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ioritorei’s blog

完全趣味の世界

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【アニメーション短編映画『愛してるって言っておくね』(If Anything Happens I Love You)】秀逸なタイトルと12分間に込められたふたつの愛の物語。

 

 

 

 

アニメーション短編映画

愛してるって言っておくね(If Anything Happens I Love You)

 

 

『愛してるって言っておくね』とは

 

 

『愛してるって言っておくね』(If Anything Happens I Love You)は、ウィル・マコーマック(英語版)とマイケル・ゴヴィア監督・脚本による2020年のアメリカ合衆国の2Dアニメ短編映画である。

校内銃乱射事件による娘の死から立ち直る夫婦の物語である。

ギルバート・フィルムズとオー・グッド・プロダクションズが製作し、2020年11月20日Netflixで配信された。

映画の初期構想はマコーマックとゴヴィアの出会いの時から存在しており、2人は1年をかけて脚本を執筆した。

2018年に製作が始まり、ヤングラン・ノーがアニメーション監督として雇われた。

映画は岸辺のふたりの影響を受けており、エブリタウン・フォー・ガン・セーフティ(英語版)と連携して製作され、2020年2月に完成した。

2020年3月4日にビバリーヒルズのユナイテッド・タレント・エージェンシーでプライベート・スクリーニングが行われた。

批評家には高評価され、第93回アカデミー賞短編アニメ賞を受賞した。

 

 

If Anything Happens I Love You (English Edition)

If Anything Happens I Love You (English Edition)

 

 

 

プロット

 

 

ローティーンの娘を亡くした父母が互いに距離を置いて暮らしている。

2人は直接の対話を拒んでいるが、彼らはその本当の感情を表している影によって見守られている。

父親が外に出ている間、母親は娘の寝室に入ろうと考えるが、悲しみに打ちひしがれて立ち止まってしまう。

洗濯をしている母親は娘のシャツを洗ってしまったことに気付いて泣き出してしまう。

彼女が洗濯機の近くに座り込むとサッカーボールが落下し、娘の寝室に転がり込む。

ボールがレコードプレーヤーにぶつかった拍子に「1950(英語版)」が再生される。

母親は寝室に入り、その後そこで夫と顔を合わせる。

「1950」が再生されている間に娘を表す影がレコードプレーヤーから飛び出し、両親は娘の生涯の出来事を思い出し始める。

回想で両親は娘の成長を目にする。

娘はサッカーに熱中し、10歳の誕生日を祝い、初めてのキスを経験する。

回想の最後で娘は両親から離れて学校に向かう。

この後に何が起こるのかを知る両親の影は娘が学校内に入るのを阻止しようとするが、これは記憶の出来事であるために失敗する。

その学校では銃乱射事件※が発生して娘は射殺され、「愛してるって言っておくね」( "If anything happens I love you" )というメッセージテキストだけが残される。

離れそうになる両親の影が娘の影によって結びつけられると、現実の両親は抱擁し、娘の影は悲しむ2人の影の間に輝く光になる。

 

 


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マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校銃乱射事件

 

本作は現実の事件で被害者が実際に両親に送信したメッセージに着想を得ている。

マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校銃乱射事件。

2018年にアメリカ合衆国フロリダ州ブロワード郡パークランドのマージョリー・ストーンマン・ダグラス高等学校(Marjory Stoneman Douglas High School)で発生した銃乱射事件。

現場の学校名はフロリダ州環境保護に功績のあった同名のジャーナリストにちなむ。

2018年2月14日午後3時頃、同高校を退学処分とされていた19歳の元生徒が校内に侵入。

元生徒は、火災報知器を作動させ、生徒が逃げようと避難を始めたところにAR-15ライフル(M16自動小銃の民生型)を乱射。

生徒や教職員17人が死亡する大惨事となった。

 

 

 

秀逸すぎるタイトル

原題・邦題ともに最高のネーミング

 

 

本作の原題は「If Anything Happens I Love You」

直訳すると「何が起きたとしても愛してるよ」と思われがちだが、実際は「もし何か起きた時のために、先に愛してるって言っておくね」という意味が正しいようである。

故に邦題は「愛してるって言っておくね」と意訳されている。

原題・邦題ともに、ネーミングセンスが素晴らしすぎる。

控えめにいって最高。

まさに至高のタイトル。

「愛してるって言っておくね」

「言っておく」という言い回しは、日本人にはあまり無い感覚だ。

「〜おく」という表現自体は、しばしば遣われる言葉である。

【後に続く動作や、後に起こる出来事のために前もって何かをする】、もしくは【そのままにする(放置)】という意味合いで遣われる。

本作でいうところの「〜おく」は前者の意味であるが、その前に「言う」が付き、さらにその前に「愛している」と付ける表現は、あまり見かけることがない。

「愛してるって言っておくね」とは、未来に向けられた言葉ということになるが、日本人にとっての愛とは、ほとんどの場合、現在進行形か過去形で表現される。

すなわち「愛している」もしくは「愛していた」と表現されるのだ。

だから日本人にとって、「もし何か起きた時のために、先に愛してるって言っておくね」という概念は皆無に近い。

これがお国柄の違いというやつなのだろう。

治安の良い(最近ではそうでもないが、それでも)日本では、不慮の死(事故以外)というものを想像し難い。

当たり前のように明日を想像している。

これは非常にありがたいことではあるのだけど、言い換えれば平和ボケだと言えなくもない。

だからこそ、本作タイトル「愛してるって言っておくね(If Anything Happens I Love You)」

の意味について、非常に深く考えさせられる。

考えなければいけない。

自分の身に、明日何が起こるのかなんて誰にもわからない。

それは我々日本人も例外ではないのだ。

本作を視聴すると、タイトルの意味がさらに深くなる。

ちなみに劇中では言葉ではなく、メッセージテキストという形で「If Anything Happens I Love You」と伝えられている。

現代的とはいえ、あえて無機質な形で残した演出は絶妙である。

 

 

 

すべてを物語るタイトル

12分間に込められたふたつの愛

 

 

すべてを物語るタイトル

 

本作で描かているのは、最愛の我が子(娘)を理不尽に奪われた両親のその後。

現実でも加害者と被害者には触れるが、被害者家族にスポットが当たることは少ない。

事件に直接触れるのではなく、被害者家族にスポットを当てているところが本作の秀逸なところだ。

そして被害者家族に残されたのが、「If Anything Happens I Love You」というテキストファイル。

物語が始まってすぐはタイトルへの先入観からか、てっきり親から子へのメッセージだとばかり思っていた。

しかしこのメッセージの発信者として描かれていたのは、亡くなった娘のようである。

「ようである」と表現したのは、劇中に明確な描写がないからだ。

メッセージが表示されていたのは、劇中で自撮りに使用されていたスマホだった。

そのカバーケースから発信者が娘だと推察しているだけで、確証などもちろんない。

家族全員がお揃いのカバーケースだった可能性だってゼロではない。

本作において最重要なメッセージである「愛してるって言っておくね(If Anything Happens I Love You)」が、いったい誰から発信されたものなのか?

そこを曖昧にしているあたりも、本作の実に巧妙なところ。

もしこのテキストが娘が最後に両親に送った文字だとするなら、そのタイミング次第ではあまりに悲劇的なストーリーが想像されることになる。

まさか銃声が聞こえ咄嗟に…?

本作には、事態を詳細に説明するような描写は一切ない。

ほぼ無声映画で、その描写のほとんどが精神世界(思い出等)を具現化したものだ。

だからこそ、唯一言葉で表現されているタイトルの持つ意味が非常に大きい。

故に、タイトルが本作のすべてを物語っているといっても過言ではないのである。

 

 

12分間に込められたふたつの愛

 

本作は第93回アカデミー賞短編アニメ賞を受賞したアニメーション短編映画。

時間にしてたったの12分。

そのたった12分間に込められたアニメの力に胸が絞めつけられる。

ストーリーと「愛してるって言っておくね(If Anything Happens I Love You)」というメッセージから、本作では親から子へ、もしくは子から親への愛情が描かれていると決めつけがちだ。

もちろん親から子、もしくは子から親への愛情が描かれていることは疑いようもない。

しかしこのメッセージの真意は、別のところにあるのではないだろうか。

残された両親夫婦にこそ、本当に伝えたかったメッセージではないだろうか?

最愛の我が子を理不尽に奪われた被害者の両親夫婦は、そのことへの悔恨からお互いが自らを責め夫婦関係は冷めきっていた。

ふたりが向けている愛情は、亡くなった娘に対してのみ。

互いを気遣う愛情をなくしてしまっている。

しかし娘に向けられた愛情は、そもそも父と母の間に最初にもたらされた愛情だったはず。

「愛してるって言っておくね(If Anything Happens I Love You)」は、まさに今、この夫婦にこそ必要な言葉なのである。

このように推察できるのも、このメッセージの発信者を特定しなかった制作側の巧妙な意図によるもの。

アカデミー賞短編アニメ賞を獲るのも頷ける。

しかしながら、本作は良くも悪くも心に非常に

残る作品である。

そしてそれはけっして心地良いものだとは言い切れない。

だからといって、目を背けたくなるわけではない。

より多くの人に観てもらいたい作品である反面、人によっては引きずることもあるだろうことは肝に銘じてほしい。

ただ、間違いなく傑作の部類に入る作品。

それでもやはり、多くの人の目にとまることを切に願う。

 

 

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