映画
コーヒーが冷めないうちに
恋人、夫婦、姉妹、親子…オムニバス形式だから描ける様々な愛のカタチ…徐々に明かされた知られざるそれぞれの事情に構成の妙が光る温かな感動ストーリー
映画『コーヒーが冷めないうちに』とは
"4回泣ける" と話題になったベストセラー小説が、 超豪華キャスト&スタッフで映画化!
原作
- 「コーヒーが冷めないうちに」
- 「この嘘がばれないうちに」
(サンマーク出版刊)
"あの日に戻れたら、あなたは誰に会いに行きますか―—―?"
2015年の発売以降「とにかく泣ける!」と口コミで広がり、17年には本屋大賞にもノミネートされ、"4回泣ける" と話題になった小説「コーヒーが冷めないうちに」。
舞台の脚本家兼、演出家として活躍する川口俊和先生の小説デビュー作となるこの作品を、シリーズ続編の「この嘘がばれないうちに」とともに映画化。
興行収入15億円を記録した大ヒット作品!
舞台は、とある街のとある喫茶店。
店内の【ある席】に座ると、望んだとおりの時間に戻ることができるという。
ただ、そのためには守らなければならないいくつかのルールがあった。
誰もが一度は経験のある「もしも、あの時に戻ることができたら…」という後悔の思い。
様々な思いを抱えた客たちが、今日も店を訪れる。
タイムスリップのきっかけとなるコーヒーを淹れるのは、喫茶店の店員・時田数。
かわいらしさの中にも凛とした美しさ、意志の強さを持つ数を、有村架純さんが瑞々しく演じた。
彼女が淹れるコーヒーがきっかけで、タイムスリップが起こり、登場人物それぞれのストーリーが始まってゆく。
脇を固めるキャストには、石田ゆり子さん、薬師丸ひろ子さん、吉田羊さん、松重豊氏ら超豪華な演技派俳優陣。
さらに波瑠さん、伊藤健太郎氏、林遣都氏、深水元基氏、松本若菜さんらフレッシュな実力派俳優が集結した。
監督は『リバース』『重版出来!』『Nのために』『夜行観覧車』などTBSで幅広いジャンルのヒットドラマの演出を多数手掛け、2018年には『アンナチュラル』『中学聖日記』、2019年には『グランメゾン東京』で高い評価を得た塚原あゆ子さん。
今作が映画監督デビュー作となる。
あらすじ
時田数(有村架純)が叔父で店主の時田流(深水元基)と切り盛りする、とある街のとある喫茶店「フニクリフニクラ」。
そこには、不思議な都市伝説があった。
それは店内の【ある席】に座ると、望んだとおりの時間に戻ることができるというもの。
ただし、そこにはめんどくさい…非常に面倒くさいいくつかのルールがあった。
- 過去に戻って、どんな事をしても、現実は変わらない。
- 過去に戻っても、喫茶店を出る事はできない。
- 過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ。コーヒーが冷めないうちに飲み干さなければならない。
- 過去に戻れる席には先客がいる。席に座れるのは、その先客が席を立った時だけ。
- 過去に戻っても、この喫茶店を訪れた事のない人には会う事ができない。
「ここに来れば過去に戻れるってほんとうですか?」
今日も不思議な噂を聞いた客がこの喫茶店に訪れる。
アメリカに行ってしまった幼馴染の賀田多五郎(林遣都)とケンカ別れをしてしまった三十路直前の独身キャリアウーマン清川二美子(波瑠)。
若年性アルツハイマーに侵された妻・高竹佳代(薬師丸ひろ子)と、そんな高竹を優しく見守る夫・房木康徳(松重豊)。
故郷の妹(松本若菜)を裏切って、一人スナックを営む喫茶店の常連客・平井八絵子(吉田羊)。
数に次第に惹かれていく常連客の大学生・新谷亮介(伊藤健太郎)。
過去に戻れるという【ある席】にいつも座っている謎の女(石田ゆり子)…。
どんなことをしても現実は決して変わらない。
それでも過去に戻り、会いたかった人との再会を望む客たち。
そこで彼らを待っていたものとは?
そして、主人公・時田数に隠された真実とは?
登場人物
時田 数(かず)
演 - 有村架純(幼少期:高松咲希)
時田 要
演 - 石田ゆり子
数の母親。
新谷亮介
演 - 伊藤健太郎
大学生。
数の恋人。
二美子
演 - 波瑠
OL。
五郎
演 - 林遣都
二美子の幼馴染。
高竹佳代
演 - 薬師丸ひろ子
認知症の女性。
房木康徳
演 - 松重豊
佳代の夫。
平井八絵子
演 - 吉田羊
スナックの経営者。
久美
演 - 松本若菜
八絵子の妹。
未来(みき)
演 - 山田望叶
謎の見知らぬ女子中学生。
恋人、夫婦、姉妹、親子…オムニバス形式だから描ける様々な愛のカタチ
「恋人」
気の強いOLの二美子は、幼馴染の五郎に呼び出され、この喫茶店で会った。
その足で空港に向かいアメリカに旅立つという五郎。
相談もなかったことに怒った二美子はケンカ別れしてしまった。
しかし、内心で五郎を慕っている二美子は1週間後に店に押しかけ、五郎と会った日に戻せと騒いだ。
タイムスリップしても過去は変えられないと話す数(かず)。
しかも、数が淹れたコーヒーが冷めない内しか時間はなかった。
それでも戻ろうとする二美子。
だが、問題の席には、いつも一人の女性が座り、彼女がトイレに立つ間しかタイムスリップは試せなかった。
無表情に座る女性はタイムスリップに失敗した幽霊だと話す数。
過去に戻っても吾郎とケンカをする二美子。
だが、五郎が恋人と別れたことは分かった。
現在に戻った二美子は会社を辞め、五郎を追ってアメリカに旅立つのであった。
「夫婦」
常連の中年女性・佳代は若年性認知症で夫の房木に世話されながらも、彼が夫だと認識していなかった。
それでも、過去に戻って夫に渡せなかった手紙を渡したいと話す佳代。
その手紙を妻から受け取りたい房木はタイムスリップし、認知症が軽い頃の佳代から手紙を渡された。タイムリープ
それは、記憶が無くなっても最後まで夫婦でいたいというラブレターだった。
房木は、彼が誰だが分からない佳代に改めてプロポーズする。
「姉妹」
八絵子は仙台の老舗旅館の長女だったが家業を妹に押し付け、喫茶店の近くでスナックを経営していた。
仙台から度々上京し、姉への手紙を喫茶店に預けて行く妹の久美。
だが、八絵子は一度も手紙を読もうとしなかった。
そんな時、久美が交通事故で亡くなってしまう。
久美が喫茶店に居た日にタイムスリップし、初めてじっくり話す姉妹。
久美が姉と一緒に旅館を経営したかったのだと知った八絵子は、旅館を継ぐ決意を固める。
「親子」
タイムスリップの席に座っている幽霊が、数の母親だと知る亮介。
数が6才の時に、数の母親はタイムスリップし、帰るために飲み干さなければならないコーヒーを飲まなかった。
そのために幽霊になったのだ。
母親に捨てられたと、ずっと心の傷になっている数。
亮介は大学を卒業し社会人になった。
亮介と交際し、やがて妊娠する数。
しかし、数は幸せになることに臆病だった。
母がタイムスリップするときにコーヒーを淹れたことを、数は罪だと感じているのだ。
数をタイムスリップさせて母親と会わせたい亮介。
だが、タイムスリップするコーヒーは "時田家の女性" にしか淹れられず、現在は数一人きりで、自分で淹れても失敗するだけだった。
そこで一計を案じる亮介。
ある日、店に呼び出された数の前に見知らぬ女子中学生の未来(みき)が現れた。
数のためにコーヒーを淹れ、タイムスリップさせる未来。
過去に戻った数は、母親のタイムスリップの本当の理由を知ることなる。
病弱な母親は余命3ヶ月と宣告されていて、自分の亡き後の数が心配で、数が必ず店にいる4ヶ月後のクリスマスを目指してタイムスリップしていたのだ。
母親と再会した幼い数は泣きじゃくって怪我をし、心配した母親は戻るためのコーヒーを飲みそこねて幽霊になったのだった。
自分が捨てられたのではないと安堵した数は、母親に後押しされて現在に戻る。
徐々に明かされる知られざるそれぞれの事情に構成の妙が光る
徐々に明かされた知られざるそれぞれの事情
本作は冒頭から当事者全員が登場はするものの、そもそも誰が当事者になるかなんてわからないし、それぞれの事情も伏されている。
オムニバス形式の作品では、その当事者たる登場人物は徐々に登場していくのがセオリーだと思っていたが、本作はそうではない。
そうしてそれぞれの事情が徐々に明かされていくとともに、それぞれがそれぞれの理由で当事者になっていくのだ。
その意外性と爽快感たるや、下手なミステリーのそれの比ではない。
ああ、この人にはこんな事情があったんだ。
そんな驚きと感動が各エピソードで待ち受けている。
構成の妙が光る
構成の妙が光る本作。
その巧さは、それぞれのエピソードの当事者となる登場人物が、冒頭で全員出揃うことから始まる。
そして、徐々に明かされた知られざるそれぞれの事情に、驚きと感動が押し寄せる。
その口火を切るのが、「夫婦」のエピソード。
「恋人」のエピソードは、驚きと感動というより、観る者の入り口を広くすることとチュートリアル的な要素に重きを置いていた。
そしてそれはコメディ寄りのラブストーリーといった印象だった。
だが続く「夫婦」のエピソードで、それぞれの事情が明かされた時、一気に物語に引き込まれることになる。
もうここからは涙腺崩壊の感動モード突入。
涙なしでは観れなくなってしまう。
だが「夫婦」のエピソードの役割は、感動モードへ突入させるだけではなかった。
本作はこういう構成で、こういう物語なんですよ。
そういうイントロダクションの要素が込められていたのだ。
おかげでその後の展開への期待値はMAXまで跳ね上がる。
そしてその期待は、最後まで裏切られることはなかった。
むしろ、MAXまで跳ね上がった期待値を軽々と超えていった。
もともと小説原作の作品は構成の巧い作品が多いが、本作も御多分に洩れず、構成の巧さが際立っている。
どんどん物語に引き込まれていく愉しさと歓びを、ぜひご自身でたしかめていただきたい。
ハートフルな本作は、ご家族揃っての視聴もおすすめ。
過去は変えられない…が、過去を知ることで未来は変えられる
本作の設定の実に巧妙なところは、過去にタイムスリップできるくせに未来(ここでいう未来とは「現在」のことを指す)は変えられないところだ。
タイムスリップもしくはタイムリープ作品というのは、たいていが未来を変えるために登場人物が奮闘する物語である。
それが本作では過去に若干の干渉ができはしても、未来が変わることはない。
つまりは、過去を視るだけに等しい。
だからであろう、タイムスリップの噂を聞きつけ来店した人のほとんどが、そのルールを聞いて席に座らず帰ってしまう。
しかし、そこにこそ本作の肝がある。
それでも会いたい人がいる。
それでも知りたい気持ちがある。
強くそう想える人だけが、その席に座る。
そして知られざる事情、知られざる気持ちに気づくことができるのだ。
まったく同じ映画を観ても泣く人と笑う人がいるように、物事は常に二面性を孕んでいる。
光が影を生み出すように、陰と陽は表裏一体。
メビウスの輪のように目まぐるしく入れ替わる。
過去の悔恨も、見方を変えればもしかしたら正しい選択だったのかもしれない。
だがそれを知るためには、それぞれの事情を鑑みるための、多角的な視点と思考が必要になる。
もしあなたに悔いている過去があるのなら、角度を変えて改めて考え直してみるのもいいかもしれない。
知らぬ間に思い込んでいる誤解があるかもしれないから。
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