『はだしのゲン』に続き
第五福竜丸の記述も教材から削除
広島市教育委員会の愚行が止まらない
広島市教育委員会が市立の小中高校を対象にした「平和教育プログラム」の教材から漫画『はだしのゲン』を削除する方針を決めた問題で、米国のビキニ水爆実験で被爆した静岡県焼津市のマグロ漁船「第五福竜丸」の記述もなくすことが2023年3月1日、分かった。
教員用の指導資料には記述を残し、生徒に概要や参考文献を紹介するという。
第五福竜丸は69年前の3月1日、太平洋マーシャル諸島ビキニ環礁での水爆実験に遭遇し、乗組員23人全員が被爆した。
日本で反核運動が高まるきっかけとなった事件である。
平和教育プログラムで使う市教委作成の「ひろしま平和ノート」では、第五福竜丸は核兵器を巡る世界の現状を学習する中3の部分に掲載されている。
乗組員の被爆や、半年後に40歳で亡くなった無線長の久保山愛吉さんなどを写真とともに紹介している。
市教委がプログラムを再検討する中で「第五福竜丸が被爆した記述のみにとどまり、被爆の実相を確実に継承する学習内容となっていない」との指摘が出た。
令和5年度からの改訂版は世界の核実験、核軍縮の動きを地図や表、グラフから具体的に捉えられる内容に変更する方針だそう。
記録より記憶
困っちゃうとかそんな生易しいレベルの話ではない。
これではリンダもお手上げだ。
『はだしのゲン』削除の報にも憤慨したが、今回はただただ呆れるばかりである。
どんな数字を並べ立てても、たった1枚の写真の説得力には敵わない。
その改訂版とやらには、日本が核兵器禁止条約には不参加だという事実は記載されるのか?
唯一の戦争被爆国である日本政府が、国連総会で核禁止条約交渉入り決議が賛成113票で採択される中、反対票を投じた事実は記載されるのか?
「『核兵器をなくせ』という『血の出るような叫び』」
まさに、その叫びを体現したものが核兵器禁止条約だ。
国際法上、核兵器を初めて違法と位置づけ、その開発も保有も使用なども一切、禁止する。
被爆者らが中心となって長年、国際社会に実現を呼びかけてきた。
その努力が実り、去年、国際条約として発効し、現在62の国と地域が批准している。
この条約は原子力発電の是非とは違い、明確に兵器としての核を対象としている。
日本が反対の立場をとった理由は、どれもこれも他国のご機嫌伺いのようなクソったれたものばかりだ。
日本から核兵器への嫌悪感や拒絶感が失われつつある。
2016年5月27日に第44代アメリカ合衆国大統領バラク・オバマ氏が、現職大統領として初めて原子爆弾が投下された広島を訪問し、核兵器の廃絶を訴えたあの時。
謝罪こそなかったが、現職のアメリカ大統領が広島を訪れたことに大きな意味がある。
この事実が重要なのだ。
文字通り「歴史的な一歩」に感動すら覚えた。
…あの感動は何だったのだろう?
人類史上初の被爆地・広島は、自らの手でその事実をなかったことにしようとしている。
貴重な戦争の記憶が、誰かの意思によって意図的に奪われていく。
広島市教育委員会の愚行をみていると、オバマ氏のあの日のスピーチが思い出される…。
いつの日か、証言する被爆者の声が私たちのもとに届かなくなるでしょう。
しかし、1945年8月6日の朝の記憶を決して薄れさせてはなりません。
その記憶があれば、私たちは現状肯定と戦えるのです。
その記憶があれば、私たちの道徳的な想像力をかき立てるのです。
その記憶があれば、変化できるのです。
被爆者の記憶と声はバカ共に奪われる。
もう子供たちのもとには届かない。
この国は戦争の教訓を都合よく忘れようとしている。
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