日本映画
きさらぎ駅 Re:
※本稿はネタバレを含みます。ご注意下さい。
あの生還から3年ー再びあの駅へー常識を超えた結末の先とは?
日本映画『きさらぎ駅 Re:』とは
これはただの続編ではない
「きさらぎ駅」を超える "衝撃"
2004年1月8日、「はすみ」と名乗る女性がこの世に存在しない「きさらぎ駅」という異世界駅に辿り着いた体験を匿名掲示板「2ちゃんねる」に投稿したことをきっかけに、ネットミームとして普遍的な人気を誇る「きさらぎ駅」。
2022年6月には映画『きさらぎ駅』が公開され、ネットや口コミで大流行、スマッシュヒットを果たし、社会現象を巻き起こした。
そして…遂に!
前作のその後を描く新作続編『きさらぎ駅 Re:』が誕生。
主演には前作できさらぎ駅から帰還した宮崎明日香を演じ、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2024」ではヌーヴェル・エトワール賞を受賞するなど活躍が目覚ましい本田望結さん。
前作できさらぎ駅に取り残された堤春奈役を演じ、直近では『今際の国のアリス』シーズン2(2022年 / 佐藤信介監督)や『御手洗家、炎上する』(2023年 / 平川雄一朗監督)など、話題作への出演が続き注目されている恒松祐里さんらが続投。
さらに、前作から佐藤江梨子さんほか、芹澤興人氏、瀧七海さん、寺坂頼我氏らも再び登場。
そして新たな顔ぶれとして奥菜恵さんほか大川泰雅氏らが登場し、物語に彩を添える。
メガホンを取るのはもちろん「きさらぎ駅」や「リゾートバイト」を始めとするネット都市伝説を元にした映画化で定評があるホラー界で今、もっとも注目されている監督・永江二朗氏。
あの生還から3年ー再びあの駅へー常識を超えた結末の先とは?
監督:永江二朗
脚本:宮本武史
主題歌:弌誠「ガタゴト」(VAP)
プロデューサー:上野境介 伊藤修嗣
撮影・照明:早坂伸
録音・整音:指宿隆次
編集:大橋正和
音響効果:花谷伸也
フォーリーアーティスト:山川史男
フォーリーレコーディスト:水木伽名子
カラリスト:稲川実希
スタイリスト:網野正和
ヘアメイク:木内香瑠 西村桜子
キャスティング:北田希利子
ラインプロデューサー:酒井明
スチール:向井宗敏 中居挙子
和太鼓楽曲提供:TAIKO-LAB「水花火」
特別協力:遠州鉄道株式会社
都市伝説「きさらぎ駅」再び
「きさらぎ駅」の都市伝説がネット上で最初に語られたのは、2004年1月8日深夜のことである。
始まりはインターネット掲示板「2ちゃんねる」のオカルト超常現象板にあった実況形式スレッドに怪奇体験の相談を「はすみ(葉純)」と名乗る女性とみられる人物が投稿したことであった。
相談の内容は、
98:気のせいかも知れませんがよろしいですか?(2004/01/08 23:14:00)
101:先程から某私鉄に乗車しているのですが、様子がおかしいのです。(2004/01/08 23:18:00)
から始まるもので、新浜松駅から乗車した遠州鉄道の電車がいつもと違いなかなか停車する様子がなく、ようやく到着した駅が「きさらぎ駅」という名称の見知らぬ無人駅だったというものであった。
以後翌日未明にかけて、投稿者「はすみ」とスレッド参加者との応答がリアルタイムで進行した。
投稿された相談内容によると、周囲は人家などが何もない山間の草原で、直前には実在しない「伊佐貫」という名称のトンネルを通ったと語っている。
その後、不意に降り立った駅の周辺では奇妙な出来事が次々に起こり、携帯電話で助けを求めてもまったく取り合ってもらえなかったという。
途方に暮れていたところに、たまたま通りかかった車に乗せてもらった車中でスレッドへの書き込みが途絶え、以後の消息が絶たれたことになっている。
この一連は現代版「神隠し」といわれ、「はすみ」の状況や「きさらぎ駅」の所在地などを巡り、ネットで多くの議論が巻き起こった。
その後、アニメ・漫画など「きさらぎ駅」を舞台にした物語が登場し、SNSでのトレンド入りとなるなど、十数年の時を経ても根強く関心が持たれている。
ひらがなで「きさらぎ駅」と表記するのが一般的であるが、のちの体験談や考察では「如月駅」や「鬼駅」などの表記も見られる。
また、その後都市伝説として語られるようになった類似の架空の駅を含む総称として「異界駅」と呼ぶことがある。
あらすじ
3年前、異世界「きさらぎ駅」から奇跡の生還を果たした宮崎明日香(本田望結)。
しかし、彼女の外見は20年前のまま――その異質な存在は、世間の冷たい視線と疑念に晒されることとなった。
孤独と絶望に沈む明日香の前に現れたのは、ドキュメンタリーディレクターとして名を馳せる角中瞳(奥菜恵)。
この運命的な出会いが、明日香の心に新たな決意を芽生えさせる。
かつて命を懸けて救ってくれた堤春奈(恒松祐里)、そして異世界に取り残された者たち――彼らを助けるため、明日香は再び「きさらぎ駅」へと足を踏み入れる。
果たして、彼女を待ち受けるのは救済か、それともさらなる絶望か。
前作を凌駕する衝撃の展開に、あなたは息を呑む――!
登場人物
宮崎明日香
演 - 本田望結
高校生の時にきさらぎ駅に迷い込み、3年前に春奈に助けられる形で帰還している。
外見は行方不明となった20年前のまま。
堤春奈
演 - 恒松祐里
3年前の大学生の時にきさらぎ駅に純子から聞いた手順でたどり着くが、そのまま異世界に取り残されている。
葉山純子
演 - 佐藤江梨子
「きさらぎ駅」の投稿者「はすみ」とされる女性。
角中瞳
演 - 奥菜恵
テレビ局の映像ディレクター。
「空白の20年間をきさらぎ駅で過ごした」と証言する明日香に1年をかけて密着取材し、放送しようとする。
結局本当に怖いのは…現代人の劣化?
(前略)ーーー衝撃のラストは、是非ご自分の目でたしかめていただきたい。
…うわっ、そうきたか!?
だからあの時、あの人は笑っていたのか…。
こうなってしまったら、彼女はこれからどうするのだろう?…
その後がかなり気になるが、それでも納得のラストであった。
本作のシナリオは、実によく考え込まれている。
前作のラストは衝撃のひと言だった。
既知の「きさらぎ駅」が斬新にアレンジされ、まったく新しい「きさらぎ駅」を誕生させた。
映像のちゃちさや、演技の辿々しさや、ジャパニーズホラーにあるまじきゾンビ映画のような描写も、この結末を観ればすべてが許せる。
そんな秀逸なシナリオが売りの作品だった。
その結末のあまりの秀逸さが故に、続きを観てみたい!…と、たしかに思った。
まさかその続編が、本当に制作されることになろうとは…。
前作の衝撃のラストは、たしかに続編を期待させた。
だがそれは続編を見据えたものではなかったはずだ。
事実やはりそうだったのか、前作の雰囲気をかろうじて継承しているのはオープニングタイトルが出るまで(結構な時間)。
そこから作風はガラリと変わる。
ホラーというより、もはやギャグ。
怪談というより、もはやコント。
怪異に慣れきって、まるでゲーム感覚の登場人物たち。
同じボケを何度も繰り返す天丼。
途中からは笑いすらこぼれたほどだ。
もはや、かつて2ちゃんねるを騒がせた「きさらぎ駅」の面影はない。
前作の感想で「その後がかなり気になるが、それでも納得のラストであった。」と結んでいた通り、怪談としての「きさらぎ駅」はあれで完結していたようである。
しかし前作『きさらぎ駅』ほど秀逸なシナリオを描いた制作陣。
本当にこれでいいのか?
ふと、そんな疑問が頭に浮かぶ。
ホラー要素は皆無に等しく、ツッコミどころは満載。
少し考えれば誰にでも思いつき、ツッコミの嵐に晒されることは火を見るよりも明らかなシーンも、何の注釈もなしで垂れ流す。
ここに意図はないのか?
そう感じた原因は、本作でもやはりラストシーンにあった。
紆余曲折を経て、観光地のようにネット民がドッと押し寄せた「きさらぎ駅」。
どいつもこいつも物見遊山気分で、危機感はまるで無し。
「赤信号、みんなで渡れば怖くない」と言わんばかりに、危機管理よりも興味優先。
観ているとイラつく。
このイラつきには経験がある。
その正体は何かと考えてみる。
そうだ、これは日々の生活の中で感じているものと同じ性質のイラつきだ。
本作のテーマは、表面上はおそらく「結局本当に怖いのは人間」といったところだろう。
実際、一番怖かったのは葉山純子役の佐藤江梨子さんの怪演だったし、ラストシーンを観れば誰もがそう感じるだろう。
だが、その裏には現代社会へのアンチテーゼが込められているのではないだろうか。
そう考えると、先に記したツッコミどころにも説明がつく。
少し考えれば誰にでもわかるようなことも、わからないのはなぜか?
現代人の多くは自分の頭で考えようとしない。
考えないからわからない。
わからないからツッコめない。
ラストシーンで「きさらぎ駅」に降り立った人たちが滑稽に、そして愚かしく見えたのは、劣化し続ける現代日本をあまりに象徴していたから。
その自嘲こそ、本作に込められた本当のメッセージなのかもしれない。
余談
ちなみに余談ではあるが、『きさらぎ駅』シリーズの絶妙なキャスティングには相も変わらず唸らされてばかりいる。
前作では、それまでメディアで久しくお目にかかることがなかった佐藤江梨子さんを。
そして本作では、あの奥菜恵さんまでをも引っ張り出してきた絶妙なそのキャスティング力は、特筆に値する。
13歳でデビューし、清純派のイメージで瞬く間にトップスターの座を獲得した奥菜恵さん。
この名前は、1990年代の日本の芸能界で一世を風靡した女優として、多くの人々の記憶に刻まれている。
そして奥菜恵さんもまた、佐藤江梨子さんと同様それまでメディアで久しくお目にかかっていない。
その辺りを鑑みると、このキャスティングにおける話題性はさぞや十分なものだったに違いない。
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