日本映画
サンセット・サンライズ
※本稿はネタバレを含みます。ご注意下さい。
かつてのわかりやすさを封印し巧さに終始した地元愛に溢れる宮藤官九郎脚本作品
日本映画『サンセット・サンライズ』とは
自分の "好き" を諦めないー
その先で見つけた新しい幸せのカタチ
楡周平先生原作の『サンセット・サンライズ』(講談社)を菅田将暉氏主演で映画化。
書いたドラマは必ず注目を集めるといえるほど、期待と信頼を一身に浴びる宮藤官九郎氏が脚本を手がけ、『正欲』(23)の岸善幸監督との異色のコラボレーションから生まれた本作。
都会から移住したサラリーマンと宮城県・南三陸で生きる住民との交流や、人々の力強さや温かさをユーモアたっぷりに描き、その背景にあるコロナ禍の日本、過疎化に悩む地方、震災などの社会問題と向き合いながら豊かなエンターテインメントに転化させたヒューマン・コメディ。
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原作:『サンセット・サンライズ』
コロナ禍でテレワークが当たり前になったことを機に東京の大企業に勤める釣り好きのサラリーマンが宮城県南三陸に「お試し移住」を始める物語を、地方の過疎化や東日本大震災などの社会問題を交えて描いている。
「小説現代」(講談社)にて2021年8月号~9月号に連載された後、2022年1月26日に同社から加筆・修正の上で単行本化され、2024年10月16日に講談社文庫から文庫化された。
あらすじ
新型コロナウイルスのパンデミックで世界中がロックダウンに追い込まれた2020年。
リモートワークを機に東京の大企業に勤める釣り好きの晋作(菅田将暉)は、4LDK・家賃6万円の神物件に一目惚れ。
何より海が近くて大好きな釣りが楽しめる三陸の町で気楽な "お試し移住" をスタート。
仕事の合間には海へ通って釣り三昧の日々を過ごすが、東京から来た〈よそ者〉の晋作に、町の人たちは気が気でない。
一癖も二癖もある地元民の距離感ゼロの交流にとまどいながらも、持ち前のポジティブな性格と行動力でいつしか溶け込んでいく晋作だったが、その先にはまさかの人生が待っていた—?!
登場人物
- 西尾晋作:演 - 菅田将暉
- 関野百香:演 - 井上真央
- 倉部健介(ケン):演 - 竹原ピストル
- 山城進一郎:演 - 山本浩司
- 平畑耕作:演 - 好井まさお
- 澤村千佳:演 - 藤間爽子
- 玉木桜子:演 - 茅島みずき
- 村山茂子:演 - 白川和子
- 黒川重蔵:演 - ビートきよし
- 狩野和彦:演 - 半海一晃
- 小柳課長:演 - 宮崎吐夢
- 平野武則:演 - 少路勇介
- 村山信夫:演 - 松尾貴史
- 西尾淳一:演 - みのすけ
- 西尾雅恵:演 - 長野里美
- 高森武(タケ):演 - 三宅健
- 持田仁美:演 - 池脇千鶴
- 大津誠一郎:演 - 小日向文世
- 関野章男:演 - 中村雅俊

日はまた昇り、繰り返していく
宮城県栗原郡若柳町(現在の栗原市)出身のクドカンだけに、要所要所で地元愛が溢れている。
クドカン作品といえば、『木更津キャッツアイ』『ぼくの魔法使い』『タイガー&ドラゴン』『舞妓Haaaan!!!』『不適切にもほどがある!』など、ぶっ飛び全力コメディのイメージが個人的には強い。
しかし近年では、連続テレビ小説『あまちゃん』や大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』など、クスッとは笑えるけど、かつてのクドカン作品から感じられた、コメディ全振り要素はあまり感じられなくなっている。
そして、どちらのクドカン作品を期待するかで本作の評価は変わってくる。
本作では、田舎と都会のギャップ "あるある" などでクスッと笑わせてくれる一方で、コロナ・空き家問題・震災といったシリアスな事象も大上段に構えすぎずに軽やかに、といってもそれなりの重みは持って描き出している。
このあたりの描写の巧さはさすがクドカンと膝を打つが、そこに過度なコメディ要素はない。
というか、これがコメディ(ジャンル分けするとコメディらしい)なのかも甚だ疑問である。
個人的には、予備知識がなければ、これがどんな作品なのかすらわからないほど極めて自然体の作品だった。
なんなら最初はまさかのホラーかと思ったほど、テーマがまったくわからなかった。
もし本作に、『不適切にもほどがある!』のようなクドカン脚本を期待しているのなら、期待外れと言わざるを得ないのかもしれない。
ただ、それが作品の善し悪しを決めるかというと、そうではない。
大笑いするほどでもないコメディ要素。
深く考えてしまうほどでもない問題提起。
実に日本映画らしい、山場のない物語。
観ている時には気づかないけど、しかし観終わった後にじわじわと沁みてくる余韻の心地良さはなんだろう。
傑作や名作と呼ぶのとは少し違う。
何が起きても、常に我々の傍らに在り続ける。
日はまた昇り、繰り返していく日常。
本作はそんな作品だ。
そういう作風が醸成できたのは、キャスティングの妙に依るところが非常に大きかったように思う。
兎にも角にも、俳優陣の演技が味わい深い本作。
菅田将暉氏は、飄々とした純朴で無邪気な34歳の都会出身サラリーマンを好演。
ヒロイン役の井上真央さんも、心の奥に傷を抱えた36歳女性を魅力的に演じていた。
その他にも、中村雅俊氏・三宅健氏・池脇千鶴さん・竹原ピストル氏・小日向文世氏・白川和子さん・ビートきよし氏・松尾貴史氏など、脇を固める面々がことごとくハマり役で芸達者ぶりをみせてくれる。
なかでも極めて自然体の演技をみせてくれていた中村雅俊氏の出身も、そういえば宮城だ。
そして海の描写は圧巻のひと言。
多くのものを奪った海が、同時に安らぎと美と恵みを与え続ける場所でもあることが、豊かな海の幸と人々の慎ましい暮らしから伝わってくる。
海の幸といえば、作品に彩りを添えてくれている要素のひとつが、劇中に出てくる数々の魚料理だ。
「焼き魚」に「煮付け」に「刺身」に「フライ」…。
あまりに魅力的すぎる飯テロの数々は、そろそろ肉食から離れ魚料理が恋しくなってきたお年頃の心をガッチリ鷲掴む。
菅田将暉氏がこの撮影期間中に7kgも太ったというのも、なるほど頷ける。
本当に美味そうで美味そうで…。
日常とはいうものの、コロナ禍 "あるある" を見て「あー、あったあった」と、たった5年前のことを忘れかけていた自分に気づき、人というのはなんて忘れやすい生き物なんだということを、笑いの中で思い知らされる。
こういう日常の気づきを、さりげなく取り入れるあたりも、さすがは宮藤官九郎脚本作品。
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