日本人から『察しと思いやり』の精神が失われつつある。
そもそも察することができない人間が多すぎる。
だから、他人を思いやれないのも当然だろう。
そんな嘆かわしい現状を、こんなエピソードからも窺い知ることができる。
この話を聞いて、皆さんならどう感じるだろう。
シチュエーション
登場人物は2人。
この2人を仮にXとYとしておこう。
XもYも還暦がどうのこうのいっている世代らしいから、普通に考えたら立派な大人だ。
XとYは顔見知りではあるが、会話したことはほとんどない間柄とのこと。
問題は朝礼の場で起こった。
朝礼といってもそれほど堅苦しいものではないらしい。
だからといって、談笑しながらというほど緩くもない。
そんなわりと真面目に行われる朝礼の最中に、Xの携帯が鳴ったという。
それも比較的大きな音で、何度も。
ちなみに何度も鳴ったというのは、電話の着信音ではなかったから。
LINEやメールのような着信音だったらしい。
その日、たまたま近くにいたXとY。
YはXに、以下のようなニュアンスの言葉を投げかけたそうな。
Q. 『朝から賑やかな携帯だな。なんでそんなに何度も鳴るんだ?』
※ちなみに周りに聞こえるくらいの声量ではあるるが、叱りつけるような口調ではなかったよう。
だからといって悪ノリしたわけでもなく、淡々とした口調でのセリフだったらしい。
さて、あなたならこれをどのように変換して受け止めますか?
この話を聞いて著者は、
A.『朝からうるせーな、音くらい消しておけよ。』
と、変換した。
言葉は個人的にアレンジしているが、このような趣旨の言葉だと受け止めた。
仕事中の私用電話は基本的に厳禁だ。
ましてや朝礼という場なら、なおさら気を遣うべき状況だろう。
Yはその場で叱りつけることも可能な状況だと思うのだが、あえてそうしないでさり気なく諭したのだろう…と、著者は解釈した。
もちろん文言そのまま、他意のない言葉だった可能性はある。
ただただYの好奇心だった可能性も否めない。
しかし、こういう風に言われればうっかりしていた自分にハッと気づかされる。
だからそう言われたなら、きっとこう答えただろう。
『すみません、音消すの忘れてました。』
おそらくほとんどの人がこう答えると思う。
マナーを守っていなかったことを、まず詫びるのが筋ではないか?
しかし、Xの答えは違ったらしい。
X :『女の子からいっぱいLINEくるんだよww』
なんてトンチンカンな問答だろう。
言葉を失うとはこういうことだ。
こういう無神経な人間が、今世の中に溢れ返っている。
それは現代人の「察する」能力が著しく低下しているからに他ならない。
XもYもシルバーと呼べる年齢だが、「察する」能力の低下は何もシルバーだけにとどまらない。
若者の行動をみていても、状況判断が非常に遅いように感じる。
そういう光景を目の当たりにすると、思わず叫びたくなる。
ボーっと生きてんじゃねーよ!
これから日本はどうなってゆくのだろう。
嘆かわしいばかりだ。
余談だが、Xのいう女の子からのLINEというのは出会い系らしいから、ただただ呆れるばかりである。
呆れるのは、いい年をして出会い系をやっていることではない。
最近は何でもかんでもLINEに誘導される。
InstagramもTwitterもフォローしたら、必ずLINEで連絡を取り合おうとしてくる。
怪しげなサイトにLINEアカウントを晒すなど、非常にリスキーな行為でしかない。
そんなことも知らずに、見ず知らずの女の子からのLINEに浮かれる哀れなシルバーの姿は見るに堪えない。
彼らの辞書にはサクラという言葉が無いのだろう。
釣られて、浮かれて、社会的常識が著しく欠如した人間の存在に、ただただ呆れるばかりである。
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