其の五十四
美しき日本語の世界。
ものかげからきゅうにとびだしてひとをおどろかせるときにはっするこえ
たったの一文字で発音される音が長い漢字
我々が日常生活で使用する常用漢字は、わずか数百種類。
だが常用ではないものを含めた漢字の総数は、判明しているだけで実に20万も存在するといわれている。
これだけの漢字が存在していると、なかには奇想天外な漢字もある。
たとえば、たったの一文字で発音される音がなんと33文字なんてものまで。
しかも、どれもこれも「いつ遣うんだよ!?」とツッコミたくなる読みばかりで、逆にそれが面白い。
そんな難読漢字(?)をいくつかご紹介しよう。
㸪・・・うしのあゆみがおそい
嚌・・・とりのかなしげなこえ
飍・・・おおかぜのおこるさま
痼・・・ひさしくなおらないやまい
仚・・・やまのうえにひとがいるさま
砉・・・ほねとかわとがはがれるおと
䄈・・・まつりのそなえもののかざり
※.示偏に豆で「示豆」という一文字でも同様に読むらしい。
攸・・・みずのゆったりとながれるさま
呮・・・あしをぶらぶらさせてこしかける
翀・・・まっすぐにてんくうたかくとびあがる
猇・・・とらがひとをかもうとするときのうなりごえ
璱・・・ぎょくのいろつやのすばらしいさま
漢字の中で最も長い33文字の発音
閄・・・ものかげからきゅうにとびだしてひとをおどろかせるときにはっするこえ
門と人を合わせた会意文字であり、人が門から急に飛び出して人をワッと驚かす声を表す擬声語である。
意味は「隠れていた人が突然姿を現して人を驚かせるときに出す声」もしくは「身を隠して、突然現れ出ること」。
中国明代の字書『字彙補』には「閄、隠身忽出驚人之聲也」とあり、『康煕字典』『大漢和辞典』ともこの語義をそのまま引用している。
ただし、これは厳密には訓読みではなく字義解説として扱われることが多い。
『大漢和辞典』では上記の文は読みではなく字訓(意味)として記載されている
訓読み最長は「糎(センチメートル)」「竰(センチリットル)」?
実はこれらには、「訓読みではなく意味だ」という異議が唱えられている。
訓読みではなく、あえて「たったの一文字で発音される音」と表現しているのも、そのためだ。
議論が錯綜している原因は、どこまでを訓読みと認めるかのボーダーラインが人によって異なるからである。
おおまかに言ってしまえば、訓読みとは、漢字が意味する言葉で読むこと(国訓など例外もあり)。
たとえば「蛙」という字は、昔の中国語に倣って「ア」などと音読みで読まれていたが、生物のカエルを意味する字なので「かえる」と読まれている。
このように、極論、意味が通れば何でも訓読みになり得てしまう。
字義(漢字の意味)が合っているものはすべて訓読みという立場をとると、いくらでも長い訓読みを錬成することができるのである。
では、結局一番長い漢字の読みって何!?ということになる。
辞書が訓読みと明確に言い張っているもので、一番長いものとはなんだろう。
有名なのが、
蔘・・・ちょうせんにんじん
だ。
しかしこれが本当に訓読みかと問われると、極めて微妙なのである。
では、一般向け~大型の漢和辞典のいずれにも記載があり、一般的に最長といえる漢字の訓読みは?と問われたなら、許容ラインは、
糎・・・センチメートル
竰・・・センチリットル
あたりになるのではないかと、個人的には推察する。
いずれにしろ、漢字はやはり難しい。
だが、だからこそ面白い。
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