日本映画
キサラギ
※本稿はネタバレを含みます。ご注意下さい。
爆笑の裏に隠された骨太な仕掛け!推しのアイドルの死を巡る、5人のヲタクの五転六転の密室ミステリー
日本映画『キサラギ』とは
D級アイドル・如月ミキ。
彼女の自殺の真相は!?
男・5人、愛とドキドキの密室サスペンス!!
売れないアイドル・如月ミキの一周忌ーーー。
一つの部屋にファンサイトで知り合った5人の男が集まった。
5人の純粋な想いは、温かな奇跡を呼び起こす。
かつてない笑いと驚きと感動がつまった極上の密室サスペンス誕生!
『ALWAYS 三丁目の夕日』の古沢良太氏によるオリジナル脚本を、『シムソンズ』の佐藤祐市監督が映像化。
小栗旬氏、ユースケ・サンタマリア氏、小出恵介氏、塚地武雅氏、香川照之氏ら、個性と実力を兼ねそなえた5人によるコミカルな会話劇。
あらすじ
自殺したD級アイドル、如月ミキの一周忌に、ネットで知り合った熱狂的ファン5人が追悼オフ会を開催。
初対面ながらそれぞれに思い出を語り合ううち、やがて彼女は参加者のひとりに殺されたのでは、という疑惑が持ち上がる。
登場人物
家元(いえもと)
演 - 小栗旬
如月ミキのファンサイトの運営者であり、「如月ミキ1周忌追悼会」の主催者。
自称、しがない公務員。
如月ミキに関する知識ならば誰にも負けないと自負している。
事実、彼が収集した如月ミキのデータブックの中にはメジャーデビュー前や事務所を通していない仕事のものもあり、一般的には入手不可能な情報までほぼ100パーセント完璧にチェックしている。
情報収集以外にも毎週1通以上のペースで3年間以上、都合200枚以上のファンレターを如月ミキに宛てている。
オダ・ユージ
演 - ユースケ・サンタマリア
「如月ミキ1周忌追悼会」の企画者。
服装や言葉遣いなど、細かい部分に非常に厳しい生真面目な男性。
「如月ミキは自殺ではなく何者かによって殺された」と信じており、真犯人を見つけ出し復讐するために1年間を過ごして来た。
スネーク
演 - 小出恵介
「如月ミキ1周忌追悼会」の参加者で、都内の雑貨屋で働いている元バンドマン。
安男
演 - 塚地武雅
福島で農業を営んでおり、家元が主催した「如月ミキ1周忌追悼会」には片道6時間弱をかけて参加した。
お菓子作りが趣味であり、追悼会当日には手作りのアップルパイを持ち寄る。
いちご娘。
演 - 香川照之
「如月ミキ1周忌追悼会」の参加者。
電子掲示板上での女性らしい言動とハンドルネームとは裏腹に、実際は無職の中年男性。
如月ミキ
演 - 酒井香奈子
2006年2月4日に死亡したグラビアアイドル。
タイトルにもなっている「如月」という姓は芸名で本名は山田美紀。
特にプロポーションが良いわけでもなく歌も演技も下手であったが、そこがまた彼女の魅力であったと追悼会に集まったファンたちは評した。
映画では終盤まで顔をはっきりと映さない演出がされているが、エンディングで初めて生前の姿と歌声が披露される。
イベントの司会
演 - 宍戸錠(特別出演)
生前のミキが出演したイベントで司会をしていた男。
脚本の筆力と役者の演技力がダイレクトに伝わってくる掘り出し物的名作
密室ミステリーと聞くと、シリアスなサスペンスを想像するだろう。
が、本作は良い意味でその期待を裏切ってくれている。
切ないアイドルの死をめぐる謎解きのはずなのに、なぜか笑える。
しかし、そのコメディ要素の裏には、驚くほど骨太で本格ミステリーとしての緻密な計算が隠されている、傑作と呼べる作品である。
物語は、1年前に自殺したD級アイドル・如月ミキの一周忌オフ会。
集まったのは、5人の男たち。
最初はヲタクの、ただの思い出話だった。
主催者が所有する激レアコレクションのお披露目会のはずだった。
ところが、「彼女は他殺されたのではないか?」という一言から、部屋の空気は一変する。
いよいよ密室ミステリーの始まり…かと思いきや、なかなかそうはならない。
理由は、5人の正体が明かされていく二転三転どころか、五転六転する秀逸なそのシナリオにある。
いかにも胡散臭そうな5人。
実は一癖も二癖もある訳ありだった。
それぞれが隠していた、推しとの驚きの繋がり。
物語が進むうちに、一人ひとり正体が判明していく。
そして、まるで空いていたパズルのピースがビタっとハマるように、序盤の何気ない笑い話や、部屋に散りばめられた小道具すべてが、伏線として次々と気持ちよく回収されていく。
D級アイドル・如月ミキへ、どんどん近づいていく関係性。
次々と、加速度的に塗り替えられていく優位性。
もうこれ以上はないと思った矢先の意外性。
敗者復活からの大逆転。
正体が明かされるたび、
「まさか?」
「おまえだったんかい!?」
と、演者と同じツッコミを入れる。
このノンストップの会話劇を支えるキャスト陣がまた秀逸。
小栗旬氏の生真面目なヲタクっぷり、塚地武雅氏の癒やしとスパイス、小出恵介氏のチャラさと純粋さ、香川照之氏の怪演と、蓋を開けてみれば全員がハマり役。
大変失礼ながら、D級アイドル・如月ミキのビジュアルも絶妙(この「売れそうで売れない絶妙なライン」が物語にリアリティを与えている)。
そして、5人の男たちの中でも、ユースケ・サンタマリア氏が演じる「オダ・ユージ」。
まず、ハンドルネームが最高。
これは制作陣が絶対に狙って付けているに決まっている。
おまけに、あの名セリフまで言っちゃってるし。
この絶妙に胡散臭く、プライドが高くてひねくれた「オダ・ユージ」なるキャラクターを、ユースケ氏がコミカルかつ不気味に演じきっているからこそ、物語の緊張感と緩和が最高のバランスで保たれていると言ってもけっして大袈裟ではない。
ワンシチュエーション(密室)だからこそ、脚本の筆力と役者の演技力がダイレクトに伝わってくる本作。
コメディとして腹を抱えて笑いながら、ミステリーとして極上のカタルシスを味わえる、大満足の一本。
最後に全員で踊るヲタ芸は必見。
香川照之氏が少し合ってなかったような気もするけど、そこはご愛嬌ということで。
正直、少々舐めていたが本当に面白かった。
興味がある人はぜひ。
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