今夜月の見える丘に / B'z (2000年)
「たとえばどうにかして君の中入っていって、その瞳から僕をのぞいたら、いろんなことちょっとはわかるかも」
「今夜月の見える丘に / B'z (2000年)」とは
「今夜月の見える丘に」は、B'zの27枚目のシングル。
2000年2月9日発売。
驚異的な視聴率を記録したかの日曜劇場『Beautiful Life〜ふたりでいた日々〜』の主題歌。
このドラマが驚異的な視聴率を誇ったこともあって、22ndシングル「Calling」以来3年ぶりの15作目のミリオンセラーを記録。
CDシングルではB'z最後のミリオンセラーシングルである。
当然ながらオリコン週間チャート1位を獲得。
B'zの数あるバラードの中でも有名な曲のひとつ。
イントロにマンドリンが取り入れられているのも特徴。
実は元々ドラマ主題歌として製作されていたのは別の曲だったが(「RING」という説もあるが、B'zの2人はそれを明言していない)、脚本を担当した北川悦吏子さんがその曲を聴いたところ「曲の雰囲気が暗く重すぎる」という理由でボツになり、改めてこの曲が作られることになった。
また、当初はその「RING」もカップリングに収録した3曲構成で2000年1月26日に発売される予定だったが、カップリングにはもったいなく感じる程完成度に満足したためか土壇場で「RING」は外され、2曲構成で発売された(「RING」は後に30枚目のシングルとして発売された)。
間奏のギターソロは3パターン存在する(シングルバージョン、アルバム「ELEVEN」収録のバージョン、バラードベストに収録のバージョンの3種)。
歌番組やライブでよく披露されるのは「ELEVEN」でのギターソロである。
大切なのは相手を知ろうとする心
たとえば どうにかして 君の中 ああ 入っていって
その瞳から僕をのぞいたら
いろんなことちょっとはわかるかも
幻想的でメロディアスなイントロイから、聴いた誰もが感嘆したであろうこの名フレーズで歌い出す本作。
そんなことがもし本当にできたなら、生きることはきっともっと簡単なのだろう。
他人の目は気にしない。
口で言うのは簡単だ。
しかし「自分らしさ」や「個性」といったアイデンティティも、他人や社会からの承認、すなわち他人の目によって形成される自己の確立でしかない。
所詮は皆、「自分らしさ」を演じているだけに過ぎず、本気で自由奔放に生きていける人間などほんのひと握りしかいない。
大抵の人はひとりでは生きていけないのだ。
生きるためには、他人との関わりが必要不可欠になる。
だからほとんどの人は他人の目を気にするし、他人の評価を意識する。
だけど人は神様でもエスパーでもない。
ニュータイプにだってまだ覚醒できていない。
他人の気持ちを察し推し量ることはできても、心に秘めた本心までは理解することができない。
たとえ何かほんの一部に共感することはできても、すべてをわかり合うなんてことはできないのだ。
人がそんな便利になれるわけない。
だから人は悩む………。
と、ここまで、人と人がわかり合うことの難しさを説くために用いた文字数はおよそ380。
蛇足もあったし、これですべてが伝わったかというと甚だ疑問が残る。
他人に言葉で何かを伝えるというのは、非常に難しいことなのだと改めて思い知る。
しかし稲葉浩志氏はそれをたった55文字ほどで、簡潔かつ的確に、こうも見事に言語化してしまった。
しかも誰にでもわかるシンプルな言葉の組み合わせだけで、だ。
好意も善意も、良かれと思ってしたことは、本当に相手のためになったのか?
痛いこと 気持ちいいこと
それはみんな人それぞれで
ちょっとした違いにつまづいて
またしても僕は派手にころんだ
傷ついて やっとわかる
それでもいい 遅くはない
大切なのは相手を知ろうとする心。
わかろうとする心。
そして、わかったふりをしないこと。
いつでもそうやって笑ってないで
かけらでもいい 君の気持ち知るまで
今夜は一緒にいたいよ
真に人に寄り添うとは、きっとこういうことをいうのだろう。
世界から「思いやり」の心が消えつつある。
右を向いても左を向いても己、己、己。
自分が、自分が、自分がと、皆が自己顕示欲を撒き散らす。
そんな荒んだ世界では、相手を知ろうとする心なんてものは無用の長物なのかもしれない。
他人の幸せを本気で願うなんて、馬鹿げたことなのかもしれない。
でも、だからこそ、今夜は月でも眺めながら内なる声に耳を傾け、心というものと向かい合ってみたいと思う。
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