其の五十
美しき日本語の世界。
容姿を表す時に遣われる「二枚目」「三枚目」、実は「八枚目」まであるって本当!?
容姿を表す時に遣われる「二枚目」「三枚目」
世には様々な日本語が存在していますが、意外と意味や由来がわからず遣っているものも多く存在している。
日本語を母国語にしている日本人ですら意味を答えるのが難しいのだから、外国人から日本語は習得難易度が高いといわれる理由も頷ける。
たとえば、美しく格好いい男性のことをイケてるメンズ。
いわゆるイケメンを「二枚目」という言葉で表現することがある。
「二枚目俳優」など、俳優の容姿を表す時にも遣われている言葉だ。
またクールな「二枚目」に対し、親しみやすくひょうきんなタイプの人を「三枚目」と呼ぶことがある。
しかし「二枚目」「三枚目」といっても、具体的にどんな容姿のことを指しているのか漠然として、少し想像しにくい。
「二枚目」「三枚目」の言葉には、いったいどんな意味が込められているのだろう。
「○枚目」は歌舞伎俳優の序列が語源
この「○枚目」という表現。
実は「八枚目」まであって、語源は歌舞伎だということをご存じだろうか。
江戸時代、庶民の娯楽といえば芝居見物。
なかでも歌舞伎は大人気だった。
歌舞伎役者は、現在のプロ野球選手のように劇場と1年更新で契約し、毎年11月に新しい座組で興行をしていた。
そして新しい座組でお披露目される際、一座を代表する役者8人の名が記載された「顔見世番付」が配られた。
芝居小屋にはその8人の絵が並べられ、演目の宣伝の役割を果たすとともに、その俳優のステータスの象徴になった。
この8枚の並び順から、それぞれの序列や役どころがわかったのである。
そしてこの並び順のうちで、右から2番目の役者が「二枚目」、3番目の役者が「三枚目」となり、二枚目は色男の役、三枚目は道化役と役まわり、つまりその人が務めるべき役目が決まっていたのである。
そしてこれらをまとめて「八枚看板※」と呼んだ。
※.ちなみに歌舞伎には娘役(ヒロイン)も存在せるが、枚数として数えることはないそう。
マンガでわかる歌舞伎:あらすじ、登場人物のキャラがひと目で理解できる
「八枚看板」が示す意味と主な役まわり
一枚目から八枚目が示す意味と主な役まわりは、いったいどんなものだったのだろうか。
歌舞伎では以下のように、一枚目から八枚目まで、それぞれの役柄に意味を持たせている
- 【一枚目(主役)】
演目の主人公。
「一枚看板」「座頭役者」などと呼ばれる。
- 【二枚目(色男)】
色事や濡れ場などを担当する。
容姿端麗な優男が多い。
- 【三枚目(道化)】
容姿はそこそこだが滑稽な役を演じ、物語を盛り上げる。
- 【四枚目(中軸)】
「なかじく」と読む。
中堅役者で、物語に安定感を与えるバイプレイヤー。
- 【五枚目(敵役)】
主役に立ちはだかる悪役。
ライバル。
- 【六枚目(実敵)】
「じつがたき」と読む。
敵方ではあるが善良な、憎めない人物を演じる。
- 【七枚目(実悪)】
物語の真の敵で、最大の黒幕。
ラスボス。
- 【八枚目(座長)】
役者ではなく、一座の担当者。
元締め。
二枚目は恋愛、三枚目はお笑いという位置づけから、現代でも「二枚目俳優」「三枚目俳優」といったほぼ同じイメージで遣われている。
しかし残念ながら現在では、二枚目・三枚目以外の言葉は一般的に遣われなくなった。
だが、言葉を知っただけで映画やドラマが一層楽しくなる。
特に五枚目から七枚目の意味が実に興味深い。
伏線を幾重にも張り巡らされた作品には、五枚目〜七枚目俳優の存在が必須である。
せっかく覚えた言葉だから、これまで観た作品と照らし合わせてみる。
「五枚目かと思っていたら、七枚目だったのかー!」
「絶対七枚目かと思っていたら、実は六枚目だったのかーい!」
思い返せば、こういう良い裏切りがある作品は、総じて面白かった。
誰が何枚目を演じているかがわかると、物語の構成がわかる。
知らないことをひとつ知れただけで、世界はグッと広がる。
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