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完全趣味の世界

ioritorei’s blog

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ワンピもハリポタも大河も同じ?結末から逆算した脚本家目線の楽しみ方

 

ワンピもハリポタも大河も同じ?結末から逆算した脚本家目線の楽しみ方

 

 

 

 

 

 

 

大河ドラマ。

NHKによる歴史ドラマシリーズで、基本的に1年一作を基準として、60年以上に渡って制作が続けられている。

基本的には、日本史上実在した人物の生涯を描いた作品や群像劇となる。

作品によっては歴史学上の定説と離れた演出が加えられることもあるが、歴史ヲタク(歴ヲタ)としては、最新の研究結果を知ることができる貴重な作品である。

しかし1年一作の大作が故に、2周目に入ることはほとんどない。

ただ1話1話を、その都度脳裏に焼き付けるだけである。

だがこれもサブスクリプション(サブスク)時代の恩恵なのだろう、最近は簡単に過去作に触れる機会を得ることができるようなった。

2016年の大河ドラマ『真田丸』

三谷幸喜脚本で、当時は社会現象にまでなった人気作品である。

この『真田丸』、第1・2話を実に10年ぶりに観直してみた。

するとどうだろう。

リアルタイムでは気づけなかった、あるいは気づいていても忘れてしまった秀逸な仕掛けがいくつも見つかるではないか。

改めて観てみると、本当によく出来た作品だ。

たった第1・2話だけではあるが、何せ伏線が絶妙である。

たとえば、北条氏政の紹介シーン。

大河ドラマという作品では、物語に今後絡むであろう重要人物が、その演者と共に事前に少しだけ紹介されることがある。

北条氏政もそうだった。

本格的な登場はまだ少し先のことになるのだが、主人公、つまり真田家の現状把握のためにその存在が紹介されている。

このほんの数秒のシーンで、北条氏政は何故か湯漬け(ご飯にお湯や味噌汁をかけたもの)を食べている。

歴史に興味がなければ、なんのこともないシーンに見えるだろう。

しかし歴史を知れば、北条氏政の人物像を端的に表現した、思わず膝を叩きたくなる名シーンなのだ。

北条氏政については、こんなエピソードが残されている。

ある日、北条氏嫡男である氏政が湯漬けを食べていた時のこと。

最初にかけた汁の量では足りず、もう一度(2度目)汁をかけて食べ始めた。

その様子を目の当たりにした父・氏康は、突然落涙してしまう。

理由を尋ねる家臣に対し、氏康は「毎日食事をしているのに、飯に掛ける汁の量すら一度で量れないとは。これでは国や領民の事情を推し量ることなどできるはずがなく、北条家もわしの代で終わりだ」と嘆いたとされる非常に有名な逸話である。

真偽のほどはわからない。

だが氏康の予言通り、氏政が時勢を読み切れなかったために、戦国大名としての北条氏は5代100年の歴史に幕を下ろすことになる。

この事実を鑑みて後世に創作された後付けのエピソードの可能性は否めないが、たったワンシーンで氏政の人物像を表現するのにうってつけだったことには違いない。

『真田丸』には、こうした「未来の結末」を内包した秀逸な仕掛けが、あちこちに仕込まれている。

たとえば、武田家を滅ぼした直後の徳川家康と石川数正とのやり取りも実に秀逸である。

教科書にも書いてある通り、武田家滅亡のきっかけは一門衆、つまり身内による裏切りだった。

いつの世も裏切り者は忌み嫌われる。

我が徳川家からはこのような家臣を出したくない、と裏切りを嫌悪する徳川家康。

それを沈痛な面持ちで見つめる石川数正。

が、この石川数正。

徳川家重臣の身でありながら、後にライバル・豊臣秀吉の元へ出奔してしまう人物。

数正の真意は今なお歴史の謎とされている。

謎が故に、フィクションの入り込む余地がある。

そのため美談として描かれている作品もなくはない。

しかし普通に考えれば裏切りでしかない。

歴史上、数正が出奔するのはずっと先の話。

この会話、この時点ではまだ何気ない一幕に過ぎない。

だが未来の裏切りという結論を知る者からしてみれば、これほど皮肉でスリリングな場面もないのである。

たった1話・2話の中に、北条の滅亡も、徳川の衝撃的な事件も、すべてが画面の端々に仕込まれている。

もしかしたら探せばもっと見つかるかもしれない。

 

 


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だが、それというのも、すべては歴史という結末を知っているからである。

かの世界的ベストセラー『ハリーポッター』シリーズ著者・J・K・ローリングは、結末をまず決めてから物語を考えたという。

『ONE PIECE』の著者・尾田栄一郎先生も、結末はすでに決めているという。

大河ドラマも同様ではないのか。

我々は歴史の大筋を知っている。

つまりは結末を知っている。

しかし詳しく細部を見てみればまだいくらか謎の部分が残っていて、その謎の膨らませ方こそ脚本家の腕の見せどころなのである。

豪華なキャスティングにばかり目を惹かれる大河ドラマ。

その時々で旬な俳優が名を連ね、時代を反映したような作品である。

しかし大河ドラマには、脚本家目線のこんな楽しみ方もある。

結末を知った上で、歴史認識を変えることなく、どう面白くしていくのかが脚本家の腕の見せどころなのである。

そういうところに注目してみると、大河ドラマのみならず、すべてのエンタメ作品が、今よりずっと面白くなる。

 

 

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