知識の泉
今すぐ誰かに話したくなる知的雑学
期待外れだった薬をなぜか返さない患者たちが歴史を変えた20世紀最大の逆転劇
知識は力なり
かの有名なイギリスの哲学者、フランシス・ベーコンは言った。
「知識は力なり」と。
この言葉には、読んで字の如く「知識は自身の力になる」という意味とは別に、「経験によって得た知識を、いかにして実践的に使用することができるのか」という意味も込められている。
雑学も同様だと思う。
実際には、生きていく上で何の役にも立たないと思われている、どうでもいい情報群。
それが雑学という分野といえるだろう。
しかし雑学で得た知識を、どのように使うのかは人それぞれ。
普段の話のネタに困っている人。
トーク力を上げたい人。
飲み会やデートなどで知識を披露したい人。
知識を吸収したいけどあれこれ調べるのが面倒な人。
そして、物事の本質や奥深さを知りたい人。
純粋に「なるほど!」と思いたい人まで。
当たり前に感じていたことも、角度を変えた視野からみることで、別の面があることに初めて気付かされる。
その知識を他人にひけらかすだけでなく、その知識をもとに、固定観念から解放され、世の中の見え方を変えようではないか。
さすれば、「知識は力なり」の言葉の意味を実感できるはずである。
「期待外れ」が歴史を変えたバイアグラ誕生秘話
1980年代後半、イギリスの小さな研究所で起きた想定外の出来事が、世界中の何億人もの人生を変えることになった。
ファイザー社の研究員たちが開発していた新薬「UK-92,480」。
この薬の本来の目的は、狭心症(心臓の血管を広げる)の治療にあった。
だが臨床試験の結果は「期待外れ」。
心臓への効果は薄く、プロジェクトは中止の危機に陥った。
しかし奇妙な現象が起こる。
試験が終わったというのに、男性被験者たちがなぜか余った錠剤を返したがらないのだ。
看護師が理由を尋ねると、驚くべき副作用が報告された。
その予期せぬ副作用とは、勃起不全の改善。
本来、失敗とされるはずの副作用に、研究員たちが「これこそが真のニーズではないか?」と着目し、ここから世界初のED治療薬「バイアグラ」への転換が始まる。
これがきっかけとなり、「バイアグラ」は史上空前のメガヒット薬となる。
1998年の発売後、史上最速のペースで爆売を記録。
単なる薬の枠を超え、タブー視されていた性の問題をオープンにし、高齢者のQOL(生活の質)を劇的に変える社会現象となった。
期待された結果が出なかったとき、それを失敗と切り捨てずに別の可能性として捉える。
結果、それまで「老化現象だから仕方ない」と諦められていた問題を、科学の力で解決できる「治療対象」へと変えてしまった。
これはQOL(生活の質)における一つのシンギュラリティだった。
実は当初、この副作用は研究報告書の隅っこに書かれた、単なるノイズ(雑音)に過ぎなかった。
しかし目の前の失敗やノイズの中にこそ、未来をひっくり返す種、すなわちシンギュラリティのトリガーが隠れている。
もし、あの時看護師が「薬を返してください」と強引に回収し、理由を深く聞き出さなかったら、バイアグラはこの世に存在しなかったかもしれない。
もしかしたらあなたの今の小さな失敗も、数年後には世界を揺るがす大発見の始まりかもしれない。
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