大泉洋主演映画
騙し絵の牙
大泉洋のために当て書きされたスピーディーに展開する物語は必見
洋画の派手さこそないがどうしようもなく心にしみる
洋画の派手さこそないがどうしようもなく心にしみる…
それが邦画の良さだと思う。
昔は当たり前のように洋画一択だったが、近年の邦画はなかなかバカにできない。
製作費でハリウッドに勝てないならシナリオと演出と演技で勝負といわんばかりに、邦画のクオリティーは年々高くなっている。
たしかにハリウッド映画は華やかで見栄えもするが、どうしても大味になってしまっているように感じる。
演出的にはどうしても地味な邦画ではあるが、シナリオ的に感性が合うのはやはり制作者が同じ日本人だからだろうか。
もちろん作品によるが、邦画には洋画のクライマックス的派手な見せ場がほとんどない。
ドッカンドッカン爆破しないし、ガガガガ派手な銃撃戦もない。
カッコいい戦闘機も、イカツイ戦車も邦画とは無縁に近い。
だが、最近そんな邦画が観ていてとても心地よい。
ガチャガチャとうるさいだけの映画は苦手だ。
時には深く考えさせられ、じわじわ心にしみてくる映画を好むようになってからというもの、邦画が面白くて仕方ない。
日本人ならではの感性で演出し魅せていくのが邦画だ。
ここではまったく派手ではないけれど、どうしようもなく心にしみて今なお強く記憶に残っている邦画をご紹介したいと思う。
『騙し絵の牙』とは
『騙し絵の牙』は塩田武士先生によるミステリ小説である。
2017年8月31日にKADOKAWAから刊行された。
廃刊の危機に遭いながらも、抜群のコミュニケーション能力を発揮して様々な困難と立ち向かっていく編集長の姿を描く。
本作は塩田先生が俳優・大泉洋氏を主人公として想定し、出版界と大泉氏を4年間徹底取材した上で書き上げた。
そのため、表紙には当て書きされた大泉氏自身が起用されている。
塩田先生によれば元々大泉氏と親しい関係にある編集者が持ち込んだ企画で、編集者やマネージャーの話を聞きながらどんな大泉洋氏を観たいのかについて話し合った上で出来上がった作品であるといい、当初より映像化も視野には入っていたという。
なお、塩田先生はモデルとなった大泉氏とも何度か会って話しており、大泉氏から「多くの人たちに受け入れられるような形を意識してほしい」というアドバイスを受けた上で、よりエンターテイメント性の強い作品に仕上がったと語っている。
2018年の本屋大賞にノミネートされた。
塩田先生が想定した通り、大泉洋氏の主演で映画化され2020年6月19日から公開される予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により延期され、2021年3月26日に公開された。
あらすじ
出版業界の不況の煽りを受ける大手出版社・薫風社で創業一族の社長が急逝し、社内で次期社長を巡る権力争いが勃発し、専務の東松による大改革が始まり、雑誌が次々と廃刊の危機に瀕することになった。
そんな中、カルチャー誌「トリニティ」も例に漏れず、担当する変わり者の編集長・速水はは、強引な改革を進める専務によって廃刊の危機に直面した自分の雑誌存続のために奔走することとなる。
速水は黒字化のために大物作家の連載や映像化、タイアップなど新企画を探るが、どれも成果が振るわず、薫風社を退社する。
退社から半年後、速水は起業家となり、自ら「株式会社トリニティ」を設立した。
映画『騙し絵の牙』とは
映画『騙し絵の牙』の監督は吉田大八氏、主演は大泉洋氏。
当初は2020年6月19日に公開予定だったが、同年4月15日に新型コロナウィルス感染拡大の影響を受けて延期されることが発表され、同年7月22日には2020年内の公開を見送り、2021年での公開が発表され、12月4日に2021年3月26日の公開となることが発表された。
映画脚本として脚色するにあたって原作の構造を一旦解体し、再構築する形が取られている。
その結果、大泉氏演じる速水であれば大泉らしさが排除されており、大泉氏は「(原作で当て書きされていたのに)私が出た映画の中で一番、私っぽくなかった」と述べている。
公開日には同日に公式戦の開幕を迎える阪神タイガースとコラボレーションしたポスターが制作された。
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大泉洋のために当て書きされたスピーディーに展開する物語は必見
大泉氏自身は「(原作で当て書きされていたのに)私が出た映画の中で一番、私っぽくなかった」と述べていたようだが、視聴者からしたらそうでもないと感じる。
唯一らしくないところがあるとすれば、大泉洋氏演じる速水が切れ者すぎたという点くらいか。
たしかに、速水ほどの切れ者役を大泉氏は演じたことがないような気はする。
それでも最終的には、なかなかどうして、やはり大泉洋氏のための映画だったように思う。
それどころか、もしかしたら大泉洋氏出演映画の中でも最高傑作ではなかろうかとさえ思うほど面白かった。
タイトルに『騙し絵の牙』などと、仰々しく銘を打たれているが内容はスマート極まりない。
特に中だるみがなくスピーディーに展開していく物語は、途中で飽きることなく最後まで集中して観ることができた。
意外性で終始し、逆転に次ぐ逆転に心が躍る。
今まで観た映画の中でも、本作品ほど時間が短く感じた映画は他にあまり記憶がない。
そのくせ別段盛り上がるシーンがあるわけでもない。
淡々としているのに何故かとても面白いのだ。
久しぶりに面白い映画に出会えた感は満載。
何なら視聴後すぐに二回目を観ても、普通に楽しめると思うほどだ。
正直にいうと、実はタイトルで食わず嫌いしていた。
だが踏み込んでみて良かった。
皆さんも、これは絶対に観た方がいい作品だ。
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