〇〇の声優がこの人で本当によかった
子翠 / 楼蘭:CV.瀬戸麻沙美(アニメ『薬屋のひとりごと』より)
アニメ『薬屋のひとりごと』とは
『薬屋のひとりごと』は日向夏先生による同名中華風ファンタジー推理小説を原作としたアニメ作品である。
後宮を舞台に「毒見役」の少女が、様々な難事件を解決する、シリーズ累計3,800万部突破の
大人気後宮謎解きエンタテインメント。
中世の東洋に位置する架空の大国(作者によると唐代がモデルとなっている)「茘(リー)」を物語の背景とし、その帝の妃たちが住まう後宮が主な舞台となっている。
下女として後宮へ売られた薬師の少女・猫猫(マオマオ)が謎の多い美貌の宦官・壬氏(ジンシ)と共に後宮に関わる人間模様や騒動・陰謀を紐解いていく。
中世の後宮における帝や妃、それを取り巻く人々の哀切や情緒を、主人公・猫猫の淡々とした視点で綴っていく作風が特徴である。
恋愛物としても紹介されているが、猫猫のツンデレというよりドライな性格もあって、もう一人の主人公である壬氏が空回りするコミカルな面が強い。
花街を舞台のひとつにおき、主人公自身が花街お抱えの薬屋薬師、生活の為に外を出歩き、翌々は身売りの身が待ちかねない危険と隣り合わせの生活を送ってところを後宮に拾われたという経緯も相成り、漫画版2作はいずれも青年漫画による連載、原作小説も「なろう」連載時にはR-15指定、グロ描写あり(R-15G)の注意喚起を行っている。
アニメ版も、地上波では日を跨いだ深夜放送として開始が予告され(BS日テレ、AT-X、アニマックスは遅れ放送、放送日当日ながらも21時以降と「夜遅く」の放映)、結果的にこれに倣う形となった。
動画配信も広くSVODが占め、視聴者が未契約・児童の場合は要保護者同意、無料配信は課金手段の中の抜け穴に過ぎない事実上の制限が課せられている。
原作者である日向夏先生は、「なろう」版に続き、アニメ版放映前に猫猫の実験を真似しないように、と述べている。
子翠 / 楼蘭
「子翠」とは、『薬屋のひとりごと』に登場するキャラクターで猫猫と親しくなるひとり。
小蘭同様に明るく人懐こい性格。
猫猫は薬草、子翠は虫と、分野は違えど通ずる部分がある研究者肌の少女で、高価な紙に虫の絵を描いたり、読み書きができるほど、かなり頭も良い。
度を越えた虫好きで、「笑いながら虫を集めている変な女がいる」と下女の間で噂になるほど。
「笑いながら薬草やトカゲを追いかける変な女(猫猫)と同一人物」との噂も流れており、事実を知らされた猫猫は汚名を晴らすため、子翠を捜しまわるハメになってしまう。
もうすぐ後宮の勤めを終えるが行く宛のない小蘭に、コネの作り方やマッサージの方法を教えるなど面倒見もよく、仲良し三人組となる。
着やせするタイプでスタイルもよく、猫猫はうらやましそうな(半ばイヤらしい)目で浴場で薄着になった胸を見、子翠からいやがられている。
また、上背もそこそこある様子である。
しかし「どこ」所属の侍女、あるいは女官であるのか知る者はおらず、彼女の名や顔を詳しく知る者は猫猫と小蘭のほか、翡翠宮の侍女・赤羽しかいない。
後宮の侍女の名をある程度把握している壬氏や高順でさえ、彼女の名を知らないことが後に発覚する。
【1-09 子翠 (キャラクターカード/R レア)】薬屋のひとりごと ウエハース
その正体は、後宮から去った阿多妃に代わり上級妃である "淑妃" の位についた、「楼蘭」妃その人である。
自身と顔や体格の似た者を侍女として大勢集めて彼女らに影武者をさせつつ、自らは女官の扮装をして後宮内の情報を集めていた(楼蘭妃でいる時、猫猫たちの前で声を出さなかった理由は「影武者と入れ替わる都合上、声で入れ替わりがバレるのを防ぐため」)。
猫猫は虫の記録をつける子翠を見て、貴重な紙をたくさん持っている上に字も書けることから、高貴な身分の出身ではないかと薄々勘付いていた。
また、氷菓のトッピングに使った物の好みが同じだったり、怪談を語る横顔が似ていたりと、視聴者への伏線はそこそこ存在していたりする。
昔から侍女のふりをして屋敷を脱走し、市井の人々と触れ合っていたため気さくな性格をしており、子の一族内の者たちからも慕われている。
子の一族の家長である子昌と後妻の神美(シェンメイ)の間に生まれた娘であり、子昌の先妻の娘の翠苓こと子翠の異母妹。
つまり楼蘭は、姉の本名を使って女官として働いていた。
しかし、元々本家出身の神美の方が発言権が強かったため、翠苓は「子」の名を名乗ることを許されず、一族内では臣下として扱われ神美に虐げられていた。
しかし楼蘭は姉とは仲が良く、両親の目がないところでは姉妹として接しており、翠苓にとっても楼蘭は大切な妹である。
【1-08 楼蘭妃 (キャラクターカード/R レア)】薬屋のひとりごと ウエハース
「子翠 / 楼蘭」の声優が瀬戸麻沙美さんで本当によかった
今や押しも押されもせぬ覇権アニメとなった『薬屋のひとりごと』。
その第25話(第2期第1話)「猫猫と毛毛」で初登場を果たしたのが新キャラクター・子翠である。
子翠は第2期の軸になるキャラクターだ。
第2期の猫猫の行動をよくよく振り返ってみると、そのほとんどが子翠に繋がっており、物語も子翠を中心に展開していく。
一見下女風の子翠がなぜキーパーソンなのか?
それは子翠=上級妃・楼蘭だったからである。
おかげで子翠は、物語に深く関わる重要キャラであるとともに、非常に難しいキャラクターでもあった。
そして、その重責を任されたのが瀬戸麻沙美さんである。
『呪術廻戦』の釘崎野薔薇役、『【推しの子】』の不知火フリル役、『陰の実力者になりたくて!』のアルファ役、アニメ『それいけ!アンパンマン』ではシナモンロールちゃん役など、瀬戸麻沙美さんの活躍は多岐に渡る。
代表作であるアニメ『ちはやふる』の主人公・綾瀬千早役を射止めた際には、「わざとらしさや、けれんみのない無垢な芝居が決め手になった」と高く評価された。
また『Fate / GrandOrder』で果心居士役を演じる際に、多少の演技指導を受けただけで果心居士特有のAI音声染みた無機質な喋りを無加工で演じるという離れ業を披露するなど、たしかな実力と高い人気を誇る名優である。
そんな瀬戸麻沙美さんをしても、子翠は難しい役どころだったと思われる。
子翠は第2期から登場した新キャラクターだが、実は楼蘭として第1期ですでに登場している。
つまり瀬戸さんは第1期でも楼蘭役として出演していた。
が、キャストはクレジットされていなかった。
これは、子翠=楼蘭というネタバレを避けるための配慮だったのだろう。
瀬戸さんの第1期登場時は息のお芝居がメインで、セリフとしては壬氏様に「ごきげんよう」と言うところだけ。
だが、たったひと言とはいえ、このひと言で楼蘭のキャラクターイメージが決まる。
つまりは子翠の演技プランまでもが決まる、非常に重要なシーンであったが、このたったひと言を瀬戸さんは好演している。
子翠として登場してからも、正体が明らかになる前から意味深な発言で、楼蘭としての顔が見え隠れするシーンもあった。
あちこちに、ただの天真爛漫な下女ではない "匂わせ" がちりばめられていた。
子翠が無意識で匂わせてしまっているシーンがあれば、意識して匂わせているシーンもある。
これがまた、非常に巧妙だった。
たしかに観返してみると無意識に出てしまうところは猫猫目線、意識的にやっているところは子翠目線でそれぞれ描かれている。
しかし一度観ただけではそうとは気づかない。
気づけない。
何度か観返してようやく気づけるか気づけないほどのこの巧みな仕掛け。
この描写が成立でき得たのは、間違いなく瀬戸さんの名演技の賜物である。
瀬戸さんの名演技といえば、第45話 「蟇盆(たいぼん)」のワンシーンを外すわけにはいかない。
この回で瀬戸さんは、神懸かり的な名演技を魅せている。
「子翠」と「楼蘭」、どちらで呼ぶのか迷う猫猫。
そもそも「子翠」は偽りの仮面である。
その仮面を脱いで正体を明かした今、本来なら「楼蘭」と呼ぶのが正しいのだろう。
だが「子翠」と過ごした日々が、猫猫に「楼蘭」と呼ぶことを躊躇わせる。
「子翠」と過ごした日々は、猫猫にとっても楽しい思い出だったから。
短い逡巡の末、猫猫は「子翠」と呼びかける。
すると「子翠」に戻った「楼蘭」は、驚いたような顔を見せ、たったひと言「なあに」と返す。
このシーンはとても印象的だった。
なんといっても見どころは、猫猫が「子翠」と呼んだ後の "間" である。
自分はいったい誰なのか?
猫猫が「子翠」と呼んだ後のこの "間" に、「楼蘭」の心の動きが見て取れる。
この "間" で垣間見える「楼蘭」の逡巡。
それは猫猫がどう呼ぶかを迷った時に思い浮かべたものと、きっと同じだったのだろう。
この "間" にすべての答えが詰まっていた。
そしてこの「なあに」というたったひと言には、『薬屋のひとりごと』第2期のすべてが凝縮されていたようにも感じる。
「楼蘭」の最大の見せ場といえば、誰に聞いても世紀の悪女を演じた一世一代の舞踏シーンと口を揃えるだろう。
たしかにこのシーンは泣けた。
「楼蘭」の潔さと矜持を感じさせる、第2期きっての名シーンである。
だが個人的には「なあに」のひと言こそが一番の名シーンであり、『薬屋のひとりごと』第2期屈指の名シーンである。
『薬屋のひとりごと』第2期は、猫猫と子翠に小蘭を含めた下女トリオが中心となった物語である。
この三人が揃うシーンはどれも心が和んだ。
だが、この三人が揃うことはもうない。
そう思うと、寂しくてたまらない。
ほんの少しだけでいい。
いつかまたこの三人が揃うことを心の底から願う。
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