Netflixアニメシリーズ
サイバー空間のスタイリッシュなガジェットと明るい希望とほど遠いうす汚れた雑多な世界観で描くのは近未来のディストピア
『サイバーパンク:エッジランナーズ』は、 2020年発売のゲーム「Cyberpunk2077」と同じ近未来都市ナイトシティを舞台とするアニメ作品。
ゲーム本編より前のナイト・シティを舞台とする前日譚。
暴力表現や性描写があり、年齢制限は16歳以上となっている。
テクノロジーと人体改造が一般化した巨大都市で、多くの犠牲を払い困難を乗り越えながら、サイバーパンクとも呼ばれる傭兵アウトロ――"エッジランナー" の道を歩んだストリートキッド少年の物語を追う、10話構成のオリジナルアニメーションシリーズで、2022年9月よりNetflixで配信。
「Cyberpunk2077」や「ウィッチャー3 ワイルドハント」で知られるCD PROJEKT REDと、日本が誇るアニメーションスタジオTRIGGERがタッグを組んで制作。
監督を今石洋之氏(『天元突破グレンラガン』『キルラキル』『プロメア』)、キャラクターデザイン・総作画監督を吉成曜氏(『リトルウィッチアカデミア』『BNA ビー・エヌ・エー』)がつとめ、脚本はCD PROJEKT REDによるストーリーをベースに大塚雅彦氏(「スター・ウォーズ:ビジョンズ『The Elder』」)と宇佐義大氏(『GRIDMAN UNIVERSE』シリーズ)が共同で執筆。
劇伴楽曲はゲーム「サイレントヒル」シリーズで知られる山岡晃氏が制作。
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「Cyberpunk2077」とは
「Cyberpunk2077」は、2020年12月10日より発売されたCD Projekt RED開発によるポーランドのコンピューターゲーム。
サイエンス・フィクション・サイバーパンクの設定、すなわちサイボーグ手術などの身体改造が一般化した未来世界を舞台とする、オープンワールド型のアクションロールプレイングゲーム。
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あらすじ
近未来。
巨大企業アラサカによって支配された、虚飾と欲望がはびこる都市ナイトシティ。
資本主義の極北ともいえる、露骨なまでの格差社会に覆われた街だ。
私立教育機関「アカデミー」に通うデイヴィッド・マルティネスは優秀な生徒だが、貧困層出身ゆえにエリート揃いの学校では浮いている。
息抜きの娯楽といえば、BD(ブレインダンス)と呼ばれるバーチャルリアリティムービー。
これはただの映像ではない。
誰かの経験を再現して楽しむ娯楽だ。
誰もが身体をサイバー化し、力を手に入れられるこの時代では、体験者本人の経験すらもひとつのコンテンツとして消費されている。
しかし身体をサイバー化しすぎた人間は、その力の代償として精神を蝕まれサイバーサイコシスといわれる狂乱状態に陥る。
その日デイヴィッドがキメていたBDは、元軍人のジェームズ・ノリスがサイバーサイコシス状態で暴走した事件のものだった。
サイバーサイコシス状態になった人間の主観映像ほどスリリングでヤバくてクールなものはない。
アカデミーに溶け込めずトラブルに見舞われるデイヴィッド。
洗濯する金も家賃も払えないような暮らしの中、救急隊員の仕事をこなす母親グロリアは、息子がいつかアラサカの優秀な人材となってエリートの暮らしをすることを夢見ている。
しかし、彼女は事故に巻き込まれて死ぬ。
失意のなか、遺灰とともに自宅に戻ったデイヴィッドはグロリアの荷物のなかに見慣れぬインプラントデバイスを発見する。
それはBDで見たジェームズ・ノリスにインストールされていた軍用インプラント「サンデヴィスタン」だった。
友人である闇サイバー技術者、ドクにデイヴィッドは言う。
「こいつを俺にインストールしてくれ!」
圧倒的な力を手に入れたデイヴィッドはアカデミーからドロップアウトし、電車で出会った謎の女ルーシーと組んでスリの仕事にのめりこむ。
しかし、彼女はとある犯罪組織のメンバーだった。デイヴィッドの人生は、それまでとはまったく別の危険な方向へと動き出す。
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登場人物
デイビッド・マルティネス(David Martinez)
声 - KENN
本作の主人公。
「Cyberpunk2077」本編ではレジェンドとして名を残しているストリートキッドであり、ゲーム本編では故人。
アフターライフに彼の名を冠したカクテルがあり、「高みを目指して派手にくたばれ」との文が添えられている。
アラサカアカデミーに通う生徒であり、学業は優秀だが低所得なため苛められている。
母親の遺品である軍用のサイバーウェア「サンデヴィスタン」を装着し成り上がる一方で大きな陰謀に巻き込まれる。
ルキナ・クシナダ / ルーシー(Lucyna "Lucy" Kushinada)
声 - 悠木碧
本作のヒロイン。
淡い虹色に光る髪色をしたネットランナーの少女。
チーム内ではキーウィのバックアップ担当で、補助役に徹しているがその実力は確か。
アラサカのランナー養成施設出身。
幼い頃から高度な訓練を受け、修了後は使い捨ての駒として非常に危険な任務に就かされたため同期と共謀して脱走。
放浪生活の末ナイトシティに辿り着き、キーウィに拾われチームに入った。
アラサカへの恨みを抱えつつも敵う相手ではないと立ち向かう気はなく、遠いところへ行きたいと月に憧れている。
メイン(Maine)
声 - 東地宏樹
チームのリーダー。
ベテランのソロ。
巨躯の持ち主で大量のサイバーウェアを身に着けている。
グロリアと取引を行なっており、デイビッドの軍用サンデヴィスタンは、本来彼が買い取るはずだった。
当初は横取りされたとデイビッドに対し怒っていたが、事情を知ってからは気さくな兄貴分のようになり、共に数々の仕事をこなす。
負荷の重いサイバーウェアに蝕まれつつあるが、得た力を失いたくないためにダウングレードを拒んでいる。
ドリオ(Dorio)
声 - 鷄冠井美智子
メインの右腕的存在で、恋人でもある。
大柄な体格のソロ。
キーウィ(Kiwi)
声 - 本田貴子
ルーシーの姉的存在。
謎多きネットランナー。
口をネット接続ソケットに改造しているため、トレードマークの赤いマスクの下は人間離れしている。
骨ばった細身の体格で、乳首を青色に改造している。
ピラル(Pilar)
声 - 高木渉
レベッカの兄。
癖の強いテッキー。
改造された異様に長い腕、関節の多い指によりテクニカルな動きを見せる。
下品で粗野な性格で、下ネタが多い。
声 - 黒沢ともよ
ピラルの妹。
銃の扱いに長けたソロ。
小柄でデイビットやルーシーよりも幼く見えるがトリガーハッピーで口調が乱暴。
全身を改造しているのか肌は白に近い水色をしている。
物語の途中で両腕を体に不釣り合いなほど巨大に改造し、右腕が赤色、左腕が青色となり、扱う銃器も二丁拳銃からショットガンや重機関銃へ変わる。
銃の撃ち方を教えていたり、不慣れな酒場で萎縮しているところをそばに寄り添うなどデイビッドを加入当初から気に入っており、物語中盤からは互いに背中を預け合え、共に死地に飛び込める相棒となると同時に密かに特別な感情を抱くようになる。
ファルコ(Falco)
声 - 加瀬康之
メインの知り合い。
ベテランのドライバー。
グロリア・マルティネス(Gloria Martinez)
声 - 日野由利加
デイビッドの母。
夫はおらず、母子家庭。
救急救命士。
息子と帰宅途中、ギャングの抗争に巻き込まれ車両事故を起こし死亡する。
リパードク(Doc)
声 - 津田健次郎
デイビッドと顔見知りのリパードク。
彼に「サンデヴィスタン」を装着する。
ファラデー(Faraday)
声 - 井上和彦
名の知れた冷酷なフィクサー。
メインたちに仕事を与える。
改造により右目が三つあり、縦に並んでいるのが特徴。
主題歌
Franz Ferdinandによるオープニングテーマ。
作詞・作曲はNick McCarthyとAlex Kapranos、編曲はRich Costey。
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Dawid Podsiadłoによるエンディングテーマ。
作詞はDawid Podsiadło、作曲はDawid PodsiadłoとMagdalena Laskowska。
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"サイバーパンク(Cyberpunk)" とは、1980年代に成立したサイエンス・フィクションのサブジャンル、 もしくは特定の運動や思想を指す。
"サイバーパンク(Cyberpunk)" という言葉が最初に用いられたのは、ブルース・ベスキの短編小説「サイバーパンク」(1980年)であったらしい。
この言葉に編集者ガードナー・ドゾワが注目し、一連の小説の潮流を示す用語として用い始めたという。
典型的なサイバーパンク作品では、人体や意識を機械的ないしは生物的に拡張し、それらのギミックが普遍化した世界・社会において個人や集団がより大規模な構造(ネットワーク)に接続、ないしは取り込まれた状況(または取り込まれてゆく過程)などの描写を主題のひとつの軸とした。
さらに作品に設定された抑圧的な支配構造・弾圧的な権力機構・政治腐敗に対する反発と抵抗(いわゆるパンク)を主題のもう一つの軸とする点。
これらを内包する科学的なガジェットをもとに社会や経済・政治などを俯瞰するメタ的な視野が提供され、従来のSFにおける科学技術偏重への批判的な描写が成されることで作品をサイバーかつパンクたらしめ、既存のSF作品と区別されて成立した。
サイバー空間のスタイリッシュなガジェットと明るい希望とほど遠いうす汚れた雑多な世界観で描くのは近未来のディストピア
「高みを目指して派手にくたばれ」
本作はそんな不良少年たちの破滅と悲哀を描いた作品である。
また近未来を描いたSFアニメでありながら、不正や不満が渦巻く現代のなにもかもをぶち壊したくなるような、ストレスを抱えた人々に寄り添う一瞬のドラッグめいた娯楽映像作品に仕上がっている。
ただし、けっして明るく楽しいだけの娯楽作品ではない。
サイバー空間のスタイリッシュなガジェットと、明るい希望などとはほど遠いうす汚れた雑多な世界観。
何もかもがだらしなく混じり合ったナイトシティは、現代のだらしなさに酷似している。
国のインフラに乗っかって政府批判をし、資本主義を叩きながらスマホを使い、大企業のサーバに支えられたサービスに興じる。
我々現代人が生きるために受け入れた、あらゆる矛盾にNOを突きつける本作。
まさにパンクと呼ぶに相応しい作品である。
物語が後半に向かうにつれ、主人公たちの姿が生活苦で闇バイトに手を出してしまう現代の若者たちと重なっていくのが妙に生々しい。
それは1980年代のサイバーパンクが描いた近未来に、現代が近づいたからなのかもしれない。
そうじゃないにしても、本作が描いたディストピアは近い将来必ず訪れる。
そんなリアリティを感じる。
そんな世界観だから基本的に鬱展開の本作であるが、不思議と後味は悪いものではなかった。
この手の作品、たとえば『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』のような世界観が好きな人なら観ておくべき作品である。
サイバー空間のスタイリッシュなガジェットと、明るい希望などとはほど遠いうす汚れた雑多な世界観を見事に表現した映像美は必見。
ちなみに本作には、世界観を同じくするゲーム(「Cyberpunk2077」)が存在するが、アニメはこれ自体で独立したものなので事前にプレイしておく必要はない。
「2077もやらなければ本当の魅力がわからない」「いや、TRPG版もやるべきだ」などといった声があるが無視していい。
予備知識なんて必要ない。
娯楽はお勉強ではないし、パンクとは反体制なものである。
もし興味を持ったなら、今すぐ観るべき。
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