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ioritorei’s blog

完全趣味の世界

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【短編映画『おめでとう、ありがとう。』】母さんには言えない秘密のメール相手…映画と呼ぶにはあまりに短く、それでもしかしたった〈6分〉で満たされる感動物語。

 

短編映画

おめでとう、ありがとう。

※本稿はネタバレを含みます。ご注意下さい。

 

 

母さんには言えない秘密のメール相手…映画と呼ぶにはあまりに短く、それでもしかしたった〈6分〉で満たされる感動物語

 

 

 

 

 

 

 

短編映画『おめでとう、ありがとう。』とは

 

 

"会いたいのに会えない"、"遠いふるさとへの思い"、などをテーマにした短編映画を募集する企画があり、脚本の市村政晃氏に相談したことが始まりだった。

 

「離れて過ごす親子がお互いへの思いを紡いでいく」という物語。

 

市村氏が書いてくれたのはそんな世界。

出演者の鈴木りほさんと松坂龍氏には、ワークショップつながりで声をかけさせてもらい、微妙な距離感の親子の関係を模索してもらうことになった。

ちょうど桜の時期だったこともあり、無理やり桜の場面を盛り込んで、結局毎回バタバタしながらの撮影になりつつも、なんとか作品を作っていったという流れで。

完成作品の長さは<6分>。

映画というには本当に短い作品ではあるが、短いからこそ感じられる世界がある。

 

 


www.youtube.com

 

 

 

短編映画「おめでとう、ありがとう。 」完全版(映画祭グランプリ受賞) / cortometraggio " CONGRATULAZIONI, GRAZIE. "

 

 

幼い頃の両親の離婚により、離れ離れに暮らす娘とその父親。

年に数回だけのメールのやりとり。

その想い。

 

 


www.youtube.com

 

監督:飯野 歩

脚本:市村政晃

出演:鈴木りほ / 松坂 龍

撮影・編集:飯野 歩

音楽:Apple Loops for Soundtrack Pro    フリー音楽素材 H/MIX GALLERY

監督助手:木村祐介

機材協力:松田 彰

協力:有馬湯 / studio AGIRA / FHプロモーション

制作: 映画脳 filmo cerbo

 

 

 

たった〈6分〉で満たされる感動物語

 

 

物語の始まりはこんなセリフだった。

「母さんには言えない秘密のメール相手」

こう聞いて、あなたはどんな想像をするだろう。

SNSは情報収集や表現、人間関係の構築に役立つ一方で、使い方を間違えるとリスクも伴う。

拡散力の高さや匿名性。

相手の顔が見えないコミュニケーション。

どこの誰ともわからない人とつながることができるSNSは、知らず知らずのうちに犯罪に巻き込まれる可能性をおおいに孕んでいる。

よしんば犯罪とまではいかなくても、SNSで気分を害した記憶のひとつやふたつ、誰にでもあるだろう。

故におおかたの人とって、SNSへのイメージはけして良いものとは言えないのではないだろうか。

そんなSNSの負のイメージを連想させる冒頭のセリフ。

恥ずかしながら、いかがわしい想像が脳内を駆け巡る。

タイトルには似つかわしくないなと思いながらも、下品な想像が一気に脳内を支配する。

だが、メールの相手がわかった途端に己を恥じた。

メールの相手は、離婚により離れ離れに暮らす父親だ。

SNSといっても、年に数回だけメールのやりとりをする程度。

なんて歯痒くて、なんて切ないのだろう。

父親とは8歳の時に別れたきり。

だけど離れても切れなかった絆。

失いたくない絆。

今さら何を話したらいいのかなんてわからない。

だから嬉しいことがあった時だけメールを送った。

ふたりをつなぐ言葉は「おめでとう」と「ありがとう」だけ。

余計なことは言わないし、聞かない。

伝えたいことや聞いてほしいことはたくさんあるのに、それを伝える言葉が出てこない。

だからただひと言、「おめでとう」と「ありがとう」の言葉に幾千幾万の想いを込める。

「おめでとう」

「ありがとう」

このメールのやりとりに、ふたりの微妙な関係性や距離感のすべてが込められている。

リテラシーの低下でデメリットばかりが悪目立ちしているけど、SNSも悪いことばかりじゃないな。

本作を観て、そう思うことがほんの少しできた。

結末を知って、平凡なストーリーだと感じた人もいるかもしれない。

だが本作からはお涙頂戴だけではない、感動を超えたなんとも言えない深みを感じる。

それはSNSでのコミュニケーションに慣れきった現代人の心の渇きを満たす何か、なのかもしれない。

たった〈6分〉の物語だが、過不足なく満たされた充実した時間。

短い作品だけど物足りなさを感じることはない。

このような素晴らしい作品が、日の目を見ることなく埋もれていってしまう。

なんてもったいないことだろう。

願わくば、本作が多くの人の目にとまりますように。

そしてこの感動が多くの人の心に届きますように。

 

 

 

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