日本を蝕み続ける属国根性と無責任体質
『はだしのゲン』平和教材から削除
唯一の被爆国たる自覚と責任を忘れた愚かな日本人たち
『はだしのゲン』とは
中沢先生自身の原爆による被爆体験を元にした自伝的な内容である。
同漫画を原作として実写映画やアニメ映画・テレビドラマも製作された。
戦中戦後の激動の時代を必死に生き抜こうとする主人公・中岡ゲンの姿が描かれている。
自伝的な作品で、作中のエピソードの多くも中沢が実際に体験したことである。
作者は当作を反戦漫画として描きたかったのではなく、それ以上に「踏まれても踏まれても逞しい芽を出す麦になれ」という「生きること」への肯定の意味を込めて「人間愛」を最大のテーマとして描いていた。
母親を火葬した際に骨が残らなかった、という作中にもあるエピソードが、中沢先生に広島原爆の被爆を題材とした漫画を描かせるきっかけとなった。
ゲンの家族の「中岡」の姓は、ゲンの父親・大吉(中沢氏の父親がモデル)と同様に「生まれ変わった日本」を見ないまま坂本龍馬とともに暗殺された中岡慎太郎に因んでいる。
ゲンの名前は「生きること」への肯定の思いを込めて「元気」の「元」から名付けられた。
特高警察に父親が連れていかれて拷問されるところや、姉が盗みの疑いをかけられて裸にされるシーンは実話である。
発表分の末期は終戦から何年も過ぎた戦後の内容となっており、昭和天皇に対する批判やアメリカ軍およびアメリカ合衆国に対する批判、警察予備隊(後の陸上自衛隊)発足に対する批判する内容も含んでいる。
ただし、その時期の話にも原爆の傷痕は根強く描かれている。
時代考証の間違いや左派的な主張をはじめ、作品の内容、表現などについて様々な意見があるが、作者の中沢の実体験に基づく原爆の惨禍や当時の時代背景・世相風俗を表現していながら、エンターテインメントとしても読ませる作品として国内外での評価は高く、映画・ドラマ・アニメ・ミュージカル・絵本・講談化もされている。
2010年6月調査のgooランキング「読んでおきたい日本史モノマンガランキング」の第1位に選ばれた。
2007年5月30日からウィーンで開催された核拡散防止条約(NPT)運用検討会議の第1回準備委員会で、日本政府代表団は、本作の英訳版を加盟国に配布することになった。
外務省が英語版30冊を出版社から譲り受け、今後も「漫画外交」を活発に展開させる予定と報じられた。
2018年9月時点で累計発行部数は1000万部を突破している。
あらすじ
物語は、広島県広島市舟入本町(現在の広島市中区舟入本町)に住む国民学校2年生の主人公・中岡元が、当時日本と交戦していたアメリカ軍により1945年8月6日に投下された原爆で、父・大吉、姉・英子、弟・進次の3人を亡くしながらも、たくましく生きる姿を描く。
『はだしのゲン』平和教材から削除…日本を蝕み続ける属国根性と無責任体質
広島市教育委員会は高1と小3の平和教育の教材として使っていた漫画『はだしのゲン』を別の絵本などに差し替えることを決めた。
『はだしのゲン』は、広島に投下された原爆で父や姉、弟を殺された少年がたくましく生き抜く姿を描いている。
市教委が設置した大学教授や学校長による会議では、ゲンたちが浪曲を披露して日銭を稼ぐシーンに対し「浪曲は現代の児童の生活実態に合わない」、栄養不足で体調を崩した母親のためにコイを盗むシーンには「コイを盗んでもいいという誤解を与える」といった指摘が出たという。
アホにも限度がある。
戦争前後を描いた漫画と現在の小学生の生活実態が合わないのは当たり前であり、これを読んで「コイを盗んでもいい」という教訓を引き出したとしたら、それはまた別の問題だ。
著者が初めて『はだしのゲン』を読んだのは小学生の頃。
それこそトラウマ級の、思わず目を背けたくなる悲惨な "戦争" が描かれていた。
今回の市教委の決定を受け、SNS上に漫画の断片が次々とアップされたが、記憶に残っているものが多かった。
それだけ印象深かったということであり、平和教育としては大成功といえよう。
脊髄反射のように、左翼のイデオロギーがどうこうと言いだす連中は昔からいるが、国土を破壊され、同胞を大量虐殺されたことに怒りを表明するのは当然の感覚だろう。
残酷なシーンを描いていることを批判するのも筋違い。
それを見て子供は原爆の恐怖を学ぶのだ。
『はだしのゲン』に批判的な意見の多くは、「アメリカ様に逆らうな」という属国根性と「戦争の責任を追及するな」という無責任体質に基づいている。
敗戦後、雨後のタケノコのように出現した精神の奴隷たちは、現在までわが国を蝕み続けている。
しまいには「原爆を落とされて長崎は本当に無数の人が悲惨な目に遭ったが、あれで戦争が終わったんだという頭の整理で今、しょうがないなと思っている」と発言する防衛大臣や、ポツダム宣言と原爆投下の時系列すら理解していない総理大臣まで出現した。
『はだしのゲン』は戦中と戦後で発言をコロコロ変え、責任を持たない卑劣な人間を描いた。
ある種の人間が『はだしのゲン』に反発するのは、グロテスクな自分の顔を描かれたような気分になるからではないか。
唯一の被爆国たる自覚と責任を忘れた愚かな日本人たち
日本は人類史上唯一の被爆国である。
しかも一度きりの話ではない。
戦争被爆地として広島と長崎が。
そしてビキニ環礁で行ったアメリカのテラー・ウラム型水素爆弾実験により多量の放射性降下物(死の灰)を浴びた、乗組員23名の遠洋マグロ漁船・第五福竜丸。
計三回の被曝経験がある。
(※ここでは便宜上、原子力発電所の事故については記載しない。)
日本人は世界中の誰よりも原爆の悲惨さを知っている民族である。
そのはずだった。
それがこれはいったいどうしたことだ?
しかもその理由が「浪曲は現代の児童の生活実態に合わない」から?
栄養不足で体調を崩した母親のためにコイを盗むシーンには「コイを盗んでもいいという誤解を与える」といった指摘が出たから?
そんなアホな理屈なら、ひとつずつ徹底的に潰してやろう。
まず「浪曲は現代の児童の生活実態に合わない」という認識について。
戦争を知らない世代にとっては、いかなる描写を以てしても現代の生活実態とはそぐわないだろう。
あの湾岸戦争でも、メディアから流される映像からはゲーム感覚しか伝わってこなかった。
そこで実際に命を落とされている人の顔は見えてこない。
あれでは戦争の惨さや悲惨さは伝わってこないのも当然といえる。
ウクライナに関してもそうだ。
所詮は外国で起きた外国人たちの争い。
対岸の火事としてしか見ていない。
自分の家族の顔を重ねて見ていないだろう?
『はだしのゲン』では、自分と同じ顔をした日本人の悲惨な姿が描かれているから、戦争にリアリティを感じることができる。
あまりにリアルすぎて、正直何度も読み返したくはないほど現実的だ。
それを浪曲がどうのこうのと、つまらないことを…。
馬鹿げているにもほどがある。
むしろ浪曲という廃れつつある文化を知る、良いキッカケになるとは考えられないのか?
続いては「コイを盗んでもいいという誤解を与える」という、反論するのもバカバカしい理屈。
これはひと言で論破してくれよう。
それは、「原爆を落とされた過去」の抹消に勝る理屈なのだな?
著者は戦争を知らない世代である。
第三次的に祖父や祖母から戦争の断片を見聞きした程度である。
今回、バカげた決定を下した広島市教育委員会の面々は、おそらく戦争について二次的知識を持つ老人たちだろう。
著者の浅い知識よりは、はるかに戦争を知っているはずの世代だ。
そんな人たちが後世に戦争を伝えなくて、いったい誰が伝えていくというのだろう?
親の心子知らず。
先人の心を踏み躙った老人たちが日本を腐らせた理由がおおいに頷ける。
『はだしのゲン』を平和教材から削除したり、防衛費を拡大したり…。
戦争という悪魔の胎動を感じざるを得ない今日この頃。
このまま老人支配を許していては、近い将来必ず日本は戦争に巻き込まれるだろう。
人間はまた同じ過ちを繰り返す。
人類はちっとも進歩していない。
唯一の戦争被爆国、日本
広島と長崎の市長がプーチン大統領へ訴えたこと
ロシアのウクライナ侵攻が続く中、プーチン大統領は核兵器の使用も示唆しており、世界中に緊張が走っている。
日本は世界で唯一の戦争被爆国であり、核兵器に対する気持ちは他国よりも一層敏感でなくてはいけない。
広島・長崎市長は連名で、「地球上に、広島、長崎に続く、第三の戦争被爆地を生むことは絶対にあってはならない」とプーチン大統領に抗議文を送った。
最後にその全文をご紹介しよう。
抗議文
ロシア連邦大統領
ロシアがウクライナ侵略に踏み切り核兵器の使用を示唆した、一連の行為について、被爆地市民を代表し、ここに厳重に抗議する。
この行為は、「世界中の誰にも二度と同じ体験をさせてはならない」と懸命に訴えてきた被爆者の切なる思いを踏みにじるものであり、被爆地広島、長崎は強い憤りを感じている。
今年1月にロシアを含む核保有5か国が発出した共同声明の中で、「核戦争に勝者はなく、決して核戦争をしてはならない」と世界に発信した矢先の発言であり、核兵器のない世界の実現に向け努力を続ける国際社会を大いに失望させる行為と言わざるを得ない。
地球上に、広島、長崎に続く、第三の戦争被爆地を生むことは絶対にあってはならない。
人々の尊い命と平和な暮らしを理不尽に奪う侵略行為を直ちに中止し、平和的解決への道を探ることを強く求める。
2022年2月28日
広島市長 松井 一實
長崎市長 田上 富久
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