Prime Original映画
沈黙の艦隊 北極海大海戦〈Prime Video特別版〉
※本稿はネタバレを含みます。ご注意下さい。
戦争とは?平和とは?政治とは何かについてを改めて問う、全世界が今観るべき問題作
Prime Original映画『沈黙の艦隊 北極海大海戦 〈Prime Video特別版〉』とは
物語は、第二章へ―――
シーズン1のドラマシリーズはAmazon MGMスタジオが日本で手掛けた作品の中で歴代1位の国内視聴数を記録した、『沈黙の艦隊』。
待望の続編は、至高の潜水艦バトルアクションを余すところなく楽しめる映画として公開される。
描かれるのは、原作漫画随一のバトルシーン〈北極海大海戦〉と、連載当時にテレビ特番が組まれるほどの社会現象となった〈やまと選挙〉。
冷たい北の海で繰り広げられる緊迫の魚雷戦。
砕ける流氷を回避しながら、最新鋭潜水艦同士の戦いが激しく加速する―――。
シリーズ随一の見所が詰まった、極上のアクション・ポリティカル・エンターテインメント。
新たなる戦いがはじまろうとしている。
「大沢たかお主演沈黙の艦隊 北極海大海戦」日本語音声と日本語字幕付き
原作:かわぐちかいじ「沈黙の艦隊」(講談社「モーニング」)
『沈黙の艦隊』は、漫画家・かわぐちかいじ先生の作品であり、同作者の代表作の一つに数えられる。
「モーニング」(講談社)にて、1988年~1996年まで連載された。
単行本は全32巻。
1990年に第14回講談社漫画賞一般部門を受賞している。
発行部数は3200万部であり、大人やティーン世代の間で大人気となり社会現象とまでなった。
それと同時に展開をめぐって外交問題にまで発展したケースさえあったが、あくまで本作はフィクション作品である。
潜水艦戦がメインという作風や核戦争と平和、政治問題などの様々な要素が含まれており、各方面から注目を集め、国会でも話題になるなどの社会現象を起こした。
連載は冷戦の頃で、物語でもそれに即した設定であったが、連載途中でソ連崩壊や冷戦終結となり、色々な変更があったという。
沈黙の艦隊 全32巻完結(モーニングKC ) [マーケットプレイス コミックセット]
あらすじ
氷の海の奥底で、死線を越えることができるか。
冷たく深い北の海を、モーツァルトを響かせながら潜航する〈やまと〉。
〈大〉いなる平〈和〉と名づけられた原子力潜水艦は、米第7艦隊を東京湾海戦で圧倒し、ニューヨークへ針路をとった。
アメリカとロシアの国境線であるベーリング海峡にさしかかったとき、背後に迫る一隻の潜水艦……。
「核テロリスト〈やまと〉を撃沈せよ―」
それは、ベネット大統領が送り込んだ、〈やまと〉の性能をはるかに上回るアメリカの最新鋭原潜であった。
時を同じくして、日本では衆議院解散総選挙が行われる。
〈やまと〉支持を表明する竹上首相は、残るも沈むも〈やまと〉と運命を共にすることとなる。
海江田四郎は、この航海最大の難局を制することができるのか。
オーロラの下、流氷が浮かぶ北極海で、戦いの幕が切って落とされる―。
登場人物
海江田四郎
演 - 大沢たかお
本作の主人公。
海上自衛隊二等海佐・潜水艦「やまなみ」艦長→同海将補(偽装工作で殉職扱いとなり二階級特進)。
海自始まって以来の英才と呼ばれ、卓越した潜水艦戦闘スキルを持つ。
その操艦能力は敵対する海軍に「海の悪魔」「モビーディック(白鯨)」などと呼ばれ恐れられるほど。
また、政治や国際情勢にも明るく、自らが宣言した「独立国家:やまと」の国家元首として各国の首脳とも会談や交渉で渡り合うほど。
クラシック鑑賞が趣味でお気に入りはモーツァルト。
「やまなみ」の乗員とともに死んだ事にされ、秘密裏に「シーバット」の艦長として着任し、アメリカ海軍の指揮下に入るが、逃亡。
「シーバット」は潜水艦を領土とする独立戦闘国家「やまと」であると宣言する。
その後、迫り来るアメリカ、ソ連海軍の猛攻をその鬼才と「やまと」の性能を駆使することで退け、自らの思想表明とその実現に向けて「やまと」を世界に発信していく。
山中栄治
演 - 中村蒼
「やまと」副長。
階級は三等海佐。
「やまなみ」の副長でもあり10年間同乗している。
真面目で海江田からの信頼は非常に厚い。
海江田が国連総会出席中に「やまと」が奇襲を受けた際、海江田が唯一依頼したのは山中の安否確認のみであり、「彼(山中)が無事であれば、全乗組員が無事です」と発言している。
操艦能力も深町が認めるほど堅実で優秀。
竹上登志雄
演 - 笹野高史
日本国内閣総理大臣。
「外交オンチ」「ボケガミ」などと酷評されていた人物だったが、「やまと」事件をきっかけに政治家として成長し、首相としての力を身につけていく事になる。
反対論が強い中で「やまと」との友好条約を結んだ上、「やまと」に浮きドック「サザンクロス」を提供するなどした。
さらには国連決議で「やまと」独立が承認されるまで陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊及び原潜「やまと」の指揮権を国連に委ねるといった外交策をも採るなど、大胆さを持っている。
英国風ではあるが、英語が堪能で通訳無しでの会談ができる程。
なお現実の外交においては要人の会談は、たとえ外国語に堪能な人物でも通訳を介するのが普通である。
海原渉
演 - 江口洋介
日本国内閣官房長官。
莫大な資産と人脈を有し「影の総理」と呼ばれる日本政界の黒幕であり、シーバット計画の黒幕でもある海原大悟の実子。
竹上派のサラブレッド。
計画が露見したときの影響を考え、父・大悟の判断により、「シーバット」計画には不参加であった。
やまと問題の処理においては、かなり強硬な姿勢でアメリカと交渉した。
政界再編においては竹上の新民自党を結成に参加、外務大臣となる。
曽根崎仁美
演 - 夏川結衣
原作では曽根崎登という名で登場する日本国防衛庁長官。
シーバット計画に関わった人物のひとりで、「シーバット」完成式に参加する。
実写版では女性の曽根崎仁美として登場。
大吾派で原作と同じくシーバット計画に関与している。
なお、実写版での設定年代に合わせて役職は防衛大臣とされている。
海渡真知子
演 - 風吹ジュン
日本民自党幹事長。
原作では海渡一郎という名で登場する。
名前と容姿のモデルは海部俊樹氏と小沢一郎氏。
民自党最大派閥に所属。
政治家としては「他人の尻拭いばかりして民自党幹事長に就任した」と語っており、「やまと」の処理問題は自分の一世一代の尻拭いであると考えている。
「やまと」政策を巡って竹上と対立し、竹上の離党及び新民自党結成後、彼に代わって民自党を率いる。
「やまと」を巡って対立しているものの、竹上への政治家としての評価は高い。
竹上再選後は連立政権に加わることを拒否、公民クラブなどを吸収合併し、巨大野党となった民自党を率いる。
実写版では女性の海渡真知子に変更され、女性の民自党幹事長になっている。
テレビ討論会に出席した際には、テレビ側の台本にない質問に対して「政治をバラエティーにしようとしている」と不満を漏らしていた。
大滝淳
演 - 津田健次郎
民自党のハト派派閥である「鏡水会」の幹事。
後に鏡水会ごと民自党を離党し、政党化した「日本鏡水会」の党首に就任する。
政軍分離・軍備永久放棄・常設国連軍創設を政策として主張。
「やまと保険」を提唱し、北極海沖でACNテレビ・クルーと共に海江田と会見し、海江田から「やまと保険」の了承を得た後、独断専行でライズとの交渉まで行う。
総選挙後は自ら新民自党の幹事長を要望した上で新民自党に合流し就任。
さらに、国連の「沈黙の艦隊実行委員会」委員長も自薦し、就任した。
他のどの作品より平和を願う戦争映画
未だ終わる気配を見せないウクライナ戦争。
人々の中から危機感が失われつつあるなか、新たに開戦したイラン戦争。
世界に紛争をばら撒き続ける大国の権力者。
我が国、日本も他人事ではない。
政府は第9条の改悪を目論み、さらに日本は死の商人に成り下がろうとしている。
本作が、なぜ話題作ではなく問題作なのか。
それは、劇中中盤の党首討論で語られた「嫌われようとも真剣に闘う」「立場を超えていかなくてはならない」という言葉にある。
この言葉は今の日本、そして世界の政治の在り方に鋭いナイフを突きつけているからだ。
平和維持のための武力は、本当に平和をもたさらすのか?
真の平和とは?
戦いたがっているのは誰?
本作は、そう問いかけている。
本来なら、潜水艦同士の緊張感溢れる戦闘シーンや、魚雷が迫る潜水艦の中のあの逃げ場のない沈黙や、大艦隊を突破していく勇壮な「やまと」の姿に手に汗握る作品なのかもしれない。
実際、それらのシーンはどれも見応えがあり、どれも圧倒されるものばかりだった。
だが、最も目を奪われたシーンはそれらではない。
党首討論、そして選挙。
平和について、真剣に語り合う政治家の姿。
考え方は様々だが、皆一様に、「戦争はしない」という強い信念と正義があった。
「戦争はしない」という共通のゴールを持ちながら、その手法を巡って火花を散らす党首たちの姿。
これこそが、今の現実世界に最も欠けている対話による戦いである。
対話のなかには、厳しい言葉もある。
夢物語のような甘い言葉もある。
が、それは政治家が、国民の代表であることを意味していた。
政治家の声は、国民の声の代弁であることを意味していた。
選挙が単なる手続きではなく、国民一人ひとりの意思表示であることを意味していた。
サナ活などと推し活気分に浮かれるバカどもに、この意味がはたしてわかるだろうか。
本作で描かれる海江田含む権力者、指揮官たちの苦悩と決断。
彼らは常に自問自答しながら、それぞれの立場で、それぞれの責任で、それぞれに信念を持ち、貫き通している。
我々現代日本人に、それがあるだろうか?
それが出来るのだろうか?
日本は二度と戦争をしない。
してはいけない。
どんなに無能であろうと、戦争を起こす、戦争に加担するようなトップを、我々は選んではいけないのである。
第9条は護られなければならない。
護らなければいけない。
本作を観て、改めて強くそう思った。
世界平和。
それは日本人のみならず、全世界の人間が望んでいることである。
だからこそ、全世界の人が観るべき作品だと思う。
他のどの作品より平和を願う戦争映画。
今、このタイミングで本作を観られたことに心から感謝する。
戦争はしない、加担もしない。
言葉でいうのは簡単だ。
平和を願うことは、誰でもできる。
だが、平和を選ぶためには覚悟が必要だ。
海江田の覚悟が、我々にあるか?
【チラシ付映画パンフレット】 『沈黙の艦隊 北極海大海戦』 出演:大沢たかお.上戸彩.江口洋介
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