上京物語 / マキタスポーツ(2009年)
28歳、やっと東京に着きました――挫折すらなかなかさせてくれない、これが日本一足踏みの長い上京物語
「上京物語 / マキタスポーツ(2009年)」とは
浅草キッド主催・伝説のライヴ "浅草お兄さん会" 第5代チャンピオン。
ビートたけし氏や草野仁氏などに高く評価され、高田文夫氏に「上手すぎてブレイクできない芸人」と(まで?)言わしめたお笑い芸人兼ミュージシャン、マキタスポーツ。
「上京物語」は、そんなマキタスポーツという芸人兼ミュージシャンの知名度を一気に押し上げた、彼のキャリアを語る上で欠かせない非常に重要な代表曲(ネタ)である。
この "なかなか上京しない上京物語" は、故郷・桜島(ご本人の出身は山梨県)を捨てて、19歳で家を飛び出したものの、ようやく東京までたどり着けたのは28歳の時だった、という自身の体験を投影した楽曲(歌ネタ)で、恰好つけて田舎を出たわりに、すぐに親戚の家に泊まってしまったり、餃子の王将でバイトしたりして、なかなか上京できない男の姿を、情けなくもおかしく歌い上げる。
多くの文化人からも絶賛されたマキタスポーツの独特な世界観は必聴。
「こんな人生もあるんだ」と勇気づけられること間違いなし!
…たぶん。
なかなか上京しない真上京物語
本作の極めて秀逸なところは、誰しもが抱く普遍的な憧れ「上京」の定義の揺らぎである。
「上京」。
その音には、日本人だけが持つ独特の想いや感性が込められている。
たとえばアメリカに、ニューヨークへ向かうことを例えた特別な言葉はない。
日本人にとって「上京」とは、夢や希望、挑戦を言い表した特別な言葉なのだ。
だが、煌びやかな「上京」という言葉の裏で、多くの挫折がある。
一握りの成功の裏には、数多の挫折がある。
そんな現実を、たっぷりの哀愁を以て表現したのが本作である。
俺は一人 孤独を噛みしめ
電車に 飛び乗り遅れた
明日の朝には東京 俺は東京と勝負をする状況
待ってろよ東京 東京には負けねえぞ
東京に着く前に名古屋で一泊してから観光
名古屋のイサオおじさんちにお母さんの作った
おはぎを届けてから東京
そしていよいよ東京 東京と勝負をする状況
でも乗り換えわからず そのまま北上…
そもそも本作では、はじめの一歩でつまずいている。
そこがいいのだが、これをあり得ないと思われる人もいるだろう。
だが、人間の本質とはこんなものではないのか?
嫌なこと、苦手なこと、勇気を出すことを後回しにして、心地良く、楽な方をいろいろ言い訳しながらついつい選んでしまう。
たしかに、夢を追うことは素晴らしい。
ひとつのことを一心不乱に追求し、ひたすら夢を追う姿は、きっと美しいのだろう。
だが、現実はおそらく違う。
夢だけで飯は食えない。
生活という名の引力に、不安という名の重石が乗っかれば、否応なしに現実を直視せざるを得ない。
そんな人間の本質を考えたら、現実を知ってここで「上京」を諦めてしまいそうなものだ。
だが、なんだかんだで結局「上京」している本作に、勇気以外の何があるというのか。
19歳から28歳という、人生の最も輝かしい(と言われる)時期を「なかなか上京できない時間」に費やしたことは、一見したら無駄にも思えるだろう。
だが、人として、非常に大きな財産を得たとも考えられる。
結果として、情熱を絶やさなかったからこそ「上京」という夢は叶った。
ただし、それを成功者(?)・マキタスポーツの物語としてではなく、我々一人ひとりの物語として読み替えるなら、結末は少し違って見えるかもしれない。
それは「上京すること」そのものがゴール(夢)になってしまう、という切ない現実だ。
本末転倒のようにもみえるが、それはそれで実に人間臭く、それが人というもの。
だからこそ、この歌は心に響く。
ボストンバッグに詰め込んだのはありったけのコインと夢
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文庫版(小学館文庫)でも全76巻という大作中の大作。
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いやいや、こんなのボストンバッグに入れちゃったらさ、他が…。
でも『美味しんぼ』を持って行きたくなる気持ち、少しわかる…。
これから上京されるすべての人に幸あれ。
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