其の二十六
美しき日本語の世界。
日本語の微細な表現の違い
「怒る」と「叱る」の違い
「怒る」は、相手が自分に悪い影響を与えたり、自分が指示したとおりに動いてくれなかったりした場合に、自分が腹をたてたことを相手にぶつける動作。
すなわち、感情的に自分のイライラや怒りをぶつけるものを指す。
「叱る」は、相手が自分を含めて誰かに悪い影響を与えたり、自分が指示したとおりに動いてくれなかったりした場合に、相手をより良くしようとする注意やアドバイスを、あえて声を荒げたり、語気を強めたりして、また諭すように相手に伝える動作。
すなわち、相手を正しい方向へ導くために何が良くないのかを「気付かせる」こと、相手のためを思いアドバイスをしたり注意をしたりするものを指す。
つまり、怒るは自分のために、叱るは相手のためにするものとも考えられます。
「習う」と「学ぶ」の違い
「習う」には誰かから教えてもらう、指導を受けるという意味がある。
すなわち、人から教えを受けるということである。
これに対して「学ぶ」では、人以外の森羅万象からも教えを受けることである。
例えば「○○という経験から○○ということを学んだ」という表現はできるが、「経験から○○ということを習った」とは表現しない。
「ちり(塵)」と「ほこり(埃)」の違い
「ちり(塵)」も「ほこり(埃)」も、そもそもは数の単位のこと。
- 分(ぶ)…10のマイナス1乗
- 厘(りん)…10のマイナス2乗
- 毛(もう)…10のマイナス3乗
- 糸(し)…10のマイナス4乗
- 忽(こつ)…10のマイナス5乗
- 微(び)…10のマイナス6乗
- 繊(せん)…10のマイナス7乗
- 沙(しゃ)…10のマイナス8乗
- 塵(じん)…10のマイナス9乗
- 埃(あい)…10のマイナス10乗
- 渺(びょう)…10のマイナス11乗
- 漠(ばく)…10のマイナス12乗
- 模糊(もこ)…10のマイナス13乗
- 逡巡(しゅんじゅん)…10のマイナス14乗
- 須臾(しゅゆ)…10のマイナス15乗
- 瞬息(しゅんそく)…10のマイナス16乗
- 弾指(だんし)…10のマイナス17乗
- 刹那(せつな)…10のマイナス18乗
- 六徳(りっとく)…10のマイナス19乗
- 虚空(こくう)…10のマイナス20乗
- 清浄(せいじょう)…10のマイナス21乗
- 阿頼耶(あらや)…10のマイナス22乗
- 阿摩羅(あまら)…10のマイナス23乗
- 涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)…10のマイナス24乗
「ちり(塵)」とは、主に目に見える細かなゴミや糸屑などを指す。
「ほこり(埃)」とは「ちり(塵)」より小さいサイズのゴミなどのことを指し、小さい糸クズや土や砂などの目で見ても何かがよくわからないもの、または空気中に浮遊した状態のことを「ほこり(埃)」という。
漢字で書いた数の単位では10億分の1の「ちり(塵)」に対して、「ほこり(埃)」は1つ小さい100億分の1のことである。
不可説不可説転にも驚いたが、涅槃寂静にもただただ驚くばかりだ。
日本語の単位を表す言葉の、何と奥深いことか。
プライド
「ほこり(誇り)」は目に見えなくていい
見せなくていい
自分の胸にさえあればいいんだぜ
『あ、安部礼司 ~BEYOND THE AVERAGE~』より
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