマト
10.ランバ・ラル
11.アナベル・ガトー
12.マスター・アジア(東方不敗)
13.グラハム・エーカー
15.ロックオン・ストラトス(ニール・ディランディ)
16.マリーダ・クルス
17.バーナード・ワイズマン(バーニィ)
18.キラ・ヤマト
19.ヒイロ・ユイ
20.アスラン・ザラ
たしかに、オルガ・イツカはその生き様が格好良かった。
迷いながらもすべてを守り通そうと必死になって戦っていた姿には、何度か感動したものだ。
おまけに最期がまた格好良いんだ。
オルガの最期は、どこかしら『太陽にほえろ!』の松田優作氏を思い起こさせる、本作指折りの名シーンである。
オールドガンダムファンとしては、新興勢力に1位を奪われることに若干の抵抗はあるものの、オルガ・イツカの躍進は納得の結果だったともいえる。
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