日本映画
海賊とよばれた男
※本稿はネタバレを含みます。ご注意下さい。
誇り高き "海賊" が残した遺産ーー日章丸の魂は今も死なず
日本映画『海賊とよばれた男』とは
出演:岡田准一 × 監督:山崎 貴
国民的大ヒット映画『永遠の0』チームが再集結!
400万部突破の大ベストセラー、完全映画化!!
明治・大正・昭和の激動の時代を舞台に、名もなき一青年から身を興し、やがて戦後の日本に大きな勇気と希望を与える大事業を成し遂げていく主人公・国岡鐡造の姿を描いた『海賊とよばれた男』(百田尚樹著/講談社文庫)。
この実話を元にした壮大な大河エンターテインメントの映画化にあたり、2014年年間邦画興行収入ランキング第1位に輝いた国民的大ヒット映画『永遠の0』チームが再集結!
あの時代、誰よりも "日本人の誇り" を追求し、"海賊" とよばれ恐れられた国岡鐵造と、彼を支える仲間たち、そして最愛の妻との絆が織りなす重厚な人間ドラマが、今を生きるすべての日本人に感動と勇気を与える。
原作:『海賊とよばれた男』(百田尚樹著/講談社文庫)
『海賊とよばれた男』は、百田尚樹氏による歴史経済小説である。
出光興産創業者の出光佐三氏をモデルとした主人公・国岡鐡造の一生と、出光興産をモデルにした国岡商店が大企業にまで成長する過程が描かれている。
第10回本屋大賞受賞作品。
2016年(平成28年)12月現在、上下巻累計で420万部突破のベストセラーとなり、同年12月10日に映画化作品が全国公開された。
あらすじ
主要燃料が石炭だった当時から、石油の将来性を見抜いていた国岡鐡造は、北九州の門司で石油業に乗り出すが、国内の販売業者や欧米の石油メジャーなど、様々な壁が立ちふさがる。
それでもあきらめない鐡造は、型破りな発想と行動で自らの進む道を切り開いていく。
やがて石油メジャーに敵視された鐡造は、石油輸入ルートを封じられてしまうが、唯一保有する巨大タンカー「日承丸」を秘密裏にイランに派遣するという大胆な行動に出る。
それは当時のイランを牛耳るイギリスを敵に回す行為だったが……。
登場人物
- 国岡鐵造:演 - 岡田准一
- 国岡ユキ:演 - 綾瀬はるか
- 東雲忠司:演 - 吉岡秀隆
- 長谷部喜雄:演 - 染谷将太
- 武知甲太郎:演 - 鈴木亮平
- 柏井耕一:演 - 野間口徹
- 藤本壮平:演 - ピエール瀧
- 国岡万亀男(鐵造の兄):演 - 光石研
- 国岡智恵子(万亀男の妻):演 - 西尾まり
- 小川初美:演 - 黒木華
- 小松保男:演 - 須田邦裕
- 黒川:演 - 飯田基祐
- 大崎:演 - 矢島健一
- 小田:演 - 小林隆
- 国岡昭一(鐵造の長男):演 - 中藪昭成
- 国岡道子(鐵造の次女):演 - 安山夢子
- 鐵造の孫:演 - 髙橋來、大山蓮斗、西澤愛菜
- 榎本誠:演 - 浅野和之
- 鳥川卓巳:演 - 國村隼
- 甲賀治作:演 - 小林薫
- 盛田辰郎:演 - 堤真一
- 木田章太郎:演 - 近藤正臣
決死の思いで民間が築き上げた70年の友情の証を厚顔無恥にかすめとる政府のあさましさ
2026年4月、アメリカによるイラン攻撃とホルムズ海峡の封鎖という未曾有の事態の中、日本を救う一筋の光となったのは他でもない、イチ民間企業である出光興産のタンカー「出光丸」だったーーー。
百田尚樹氏の傑作を、山崎貴監督が圧倒的なスケールで描き出した『海賊とよばれた男』。
今、この作品を観直すと、銀幕の中の物語が2026年現在の日本が直面するナフサショックという過酷な現実と重なり、震えるような戦慄を覚える。
クライマックスとして描かれるいわゆる「日章丸事件」(劇中では「日承丸」)。
はたして単なる過去の歴史ドラマとして読み流せるだろうか。
イラン戦争による深刻なナフサ不足。
いわゆるナフサショックによって、生活物資はもちろん医療現場の注射器やチューブといった生命線すら危うい今、出光が果たした海峡通過という決断には、70年前の「日章丸」の魂が宿っているように思えてならない。
本作物語の白眉である日章丸のイラン派遣。
岡田准一氏演じる国岡鐡造(モデル:出光佐三氏)の「店員(家族)を守る」という執念が、イギリスによる海上封鎖で孤立するイランへと日章丸を走らせた。
漆黒の海、一触即発の緊張感。
劇中で映し出されたあの緊迫した航海は、まさに今、ホルムズ海峡の封鎖をかいくぐり、医療崩壊を食い止めるためのナフサを運ぼうとする現場の祈りそのものではないか。
特筆すべきは、出光佐三氏が身命を賭して築き上げ、劇中でも強調されていたイランとの信頼関係が、70年以上の時を経て、今まさに日本を救っているという事実だ。
2026年4月、駐日イラン大使館が公式に発信した「1953年の日章丸こそが両国の友情の証である」という言葉。
出光興産が所有する「日章丸」が、イラン産の石油を日本へ運ぶために1953年に行った歴史的な任務は、両国間の長きにわたる友情の証であり、そのレガシーは今日においても極めて大きな意義を持ち続けています。 https://t.co/ntVdmQLmni
— Iran in Japan/ 駐日イラン大使館 (@IraninJapan) 2026年4月29日
他国が通航を拒まれる中、出光の船が海峡を通過できたのは、出光佐三氏たちの "誠実" という名の種まきがあったからに他ならない。
孤立するイランの手を、世界で最初に取りにいった民間の覚悟。
そのレガシーがあったからこそ、現代の封鎖下でも出光の船だけが信頼を勝ち取ることができたのだ。
しかし、この感動的な地続きのドラマに水を差すのが、政治の醜悪さだ。
民間外交によって出光が長年培ってきた信頼関係と、船員たちの命がけの航海によってもたらされた成果を、さも自らの外交努力であるかのように喧伝する政府のあさましさ。
今般、ペルシャ湾に滞留していた日本関係船舶1隻が、4月29日、ホルムズ海峡を無事通過し、ペルシャ湾外へ退避し、日本へ向けて航行していることを確認しました。
— 高市早苗 (@takaichi_sanae) 2026年4月29日
当該船舶には、3名の日本人乗組員が乗船しています。…
かつて出光佐三氏を "海賊" と蔑みながら、その実りを享受した権力構造は、今も何ら変わっていない。
劇中で、戦後の混乱期に国岡商店の足を引っ張り続けた官僚たちの姿が、今の政府のあさましさとあまりに酷似しており、苦々しい既視感に襲われる。
「日章丸事件」当時、日本政府は石油メジャーや大国の顔色を窺い、出光の行動を冷遇した。
が、結局はその恩恵を受けたのは他ならぬ日本国民であった。
そして此度の出光丸の功績によって恩恵を受けるのもまた、日本国民なのである。
この功績を、政府のプロパガンダとして利用させては絶対にいけない。
鳶が油揚げをさらうような政府の口車に乗せられてはいけない。
騙されてはいけない。
「日本人に、誇りを取り戻してほしい」――
劇中で鐡造が発するこの言葉は、単なる精神論ではない。
利権に群がる権力者を横目に、信念一つで世界と渡り合った民間人の叫びだ。
今の日本で、我々はこの映画から何を学ぶべきか。
それは、真に国を救うのは、体裁を繕う政治家ではなく、利害を超えた日本人としての誇りと、相手への誠実を貫く信念であるということ。
言葉だけの政治ではなく、国境を超えた人の絆であるということだ。
いつまでも国民を欺き続ける政治に信頼はあるのか?
吐いたそばから唾を飲み込む政府に信頼はあるのか?
今こそ我々は、この物語に描かれた "海賊" たちの背中から、真の信頼の築き方を学び直さなければならない。
真に働く
国・地域社会、そこに暮らす人々を想い、考えぬき、働きぬいているか。
日々自らを顧みて更なる成長を目指す。
かかる人が集い、一丸となって不可能を可能にする。
私たちは、高き理想と志を掲げ、挑み続ける。
(出光興産「企業理念」より)
逆立ちしたって、このイチ民間企業に、今の政府が勝るところはひとつもないだろう。
本作を映画化しようと決めたきっかけについて監督の山崎氏は、「終戦直後のあの時代、皆が下を向いていたときに、とんでもないことをしでかした男達が居たということへの驚きが原動力。その背景を探求したくなった。」と述べている。
皆が下を向いている今だからこそ、ぜひ観て欲しい作品である。
人が頑張る日本は死なない。
滅ぶべきはあさましく卑しい政治家どものみ。
日章丸がかつてイランの海に描いた白い航跡こそが、今も我々の進むべき道を照らしている。
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