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ioritorei’s blog

完全趣味の世界

《今ならTVerで視聴可能》懐かしのドラマをプレイバック!【ドラマ『ノーサイド・ゲーム』(2019年)】これぞ日曜劇場の真骨頂!出演者たちのアツい演技が泣けてくる熱血スポ根作品。

 

ドラマ(2019年)

ノーサイド・ゲーム

 

 

ノーサイド・ゲーム』とは

 

 

ノーサイド・ゲーム』は、池井戸潤先生の小説を原作としたドラマ。

2019年7月7日から9月15日まで毎週日曜21時 - 21時54分に、TBS系「日曜劇場」枠で放送された。

主演は大泉洋氏。

日曜劇場での池井戸原作作品は半沢直樹』(2013年)ルーズヴェルト・ゲーム』(2014年)下町ロケット』(2015年版)陸王』(2017年)下町ロケット』(2018年版)に次いで6作目で、前5作と共通したスタッフで制作された。

東京都府中市が市民らからエキストラを募集するなどドラマを盛り上げる取り組みを進めており、同市を本拠地とするジャパンラグビートップリーグ東芝ブレイブルーパスラグビーグラウンドが、アストロズの練習場に選ばれたほか、府中駅周辺で、市民に親しまれているケヤキ並木も撮影で使用され、各場面で登場する。

また、プラチナリーグの試合会場となるトキワスタジアムとして、熊谷ラグビー場がロケ地に使われている。

アストロズ」のメンバーを演じる役者は、友部役のコージ・トクダ氏を除き、全員ラグビー経験者で構成されている。

ちなみに、演出の福澤克雄氏、平野俊一氏もラグビー経験者である。

また、放映時期が日本で開催されたラグビーワールドカップ2019の開幕直前(最終回放送の5日後の9月20日に開幕)だったこともあり、本作が同大会を盛り上げるのに寄与したとの言及もあり、実際に予選プールAの日本対スコットランド戦にて日本代表が勝利し決勝トーナメント進出が決定した後、ドラマの主題歌である「馬と鹿」が会場に流れた。

2020年4月19日から放送開始が告知されていた半沢直樹』(2020年版)が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で初回放送の延期(7月19日)が発表され、本編放送に先立って4月5日と12日に放送される予定であった2013年版の特別総集編も併せて、7月5日と12日に延期となったため、2020年4月26日 - 5月24日の20時 - 21時54分(5月17日のみ21時 - 22時48分)に、未公開シーンや大泉氏のナレーションを加えて再構成した「特別編」が代替番組として放送された。

最終夜では、挿入歌として松任谷由実ノーサイドが使用された。

キャッチコピーは、「誇れる自分であれ。」

 

 

ノーサイド・ゲーム

ノーサイド・ゲーム

 

 

ノーサイド・ゲーム Blu-ray

ノーサイド・ゲーム Blu-ray

 

 

 

あらすじ

 

 

トキワ自動車経営戦略室次長の君嶋隼人は、滝川桂一郎が出したカザマ商事買収案件に反対する意見書で、滝川と対峙していた。

この案件は、結局取締役会で見送られたが、それからおよそ3か月後、君嶋は府中工場総務部長に左遷させられる。

府中工場総務部長は、成績が低迷する、トキワ自動車のラグビー部・アストロズのゼネラルマネージャー兼務と決まっていて、君嶋はラグビーについてまったくの素人ながら、着任早々監督選びに悪戦苦闘することになる。

アナリストの佐倉多英や、キャプテンの岸和田徹の助言を受けながら、新監督は柴門琢磨に決まる。

新生アストロズが始動し快進撃を続け、柴門が監督に就任して1年目のアストロズは2位の成績に終わる。

そして、君嶋は元上司・脇坂賢治から、見送られたはずのカザマ商事買収案件が復活したことを聞く。

その後、脇坂は君嶋に経営戦略室に戻るように伝えたが、君嶋は府中工場の総務部長として、またアストロズのゼネラルマネージャーとしてやり残したことがあると伝える。

滝川は取締役会でカザマ商事買収を提案し、まとまりかけようとしたところ、脇坂にカザマ商事に関する経営情報報告で不備な点を指摘されたことで白紙となる。

これをきっかけに滝川は社内での信用を失い関連会社の社長に転出し、脇坂は立場が入れ替わる形で常務取締役に昇進する。

脇坂が常務取締役に就任してからは、アストロズの強化費削減をしアストロズを廃部に持ち込もうとして、アストロズは苦境に立たされる。

そして、脇坂はアストロズの強化費削減案を取締役会に提案したが、君嶋がアストロズの存在証明と日本蹴球協会に戦いを挑んでいることの説明に、社長の島本博が同意したことで提案は退けられる。

そのあとに君嶋からの「コンプライアンス問題に関する報告」をしたことで脇坂は常務取締役の役職を解かれることになる。

同時に日本蹴球協会の定例会議で専務理事の木戸祥助は、「プラチナリーグ改革案」と、自身の意向に反する提案をことごとく排除してきた会長の富永重信の解任を提案し、理事たちの賛同を得たことでプラチナリーグは変化しようとし始める。

柴門が監督に就任して2年目のアストロズは念願叶って優勝し、その4か月後に君嶋は経営戦略室長のポストに異動し、アストロズ部長職を兼務することになる。

 

 


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主題歌

 

 

  • 「馬と鹿」

作詞・作曲・歌:米津玄師

 

本作の主題歌として制作され、リリースと同年に日本で開催された「ラグビーワールドカップ2019」と複数のコラボレーションを果たし、音楽配信チャートで複数週に渡ってトップを保持した。

ラグビーW杯日本代表で活躍した福岡堅樹選手は、Twitterで "落ち込んだ時に元気の出る歌" として同曲を挙げ、「SCO(注:スコットランド)戦の後に流れてたのを今でも鮮明に覚えています!」とコメントするとともにアカペラで歌う動画も投稿。

当該試合は、日本代表がワールドカップ史上初のベスト8入りを決めた歴史的な1戦で、試合終了後、グラウンドに「馬と鹿」が響き渡り、観客は大合唱しながら選手たちの奮闘を称えた感動的なシーンとして記憶されている。

 

 


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馬と鹿 (ノーサイド盤(初回限定)) (CD+ホイッスル型ペンダント(レザージャケ)) (特典なし)

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馬と鹿

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アジア初のラグビーワールドカップ開催へ向けて

 

 

最終回放送の5日後の2019年9月20日に「ラグビーワールドカップ2019」が開幕していることを鑑みても、本作がワールドカップに向けて制作されたといっても過言ではない。

だからなのか、制作陣のラグビーに対する入れ込み方が半端ではない。

選手役の出演者はラグビー経験者で固められ、迫力ある試合シーンをみせてくれる。

ラグビー経験者として有名な濱田岳氏をゲスト出演するなど、本作からはラグビーに対する並々ならぬ熱意を感じる。

しかし、本作がラグビー人気をただ煽っているだけの作品かといえば、そうでもない。

日本のラグビー人気はワールドカップで最高潮を迎えたものの、欧米のように、文化として根付いているわけではない。

劇中序盤の滝川のセリフがそれを物語っている。

ラグビーはこの国に必要なのだろうか?」

この言葉には深く考えさせられた。

ミーハーな日本人は、"にわか" なんて言葉が流行語になるくらい流行りものが大好きだ。

スポーツはその最たるもので、サッカーW杯開催時にはサッカーが。

WBC開催時には野球が話題を席巻する。

それは当然といえば当然のことなのだが、何でもかんでも一過性の流行りにしかならないような気がする。

ラグビーには暑苦しさやむさ苦しさのイメージがつきまとうが、仲間の大切さを知ることができる素晴らしいスポーツである。

「ONE TEAM」や「ノーサイド」がただの流行語で終わらないで、ひとつの思想として定着してくれたら、この国はもう少し豊かになるのではないだろうか。

 

 


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アツすぎて泣けてくる

一生懸命な姿はいつだって格好良い

 

 

本作を観ると思わず自問自答してしまう。

最近、夢中になるほど何かに取り組んだことがあるだろうか?

ありったけの情熱を捧げたことがあるだろうか?

思い通りにいかなくて、悔し涙を流したことがあるだろうか?

心の底から笑い合える仲間が、自分にはいるだろうか?

本作は一生懸命何かに打ち込むことが、どんなに素晴らしいことかを教えてくれる。

そして仲間の大切さを教えてくれる。

ストーリーはベタ中のベタ。

一般的なラグビーのイメージ通り、暑苦しくてむさ苦しい選手たちが、泥臭い演技をみせている。

それでも…。

どんなに暑苦しくてむさ苦しくても、ひた向きに何かに打ち込んでいる姿は誰であろうと美しい。

そしてそういうアツい人間の言動は、みている人間の心を否が応でも動かす。

日常に慣れきって情熱を失くしかけている人は、是非観直してみるといい。

久しぶりにアツい想いが込み上げてくること、請け合いだ。

 

 

 

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《今ならTVerで視聴可能》懐かしのドラマをプレイバック!【ドラマ『Chef〜三ツ星の給食〜』(2016年)】シェフ・レストラン系ドラマにハズレなし。想像の斜め上をいく秀逸な結末は完全ストレスフリー。

 

ドラマ(2016年)

Chef〜三ツ星の給食〜

 

 

『Chef〜三ツ星の給食〜』とは

 

 

『Chef〜三ツ星の給食〜』は、2016年10月13日から12月15日まで毎週木曜日22時 - 22時54分にフジテレビ系の「木曜劇場」枠で放送されたテレビドラマである。

全10話。

天海祐希さんが、シェフ役に初挑戦。

天才女性シェフが、失った "三ツ星" を取り戻すべく、どんな状況でも力強く前向きに人生を切り開いていく痛快エンターテインメント作品。

 

 

#4 三ツ星フレンチ屋台の逆襲

#4 三ツ星フレンチ屋台の逆襲

 

 

Chef~三ツ星の給食~

Chef~三ツ星の給食~

 

 

 

あらすじ

 

 

日本だけでなく世界中から注目される三ツ星レストランの天才女性シェフ・星野光子(ほしの・みつこ)。

男性社会ともいわれる料理の世界で、厳しい修業時代を強靱な体力とタフなメンタルで乗り切り、パリの名だたるフレンチレストランで修行し、数々の有名コンクールで優勝。

帰国後は、銀座の有名フレンチレストラン「La Cuisine de La reine(ラ・キュイジーヌ・ドゥ・ラ・レーヌ)」の総料理長に就任した。

繊細な味覚と他の追随を許さない創造性で次々と新たなレシピを生み出し、世界有数のトップシェフまで上り詰め、「La Cuisine de La reine」は三ツ星を獲得。

メディアにも度々取り上げられ、最近ではテレビ番組でコメンテーターも務めるスター的存在に。

そんな光子の料理を求めて世界中のグルメが店に訪れ、予約は3年待ち。

自分の料理に絶対の自信を持つ光子は "自分の料理を残す客など世界に存在しない" とすら思っていた。

しかし、ある日、彼女はレストランのオーナー・篠田章吾とトラブルを起こしクビになってしまう。

その後、オーナーの妨害と高すぎるプライドが災いしてなかなか新しい店が見つからない中、テレビ番組の企画でなんと "学校給食" を作ることに。

世界最高の料理を作ってきた彼女にとっては簡単なことと思いきや、栄養・経費・味覚の違いなど、多くの壁にぶつかり失敗続きに。

しかも、その過程をテレビで放送されてしまい世間の知るところとなってしまう。

それでもここで挫折する光子ではなかった。

子どもたちに「最高に美味しい」と言ってもらうため、さらには失った星を取り戻すため、天才シェフの給食作りが始まる。

 

 

 

シェフ・レストラン系ドラマにハズレなし

 

 

王様のレストラン』『dinner』『グランメゾン東京』と、シェフやレストランをフィーチャーした作品にはハズレが少ない。

シェフ・レストラン系ドラマには人の生き死にを扱うような重さがないし、起こりうるハプニングも高が知れているから、とにかく気楽に観ることができる。

無駄な緊張感がないのだ。

本作もご多分に漏れず、まったくストレスを感じることなく楽しんで観られる作品である。

またシェフ系ドラマではレストランを舞台とすることがほとんどだが、給食をテーマに扱っているところがさらに良い。

おかげで他作品以上に気楽に観れること請け合いだ。

 

 

 

秀逸な結末

 

 

シェフ・レストラン系ドラマでの主人公が天才シェフ設定であることはお約束だが、ラストをどのようにするかでそのドラマのセンスが問われる。

無名店から有名店にしたり三ツ星を獲得したりと、だいたいが予想通りの結末で落ち着く。

本作の想定できる最終回の結末としても、「光子が三ツ星シェフに返り咲く」というのがセオリー通りの展開だろう。

しかし本作が扱うテーマは給食であるから、他作品より結末の幅が大きい。

どこに落とし所を持っていくのか期待していたが、あまりに想定以上の結末が待っていた。

「東京都三つ葉市の三つ葉小学校の給食がレストラン以外で初となる一ツ星を獲得しました。

給食が星を獲得したのは世界で初めてと なります。繰り返します…」

なんと、小学校の給食が一ツ星を獲得するという前代未聞の珍事。 

しかも、このあとのセリフがまた良い。

「ボブでイランにノーベル文学賞が与えられる時代だ。レッドスタ ーガイドも粋なことを…」

給食に星を付ける意外性には驚いたが、本作にはさらにトンチの効いた結末が待っていた。

光子曰く、「納得いかない!なんですか星一ツなのよ!何で星三ツじゃないのよ!」とのこと。

さらには「来年は必ず三ツ星取るから!」と鼻息を荒くする。

同じ三ツ星シェフに返り咲くにしても、なるほど、こういう結末もあるのか。

数あるシェフ・レストラン系ドラマの中でも、本作の結末は群を抜いて秀逸だ。

何より、光子のような役を天海祐希さんが演じると最強。

やはりシェフ・レストラン系ドラマにハズレなしである。

 

 

 

 

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《今ならTVerで視聴可能》懐かしのドラマをプレイバック!【ドラマ『リッチマン、プアウーマン』(2012年)】物語はスティーブ・ジョブズの人生そのまま?内容はパクりっぽいけどやっぱり格好良い小栗旬。

 

ドラマ(2012年)

リッチマン、プアウーマン

 

 

リッチマン、プアウーマン』とは

 

 

リッチマン、プアウーマン』(英称:RICH MAN , POOR WOMAN)は、フジテレビ系の「月9」枠で2012年7月9日から9月17日まで、毎週月曜日21時 - 21時54分に放送されたテレビドラマである。

主演は小栗旬氏。

公式な略称は「リチプア」、「RMPW」。

2013年4月1日には、続編のスペシャルドラマ『リッチマン、プアウーマン in ニューヨーク』が放送された。

小栗氏は若くしてIT企業を作り上げ億万長者となった社長を演じ、ヒロイン役の石原さとみさんは、東京大学理学部という高学歴ながら内定がもらえず就職活動に奔走する女子大生を演じた。

生活も価値観も正反対の2人が、衝突を繰り返しながらもお互いを知り精神的に成長して惹かれあう「現代版『プリティ・ウーマン」的恋愛ドラマに加え、「絵空事じゃない地に足のついた夢を語って、世の中に発信できる」「男のカッコよさ」を描くことを主題とし、企業ものとしての要素も多く盛り込まれている。

平均視聴率は12.4%であったが、有料動画配信では好調な売上を記録した。

連続ドラマの特性を生かしたストーリーや、アイデンティティをめぐる問題を描いた姿勢などが評論家などに評価されたほか、ザテレビジョンドラマアカデミー賞での2部門受賞などいくつかの賞を受けている。

 

 

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リッチマン,プアウーマン Blu-ray BOX

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あらすじ

 

 

日向徹は若くして時価総額3000億円のベンチャーIT企業「NEXT INNOVATION(ネクスト・イノベーション)」(以下、記述上は適宜NIとする)を率いる社長であり、天才と評されるが傍若無人で毀誉褒貶の激しい人物である一方、母に捨てられた心の傷を密かに抱えている。

ある日彼は自社の会社説明会で、東大生ながら折からの就職難で内定ゼロの就活生女子と出会う。

その名は澤木千尋といい、彼の探している実母と同姓同名であった。

日向は彼女を自分が力を入れる戸籍情報管理システム「パーソナルファイル」(以下、PF)の計画にインターンシップとして参加させる。

しかし彼女の名は実は偽名であった。

彼女は日向の実母の知人で、日向は覚えていなかったが数年前に日向本人と出会っており、彼を実母に会わせてやれなかったことを悔いていた。

そのことからつい澤木千尋の名を騙って彼の前に現れたのだが、やがてその素性は日向にばれてしまう。

日向は一旦彼女を解雇するが、彼にとって今まで出会ったことのないタイプの彼女はPF開発への新しい視点を与えてくれるとして、夏井真琴という本名を明らかにさせた上で再度雇い入れる。

真琴は日向に惹かれていき、彼の傍で力になりたいと考えるようになる。

しかし、真琴がもたらした日向の変化は、彼と固い友情で結ばれていた副社長・朝比奈恒介との関係にヒビを入れてしまう。

朝比奈は日向を裏切り、元社員の遠野を利用して顧客情報流出事件を起こし会社を危機に陥れ、日向を解雇して社長の座を乗っ取る。

真琴はようやく手にした企業研究員の内定を断り、社員にも見捨てられて会社を去る彼にただ一人ついていく。

二人は新会社を設立し、個人資産も失い無気力に陥った日向が真琴の励ましで立ち直った頃、朝比奈は遠野の裏切りにより背任などの罪で逮捕される。

日向を慕うNI社員たちを迎えて新会社が次第に成長する中、真琴は困難を乗り越えて人間的にも成長した日向に対し、自分にできることは何もないと考えて彼の傍にいるのが辛くなり、企業研究員の採用を再び受ける。

日向は連絡を絶った真琴を心配して探すうちに実母と再会し、長年のわだかまりを解消するとともに真琴への特別な感情を自覚する。

しかし日向はその思いを素直に告白できず、二人の関係はすれ違う。

日向は経営危機に陥ったNIを存続させるため同社の社長に復帰し、拘置中の朝比奈とも和解し謝罪を受け入れる。

何とか経営危機を乗り切った矢先、真琴が研修のためブラジルに出発することを知った日向は彼女を空港まで追いかけて愛を告白し、自分の仕事であるITの技術で地球の裏側で働くことになる真琴との距離を無くしてみせると約束する。

1年9か月後、日向は刑期を終えた朝比奈を迎え、二人の友情は復活する。

そしてブラジルから帰国した真琴は、恋人として日向に迎えられる。

 

 

 

物語はスティーブ・ジョブズの人生そのまま

 

 

若くしてIT長者。

最先端をリードするカリスマ社長。

常識に捉われない破天荒な言動。

聴衆を魅了するスピーチ力。

一度は会社から追い出されるも、その後追い出された会社から乞われ見事に返り咲く…。

本作のストーリーは、観れば観るほどスティーブ・ジョブズの人生そのものだ。

そのあからさまぶりに、思わず笑ってしまうほど。

しかしここまであからさまだと、逆に清々しい気分になってくる。

実際、小栗旬氏自らが制作発表記者会見で、日向のキャラクターに通じる人物としてApple創業者のスティーブ・ジョブズを挙げており、制作発表の席でジョブズの言葉を参考にしたとまで語っているから、自覚はあると思われる。

スティーブ・ジョブズ信者としては、本来なら一笑に付してやりたいところだか、どうしてどうして再放送のたびに観てしまう。

きっとスティーブ・ジョブズの波瀾万丈な人生を、カジュアルに楽しめるような感覚が本作の魅力なのだろう。

 

 

 

悔しいかな小栗旬が格好良すぎ

 

 

何度も申し上げるが、著者はスティーブ・ジョブズ信者である。

信者からすれば、小栗旬氏が演じるカリスマ社長なんてスティーブ・ジョブズのカリスマ性には遠く及ばない。

やはり現実で本当に革新を成し遂げた人間と、フィクションの中の人物とでは比べものにもならないのも当然だ。

それでも主演を務めた小栗旬氏が格好良さは、悔しいかな認めざるを得ない。

スティーブ・ジョブズもビジュアルが良かったが、それを日本人顔で演じるとするならきっとこういうことなのだろうと妙に納得してしまう。

小栗旬氏も格好良いが、井浦新氏の演技も見所。

日向の相棒・朝比奈恒介役を演じた井浦新氏は、たしか本作で初めて知った俳優さん。

なんとも言えない特徴的な演技が印象的で、本作リピート視聴の一因でもある。

 

 

 

スティーブ・ジョブズのビジネスモデルの再確認

 

 

本作の物語をスティーブ・ジョブズの人生で例えるなら、Apple Ⅱで大成功を収めた後あたりから始まる。

そして採算を無視したLisa(リサ)とMacintoshの開発に固執したため、Apple社から一度追い出されている。

Apple社から追い出されたジョブズは、教育・ビジネス用の高性能なコンピューターを開発・製造するNeXTを設立。

今書き出したのはスティーブ・ジョブズの人生だが、そっくりそのまま本作のストーリーと合致する。

追い出されるきっかけとなった事業の違いこそあれ、本作の大筋はまさにスティーブ・ジョブズの人生そのものだ。

この点で本作は大変見応えがある。

ジョブズは大きな成功の影で失敗も多かった。

ジョブズならどうするか?

そんな風に考えながら本作を観てみるのも楽しいかもしれない。

 

 

 

 

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【アニメーション映画『聲の形』】映像美はさすがの京アニクオリティ。他人との関わり方に悩むすべての人に観てほしい傑作アニメ。

 

アニメーション映画

聲の形

 

 

聲の形』とは

 

 

聲の形』(英題:A Silent Voice)は、大今良時先生による漫画作品。

最初の作品が「別冊少年マガジン」(講談社)2011年2月号に、リメイクされた作品が「週刊少年マガジン」2013年12号に掲載された。

週刊少年マガジン」にて2013年36・37合併号から2014年51号まで連載された。

聴覚の障害によっていじめを受けるようになった少女・硝子と、彼女のいじめの中心人物となったのが原因で周囲に切り捨てられ孤独になっていく少年・将也の2人の触れ合いを中心に展開し、人間の持つ孤独や絶望、純愛や友情などが描かれる。

物語は2人の小学校時代における出会いの回想から始まることになる。

舞台となる地名は架空のものが用いられるが、作中に描かれる風景は主に岐阜県大垣市をモデルとしている。

本作は、作者が専門学校時代に投稿した漫画の結果待ちをしている間に描いていた作品でもある。

その着想は、作品の投稿当時から現在に至るまで育っているテーマ「人と人が互いに気持ちを伝えることの難しさ」の答えを作者自身が見つけ出せなかったため、「読者に意見を聞いてみたい」という気持ちで描いたという。

その後、読みきりが掲載されて議論が起こった際には「嬉しかった」と感想を述べている。

また、手話通訳者でもある作者の母親からの協力もあり、劇中では手話の場面が多く描かれる。

なお、題名を「聲」の字にしたのは、調べた際にそれぞれ「声と手と耳」が組み合わさってできているという説があることを知ったためであることと、「気持ちを伝える方法は声だけじゃない」という意味を込めて「聲」にしたという。

2015年版「このマンガがすごい!」オトコ編で第1位、「マンガ大賞2015」で第3位を獲得した。

第19回手塚治虫文化賞新生賞受賞作。

全日本ろうあ連盟監修のもと道徳教材化され2015年に30分の実写DVD化された。

2016年には劇場版アニメーションが制作されている。

 

 

聲の形(1) (週刊少年マガジンコミックス)

聲の形(1) (週刊少年マガジンコミックス)

 

 

 

アニメーション映画『聲の形』とは

 

 

監督は山田尚子さん、制作は京都アニメーションが担当し、2016年9月17日に全国公開された。

公開館数は120館と小規模であったが、興収23億円を突破。

第40回日本アカデミー賞優秀アニメーション作品賞や、第26回日本映画批評家大賞アニメーション部門作品賞、第20回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞などを受賞。

 

 

映画『聲の形』Blu-ray 通常版

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「聲」

 

 

「聲」はあまり見慣れない漢字だが、これは「声」の旧字体

画数が多くて一見意味が難しそうだが、古風な趣が感じられる。

「聲」は、「耳」と「殸(けい)」の会意文字で、打楽器「殸」の形を表す文字と、木製の棒を手にしている意味を表す文字で、打楽器「殸」とそれを打ち鳴らして耳に届く音である「こえ」から、そのまま言い表すようになった。

「殸」の読みは「けい、きょう、せい」で、部首は「殳(るまた、ほこづくり)」である。

「殸」は大昔の中国の打楽器で、板状に作った石を吊り下げ、音を打ち鳴らして演奏する。

「磬(けい、うちいし)」は、「石」と「殸」の会意文字と形声文字で、「殸」は元の字になる。

ちなみに会意文字は漢字の六書の中の一つで、2個以上の漢字が合成されて違う意味を持った新しい漢字を指す。

「木」を二つ合わせて木々の生え方を表す「林」、「人」と「皆」で「偕」などである。

また形声文字は、音読みであらわす文字と、意味を示す部首などの文字を合成してできた違う意味を持つ新しい漢字を指す。

「紛」「個」「枯」「鈴」などである。

「聲」は訓読みは「こえ、こわ」で、音読みは「しょう、せい」。

人や動物が発する聲や、自然や物から聞こえる音の響きなどを意味する。

また歌の節や曲の調子、音階、ハーモニーなどを意味する。

さらには他人からの批評をも意味し、「声誉」や「名声」といった遣い方もする。

 

 

 

あらすじ

 

 

高校への進学後、自らの報われない人生の末路を思い浮かべた将也は、遂に自殺を決意。

その前に、自分が犯した「罪」の贖罪をしようと、身辺整理等によって補聴器の弁償額と同額の金を集めた将也は、それを母の枕元に置き、硝子がいるという手話サークルの会場へと向かう。

そして将也は硝子と再会した。

自らの後悔や謝罪と共に「友達」になって欲しいことを告げた将也の気持ちに、硝子は手を握る形で応えるのだが…。

時は小学生時代へ遡る。

将也のクラスに転校してきた硝子は聴覚障害者であり、自己紹介でノートの筆談を通じてみんなと仲良くなることを希望する。

しかし、硝子の障害が原因で授業が止まることが多く、同級生たちはストレスを感じる一方になっていた。

やがて将也を初めとするクラスメイトたちは硝子をいじめの標的とするようになり、補聴器を取り上げて紛失させたり、筆談ノートを池に捨てたりするなどエスカレートしていった。

彼女の母親の通報によって校長同伴による学級会が行われるが、担任の竹内はいじめの中心人物であった将也のせいだと、威圧的に追及。

それに賛同する形でクラスメイトたちも次々と将也のせいだと主張し始め、自分たちも硝子に散々な仕打ちを行っていたにもかかわらず、彼らは皆自己保身のためだけに暗黙の団結を結んで、全ての罪を将也一人になすり付けようとしたのだ。

あまりにも信じられない光景に愕然とする将也が、硝子に代わる新たないじめの標的となる日々の始まりだった。

孤立した将也は、硝子よりも激しいいじめを受け続けることになる。

新たないじめグループのリーダーとなった島田によって池に突き落とされたり、上履きを隠されたり、机に落書きされたり…。

あまりにもあっけなく掌を返されてしまった彼を硝子は気にかけるが、結局、将也とは分かり合えず転校していった。

孤独を深めていった将也は誰も信じることができなくなっていた。

 

 


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主要登場人物

 

 

石田将也

声 - 入野自由(小学生時代 - 松岡茉優)

 

本作の主人公。

A型。

小学生時代の将也は幼稚で粗暴なガキ大将タイプでコミュニケーションが下手な少年。

耳の聞こえない硝子に、好奇心からいじめを行ってしまう。

元々退屈を極度に嫌い、それに対抗するかのように河川に飛び込んだり自分より体格の大きな者に喧嘩を売ったりするなど度胸試しを好む悪癖があった。

硝子へのいじめもその延長線上に過ぎなかったのだが、それがあまりに度を過ぎたものになって学級裁判にかけられ、クラスから断罪される。

学級裁判以後、スクールカースト下位に転落した将也は、それまで仲が良かったクラスメイトから手のひらを返すようにいじめを受けるようになってしまった。

それとは対照的に、いじめていたり取っ組み合いの喧嘩までしたりしたにもかかわらず最後まで自分を見捨てずに友達になろうとしてくれた硝子の優しさに気付く。

しかし時すでに遅く、硝子は転校により学校を去っていた。

中学生時代でも周囲に孤立させられ完全な人間不信に陥り、名のある高校に進学しても過去の罪から心を閉ざし(一部を除くクラスメイトなど学校関係者の顔にバツ印がついて見えている)、母親が立て替えて払った補聴器の弁償代を返済した後は自殺を考えていた(硝子と友達になったため思い直している)。

硝子への謝罪と感謝の気持ちを伝えようと将也は独学で手話を学びながら硝子を捜していた。

ようやく5年後、高校3年生になった硝子と再会する。

再会後は自分が奪ってしまった硝子の幸せな小学生時代を取り戻すことに使命感を抱き、献身的に硝子に尽くそうとする。

しかし、それは同時に自分が背負っている過去の罪への意識、自己否定、トラウマと向き合う辛い行動でもあった。

硝子と植野の両方から好意を寄せられているがそのことに気付かず、また、自身の中に生まれている硝子への好意にも向き合えていなかった。

小学生時代に硝子をいじめていたことを川井が言いふらしたのではないかと疑心暗鬼に陥り(実際に川井が将也の過去をクラスに暴露したため、当たっていたのだが…)、周囲との関係を悪化させてしまう。

その件を苦に硝子が投身自殺を図ったときは、救出こそ成功するが自らは力尽きて転落し、一時は意識不明の昏睡状態となる。

回復直後に硝子を求め、想いを伝え合い、改めて過去を乗り越えて歩み寄るに至る。

作者曰く「彼は私自身の分身として描いています。私が感じたり考えたりしていないことや、できないことは、石田にもさせられないんです。」とのこと。

 

 

西宮硝子

声 - 早見沙織

 

本作のもうひとりの主人公。

A型。

先天性聴覚障害を持つ少女。

補聴器をつけても会話はほとんど聞き取れないほど障害の程度は重く、発話も不完全で他者には内容が聞き取りづらい。

聴覚障害が発覚したのは3歳のとき、父親は硝子の障害を知ると責任を母親になすりつけ離婚した。

母親の方針もあって、小学校は特別支援学校ではなく普通校でのインクルージョン教育を選択する。

しかし度重なるいじめを受け、将也のいた水門小学校のあとは、同校での担任だった竹内からの強い勧めもあって特別支援学校に移った。

小学校での硝子は、クラスに溶け込み友達を作ろうと努力するが結局うまくいかなかった。

特別支援学校への転校以降、将也と再会するまでは孤独で内向的な生活を送っていた模様。

しかし将也との再会後は、小学校時代の旧友との交流が復活するなどめまぐるしい人間関係に翻弄される。

幼い頃からコミュニケーションでの失敗経験を繰り返したため、他人と意見をぶつけあうことが苦手で、周囲と摩擦が起こったときには愛想笑いでごまかすことが多かった。

結果としてそれが「周りに相談もせずに身勝手なことをする」といった印象となることも少なくなく、クラスメイトから敬遠されていく遠因ともなった。

自分のために手話を覚え、(過去に度の過ぎたいじめを行った罪悪感からとはいえ)献身的な行動をとる再会後の将也に好意を寄せるが、その気持ちは将也にはなかなか伝わらなかった。

将也が周囲との関係が悪化してしまった際には、その件を自分の責任だと思い悩み投身自殺を図ったが将也に助けられる。

代わりに将也が転落し意識不明の昏睡状態に陥らせたが、この一件をきっかけに改めて自身の課題へと向き合っていくことを決意する。

 

 

西宮結絃

声 - 悠木碧

 

硝子の妹(年齢は硝子の約3歳下)で中学生であるが、不登校で学校には通っていない。

AB型。

少年のような外見で自分のことを「オレ」と呼ぶ。

そのため、将也・永束・植野はいずれも初めて会ったときには結絃のことを男性だと思い込み、硝子の妹だとは気付かなかった。

幼い頃から姉のことを慕うがゆえに、その姉に偏見をぶつけたりいじめたりする周りの人間を憎んでいた。

髪を短く切って男性のように振る舞うようになったのも、姉を守るための「強さ」を子どもなりに表現したものでもあった。

硝子の補聴器を何度も壊され、筆談ノートを池に捨てられたあげくに硝子がボロボロになるまで取っ組み合いの喧嘩をした相手として将也の名前を知っている。

また、よりによってその将也が硝子に会いに来て親密になろうとしてきたことに憤り、あらゆる手を使って妨害した。

しかしその後、将也が邪心なく心から硝子のことを思い、また硝子もそんな将也に心を動かされて明るく積極的な性格に変わっていくのを目の当たりにした。

このことから一転して二人の関係を応援するようになる。

そして、自らも将也を兄のように慕うようになる。

趣味は写真撮影で、いつも一眼レフカメラを首から下げているが、撮影するのはもっぱら動物の死骸ばかりである。

その理由は硝子が小学生時代にいじめを苦に自殺を考えていたことに対し、動物の死骸の写真を見せることで自殺を思いとどまらせるためであった。

写真の腕前はたしかで、後に市のコンクールで優秀賞を受賞している。

 

 

植野直花

声 - 金子有希

 

小学校時代の将也のクラスメイトで、黒髪ロングの少女。

O型。

小学校時代、明るくさばさばした姉御肌の性格。

自身も硝子の筆談ノートに悪口を書き込むなどの陰湿ないじめを行う。

しかし将也が高額な補聴器を壊すという直接的ないじめで学級裁判で吊るし上げられたとき、自身に火の粉が降りかかるのを避けるため、結果として将也を売る発言をしてしまった。

植野は実は密かに将也に好意を寄せ続けていたのだが、学級裁判以降いじめられっ子に転落した将也の味方になる勇気を持つことができず、そのまま中学卒業まで将也へのいじめの傍観者だったことを悔やんでいる。

その一方で将也が転落し、関係が壊れてしまった原因は硝子が転校してきたことにあると考え、硝子に対し反感を持っていた。

高校では服飾を専攻。

気が強く、自分の思った言動や行動をすぐ実行にうつす真っ直ぐな性格。

しかし、相手を見下した高圧的な態度を取りがちである。

また、自分の納得出来ない時や追い詰められたりすると、暴力を振るったり、暴言を浴びせたりするなど乱暴でヒステリックな一面がある。

「にゃんにゃん倶楽部」という猫カフェで店員としてアルバイトをしている。

作者曰く「彼女は、小学校時代も、高校生になった今でもそうですが、石田と西宮のふたりと同じ時や場所を共有していますが、彼らとは違う視点で石田と西宮の物語を捉えているキャラです」とのこと。

 

 

 

他人との関わり方に悩むすべての人に観てほしい傑作

 

 

賛否両極端

 

いじめや障害者を扱ったことで有名な人気作聲の形

シナリオの重厚さと、それを見事にアニメーションへと落とし込んだことでも高評価の作品だ。

また京都アニメーションが手掛ける美麗な作画でも、高い評価を受けている。

ところが高評価の裏で、猛批判を受けた作品でもある。

まず、主人公・石田将也の視点で描かれたことで「加害者(いじめ)を美化してる」と感じた人が多かったようだ。

また内容に対しては、「重い」や「ひどい」などと批判の声が上がった。

本作では、聴覚障害者であるヒロイン・西宮硝子に対するいじめの描写が、非常にリアルかつシビアに描かれている。

高価な補聴器を何度も壊されたり、補聴器を奪われる際に耳から血が出てしまう描写はあまりにリアルだ。

耳が聞こえない硝子の行動や失敗も相当リアルに描かれているから、それを「ひどい」「辛くて見ていられない」と感じた人が多いようだ。

硝子へのいじめシーンに、妙に明るいBGMが使用されたことも批判の対象となった。

いじめをこのように表現したことでダイジェストのような軽いノリと捉えられ、内容の酷さが視聴者に上手く伝わらず、そのことも「ひどい」「何故こんな見せ方なのか」と批判された。

また、主人公のひとり・西宮硝子のヴィジュアルの良さから、本作を感動ポルノ※だと批判する声もある。

いじめの加害者と被害者が和解し恋愛感情まで抱くという展開にも、「気持ち悪い」「ありえない」との声まで上がっている。

しかし著者は思う。

ただ観ていて辛いからという理由で本作を否定することは、現実のいじめに対しても目を背けてしまうことと同義なのではないだろうか。

 

※感動ポルノ

 

健常者が主に身体障害者を感動コンテンツとしての消費していること。

涙や同情を引くための道具として担ぎあげていることに対する批判的言葉。

「まじめで頑張り屋」など特定のステレオタイプなイメージを押し付けられた障害者や、余命宣告者など同情を誘いやすい立場の人を用いた、視聴者を感動させようとする「お涙頂戴」の明るくないコンテンツ。

 

 

感動ポルノという偏見

 

前述したように、本作を感動ポルノだと批判する声があることはたしかだ。

ただし、それは間違った評価である。

本作を観て感動ポルノと感じてしまう人には、そもそも根底に障害者への偏見があるからだ。

何故なら本作の主題は障害者問題などではない。

もちろん、いじめ問題でもない。

一見主題にも思える「いじめ問題」や「聴覚障害」は実はまったく主題ではなく、大きめの舞台装置と捉えるべきである。

主人公のひとりが聴覚障害者というだけで、そのことで感動を誘うような描写は本作から見て取れない。

本作を視聴するなら、まず感動ポルノという偏見を捨てることだ。

表層的なものばかり見ていたら、本作の本質は見えてこない。

 

 

誰の目線に共感できるかで評価は変わる

 

本作を視聴する上で、将也の目線はもちろん重要である。

いじめ行為が自身の中に何をもたらすのか。

その良い教訓が描かれているから、多くの人に是非観ていただきたいとは思う。

だが本当に観てほしいところは、将也ではなく彼を取り巻く人物たちの心理描写である。

例えば、著者が気にとめたのが脇役の植野直花の存在。

彼女は小学生時代の将也のいじめ行為に、直接加担こそしてはいないものの、同調はしていた。

だが、障害者という理由で硝子を蔑ろにしたわけではなかったように思う。

むしろ障害者だからという引け目を、他ならぬ、硝子自身から感じた苛立ちからだったように思える。

要するに、自分が障害者だという言い訳で卑屈な態度をとる硝子のことが、単純に気に入らなかっただけである。

その証拠に、彼女は健常者が相手でもその振る舞いに変わりはない。

それがいじめを正当化していい理由には、もちろんならない。

ただ本音をみせてこない、特に怒りの感情をあらわにしない硝子に苛立つ彼女の気持ちは、著者にはわからなくもない。

著者にとっての植野直花のように、自分に一番近い考え方のキャラクターをみつけると、本作に対する考え方や評価はガラリと変わるだろう。

 

 

人間とは偏見を持つ生き物

 

散々偉そうなことを記したが、著者にだって偏見はある。

おそらくは、誰にだって偏見はある。

そこに健常者も障害者も関係ない。

例えば、障害者を大切に扱わなければいけないと考えることだって、ある種の偏見ではないだろうか。

逆もまた然りで、健常者なら何でも大丈夫という理由にはならない。

何事もフラットな目で見ることができなければ偏見がなくなることはない。

しかし他者と比べることでしか自我を保てない我々人間は、きっと色眼鏡を外すことが一番難しい生き物なのだろう。

だとしたら我々人間は、いったいどうすればいいのか。

それは自分の中にある偏見を認識し、その偏見と上手く向き合っていくしかないように思う。

いったい自分にはどんな偏見があるのか。

それを知るために本作はおあつらえ向きだ。

自分がどのキャラクターの考え方に一番近いのか、試しに観てみてほしい。

今まで気づかなかった自分というものに、もしかしたら出会えるかもしれない。

 

 


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ネタバレ注意【アニメーション映画『ONE PIECE FILM RED』】途中離脱の初期ファンをも納得させるレアキャラ出演は、さすが原作者・尾田栄一郎プロデュース作品。

 

アニメーション映画

ONE PIECE FILM RED

 

 

ONE PIECE FILM RED』とは

 

 

ONE PIECE FILM RED』は、2022年8月6日から2023年1月29日まで公開されたアニメーション映画。

漫画『ONE PIECEを原作としたテレビアニメの劇場版第15作。

FILMシリーズの第4作目。

前作『ONE PIECE STAMPEDE』(2019年8月)から3年ぶりとなる、劇場版『ONE PIECE第15作。

キャッチコピーは「歌声、赤髪。」「赤髪が導く"終焉フィナーレ"」「その歌声がもたらすのは、永遠の幸せか、無限の牢獄か」。 

原作者である尾田栄一郎先生が「総合プロデューサー」として制作に参加している。

尾田氏が総合プロデューサーを務めるのは、ONE PIECE FILM Z』『ONE PIECE FILM GOLDに続き3回目。

テレビアニメ化以前に「ジャンプ・スーパー・アニメツアー'98」で上映されたOVAONE PIECE 倒せ!海賊ギャンザック』で監督を務めた谷口悟朗氏、前々作『GOLD』でも脚本を担当した黒岩勉氏が手掛けている。

原作連載25周年という節目での映画でもあるため、「ルフィとシャンクス」を元にウタが生まれた。

 

 

ONE PIECE FILM RED

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あらすじ

 

 

音楽の島「エレジア」。

この島で、一人の歌手のライブが開催されようとしていた。

その歌手の名前はウタ。

彼女はこれまで素性を隠したまま歌を発信していたが、その類まれなる歌声は「別次元」と称され、世界中の人々を魅了していた。

そのウタが初めて公の場に姿を見せてライブを行うということで、エレジアのライブ会場にはファンの大観衆が集結し、麦わらの一味も来ていた。

そして、遂にウタがステージに姿を現し、ライブが開幕する。

1曲目の終了後、突如クラゲ海賊団がステージに降り立ち、ウタを誘拐しようとする。

だが、その直後にルフィがステージに降り立ち、ウタに駆け寄り親しげに声をかけた。

ウタはルフィだと気付き、二人は再会を喜ぶ。

ルフィとウタは、幼少期にフーシャ村で共に過ごした幼馴染みだったのだ。

さらに、ウタがシャンクスの娘であることをルフィが話したことで、会場中が騒然となる。

それを聞いたクラゲ海賊団は、シャンクスの弱点だと考えて改めてウタを誘拐しようとするが、そこへ突如同じウタを狙うビッグマム海賊団のオーブンとブリュレが乱入し、会場は戦場と化す。

最初は心配するルフィ達だったが、ウタは2曲目を歌いながら不思議な能力を操り、瞬く間に海賊を拘束してしまう。

その後、ウタはルフィと仲間たちを歓迎し、その不思議な能力でもてなす。

この時、世界中の人を幸せにするためのウタの大きな「計画」が既に始まっていた。

そして同じころ、世界政府や海軍がウタの能力を危険視し、彼女の討伐に動き始めていた。

 

 


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ルフィとシャンクスの物語を繋ぐウタ

 

 

もはやシャンクスはラスボス的な存在なのだろう。

本編では、なかなか絡むことがないルフィとシャンクス。

何度かニアミスはあったが、ルフィが海賊となってからというもの、面と向かって絡んだことはない(大抵はルフィが気絶している間に、シャンクス登場)。

絡みがあったのはルフィの幼少期のみ。

おそらくラストまで絡むことがないふたりの物語を繋いだのが、本作オリジナルキャラクターのウタである。

 

 

ウタ

声 - 名塚佳織 / 歌 - Ado

 

本作品のメインヒロインで、キーパーソンでもある世界の歌姫。

シャンクスの娘。

21歳。

誕生日は10月1日。

身長169cm。

てんびん座。

血液型XF型。

好きな食べ物はホイップましましのパンケーキ。

好きなものは「カワイイもの」で、嫌いなものは海賊。

座右の銘は「楽しんだもの勝ち」。

赤色と薄いピンク色のツートンカラーの髪が特徴的で、ヘッドフォンを耳に装着しており、羽が付いた衣装を着ている。

その歌声は「別次元」と評され、世界中が熱狂している。

性格は明るくフレンドリーで、世界中の苦しんでいる人々を自分の歌で幸せにしようと考える優しい心の持ち主。

ただ、育ってきた環境ゆえに世間知らずな所がある。

ルフィとの勝負で卑怯な手を使って勝とうとする一面もあるが、それでも彼のことを大切に想うなど良き親友でもある。

その反面、不機嫌になると右足で貧乏ゆすりのように地面を踏んだり、更に感情が激しくなると目つきが鋭く、表情も一変するなど非常に怖い。

超人系悪魔の実「ウタウタの実」の能力者で、自分の歌声を聞いた人間の意識を現実世界そっくりの仮想空間「ウタワールド」に引き込むことができる。

ウタワールドの中では、「飲食物を自在に出す」「人をミニサイズにする」「船をマスコットに変える」など、思い通りのことを自在に行える。

戦闘では、歌を歌いながら黄金色の鎧をまとって武装し、歌声で相手の攻撃を無効化するほか、空中に描いた五線譜に相手を貼り付けて拘束する技を使う。

また、映像電伝虫越しでも彼女の歌を聞けばウタワールドに引き込まれるため、その範囲は全世界に及ぶ。

これらの技により、ウタワールド内では無敵にして万能とも言える程の戦闘力を見せた。

また、強力な武装を有する「音符の戦士」を無数に生み出すこともできる。

弱点は「彼女の歌を聞かないこと」と至極単純で、予め能力を把握していた五老星や海軍は対策をしていた。

ウタワールドに閉じ込められた人々は現実世界では昏睡状態に陥っており、ウタはその肉体を操ることが出来る。

ウタワールドはウタが眠ると消えるが、一度ウタワールドに引き込まれた人間は自力で現実世界に戻ることはできない。

また、能力者であるウタが死亡すると、ウタワールドは完全に閉鎖されてしまい、取り込まれた人々の意識は二度と現実世界に戻って来れなくなる。

そのため、前述の世界中に彼女の歌が電伝虫越しで流れ、その被害の速度は尋常ではなく、ルッチ曰く「最終的な被害は、全世界の7割に及ぶ計算」とされている。

2歳の時に故郷を海賊に襲われ、両親は死亡。

自身は海賊に攫われる。

その海賊の船が赤髪海賊団と戦闘になった時、宝箱に隠れていたところ他の財宝と共に赤髪海賊団に略奪され、当時20歳だったシャンクスに出会う。

その後はシャンクスの娘として、赤髪海賊団の船で育てられた。

その頃から非凡な歌声を持っており、シャンクス達もその歌声に魅了され、いつしか赤髪海賊団の音楽家を自称するようになる。

8歳の時に、シャンクス達と共に東の海のフーシャ村に停泊し、そこでルフィと出会い幼馴染みになった。

それから一年後のある航海で、シャンクスから歌手としての才能を見込まれ、音楽の国「エレジア」を訪れ、エレジアでも彼女の歌声は多くの人を魅了するが、その夜、エレジアは火の海となって壊滅してしまう。

目覚めた時にはシャンクスたちは既に自分を置いて海に出ており、ゴードンからエレジア壊滅の犯人は赤髪海賊団だと聞かされ、シャンクスと海賊に強い恨みを持つようになる。

その後は生き残ったエレジア国王のゴードンに育てられ、大人になると「歌を通じて世界中の人を幸せにしたい」という信念を持ち、素性を隠して世界に歌声を発信し続けた。

その歌声が世界の人々を魅了し、世界で最も愛される歌姫となったが、ある日、エレジア壊滅の一部始終を記録した映像電伝虫を偶然見つけて、その映像から、実際にエレジアを壊滅させたのは、ウタを利用して目覚めた魔王トットムジカであり、「ウタの歌声に罪は無い」と、赤髪海賊団が自らエレジア壊滅の罪を被ったという事件の真相を知る。

しかし、自身が犯した罪や、赤髪海賊団を憎み続けていたことへの罪悪感、そして世間には海賊嫌いとして知られている自分を応援してくれるファンの期待への重圧で苦しむ。

そんな中、ロミィからの「辛い現実から逃げたい」「ずっとウタの歌を聴いていたい」というメッセージを機に、「ウタウタの実」と「ネズキノコ」を利用した計画を思いつく。

そこで、エレジアにて初めてファンの前に姿を見せて行うライブの折に、実行することを決意した。

ウタの計画とは、世界中のファンや苦しんでいる人々を、ウタワールドに永遠に閉じ込めることであり、「辛いことや悲しいことが一切無い世界」であるウタワールドという楽園で永遠に楽しく暮らす「新時代」を実現しようとする。

ウタワールドは自身が眠ると消えてしまうため、ネズキノコを食べることで眠らないようにし、自らの死によって、大勢の人の意識を引き込んだウタワールドに永遠に閉じ込めようとするものだった。

それを阻止する為、世界政府や海軍が動き出し物語の冒頭に至る。

ライブでは、自身を攫おうとしたクラゲ海賊団やビッグ・マム海賊団を、能力で五線譜に拘束。

ルフィとの思わぬ再会を喜び、麦わらの一味とは当初こそ仲良く振る舞っていたが、彼らが海賊だと知るとルフィに海賊をやめるよう説得。

その説得を無視された事に腹を立て、一味を五線譜に拘束する。

更に逃げたルフィや海賊を捕まえるため、音符の戦士を無数に生み出し差し向ける。

ルフィとローとバルトロメオらの追跡を中断してライブを再開しようとした際、そこへ突然ライブ会場に現れたチャルロス聖から「10億ベリーで身請けする」と提案される。

天竜人が「神と同格の存在」と見なされていることを知らないウタは、彼を「オジサン」呼ばわりし、食い下がるチャルロス聖を能力で拘束する。

天竜人に危害を加えたことや、会場に駆けつけたコビーによってウタワールドの秘密を暴露されたことでライブ会場は騒然となる。

観客からは「それでもここにいたい」「海賊がいないから安心」と彼女を支持する一方で、「家に帰りたい」「仕事があるから」という意見も一定数以上ある。

しかしウタは「もっと楽しいことがあれば、皆が幸せになれる」と無理やり自分の意見を押し通し、会場を水没させ、観客やチャルロス聖をぬいぐるみに変えてしまう。

現実世界でも、ライブ会場を包囲していた海軍に対して観客達を兵隊のように操って応戦する。

その混乱に乗じてルフィをナイフで刺殺しようとするが、そこへシャンクス率いる赤髪海賊団に阻止される。

彼の再会に、激しく動揺するも「一番悪い海賊」として彼らを襲うようにと観客達に命じるが、海兵の銃撃で観客が死亡する。

その現状に己の無力さと感じ、怒りと悲しみで感情のコントロールを完全に失い、自らの意思で禁断の歌を歌って魔王「トットムジカ」を出現させ、トットムジカと一体化となって暴走する。

ゴードンの口からエレジア壊滅の真相を聞かされるが、既にそれを知っていたウタは彼の説得に応じず、麦わらの一味たちへの抗戦を続ける。

死闘の末、トットムジカは麦わらの一味と赤髪海賊団、及び海軍とビッグ・マム海賊団の活躍によって倒され、自身も救出されたものの、未だに現実世界では、ウタワールドに意識を取り込まれている市民らが海軍を襲っていた。

その光景にウタは、シャンクスからネズキノコの解毒薬を勧められても断り、残された力でウタワールドに閉じ込めた世界中の人々を現実世界に戻し、力尽きる。

その直前に、現実世界に戻る前のルフィと最後の言葉を交わし、新時代の担い手を託す。

その後の生死は不明。

事件後、彼女の歌が世界中の人々に愛され続けている様子がエンディングで確認できる。

 

 

 

歌唱担当にAdoをキャスティング

 

 

Adoといわれパッと思いつくのが、彼女の代表曲ともいえる『うっせえわ』だろう。

 

 


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インパクトのある歌詞にパンチ力のある歌声は、一度聴いたら忘れることはない。

ただ、その分美しい旋律を歌うAdoの印象が薄いことは否めない。

興味がない人にとってはAdo=『うっせえわ』なのだから…。

だがその印象は本作でガラリと変わるだろう。

耳馴染みがある人にとっては当然といえば当然といえるが、Adoはバラードも抜群。

歌唱の力強さを残しつつ、しっぽりと歌い上げる。

また『うっせえわ』の力強さも健在。

特に歌唱による戦闘シーンに、絶大な効果を発揮している。

ウタの歌唱担当にAdoのキャスティングは大正解だ。

 

 


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原作者・尾田栄一郎プロデュース作品の強み

 

 

途中離脱の初期ファンをも飽きさせない秀逸な演出

 

ことONE PIECEに関して途中離脱組の著者。

単行本は80巻くらいまで?

たしか四皇が登場する少し前に集めるのをやめてしまった。

アニメに至っては観たり観なかったりの歯抜け状態。

だから、今のONE PIECE事情はほとんどわからない。

ルフィにかけられている最新の懸賞金額すら、最近知ったくらいの知識しかない。

それでも本作は楽しんで観ることが出来た。

それは取りも直さず、初期キャラクターが多く出演していたことに起因する。

なかでも "宝箱のおっさん" こと、ガイモンの登場には懐かしさを通り越して感激すら覚えてしまった。

このガイモン。

ご存知ない人も多いだろう。

原作ではウソップが仲間になる直前(コミック第3巻)のエピソードに登場したキャラクター。

しかも登場シーンもわずか1話分。

レアキャラにも程がある。

さらにバラティエの登場にテンションは爆上がり。

バラティエとは、かつてサンジくんが働いていた元クック海賊団船長・ゼフがオーナーと料理長を務める海上レストラン。

"東の海" の片隅に浮かぶ船であり、魚に似たファンシーな外装が特徴。 

バラティエといえば、サンジくんの旅立ちのシーン。

これはONE PIECE屈指の泣かせ所だ。

サンジくんにはその後の生い立ちの因縁があるにもかかわらず、それより育ての親を引き立てる心意気はさすが尾田栄一郎プロデュース作品。

さらにさらに、ウソップとヤソップのコラボなんて夢のようなシーンまで観れてしまうからたまらない。

本作ではその他にもそこかしこで懐かしい顔を見ることができる。

そんなレアキャラたちを、ちょい役とはいえ登場させてくるから尾田栄一郎先生自らがプロデュースするFILMシリーズは侮れない。

 

 

惜しげがないシャンクスの魅せ方

 

ONE PIECEでのシャンクスの扱いは、ラスボス的レアキャラ。

おいそれと登場させられるキャラではない。

劇中で話題に上るのもレアなら、ご本人降臨なんて激レアだ。

しかしそれは、裏を返せば使い所がすこぶる難しいキャラクターともいえる。

原作者以外、シャンクスを完璧に使いこなせるアニメーターなどいないのではないだろうか。

そのシャンクスを、本作では惜しげもなく登場させている。

このあたりも尾田栄一郎先生自らがプロデュースする強みだろう。

そして、やはり直接は絡ませないルフィとシャンクス。

並のアニメーターなら、少しくらいはニアミスさせそうなものだが、頑なに絡むことをさせない。

これもある意味、原作者自らがプロデュースした作品の特徴といえる。

ふたりが面と向かって絡むのは、おそらく本編のラストまでおあずけなのだろう。

 

 


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伏線の多さは随一

 

原作の読者ならご存知だろうが、ONE PIECEは非常に伏線が多い作品だ。

伏線回収に20巻ほどかけることもあるほど、細かく深く伏線が引かれていたりする。

また尾田栄一郎先生の凄いところは、扉絵ですら伏線に仕立て上げてしまうこと。

もはやありとあらゆる表現が、何かしらの伏線になっているような気さえしてくる。

もちろんアニメ版でも再現されているから、気になる人は見返してみるのもいいだろう。

ただし細かい伏線は原作でしか気づけないものも多い。

アニメには扉絵もSBSもないしね。

ちなみにSBSとは「質問(S)募集(B)するのだ(S)」の略で、読者から質問を募集し作者が答えるコーナーとなっている。

このSBSに謎を解くヒントが隠されていたりするのだ。

こちらも気になる人は読んでみるといい。

話を戻す。

ONE PIECEには劇場版から、本編へフィードバックされる設定も数多ある。

そこで否が応でも期待してしまうのが、本作オリジナルキャラクターであるウタの存在だ。

シャンクスの娘という、なんとも広げ甲斐がありそうな設定。

意味深なラスト。

ウタは尾田栄一郎先生お得意のサプライズ伏線には、もってこいキャラといえる。

今後のルフィとシャンクスの関係に、ウタが大きく関わってくる可能性がおおいにある。

それもこれもすべては尾田栄一郎先生の御心次第。

とはいえ、ウタを劇場版一度きりの使い切りキャラにはしないだろう。

それはとても贅沢な使い方であるが、これほどの物語を描く尾田栄一郎先生だ。

乱発はしないまでも、本編のここぞというシーンで登場させてくれるのだろう。

本編はそろそろクライマックスへのプロローグへ入ったところ。

今後のONE PIECEを楽しむためにも、本作は絶対外せない作品といえる。

 

 

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【ハリウッド映画『アルマゲドン』】なぜにそんなに低評価?最低映画を決めるゴールデンラズベリー賞を総ナメするも、いまだに圧倒的な存在感を放つ感動SF大作。

 

はじめに

 

 

最近はもっぱら邦画ばかり観ているが、だからといって洋画をまったく観ないというわけではない。

だが、洋画然とした派手な作品はあまり得意ではない。

だからアクション映画はあまり観ない。

では、いったいどんな洋画なら観るのか? 本稿では好んで洋画を観ようとしない人間でも、何度でも観たいと思った洋画をご紹介したいと思う。

 

 

 

ハリウッド映画(1998年)

アルマゲドン

 

 

アルマゲドン』とは

 

 

アルマゲドン』(英題:Armageddon)は、1998年のハリウッド映画。

タッチストーン・ピクチャーズ提供、ジェリー・ブラッカイマー作品。

ニューヨークを観光する日本人役で松田聖子さんがカメオ出演していることでも話題になった。

ちなみに相手の男役はゲディ・ワタナベ(彼はノンクレジット)。

 

 

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あらすじ

 

 

20世紀末、地球軌道上の宇宙空間で人工衛星を修理中のスペースシャトルアトランティス」との交信が、突然途絶えた。

事故直前の映像を解析した結果、流星雨(Meteor shower)がシャトルを直撃し破壊したことが判明した。

この流星雨は地球の大気圏を突破して、アメリ東海岸からフィンランドに至る範囲に降り注ぎ、ニューヨークなどの都市に壊滅的打撃を与えた。

さらなる観測と調査によって、これはテキサス州の大きさに匹敵する小惑星が、小惑星帯(Asteroid belt)へ衝突したことに伴う流星雨で、しかも問題の小惑星は地球に向かうコースをとっており、約18日後には地球を直撃し、地球環境に致命的打撃を与えバクテリアすら生き残らない死の惑星へ変えてしまうことも判明する。

NASA(アメリカ航空宇宙局)の科学者が言った。

「爆竹を、広げた手のひらの上で爆発させてもやけどするだけだ。だが握った手の中で爆発したらどうなるか」。

NASAが立案した衝突を回避する唯一の手段は、小惑星の深部まで穴を掘り、内部で核爆弾を炸裂させて真っ二つに割り、軌道を変えるというものだった。

この作戦を遂行するために「穴掘りのプロ」――すなわち石油採掘のスペシャリスト達が召集される。

それは、大男のベアー、ギャンブル狂のチック、女狂いの天才ロックハウンド、大食漢のマックス、カウボーイ風の地質学者オスカー、ガールフレンドが2人いるフレディ、腕は立つが命令無視が多いA.J.、そして、彼らをまとめるハリーら、石油会社「スタンパー・オイル」の8人の社員たちである。

そこに、ウィリアム・シャープ、ジェニファー・ワッツを始めとするNASAスペースシャトルクルー6人を加えた14人が計画に参加した。

NASAの計画は、チタン合金で装甲された新型スペースシャトル「フリーダム」および「インディペンデンス」の2機を打ち上げ、途中でロシア宇宙庁の宇宙ステーションミール(Mir)で燃料である液体酸素を補給、月の軌道で重力アシストを掛け、月の裏側を回ってから加速して、小惑星の後ろから接近するというものである。

その計画のために掘削用車両「アルマジロ」を用意し、ハリーたちはそれらを扱うための辛い訓練を乗り越えた後、チームを半分に分けて新型スペースシャトル2機に分乗し、小惑星へと向かうために飛び立った。

地球からの発進こそ無事にできたものの、立ち寄った「ミール」の老朽化のせいで、燃料補給中にレバーが折れ、燃料漏れを起こして火災が発生、チームは危うく爆発に巻き込まれそうになりつつも、間一髪シャトルで脱出した。

「ミール」で単独勤務していたロシア人宇宙飛行士のレヴも一行に加わり、手筈通りに月の軌道を通って小惑星の後ろ側へ回り込んで、着陸を試みる2機。

ところが、小惑星から放出された大小の岩石が「インディペンデンス」を直撃して、同機は操縦不能に陥り、小惑星へ墜落した。

乗っていたNASAのクルーや、フレディ、オスカーたちを失うも、A.J.とレヴ、ベアーの3人は生き残り、「アルマジロ」の機銃でシャトルの外壁を打ち破り、ハリーたちの元へと急いだ。

途中に深いクレバスがあったが、「アルマジロ」の推進ジェットを使ってなんとか越えることができた。

一方、一応は着陸に成功した「フリーダム」だったが、そこは当初の予定とは異なる硬い酸化鉄の地盤の上であり、掘削作業は難航した。

掘削ドリルも、硬い地盤によって次々に折れ、あと1本を残しすべて破損してしまう。

作業の途中、業を煮やしたアメリカ大統領が、作戦に見切りをつけて核爆弾の時限起爆装置を起動させるも、地上にいた良心を持つNASAのスタッフやハリーたちの抵抗によって地表での爆発を阻止できた。

最後の1本のドリルを用いて掘削を進める「フリーダム」搭載の「アルマジロ」。

しかし、小惑星地殻変動によるガス噴出で吹き飛ばされ、引火したガスによって操縦席にいたマックス諸共爆発炎上してしまう。

アルマジロ」を失い万事休すと思われたその時、A.J.たちの乗った「インディペンデンス」搭載の「アルマジロ」が煌々とライトを灯して現われ、掘削作業を再開した。

掘削した穴は、どうにか小惑星の計画された深さにまで達し、途中に引っ掛かりながらも核爆弾を押し込んで設置した。

後はシャトルが離れてから遠隔操作で起爆させるだけという段階まで来たのだが、地殻変動によって岩石が降り注ぎ、爆破用リモコンが壊れてしまう。

遠隔操作ができなくなったからには、誰かが残って手動で核爆弾を起爆させなければならない。

くじ引きの結果A.J.がその役を担うこととなるも、「フリーダム」のハッチから出る直前、見送りに来たハリーが、A.J.の宇宙服に傷をつけて無理矢理役目を代わり、彼を船内へ戻させた。

起爆の準備を進めるハリーを尻目に、小惑星からの離陸を試みる「フリーダム」だが、硬着陸や地殻変動の影響によるものかエンジンが起動しなくなっていた。

それでも、レヴが「ロシア式の修理」と称してコントロールパネルを叩くと故障が直り、「フリーダム」のエンジンが始動し辛くも離脱に成功。

そして、「フリーダム」が小惑星から無事離れたことを確認したハリーは、愛娘グレースに思いを馳せながら起爆スイッチを押す。

核爆弾はハリーを巻き込んで爆発した。

斯くして、小惑星は大気圏突入前に2つに割れて軌道が変わり、地球滅亡の危機は寸前で回避されるのだった。

 

 


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なぜにそんなに低評価?

賛否両論の受賞歴

 

 

本作は興行的には成功したものの、映画としての評価は散々なものであった。

エアロスミスが歌うテーマ曲「ミス・ア・シング(I DON'T WANT TO MISS A THING)」は賛否を大きく分け、アカデミー賞の歌曲賞とゴールデンラズベリー賞の最低主題歌賞に同時ノミネートされる珍事となった。

 

 

第71回アカデミー賞(1998年)

 

  • ノミネート:歌曲賞 - "I Don't Want to Miss a Thing"

 

  • ノミネート:録音賞 - キース・A・ウェスター、ケヴィン・オコネル、グレッグ・P・ラッセ

 

  • ノミネート:音響編集賞 - ジョージ・ワッターズ二世

 

  • ノミネート:視覚効果賞 - リチャード・R・フーヴァー、ジョン・フレイジャー、パット・マクラング

 

 

第19回ゴールデンラズベリー賞(1998年)

 

 

 

  • ノミネート:最低作品賞

 

 

 

 

  • ノミネート:最低主題歌賞 - "I Don't Want to Miss a Thing"

 

 

 

映画業界からは低評価の要因

 

 

スティーヴン・スピルバーグ総指揮

ディープ・インパクト』ともろカブりした内容

 

映画業界からの本作への評価がいまいちパッとしない理由に、パクリ疑惑が持ちかけられていたことが挙げられる。

アルマゲドンが公開される約2ヶ月前に、スティーヴン・スピルバーグ総指揮のディープ・インパクトが公開されていた。

このディープ・インパクト

内容はアルマゲドン同様に、地球に落ちてくる隕石をロケットに乗って食い止めるというもの。

実は本作のマイケル・ベイ監督は、当初もっと小規模なSF映画を作成しようとしていたらしい。

しかし、ディープ・インパクトの制作情報を入手すると、大規模なSF映画へと制作方針を変更。

そうして製作費を増やし、ブルース・ウィルスを主演とした。

完全にディープ・インパクトを意識しているわけで、、これではディープ・インパクトのパクリと言われても仕方がないのかもしれない。

 

 

非現実的な設定の数々

 

アルマゲドンは、ブルース・ウィルス演じるハリーら石油採掘人が、地球に衝突する隕石に穴を掘って爆発させるという内容。

しかしこの設定に、あまりに現実味がなさすぎることが低評価の要因と考えられる。

そもそも数年掛ける宇宙飛行士の訓練。

それをわずか数日で済まして、宇宙に関してはド素人である石油採掘人らが隕石に穴を空けるという設定には、流石に無理があり過ぎる。

他にも、シャトルが至近距離で2機同時に打ち上げられていたり、重力がない小惑星をなぜか歩けたりと、おかしなシーンが多数ある。

その分野の専門家からすると、本作で科学的に誤りがある部分は168箇所ほどにのぼるそう。

娯楽映画にいちいちツッコミをいれていたらキリがないが、流石にツッコミどころが満載過ぎる作品ではある。

 

 

 

能書き無用!

理屈抜きの感動SF大作

 

 

映画業界からはなぜか低評価を被りはしたが、アルマゲドンには理屈抜きにグッとくる名シーンがいくつも存在する。

本作は1998年のアカデミー賞にノミネートされると同時に、科学考証等の問題からゴールデンラズベリー賞(ラジー賞)にもノミネートされてしまったりもしているが、そのような細かい能書きなんて不問に付してしまうほど魅力に溢れている。

まず話題性。

エアロスミスのヴォーカルであるスティーヴン・タイラーの娘、リヴ・タイラーの起用は大変な話題を呼んだ。

劇中で使用された当時発売されて間もないBMW-Z3も注目を集めた。

とにかく魅せ方が巧い。

感動シーンも満載だ。

さすがに何度もリピートしすぎて初見の感動こそ失せてしまったが、今なお必ず泣かされるシーンがひとつある。

それは物語の最終盤。

無事ミッションを達成し、クルーたちは地球へと帰還した。

帰還したクルーたちに駆け寄るグレース。

A.J.との再会を喜び合うグレースに、ハリーとしばしば対立していたウィリアム・シャープ大佐が話しかけた。

「私が知る中でも最も勇敢な人物のお嬢さんと握手をさせてください」

握手を求めるシャープ大佐に、涙ながらに笑顔で応えるグレース。

そしてA.J.はハリーから託された宇宙飛行士の証・ミッションワッペンを、宇宙飛行士に憧れながらハンディから技術部に行くしかなかったトルーマンに渡しエンディングを迎える…。

この一連のラストシーンは、いつだって必ず泣かされてしまう本作屈指の名シーン。

これほど見慣れているにもかかわらず、何度も同じ感動を味わわせてくれる本作は、やはり名作と呼べるのではないだろうか。

 

 

 

圧倒的存在感

エアロスミス「I Don’t Want to Miss a Thing 」

 

 

やはりアルマゲドンにおいて、無くてはならないのがテーマ曲であるエアロスミス「I Don’t Want to Miss a Thing 」

この曲の果たした役割は大きい。

劇中では一度、10時間だけの最後の休暇をA.J.とグレースが2人で過ごすシーンでサビの部分が使われている。

そしてエンディングの2人の結婚式では、映画用に編集されたロックミックスバージョン(イントロなしでボーカルから入る)がフルで流れる。

そのシーンの圧倒的な存在感と破壊力たるや相当なもの。

宇宙で散った仲間たちの写真が飾られていたり、ホームビデオ風の映像で撮られている演出は、もはや伝説的なエンディングとなっている。

アルマゲドンといえば「I Don’t Want to Miss a Thing 」

同曲無くして本作は成立しなかったとさえ思えてくる、最高のテーマ曲といえる。

ちなみに同曲は、1998年の全米シングルチャートで4週連続1位を獲得し、その後も結婚式での定番ソングとしての地位を確立している。

 

 


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美しき日本語の世界。[其の五]

 

其の五

美しき日本語の世界。

 

 

『美しい日本語』第1位

「ありがとう」

 

 

以前NHKが実施した『美しい日本語』についてのアンケートで、見事1位に輝いたのは「ありがとう」だったという。

「ありがとう」「ごめんなさい」を、コミュニケーションの最重要ワードと考えている著者にとっては喜ばしい結果である。

ただ、近年日本では傲慢さばかりが目立ち、「ありがとう」が失われつつあるような気がする。

何かとささくれ立つ今だからこそ、改めて「ありがとう」という言葉について考えてみたい。

 

 

「してもらってあたりまえ」ではない

 

『夫が「ありがとう」という言葉を言ってくれないんです』

そんな相談を受けたことがある。

奥さんのやるせない思いが伝わってきた。

例えば、本を読んでいる夫に対し、奥さんがコーヒーを淹れてそっと差し入れてあげたとする。

このちょっとした気遣いに対し、「ありがとう」という言葉が返ってくれば、その場は非常に和やかになる。

しかし、特に意識もしていない場合、素直に感謝の言葉を口にすることが出来ない。

このように感謝の気持ちを素直に表せないケースは、家族間のような気の置けない関係性、あるいは上下関係がはっきりしている場合に多い傾向にある。

その背景には "してもらってあたりまえ" という思いがあるからだ。

 

 

「店員こそ客に感謝を」は一見、正論のようではあるが…

 

しばしば議論になる話題がある。

「客は店員にお礼を言うべきか」問題である。

 

  • 「サービスの対価を払っているのだから、客が店員に『ありがとう』と言う必要はない」

 

  • 「いやいや、お金を払っているからといって、客と店員に立場の上下関係があるわけではない。してもらったことにお礼を言わないのはおかしい」

 

  • 「細かいことは気にしていないけど、自然と "ありがとう" と言ってしまう」

 

さまざまな意見があがる。

こちらが何かをしてあげたから、何かを返してもらうのは当然である――

このような考え方に立っているうちは、感謝の気持ちは生じなくなるだろう。

客は対価を払っているから商品を受けとる権利があり、店員は商品を買ってくれたお客に感謝を伝える立場にある。

これは一見すると正論であり、間違ってはいないようにも思える。

もしかしたら、前述の夫が感謝の言葉を伝えてくれないのは、「妻は夫に尽くして当然である」と夫が思っているからかもしれない。

それが正しいかどうかは別として、その考え方には大きな問題がある。

 

 

「ありがとう」と「サンキュー」は意味が違う

 

こちらが何かをしてあげたから、何かを返してもらうのは当然である――

こういう考え方に陥ってしまうのは、そもそも「ありがとう」という言葉の意味を履き違えている点に問題がある。

日本語における「ありがとう」の語源は「有ることが難い」という意味である。

そのことが希有であるというのが本来の意義なのだが、おそらく多くの人が、英語の「サンキュー」と同義に捉えている。

英語の「サンキュー」は、「感謝する」という動詞の「thank」と、「あなたに」を指す目的語の「you」で成り立つ。

つまり、「あなたに感謝します」という意味での「ありがとう」を意味している。

しかし日本語における「ありがとう」は、実はもっと深い意味を持っていて、大袈裟にいえば我々人間の存在論に関わる言葉なのである。

「人」という字に「間」と書いて人間だ。

この言葉に示されるように、我々人間は、他の物や他人との関係性の「間」を生きている。

例えば自己紹介をしようと思うとき、「私は株式会社〇〇の〇〇です」「○○の息子の〇〇です」など、自分以外の何かとの関係性を明示することで、初めて自分という存在を語れるのである。

 

 

自分の周囲にある縁は「有ることが難い」

 

誰一人として、自分一人で存在できる人間はいない。

もしも両親が出会わなければ、自分の命はこの世に誕生しなかっただろう。

もしも両親の両親が出会わなかったら……と遡っていくと、たったひとつの出会いが変わっていただけでも、今の自分という存在はなかったかもしれないのである。

そんな偶然に偶然が重なって生きている世界において、触れる縁はどれも奇跡的なことであり、まして80億人近くいる人間の中から、家族になったり、恋人になったり、あるいは関係性をもつ縁が得られること、それがいかに「有ることが難い」ことであるか、想像できると思う。

関係性の中を生きている我々は、自分一人で生きていくことは出来ない。

食べ物として動植物の命を頂き、誰かが作った道具を利用して調理し、木材を使って職人が造った家で衣食住を満たす。

他の人の力を借りなければ、生きていくことは出来ないのである。

この真理を正しく導き出すができれば、「お金を払ったから感謝しなくてもいいんだ」という考え方が、必ずしも正論ではないことがお分かりいただけるのではないだろうか。

「してもらってあたりまえ」なことなど、何ひとつないのである。

 

 

「ありがとう」は人間関係の潤滑油


様々な人や物との関係性を生きる我々人間にとって、「ありがとう」の言葉はコミュニケーションの潤滑油のようなものである。

誰だって、人に親切にしたり、施してあげたりしたときには、感謝されたいという欲を持っている。

「してあげたのだから感謝してもらって当然だ」という態度をとることが、非常に横柄であることはご理解いただけると思うが、せめてひと言「ありがとう」と言ってもらえるだけで、気持ちが良い関係性を保つことができる。

反対に、潤滑油である感謝の言葉を伝えられない人は、周りとの関係性がギスギスしていくことになるだろう。

「あの人に協力しても、感謝されることなんてないからな」と、周囲に助けてもらえない人間になっていくのだ。

最近は店員に横柄な態度をとる男性に不快感を覚える女性も多いようだが、「俺は客だぞ! 金を払っているんだから言うことを聞け」などと勘違いする男性の幼さ、度量の狭さが伝わるからだろう。

これと同じく、会社などで部下や後輩が自分を助けてくれても、さして感謝の態度も示さないばかりか「別に頼んでない」「あたりまえのことだから」などと憎まれ口を叩こうものなら、頼りにされることもなくなっていく。

たったひと言「ありがとう」と言えないがために、信頼を失い、結果的に大きく損をすることになるのだ。

 

 

感謝できる人間になるブッダの教え「知恩」


では、感謝できる人間になるにはどうしたらいいのか。

ヒントになる仏教語が「知恩」である。

「恩を知る」と書くのだが、この教えは感謝することの大切さを説いている。

恩という字は「因」と「心」の二つの字から成り立っている。

つまり、「原因」となったものを洞察できる「心」を持つということだ。

そうして初めて、恩を感じることが出来るできるのである。

このような観点で物事を見ていくと、たとえ対価としてのお金を支払っているのが自分であったとしても、施してくれる相手がいなければ何かを享受できないことに気がつくことができる。

そこまで想像力が働けば、「してもらってあたりまえだ」という傲慢な心ではなく、「していただいて有難い」という恩に変えていくことができるのである。

「嬉しい」「楽しい」「美味しい」など、幸福感を感じたときに、それが何によってもたらされたのかを深く洞察することで、自然と「これは当たり前ではなく、有難いことなんだな」と思える感性が育っていく。

実はこの「恩」の字は、小学校五年生で習う漢字である。

子供の頃は当たり前に出来ていたことも、大人になるにつれて次第に出来なくなっていく。

不思議なことだ。

原因を正しく洞察するどころか前述の夫の例のように、自分に都合の良いように物事を解釈し、横柄になってしまうことさえある。

周囲のことに感謝が出来なくなった時は黄色信号。

感謝とは幸せを噛み締める力である。

「知恩」を胸に、目の前の一つひとつに感謝出来る自分でありたいものである。

 

 

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