個性的でクセの強いキャラクターを演じている声優さんはいろいろ苦労がおありだろう。
まず、その役柄のイメージが先行してしまう。
今でいうと誰だろう?…
例えば、江戸川コナン役・高山みなみさんは、おそらく他のどのキャラを演じてもコナンのイメージがつきまとうだろう。
少し古いがレジェンド・神谷明氏の著者的イメージは冴羽獠。
同じくレジェンド・池田秀一氏はシャアであり、その他はシャアから派生したイメージでしかない。
そんな個性的キャラクターの代表格のひとつがアニメ「ルパン三世」の主人公・ルパン三世だ。
現在は栗田貫一氏がルパン役を担当されている。
しかしこの交代劇は当初、苦肉の策でしかなかったと思われる。
初代ルパン役の山田康夫氏が急逝。
この急報に接して制作陣は、何の下準備もしていない状態での名物キャラクターの声優交代劇を強いられることになる。
その声が次回作でいきなり変わるのだから、さぁ大変だ。
そこで急遽代役として白羽の矢が立ったのが、 モノマネ四天王のひとり・栗田貫一氏だった。
栗田貫一氏のモノマネのレパートリーのひとつにルパン三世があった。
制作陣は当面の危機をモノマネでやり過ごそうとしたのだ。
当然、ファンからは賛否両論が飛び交う。
しかし山田康夫氏が演じるルパンには遊び心と艶があった。
オリジナルなんだから当然なのだが…
急造代役にそこまでのクオリティーを求めるのは酷というものだが、ファンはそれを栗田貫一氏にも求めた。
おそらく所詮はモノマネだとか揶揄されたはずである。
かく言う著者も、やはり違和感を感じていた。
しかし栗田貫一氏は、そんな外野の心ない声に折れなかった。
記憶ではTVスペシャルを2〜3本もこなした頃には、すっかりルパン三世役を自分のモノにしてしまった。
これはとんでもなく凄いことだと、後々気づくことになる。
それはこの頃のルパン三世TVスペシャルのクオリティーに起因するが、それはまた別の機会に書くとしよう。
話を戻す。
今でも山田康夫版ルパンを観る機会はあるが、何故か違和感を感じることがある。
オリジナルなのに。
自分でも気づかないうちに、それほど栗田貫一版ルパンが浸透していたのだ。
ただモノマネが似ていたというだけで、大役の代役を急遽任された栗田貫一氏の苦悩と努力は如何許りであっただろうか。
あれほど特殊な状況下での、主人公キャラクターの声優交代劇は他に類を見ない。
我々ファンが今でもルパン三世を観れるのは、栗田貫一氏のおかげと言っても過言ではないと思う。
まもなく新シリーズが始まる「ルパン三世」。
TVシリーズのPART.6。
TVスペシャルなんかより断然面白いぞ。
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