〇〇の声優がこの人で本当によかった
冴羽獠：CV.神谷明(アニメ『シティーハンター』より)
アニメ『シティーハンター』とは
アニメ『シティーハンター』とは、北条司先生による漫画を原作としたアニメ作品。
東京・新宿で殺し・ボディーガード・探偵等を請け負うスイーパー「シティーハンター」冴羽獠の活躍を描くハードボイルドコメディ。
1987年4月から通算3年半放映された(1年ごとにタイトルに「2」や「3」が付き、91年度は「'91」と付いた)他、劇場版も3作制作された。
制作を担当したサンライズは「ガンダム」などロボットをメインとしたアニメオリジナル作品が中心だったなか、本作が最初の漫画原作のアニメ化となった。
なおアニメでは原作と設定が異なっており、原作のキャラクターが登場しなかったりする。
オリジナルエピソードが多く、なかには「敵に洗脳された香が獠と戦う」という話もある。
たとえば、原作では新宿を陰から牛耳る組織「ユニオン・テオーペ」との戦いがストーリーの本筋になっているのだが、アニメ版はユニオン・テオーペの存在はまったく語られておらず、原作では槇村を殺害するのはユニオン・テオーペが流した麻薬エンジェル・ダストを打たれたチンピラだったのに対し、アニメ版では赤いペガサスという別の組織に雇われたフリーの殺し屋・ジェネラルに代わっている(ジェネラルは原作ではユニオン・テオーペの幹部)。
これらの設定変更の関係でアニメ版では初期の段階で原作終盤の展開に繋がるフラグは事実上折れている。
……と思われていたが、2023年の劇場版『天使の涙(エンジェルダスト)』によってユニオン・テオーペとの対決が描かれることとなった。
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冴羽獠
アニメ『シティーハンター』の主人公で通称「もっこり男」、または「新宿の種馬」など。
表向きはパートナーの槇村香と共にボディガードや探偵業を営む「冴羽商事」の社長兼「冴羽アパート」の管理人。
「裏の顔」を詳しく知っている者はそれほど多くなく、新宿近辺、特に歌舞伎町では新宿イチのスケベ男としての素行の方が知れ渡り、「もっこりスケベ」で「女好きだが男や子供は大嫌い」といった風評(事実だが)や、テレビアニメシリーズでは「遊び人リョウちゃん」なるアダ名で通っている。
しかしその実態は、新宿を拠点に活動する超一流のスイーパー。
シティーハンターは、裏社会における冴羽獠の通り名であり並大抵のヤクザやチンピラなどは、その名を聞いただけで戦慄し「冴羽様」と恐れる実質的な街の顔役。
その実力は裏社会で「最強のプロ」と恐れられるほどである。
暗殺者や傭兵といったその道のプロでさえ、「シティーハンターの冴羽獠」が絡んできたと知れば警戒を露にする。
ギリギリまで追い詰められた者が最後に頼る凄腕として知られ、彼に依頼するには新宿駅東口の伝言板に "XYZ" と書く、バーでカクテル "XYZ" を注文するなど、アルファベット最後の三文字で「もう後がない」という意味を含んだ独特な連絡手段を用いる。
運動神経抜群であり、日々の鍛練で鍛え抜かれた肉体から驚異的な身体能力を発揮する。
それに加えて、戦闘に必要な技術と情報全般に造詣が深く、置かれた状況や相手の特徴を正確に把握して対処する判断力と応用力で凄まじいまでの動きと戦法を繰り出す。
特に拳銃による射撃の腕前は超一流で、その正確無比で超精密な狙撃は同じ箇所に数発弾丸を撃ち込むワンホール・ショットさえも可能にするほどである。
幼い頃に遭った飛行機事故のせいで戦場のゲリラの村で育ったので義務教育は受けていないが、養父※1.の薫陶によるものなのか、教養は非常に高い。
自分の壮絶な過去や内面に対しては他人にはひた隠し、それらを探られると一変して不器用で屈折した様なナイーブさを見せるが、そうした面も力無き被害者の肩代わりという原動力になっていると思われる。
しかしいざ戦闘となれば精神面も強靭で、どのような敵に対しても怯むことなく、常に余裕綽々とした態度を崩さない。
プロ意識とプライドも高く、プロとして相対するのであれば敵味方関係なく、相手の腕前に対して軽はずみなお世辞は決して言わないし、逆に甘く見ることも無い。
黙っていればハードボイルドな風貌の「いい男」なのだが、性格は超が付くほど女好き。
獠がよく使う単語「もっこり」は、獠及び『シティーハンター』という作品の代名詞にもなっている。
また実年齢を誰に聞かれても決して明かさない秘密主義者で、常に「20歳」だと主張し続けている。
※1.優秀な戦士だったブラッディ・マリィーの父と海原神を親代わりに育ち、彼らによって戦う術や武器の扱いなどを教えられ鍛えられた。
獠の戦闘技術や知識、身のこなしはこの頃から培われたものである。
自分と同じ日本の血を引く海原のことを「親父」と呼んで実の父親のように慕い、海原も獠のことを本当の息子のように愛していた。
冴羽獠の声優が神谷明氏で本当によかった
特に1970年代～1980年代にかけて、圧倒的な人気を誇ったレジェンド声優・神谷明氏。
当時のアニメ雑誌の声優ランキングを見ると、軒並み1位を獲得している。
当時は "声優界のプリンス" という二つ名を持っていて、アニメ誌の表紙のグラビアを飾るなど第2次声優ブームを先端を行く存在だった。
「アニメグランプリ」※2.でも、11回にわたり1位を獲得した唯一の男性声優となっている(これは林原めぐみさんとタイ記録)。
テレビのバラエティ番組などの「声優ランキング」的な企画では、現在も必ず名前が挙がることから一般人気も幅広く知名度も高い。
声種は「明るく澄んだハイバリトン」※。
声域はG - F。
幅広い役どころを持ち、高音から低音まで使い分ける。
神谷明氏がレジェンド声優と呼ばれる所以は、演じてきた役所をみれば一目でわかる。
『キン肉マン』では、あえてダミ声で三枚目キャラのキン肉スグルを演じ、『北斗の拳』のケンシロウ役では、格闘シーンで "アタタタタッ！" と甲高い声の掛け声を披露。
るーみっくアニメ作品では、『うる星やつら』の面堂終太郎や『めぞん一刻』の三鷹瞬といったひと癖あるキャラクターの声も演じている。
近年の一番のハマり役といえば 『名探偵コナン』の毛利小五郎役だろう。
数々の名キャラクターを演じ、育ててきた神谷明氏はレジェンドの名に相応しい声優である。
なかでも『シティーハンター』の冴羽獠役は、一番のハマり役。
神谷氏曰く「ただの二枚目役はお話が余程面白くないと演じていてつまらない」としている。
さらには「どちらかと言えば二枚目であっても面堂終太郎のように俗っぽさや三枚目の要素を持っている方が演じていて楽しさがある」と語る。
その言葉通り、『うる星やつら』で「二枚目と三枚目の同居した」面堂終太郎役を演じたことが『キン肉マン』の主演へと繋がり、その後の『シティーハンター』冴羽獠役が「集大成」となる。
たしかにキン肉スグルは三枚目寄りすぎるし、ケンシロウは二枚目すぎる。
ならば面堂終太郎くらいが丁度いいと思われるが、目立つキャラとはいえいかんせん脇役にすぎない。
こうしてみると、神谷明氏が演じた数多のキャラクターの中で、冴羽獠以上に二枚目なのに俗っぽさや三枚目の要素を持っているキャラクターはたしかにいない。
何より神谷明氏の声がなければ、アニメ『シティーハンター』は名作たり得なかったかもしれないのである。
なぜなら、アニメ『シティーハンター』が今でも大好きな作品にしてくれたのは、他ならぬ神谷明氏演じる冴羽獠なのだから。
ちなみにファンのみならず、神谷明氏にとっても冴羽獠は一番のお気に入りキャラクターであったらしい。
神谷氏が立ち上げた事務所の名前は、なんと「冴羽商事」。
神谷氏が事務所を立ち上げる際に事務所名をどうするかで親睦があった『シティーハンター』原作者・北条司先生に相談したところ、北条氏より「冴羽商事」と「もっこりカンパニー」の二つ名前が挙がったという。
なお、事務所名について神谷氏は「公の場で事務所名を言ったり電話口で応対する事もあるから、"もっこりカンパニー" は流石に選べなかった」と、現在の名前を選んだ理由を語っている。
当の北条先生はまさか本気だと思っていなかったらしく、神谷氏が設立の報告に行ったところ「エッ、本当につけたの？」と驚かれたという逸話がある。
※1.アニメグランプリ
アニメ雑誌「アニメージュ」が主催するアニメーション作品を対象とした賞で、 アニメブーム期の1979年に始まり40回以上の歴史を持つイベントである。
読者の人気投票によって各部門の受賞が決定される。
※2.ハイバリトン
「バリトン」は声楽における男性の声域のひとつで、バリトンの中でも高音域を得意とする声域のことを「ハイバリトン」という。
一般的に、テノールとバスの中間の声域を指し、特に明るく高音が出るバリトンを指す。
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