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紫式部のスマホ
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「源氏物語」はスマホから生まれた!?2024年「◯◯のスマホ」シリーズ最新作は過去最高傑作の予感
『紫式部のスマホ』とは
2024年「◯◯のスマホ」シリーズ最新作!
光秀、秀吉、義経、家康……。
歴史上の偉人たちが「スマホを持っていたら?」という奇想天外な設定と、番組全編がスマホ画面で進行するという異例の演出で話題となった「◯◯のスマホ」シリーズ。
その最新作は2024年の大河ドラマ『光る君へ』でも描かれる平安時代の才人・紫式部を主人公に、『紫式部のスマホ』として全8話のストーリーが展開される!
「◯◯のスマホ」シリーズとは
さんざん笑ったあと、シリーズを貫く無常観にしんみり
「もしも歴史上の偉人がスマホを持っていたら?」という設定と、全編スマホ画面のみという大胆な演出のSF時代劇「◯◯のスマホ」シリーズ。
5分×8回(40分)ながら偉人の濃密な人生を描ききり、スマホによって現代人にも共感度の高いものになっている。
『光秀のスマホ』(2020年)にはじまり、『土方のスマホ』(2021年)、『義経のスマホ』(2022年)ときて、『天下人のスマホ』〔『信長のスマホ』『秀吉のスマホ』『家康と三成のスマホ』(2023年)〕とついに三英傑がそろったうえ、『家康と三成のスマホ』では関ケ原の戦いの勝敗を視聴者投票で決めるという企画を行い大いに盛り上がった。
全話あらすじ
第1話「いづれのフルムーンの時にか」
初回放送日:2024年9月9日
なんか、寂しい…
とある平安時代の、とある京都。
毎日夜空を見上げて、平凡な日々を送る少女香子に、姉光子の紹介で運命的な出会いが訪れる‥!!
そして巻き起こる衝撃的な事件と父の失職。
そんな矢先、母親代わりであった姉の身には信じられない不幸が…。
初回からハートの嵐が吹き荒れる、もう一つのあったかもしれない紫式部の物語。
ここに開幕!!
第2話「後の世に伝へさせまほしき光る君」
初回放送日:2024年9月10日
何もない、があるのよ…
姉を失い、左遷された父と越前で暮らす香子(詩羽)。
唯一の慰みは仲間と交流することだった…。
変わることのないやりとり――。
変わることのない日常――。
それを変えたのは一本の電話。
赤い涙を流す不思議な男と出会ったとき、香子の運命が動き出す。
その果てに香子が手にするものとはいったい…!?
香子の秘められた力が発揮される、高揚の第2話!!
第3話「メジャーデビューの戸を叩く人あり」
初回放送日:2024年9月11日
もう、続き書けないじゃん…
最愛の人・宣孝を失った香子(詩羽)は、京都に戻り、一人娘と変わることない日常を送っていた…。
続く無為な日々―。
そんな香子の唯一の楽しみは、物語を仲間に読んでもらうこと――。
ささやかな日常さえ、身内の裏切りによって崩されていく…。
そんな香子に救いの手を差し延べたのは、光る君だった…!?
香子を優しいオーラが包む、必見の第3話!!
第4話「あな恐ろしや、女房たちのイジワル」
初回放送日:2024年9月12日
なんで、いま…
道長(賀屋壮也)によって引き上げられた香子(詩羽)は、嫉妬の的になっていた…。
娘との変わらぬ日常だけを心の支えに生きる香子に、ついに出仕の日が迫る。
そして明らかになる事件の真相。たった一人になった香子は、逃げ場のない後宮で何を想う・・・?涙なくしては語れない、香子が式部になる第4話!!
第5話「かしこき女は生きにくし」
初回放送日:2024年9月16日
こっちは、地獄…
批判、無視、怒り、嫉妬、軽蔑。
香子(詩羽)に対する女房たちの執拗ないじめは続いていた――。
どうしてこんなにも生きるのがツライのだろう…。
そう思っていた、ソウルメイトと出会うまでは…。
魂の絆が香子を快進撃へと導く。
そして、香子を待つ新たな世界と高貴な人物とは…!?
光り輝く世界へといざなう、全ての生きる人たちへ贈る第5話!!
第6話「清らなる玉のボーイ、生まれたまひぬ」
初回放送日:2024年9月17日
ちょっと、楽しんじゃってました…
倫子、道長(賀屋壮也)との板挟みの関係に悩む香子(詩羽)――。
そんな香子に彰子の出産レポートを書くというチャンスが舞い込む…!!
自分のおかれた現状を打破するため、進み始めた香子の元に、3人の男性が現れる。
3人との時間を楽しみ我を忘れる香子…!?
絶対にこのチャンスをものにする!!
紫の波動に圧倒され、ココロがアガる。
ノンストップ第6話!!
第7話「あだになりぬる人のはて」
初回放送日:2024年9月18日
わたし、何やってるんだろう…
もう言葉にならない…。
思いとは裏腹に、チャンスをものにした香子(詩羽)の快進撃は続いていた。
あんなに嫌だったのに…。
今では人を批判し称賛される存在。
有頂天となった香子は、前だけを見て次々とライバルを蹴落としていく。
自分を見失った香子の心に、大切な人の言葉が響く…。
本当の愛とは何かを問う、クライマックスへと続く第7話!!
第8話「雲隠れにしマイライフ」
初回放送日:2024年9月19日
みんな、ありがとう…
さようなら…
もう終わりにしよう…。
全てに決着をつけるべく、香子(詩羽)は満月の男への拒絶をあらわにする。
決意を決めた香子には、最期の時が迫っていた。
死をも覚悟した香子を支えるべく集まってきたのは、大切な仲間たち。
そんな香子を救ったのは、意外な人物だった…!?
香子のつぶやきが、心に残る。
歴史に隠された最終話!!
「源氏物語」はスマホから生まれた!?2024年「◯◯のスマホ」シリーズ最新作は過去最高傑作の予感
録画ありきでスロー再生・一時停止必須の過去シリーズから改善
いくらスマホ画面のみとはいえ、テレビで観るには文字が小さい。
おまけに展開も早く、すぐに画面が切り替わる。
だから通常の放送スピードでは、ディテールのこだわりまで確認することはまず不可能だろう。
故に録画ありきでスロー再生・一時停止を駆使し再確認が必要だった過去のシリーズ。
だが、それでは視聴にややストレスがかかる。
もちろん初見の一気見などは無謀な行為といえたのである。
しかし本作ではおおいなる改善がみられた。
ネットニュースの記事については相も変わらずではあるものの、X(旧Twitter)やエゴサやLINEのやりとりが格段に確認しやすくなっている。
まず、ほとんどの長文がなくなったのは非常に助かる。
読んでいる途中で画面が切り替わってしまう長文は、「◯◯のスマホ」視聴における最大の悩みの種といえた。
それが解消されただけで、かなりシームレスに視聴が可能となった。
また、重要な文章は制作側が意図的にプチ一時停止してくれていたように感じた。
おまけに少しばかり拡大されていたような…。
おかげで本作は、過去作と比べて圧倒的に視聴ストレスが軽減されている。
これにより、『紫式部のスマホ』ではシリーズ初の一気見が可能になったことは嬉しい限りなのである。
斬新すぎる「枕草子」のギャル語訳
「もしも歴史上の偉人がスマホを持っていたら?」の設定と、全編スマホ画面のみの演出が毎度反響を呼ぶ、SF時代劇シリーズの第5弾『紫式部のスマホ』。
本作も見どころが目白押しだ。
なかでも斬新すぎる「枕草子」のギャル語訳は必見。
- 春はあけぼのがエモい
- 紫がかった雲が細くたなびいてるのって、めっちゃエモいわ
- 夏は夜しか勝たん
- ほわんって光って飛んでゆくのもチルい
- 雨が降ったら降ったで優勝よ
- 秋は夕暮れが最高
- いつメン連れて飛んでく姿って、もう天才よね
- あと雁とかマジメかってくらい
- お土産とかお菓子とかもらえる場面だと、空気ガチで地獄
衝撃の「枕草子」のギャル語訳。
でも、もしかしたらどんな現代語訳よりもわかりやすいのかも…。
正式な現代語訳と共に、ぜひとも教科書に採用してもらいたいほど秀逸な出来である。
大河ドラマ『光る君へ』では描かれない歴史
紫式部と藤原道長が恋仲ではなかった?
大河ドラマ『光る君へ』では、まひろと藤原道長は恋仲になったが、身分の差や結婚観の違いから別々の人生を歩き始める。
この設定は『光る君へ』オリジナルではあるが、紫式部と藤原道長が愛人関係だったとする説は古くから存在する。
この愛人説の発端になったのは、紫式部日記に書かれた、ある夜の出来事。
その晩のことを紫式部は、
何者かがやって来て、しつこく戸を叩いたのが恐ろしくて眠れなかった
と書いている。
そして翌日、拒まれた来訪者が冷たい仕打ちをなじる和歌が届いたと書いている。
来訪者から届けられたその和歌には恨み節が記されていて、それに対して紫式部はつれない返歌をしている。
ただ、紫式部日記に書かれているのは以上の経緯だけで、訪問者が誰だったのかはわからない。
だがこの一件から約200年後、歌人の藤原定家は、件の来訪者と紫式部が詠んだ2首を「新勅撰和歌集」に撰集し、「夜もすがら」(来訪者の和歌)の作者は藤原道長、「ただならじ」(紫式部の和歌)の作者は紫式部と明記したのである。
この藤原定家は、現在まで歌道の第一人者と仰がれる大歌人であるからその影響は大きく、紫式部と藤原道長の愛人関係疑惑の元になってしまった。
そして、新勅撰和歌集の完成から約150年後の室町時代に編纂された系図集「尊卑分脈」(そんぴぶんみゃく)には、紫式部の注記として「御堂関白道長妾云々」(関白・藤原道長の妾妻と言われている)と書かれることになり、ふたりの愛人関係説はさらに広まったと考えられている。
歴史上、紫式部と藤原道長の関係について確かなのは、藤原道長が紫式部の教養を信頼して、娘・藤原彰子の女房に抜擢し、源氏物語の執筆を支援したことだけである。
では、ふたりの間に全く恋愛感情がなかったのか。
紫式部日記には、藤原道長が恋歌めいた和歌を寄こしてからかってきたので、気の利いた返歌でやり込めたと書かれている。
ならば洗練された大人の男女ではあったと考えるのが、やはり妥当なのであろう。
純愛愛人ムーブを反面教師として、妬みや嫉みといった貴族間のドロドロの人間関係を描く『光る君へ』の手法は悪くないと思う。
純愛愛人ムーブから細かい史実と巧く合流させている秀逸な脚本には、むしろ好感すら持つことができる。
ただし紫式部と藤原道長の恋仲については、やはりあくまでフィクションの範疇でしかなく、史実と呼ぶにはかなりの疑問を残さざるを得ない。
が、ただ史実通りに描いたところで歴史ヲタクしか喜ばない。
これが大衆娯楽たるテレビの限界であり、ジレンマなのである。
そういったテレビが抱えるジレンマを、SFを媒介にして解消してくれるのが「◯◯のスマホ」シリーズであり、『紫式部のスマホ』なのである。
『紫式部のスマホ』について、観やすさと余韻の心地良さはシリーズ随一。
個人的には過去最高の太鼓判を押せる傑作だ。
新編 人生はあはれなり… 紫式部日記 小迎裕美子の枕草子・紫式部日記シリーズ
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