#54
停滞する思考に一石を投じる苦言
声にできない本音を言葉に…
何かと生きづらい世の中で、思ってはいても言葉にできない声がある。
感じていても声にするのが憚られる言葉がある。
それは耳障りが悪く、心地良い言葉ではないのかもしれない。
だが言葉にされて、はじめて気づくこともある。
本稿で取り上げる言葉は、ひとつ間違えれば暴言とも受け取られかねないものだ。
しかし何かを変えるためには、声に、言葉にしてより多くの人に考えてもらうべきだろう。
本稿が停滞する思考覚醒へのキッカケとなることを切に願う。
是枝文香(日曜劇場「御上先生」より)
是枝文香
隣徳学院3年2組の副担任。
熱心で生徒からの信頼も厚い国語教師だが、文科省から御上がやってきたことで大きな影響を受けることになる。
日曜劇場『御上先生』Episode 7 -delusion- でのヒトコマ。
ヤマトタケルから3通目のFAXが届き波紋を広げる中、文科省では、津吹(櫻井海音)に悲劇が訪れる。
目の当たりにした槙野(岡田将生)は…。
一方、椎葉(吉柳咲良)が行っていたことが判明し、学校は退学処分を下す。
心配する生徒たちに御上(松坂桃李)は、椎葉の問題が、社会問題とも通じていることを提起する。
御上は「3/7」「7/7」の数字を書き、何の数字かを生徒に問う。
そして、絶対的貧困や相対的貧困、格差社会について話していると椎葉が教室に姿を現す。
話したいことがあるかと御上に聞かれた椎葉は、ゆっくりと前に出て「大切なときにこんなことで時間をもらってしまってすみません。少し話をさせてください」と頭を下げ、幼稚園の頃に両親を亡くし祖父母と暮らしていたが、祖父が認知症になったことを話し始める…。
この問題に向き合った生徒たちは、思いもよらぬ行動に出る。
「男並みに仕事ができる」は
褒め言葉だと思ってました
そうありたいって肩肘張って
でも
そうじゃないですね
「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」
「私どもの組織委員会にも女性は7人くらいおられる。みんなわきまえておられる」
これは、かつて東京オリンピック組織委員会会長だった森喜朗氏が発した言葉である。
この発言は、その少し前から徐々に注目を浴びつつあった「ジェンダー」を認知させるきっかけともなり、大きな波紋を呼んだ。
いまだジェンダー不平等の日本社会で、「わきまえた女」とは大きく2タイプいる。
まず極めて封建的な社会の中で、自分も「男化」することで既存システムに適応し、男性の感覚を取り込むタイプの女性。
またはいつまでも変わらない社会とは訣別し、「私は男性のサポート役でいい。別に差別されているとは感じない」と、現在の構造に疑問を持たない女性である。
この2タイプ。
それぞれタイプは違うが、両者には共通点がある。
それは「(男から見て)余計なことを言わない」こと。
いずれのタイプも、男性中心社会にとって「都合のいい女」であること。
それは決して卑屈なわけではなく、組織の中で生きていくためには、どちらかしかなかったんだと思われる。
「わきまえた女」とは、男性が作った男性に有利なゲームの中で生き残るために女性が編み出した、苦肉の策の必勝法なのである。
御上孝:その結果の社会が、今ここですからね
ジェンダーに平等な社会を形成するために真に必要なのは、「男に有利なルール」とか「女に配慮したルール」ではなく「みんなが幸福に働けるルール」である。
そういう価値観に社会は変わってきている。
そのあたりがアップデートできない人間は、表舞台に立つべきではない。
いつまでも社会の中心に居座るべきではない。
ましてや政に携わるなど以ての外。
この国の未来ために、今すぐ退場すべきである。
☆今すぐApp Storeでダウンロード⤵︎