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ioritorei’s blog

完全趣味の世界

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【細田守監督作品『サマーウォーズ』】アニメという虚構空間の中にさらなる虚構空間を描いた細田作品の最高傑作!

 

 

 

 

細田守監督作品

サマーウォーズ

 

 

サマーウォーズ』とは

 

 

サマーウォーズ』(英:SUMMER WARS)は、マッドハウス制作のアニメ映画。

2009年8月1日に、新宿バルト9、池袋HUMAXシネマズ、丸の内ルーブルほか全国にて公開された。

キャッチコピーは、「これは新しい戦争だ。」(ティザーバージョン)「つながりこそが、ボクらの武器。」(本ポスターバージョン)

主な賞としてシッチェス・カタロニア国際映画祭アニメーション部門(Gertie Award)最優秀長編作品賞(第42回)、星雲賞メディア部門(第41回)を獲得している。

細田守氏の初の長編オリジナル作品で、脚本の奥寺佐渡子さん、キャラクターデザインの貞本義行氏など、時をかける少女のスタッフの多くが引き続き参加している。

インターネット上の仮想世界とリンクする世界を舞台に、インターネットの中で起った世界を揺るがすサイバーテロと、それに立ち向かう田舎の大家族の現実社会でのつながりとインターネットを介した世界中の人々とのヴァーチャルなつながりが描かれる。

物語はふとしたことから仮想空間で起こった事件に巻き込まれ、指名手配されてしまった天才的な数学の才能を持つ主人公が、憧れの先輩やその家族・親戚一同とともに、世界を危機から救うべく奮闘する姿を描く。

砦の様な旧家の豪邸に集った大家族は、曾祖母の持つ政財界の人脈、家族のそれぞれの職業、スーパーコンピューター自衛隊の通信用最新機器、イカ釣り漁船、携帯ゲーム機などを駆使し、格闘ゲーム花札など意外な能力も発揮して人工知能と闘い、主人公も得意の数学を武器にその戦いに参戦する。

細田氏は、

普通の人たちがそれぞれの能力を出し合って大きな力になる。

そういう関係が僕の理想。

アニメ作りの現場もそう。

だから僕は「みんなと一緒で楽しい」という話を作って現場を肯定したい。

「孤独でつらい」なんて話をスタッフに強要できない。

と、語っている。

テーマは大家族の絆。

本作で細田氏は、結婚や親戚付き合いを中心に描いている。

舞台は長野県上田市で、城下町の町並みや上田電鉄別所線などが作中に登場する。

上田市には細田氏の妻の実家があり、訪れた際に抱いた「日本の原風景」のイメージを投影することを考えた。

細田氏は「当時既に両親を亡くし自らも一人っ子だったため、妻の親類の家族の繋がりに深い感銘を受けた」と語っており、妻の親類が物語の中核をなす陣内家のモデルとなっている。

なお、作中の陣内家のモデルは真田氏である。

本作品で登場する仮想空間OZは、Twitterをはじめとするソーシャル・ネットワーキング・サービス(いわゆるSNS)とよく比較され、サマーウォーズTwitter公式アカウントと連動して作中で登場するこいこい(花札の遊び)のアプリケーションが公開されるなどした。

またテレビ放送時には、作中での登場人物の行動・台詞になぞらえて「あなたのアバターを貸してください」というツイートがTwitter上に書き込まれて拡散(リツイート)され、最終的には3000人前後が参加する企画となった。

 

 

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あらすじ

 

 

世界中の人々が集うインターネット上の仮想世界OZ(オズ)。

ユーザーはパソコン・携帯電話・テレビなどから自分のアバターを操って、ショッピングやゲームだけでなく、納税や行政手続きなどの様々なサービスを利用できる。

OZの管理権限や個人情報などは、世界一安全と言われるセキュリティによって守られていた。

ある日、佐久間と共にOZの保守点検のバイトをしていた、東京に住む高校2年生の健二は、憧れの先輩である夏希から、”一緒に夏希の実家に行く” という「バイト」に誘われる。

長野県上田市にある実家には夏希の曽祖母である栄おばあちゃんの90歳の誕生日を祝うために、26人の親族が一堂に集まり、健二はひょんなことから栄のために「夏希の婚約者のふり」をすることになった。

2010年7月30日の午前0時25分、健二の携帯電話に数字の羅列が書かれた謎のメールが送られてくる。

数学が得意な健二は、それを何かの問題だと思って回答してしまう。

しかし、それはOZの管理権限を奪取できる暗号であった。

翌日、OZは謎の人工知能・ラブマシーンに乗っ取られてしまう。

その影響はOZと密接に連携していた現実世界の各種インフラにまで及び、社会全体に大きな混乱を引き起こしてしまう。

人々が対応に苦しむ中、栄は人脈を駆使して被害の軽減を図り、事態は収束に向かう。

しかし栄は翌朝、心臓発作(狭心症)で死去してしまう。

陣内家の女性陣が葬儀の準備を進める中、健二と陣内家の男性陣有志は敵討ちや被害拡大の防止のためにラブマシーンを倒す準備を進めていた。

作戦の結果、一時はラブマシーンを封じ込めることに成功するが、作戦に使用していたスーパーコンピューターの冷却のために使っていた氷を翔太が栄の遺体の保存のために持ち出したために熱暴走を起こすというアクシデントで逃げ出されてしまい、あげくにはキングカズマのアカウントまでもが奪われてしまう。

ラブマシーンは、奪った4億を超えるアカウントの権限を利用して、小惑星探査機・「あらわし」の再突入体を世界に500か所以上ある核施設のどこかに落とそうとする。

落ち込む一同だったが、健二の言葉と栄の遺言により気力を取戻し、夏希は栄に仕込まれた花札(こいこい)勝負でラブマシーンへ最後の戦いを挑む。

一度はラブマシーンに一瞬の隙を突かれ敗北し、掛け金が二桁にまで減らされるという窮地に陥るものの、全世界の人々の厚意によって得たアカウントを使ってラブマシーンに奪われたアカウントのほぼ全てを解放することに成功。

その後、ラブマシーンは「あらわし」の再突入体を陣内邸に落下させることを画策。

だが健二の機転と計算能力、侘助のラブマシーンへのクラッキングと佳主馬が奪い返したキングカズマのラブマシーンへの一撃によってGPS制御の「あらわし」の再突入体の落下地点を陣内邸からずらすことに成功。

陣内家の家屋は半壊するも、陣内家の面々は生き残ることができ、怪我の功名で源泉まで手に入れた。

明けて栄の葬儀の日と共に栄の誕生日。

OZの混乱を終息させた立役者であり、陣内家を救った功労者である健二と、彼への好意を認めた夏希の仲を、一族みんなが見守るのだった。

 

 


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主要登場人物

 

 

小磯健二

声: 神木隆之介

 

本作の男性主人公で17歳。

東京都内にある久遠寺高校に通う高校2年生。

物理部に所属している。

引っ込み思案で内気な性格。

数学が得意で、その力は国際数学オリンピックの日本代表を狙えたと評されたほど。

父は海外に単身赴任、母は仕事で忙しく、自宅ではほぼ一人の生活をしている。

夏希からアルバイトの誘いを軽い気持ちで受け、彼女の本家である陣内家を訪ねたところ、いきなり婚約者として紹介され、偽の恋人役を演じる羽目になる。

訪問した当日の夜、ラブマシーンから送られてきた暗号に返答(最後の一文字をタイプミスしたため誤答であったが)したことでアカウントを乗っ取られ、OZの混乱の犯人という濡れ衣を着せられたことから、事件解決に乗り出す。

ハッキングAI「ラブマシーン」との戦いで劣勢に追い込まれるものの、「まだ負けたわけじゃない!」と自身を奮い立たせ、その姿が陣内家の結束を促していく。

夏希の嘘が判明してしまったが、それでも栄から夏希を「よろしく頼む」と懇願された。

OZ内で使用しているアバターは、最初はミッキーマウスに似た丸耳が付いた少年だったが、ラブマシーンにアカウントを奪われて以降はデフォルメされたリス(佐久間が陣内家の健二に電話した際、使用した番号を仮アバターとして登録したもの)。

 

 

篠原夏希

声: 桜庭ななみ

 

本作の女性主人公。

1992年7月19日生まれ。

18歳。

久遠寺高校の3年生で、健二が想いを寄せている相手。

剣道部に所属しており、明るくノリが良い性格で、校内のアイドル的存在。

一緒に実家に行くという「バイト」に健二を誘い、彼氏のふりをしてもらった。

曾祖母である栄を心から尊敬しており、栄を自分の目指すべき理想の大人の姿としている。

同様に、一族のことも非常に愛しており、未成年の中では最年長であることから、自ら積極的に他の子供の面倒をみたり年長者の手伝いを行うといった描写も見受けられる。

幼いころから侘助に恋心を抱いていたが、小説版や漫画版では曾祖母の栄から「本当に人を好きになるということがまだ解っていない」と評されている。

侘助への思慕も、実際にはかつて栄に「侘助を家族の中で孤立させないように」と侘助の事後を託されていたのを、侘助についているうちに、いつしか栄からの言いつけを忘れ、義務感を恋心と混同するようになってしまったことによる。

OZのユーザーであるにも拘らず、「アカウント」の概念を理解していないほどのコンピューター音痴ながら、天性の勝負強さをもっており、3度目の一族とラブマシーンとの対決のキーパーソンになった。

使用アバターは、仔鹿の耳を生やした袴姿の和装少女「ナツキ」。

ラブマシーンとの戦いの途中でOZの守り主より吉祥のレアアイテムを授かり、着物が変化した。

上述の通り、学校では健二を含むあらゆる男子から憧れを一身に受けるマドンナだが、恋愛遍歴はほぼ皆無に等しい。

曾祖母の武勇伝を聞くうちに曽祖父に対する愚痴すらも聞かされて育ち、軽い男性不信を吹き込まれているため、告白されればその場で即座に付き合いを断ってしまう。

そのために恋愛に関しては奥手かつ鈍感で、傍目から見ても明らかな健二の好意も、本人は全く気付けていない。

本来は親族以外の男性の手すらも握ることができず、体に触れられたら、その場で投げ飛ばしてしまうほどの恋愛潔癖症

他の同世代の女性親族からは「恋愛に対する考え方が明治時代並み」とすら揶揄されている。

 

 

佐久間敬

声: 横川貴大

 

17歳。

健二の同級生。

健二と同じく物理部に所属している。

健二と共にOZの保守点検のバイトをしており、ラブマシーンとの対決では主に情報収集で健二らをサポートした。

使用アバターは頭部だけドットの粗い擬人化猿。

陣内家とコンタクトをとる際は、頭部だけが移動していた。

いわゆるガラケーを所持する登場人物が多い中、陣内侘助と同じくiPhoneらしきスマートフォンを使用している。

 

 

池沢佳主馬

声: 谷村美月

 

13歳。

夏希の又従兄弟の中学1年生。

OZでは格闘ゲームの世界的チャンピオンとしてスポンサーがつくほどで、長身のウサギ型アバター「キングカズマ」を操る。

いじめを克服するためにOZ経由で少林寺拳法を教えてくれた祖父の万助を「師匠」と呼ぶ。

劇中においては、健二が到着した日の夜は納戸で1人でパソコンを弄っていた。

初見の健二に対して冷めた反応を示すも、事件発生後は成り行きで健二に協力する。

その後も暗号を解いた健二に感嘆の念を抱き事件解決に協力する。

「クライシス・オブ・OZ」では、中学1年生。OMCの世界チャンピオンにまで登り詰めるが、戦う理由がないにもかかわらず戦い続けることに疑問を持っている。

GW中いきつけのネットカフェからOMC大会に参加していたが会場で真紀のアバターに出会い、偶然ネットカフェ内で真紀の部屋のとなりであったため現実でも出会うことになる。

140cmも超えていない身長のことを気にしている。

キング・カズマ vs クイーン・オズ」では、小学6年生。

OMCの公式上位ランクプレイヤーで、去年OZでの連勝を理由に現実で仕返しを受けたことを引きずっているが徐々に克服していく。

OMC夏の大会にエントリーし予選を突破。

夏帆と南の策略により、二人と天敵である力也を連れて陣内家に行くことになる。

夏帆に好意を抱かれているが気付いていない。

 

 

陣内栄

声: 富司純子

 

1920年(大正9年)8月1日生まれ。

89歳。

夏希の曽祖母

戦国時代から続く陣内家の16代目当主。

元教師で、教え子には政治家、官僚、地方の実力者なども多く、政財界に幅広い人脈を持つ。

カリスマ性においては作中に比類なく、一族はもとより、国を動かせるだけの影響力をもち、教え子や古い友人たち(中には現職警視総監もいる)を励ますなどして、OZの不具合による混乱の鎮静化に大きく貢献することとなる。

人と人とのつながりの大切さを家族に説き、作品における陣内家団結の重要なキーパーソン。

人を見る目に長けており、嘘が発覚した後でも健二に夏希を託す。

ラブマシーンの一件でその場の一族郎党の罵声を浴びながらも悪びれない態度と、開発に自分がなけなしの山を売って持たせていた資金が活用されていた事を明かした侘助に対し宴席で薙刀を振り回して追い出し、「身内の不始末は身内で片付けるよ!」と叱咤する姿を見せる。

その後、健二と一緒に花札をして勝利した。

そして翌日の早朝、持病の狭心症により誕生日直前の7月31日に死去する。

死亡時刻は午前5時21分、満89歳没(享年91)。

実はOZの混乱による影響を受けており、体調が万作に送られていなかった。

彼女が万が一の時のために残していた「一番悲しいことは、お腹を空かせる事と一人でいる事。」という手紙が、侘助と陣内家との和解と再結束に繋がった。

OZのアバターは陣内家の家紋。

夏希が「自分の彼」と偽って連れてきた健二を一目で夏希を任せられるだけの器がある男と認め、後に夏希による嘘であったことがバレた後も健二に夏希のことを頼んでいる。

栄が一族全員に花札を教えているという設定は、富司氏が主演した加藤泰監督の『緋牡丹博徒 花札勝負』へのオマージュである。

薙刀の一件の直後、健二に自らの介抱を頼み、彼に花札(こいこい)勝負をするよう誘って、「私が勝ったら夏希を頼む」と頼んだのが生前最後の姿となった。

彼女の葬儀は彼女の誕生日に行われたため、一族の一部が誕生日の歌を彼女の遺影の前で歌っていた。

 

 

陣内侘助

声: 斎藤歩

 

41歳。

入り婿だった陣内徳衛の隠し子。

幼少時に陣内家に引き取られ、栄の養子となった。

夏希・佳主馬の祖父達と年の離れた弟で四男ではあるが、栄の孫と同世代。

一族の資産を持ち逃げしたまま10年間行方知れずだったが、栄の誕生日を祝うために親族が集まる中、突然帰ってきた。

風来坊だが、天才的な頭脳の持ち主。

東大卒で、留学経験もある。

アメリカでカーネギーメロン大学の教授としてセキュアプログラミングのブロックとクラック、さらに人工知能の研究をしており、自動クラックAIプログラム「ラブマシーン」を開発した。

口と態度、過去の行状から一族からは嫌われているが、育ての親である栄を内心慕っており、同様に慕ってくる夏希には優しく接する。

克彦達三人から一連の責任を問い詰められた際は「俺は(ラブマシーンの)制作者なだけであって、あいつにああしろこうしろ命令はしていない」とこともなげに一族郎党に言い放った上に、皆の前で栄にアメリカ国防総省からの正式オファーの文章を見せながら「これでこの家にじいさんの代以上の多額の金が入るから、ばあちゃんに恩返しが出来る」「ばあちゃんの金のおかげで(ラブマシーンの)独自開発が出来た」と言ったことで怒らせてしまい、栄から突きつけられた薙刀の刃を手で退けて「帰ってくるんじゃなかった」と言い翔太の車を奪って家を出て行く。

その後あてもなくぶらついていた所、パソコンのパスワード(栄の誕生日の英語表記である0108)を使って海外回線で連絡を入れてきた夏希から栄の死を知って大急ぎで引き返し、健二や陣内家と共にラブマシーンを止めるために奔走する。

夏希の初恋相手であり、健二を家族に紹介したときの偽の経歴は彼のものである。

いわゆるガラケーを使う陣内家の中で唯一、公開当時に発売されたばかりのiPhoneを使用している。

なお、陣内家以外では佐久間がiPhoneらしきスマートフォンを使用している。

最後はアメリカ当局に出頭して一連の事件の原因を告発した。

CNNのキャスターは「しかし彼はあくまで開発者にすぎない。実験を一般の場で行った国防総省は責任を免れ得ないだろう」と事件を報じた。

伊丹十三を完璧にキャラクター化してほしい」という細田氏の意向に沿って、貞本氏が若い頃の伊丹をモデルに描きあげたキャラクターである。

 

 

 

用語

 

 

OZ(オズ)

 

世界中の人々が利用している登録者10億人以上のインターネット上の仮想世界(メタバース)。

アクセスはパソコン、携帯電話、テレビなどから行える。

OZ内では自身の分身としてアバターを製作する。

あらゆる物品や旅行プランなどが体験でき、現実世界の高級店や企業・行政機関・地方自治体がOZに支店や窓口を構えており、納税などの手続きもOZ内で行うことが可能。

あらゆる言語が一瞬で翻訳されるため、世界中の人々とのコミュニケーションも可能である。

OZのアカウントと現実の人間の権限はほぼ等しく、佐久間いわく水道局員やJR職員のアカウントを盗めば水道局のシステムやJRのダイヤを改変する事ができ、大統領のアカウントを盗めば核ミサイルを発射する事もできるかもしれないとのこと。

セキュリティは2056桁の暗号で守られており世界一高度と言われているが、劇中では世界中の55人によって暗号が解読されてしまっていた。

ちなみにセキュリティ暗号の回答は "the magic words are squeamish ossifrage To know is to know that you know nothing That is the true meaning of knowledge" で、冒頭の部分はRSA-129の回答である。

名称の由来は、監督の細田氏が東映アニメーション時代によく行っていたスーパーマーケット「LIVINオズ」。

 

 

陣内家

 

陣内栄が当主の一族。

戦国時代から続く武家の家柄(先祖の墓が室町時代からある)。

先祖は元武田氏家臣で、武田氏滅亡後は上田に身を寄せ、真田家臣として小国ながら郷土を守ってきたらしい。

明治になって始めた生糸商が成功して屋敷が大きくなり、周辺の山まで所有するようになるが、栄の亡夫の陣内徳衛が浪費の末に問屋や工場、果ては所有していた山までも売ってしまい現在はほとんど残っていない。

コミックス版では、栄が残った土地を密かに所有していたが、10年前に侘助が売ってしまっている。

先祖の活躍の紹介として上田合戦が登場する。

 

 

ラブマシーン

 

侘助が開発した人工知能プログラム。

強い知識欲を持ち、学習に特化しているが、テストを行った米軍(国防総省)がプログラムを展開したところ歯止めが利かなくなり、OZのセキュリティ暗号をスパムメールでばら撒く事を発端とした世界規模のパニックを引き起こした。

黒幕として扱われているが、上記する驚異的な知識欲と学習能力から起きたものなので、ラブマシーン自体に意図的な悪意はない。

感情はないが、ゲーム好き。

健二のアカウントを乗っ取ってからは健二のアバターの姿(鋭い目付きと尖った歯がある)、キングカズマとの戦いの中で周囲のアバターを取り込んでからは背中に輪光をたたえた仏教の神のような姿となる。

監督の細田氏によれば、モデルは大日如来

ナツキとの戦いに敗れ、アカウントに残された権限が「あらわし」の制御のみとなると、これを使って「あらわし」の再突入体を陣内邸に落下させようとし、奮闘する健二の前に何度も暗号コードをかけて邪魔をする。

その最中侘助によって守備力を0にされ、復活したキングカズマの一撃によって破壊された。

 

 

あらわし

 

サンプルリターン方式の小惑星探査機。

作品冒頭の7月26日月曜日お昼のニュースで、今日午前、太陽周回軌道から地球の衛星軌道に乗ったという旨と、トラブル続きだったが、今後タイミングを図りながら、小惑星 “マトガワ” で採取したサンプル入りのカプセルを持ち出す予定だと報じられた。

元ネタは「はやぶさ」と思われる。

 

 

 

 

 

 

 

何度観ても絶対泣かされる3シーン

 

 

本作には何度観ても必ず泣かされるシーンがいくつかある。

 

 

栄おばあちゃんの手紙

 

家族へ。

 

まぁ、まずは落ち着きなさい。

人間落ち着きが肝心だよ。

 

葬式は身内だけでさっさと終わらせて、後はいつも通りに過ごすこと。

財産は何も残してはしないけど、古くからの知り合いの皆さんが、きっと力になってくれるだろうから心配はいらない。

これからも、みんなしっかりと働いて下さい。


それと、もし侘助が帰ってきたら…

10年前に出て行ったきり、いつ帰ってくるかわからないけど、もし帰ってくることがあったら、きっとお腹をすかせていることだろうから、うちの畑の野菜や葡萄や梨を思いっきり食べさせてあげて下さい。

 

初めてあの子に会った日のことを…よーく覚えている。

耳の形がじいちゃんそっくりで驚いたもんだ。

朝顔畑の中を歩きながら「今日からうちの子になるんだよ」って言ったら、あの子は何も言わなかったけど、手だけは離さなかった。

あの子をうちの子にできる、私の嬉しい気持ちが伝わったんだろうよ。

 

家族同士、手を離さぬように。

人生に負けないように。

もし辛いときや苦しいときがあっても、いつもと変わらず家族みんなそろってご飯を食べること。

一番いけないことは、お腹が空いていることとひとりでいることだから。

 

私はあんたたちがいたおかげで大変幸せでした。

 

ありがとう。

じゃあね。

 

この手紙が読み出された瞬間から涙が出てくる。

わかっていても泣かされる。

特に「一番いけないことは、お腹が空いていることと、ひとりでいることだから。」の一文はヤバすぎ。

孤独と向かい合いきれずに、仮初の繋がりを求める近頃の風潮には甚だ疑問が残る。

それもこれも手っ取り早く人と繋がれてしまうことに起因している。

インターネットやSNSの弊害とも言えるだろう。

そんな歪んだコミュニケーションが、人と深く繋がれない人間を生んでいく。

自分のことだけしか考えられない人間を生んでいく。

誰もが感じる孤独感を、その本質も見抜かずに、ただ寂しいからという理由だけで簡単に逃げ出すのは如何なものだろう?

孤独を知るから誰かが傍にいてくれるありがたみがわかる。

孤独を知るから人に優しくできるのだ。

栄おばあちゃんはそのことをよく理解していたようだ。

だからこそ、何度も泣かされてしまう…。

 

 

侘助二度目の帰還

 

栄おばあちゃんが亡くなったと知って急いで帰ってきたシーン。

RX-7をボコボコにしながら慌てて帰ってきた侘助の姿もなかなかグッとくるが、本当に泣かされるのはそこではない。

帰ってきた侘助に長女・陣内万理子がかけた、このひと言を聞いた時だ。

 

侘助、おばあちゃんにちゃんと挨拶してらっしゃい。

そしたらみんなで、ごはん食べましょ。

 

個人的にはここが本作屈指の名シーン。

咎められるわけでもなく、優しく諭し迎え入れてくれている。

そうしてみんなでごはんを食べようと促すこの名セリフは、栄おばあちゃんの手紙の内容とリンクして家族の温かさを感じさせてくれる。

ひと口に家族といっても様々な形があるだろうが、細田守監督の求めた家族像とはこういう温もりがあるものなのだろう。

そしてそれは失われつつある家族像でもある。

こんな言葉を投げかけられたら、泣かないわけがないじゃないか…。

 

 

ラブマシーンとの花札

 

物語も最終盤。

奪われたアカウントを花札で順調に取り戻していたナツキたちだが、わずかな隙をつかれ親が交代。

取り返したアカウントも奪われ、賭け金が足りなくなってしまう。

その時聞こえてきたOZアカウントの声…。

 

アカウントをナツキに預けます。

私たちの大切な家族を、どうか守って下さい。

 

あー泣く。

文字にしただけで泣く。

この声に賛同した多くのOZアカウントがナツキに味方するシーンからは、世界が争いだけではないことを改めて感じさせてくれる。

人間もまだまだ捨てたものではない気にさせてくれる。

一般的にはこちらが本作屈指の感動シーンであろう。

 

 

 

花札を知らない人にはちんぷんかんぷん?

 

 

余談だが、花札のルールを知らない人が今は非常に多いらしい。

本作の "こいこい" の意味も知らないだとか…。

また最後にナツキが繰り出した役があり得ないという声もあるようだ。

花札を知らないとそんなケチまでつけられるのか…。

花札の仕組みさえ知っていれば、最後のナツキの役は全然あり得なくはない。

強運バカヅキなら、誰にでも成立し得る役である。

調べてみるとナツキが上がった最後の役は以下の通り。

 

「三光」"こいこい" →「猪鹿蝶」"こいこい" →「赤短」"こいこい" →「雨四光」"こいこい" →「五光」フィニッシュ

 

まず三光→雨四光→五光の流れは、至極普通の流れである。

何故なら雨四光も五光も、三光から派生する役なのだから。

簡単に言うと、三光に雨の札を加えて雨四光。

雨四光に最後の役札を加えて五光になる。

ちなみに順番が変われば三光→四光→五光。

要するに三光・雨四光・五光はそれぞれが別々の役ではなく、ひとつの役の上乗せに過ぎない。

ね?

当たり前でしょう?

次に赤短だが、赤短という役は実はほぼほぼ三光札と被っている。

松に桜に梅が赤短で、そのうち松と桜は三光札。

だから同時成立がしやすい役なのだ。

こんなことは花札を知っていれば当たり前のこと。

さすがに猪鹿蝶は単独で揃えた役だろうが、ここまでバカヅキしているなら、さらなる上乗せも可能である。

猪鹿蝶と札が重複している青短までついていても、ちっとも不思議ではない展開だ。

ルールにもよるがもっと言えば、花見で一杯・月見で一杯の両役もおまけで付いていただろう。

ただ月見・花見の役は瞬殺ルールだから、採用されない場合が多いのかな?

このようにあの花札でのシーンで出来上がった役に、何ら不自然なところはないのである。

唯一、"こいこい" を続けている間に相手にひとつの役も出来上がらないというのは、相当の運がなければまず難しい。

こういう場合、大抵はカス短冊で逃げられるのだが…。

ただ花札には麻雀同様、数多のローカル・ルールが存在する。

役自体に変わりはないだろうが、もしかしたら前述通りではないルールが存在する可能性はある。

しかしまぁ、そこはアニメなんだからさほど目くじらを立てることでもないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

細田守監督作品の最高傑作

 

 

あくまでも個人的意見だが、本作は細田守監督の最高傑作だと思っている。

だが批判の声も少なくはないようだ。

 

 

批判の声

 

批評家の東浩紀氏は、この映画で描かれているのは「誰も悪くない世界」であることが最大の問題であり、大人の見られる物語ではないと発言している。

また、アニメという虚構空間の中でさらにOZという虚構空間が展開しているため、その中でいくらすごい映像が展開しても、身体的な距離感を生じさせてしまうとしている。

 

 

虚構空間を感じさせないための旧家の設定

 

本作の主な登場人物は旧家の大家族である。

では何故わざわざ田舎の由緒ある旧家を舞台にしたのか?

最新技術の虚構空間・メタバースを裏テーマに扱っておきながら、わざわざ田舎を舞台にする必要があったのか?

本作を観れば答えは明白である。

それは本作のテーマのひとつが「つながりこそが、ボクらの武器。」であるからだ。

アニメであろうがメタバースであろうが、本作の根底には人同士の繋がりがある。

栄おばあちゃんの奔走や手紙が、それを証明しているではないか。

要するに、どんなに優れた技術が普及しようとも、結局は扱う人間次第なんだということだ。

だから批判の中の「誰も悪くない世界」というのも、的外れのような気がする。

ラブマシーンは米軍(国防総省)の思惑により、OZ内に解き放たれている。

これは紛れもなく軍事転用に向けたテストであろう。

どんなに優れたAIも、扱う人間が悪用しようと考えればこうなる。

これでも「誰も悪くない世界」なのだろうか?

ただし、細田守監督が "悪者" を明確に描いていないのは事実。

しかしアニメという媒体でそれは、さほど重要な問題ではないだろう。

あれくらいの表現で十分。

大人なら当然その辺りの理解もあるし、分別もある。

大人の見られる物語ではないらしいが、むしろ大人が観てこそ本作は、はじめて制作者の真意が理解できるのではないだろうか。

批判の声は、アニメをバカにしているように思えてならない。

 

 

虚構空間と現実世界の対比

 

今ではすっかり希薄になった家族間の交流や古いしきたりを、虚構空間の中でも貫き通した登場人物たちの姿が本作最大の魅力だ。

もっと言えば、舞台は別に虚構空間でなくてもよかったと思う。

どこでも良かったのだ。

ただ、無機質な虚構空間を舞台にすることで、アニメ中の家族の絆みたいなものがより一層強調された。

それはそうだ。

無機質の世界に有機物が紛れ込むのだから、目立たないわけがない。

だからこそ、細田守監督はアニメという虚構空間の中に、さらなる虚構空間を描いた。

さらなる虚構空間(OZ)の存在は、元々の虚構空間(アニメ)にリアリティと親しみを持たせる。

それが日本の原風景たる家族像なら、その効果は絶大だ。

そこまで計算し尽くされた見事な設定だと感じたからこそ、本作は細田守監督の最高傑作なのだと確信するのである。

 

 

 

 

 

 

 

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