ミディアムテンポの曲がとても心地良い
Anytime smokin' cigarette / globe
ちょっぴり苦味の利いた大人テイストな深い味わいを醸し出すミディアムチューン
はじめに
ミディアムテンポの曲というのは、人々の心に強く残るほどキャッチーでもないし、セールス的には大ヒットに恵まれない。
いわれてみれば思い出すが、心の中に常に留まっているほど印象深くはない。
だが聴けば音楽の素晴らしさを教えくれるような心地良さを湛えている。
そんな心地良いミディアムテンポの曲が大好きだ。
『Anytime smokin' cigarette』とは
『Anytime smokin' cigarette』は、globeの10枚目のシングルである。
アルバム『FACES PLACES』からのシングルカット。
いつものダンサンブルナンバーの殻を逸脱したかのような、ちょっぴり大人テイストの苦味の利いた深い味わいを醸し出すミディアムチューン。
小室哲哉氏がスタジオに向かう途中でキティちゃんグッズを持っている女性を多く見かけたことから、歌詞に「キーホルダー」「白い子猫」というフレーズを入れられた。
ちょっぴり大人テイスト
苦味が利いた深い味わいを醸し出すミディアムチューン
globeの楽曲としてはマイナーかもしれない。
ZIPPOの金属音。
ため息のように煙を吐き出すマークの息遣いから始まる楽曲。
いつものダンサンブルなイメージからはほど遠いメロディ。
おまけに『Anytime smokin' cigarette』と銘打つように、タバコがテーマとなっている。
本作を「苦味の利いた深い味わいを醸し出すミディアムチューン」と評したのは、そういう意味も含まれている。
ただ「苦味の利いた深い味わい」と評した意味は、何もタバコがテーマになっているからだけではない。
歌詞もなかなか苦味の利いたものになっているからだ。
20 yeards old 過ぎたってゆうのに
ガキのように 操られて
大事なものが 壊れてゆく
他に何もできない
何も聞こえない
言いたいことは わかってるよ
恐る恐る 窓の外見て
なおさら
今日も表に出たくなくて
ただひたすら
ずうーっと走り続けてるうちに
疲れがたまってあっという間に
病院送りになる前に
cigarette でも吸おうかな…
上記のフレーズは実はすべてマークが歌っている部分である。
マークのパートを聴いていると、大人に分類されたばかりの頃を思い出す。
具体的に何がどうというわけではない。
ただなんとなく、嫌な時代だった。
その理由はもしかしたら、失われた時代の始まりの頃だったからかもしれない。
その頃は夢や希望も持てず、無為に過ぎてゆく時間にただただ鬱屈としていたような気がする。
KEIKOさんのパートでは、そんな気持ちがダイレクトに歌われている。
I don't know GOAL
I don't know SOUL
I don't know ROLL
落ちてる石でいいよ
I don't want be a DOLL
I don't need no RAIL
I don't know RULES
私だけのRULEじゃ 通らない
「こうであるべき」という社会通念が、今以上に支配していた時代。
有象無象が押しつけてくる不可解な「常識」から抜け出したくて足掻いていたあの頃。
『Anytime smokin' cigarette』は、言葉にできないそんな気持ちを代弁してくれているようだった。
「ミディアムテンポで心地良く」なんていいながら、本作を聴くとちょっと堕ちる。
でも、心地良くもある。
強いて言うなら、心地良く堕ちられる曲とでもいうのだろうか。
なかなか癖になるglobeの隠れた名曲だ。
しかし残念ながら、愛煙家が疎まれる昨今。
タバコを吸う人間というだけで白い目で見られるような現状では、この曲の良さは伝わらないのかな?
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