日本映画
近畿地方のある場所について
※本稿はネタバレを含みます。ご注意下さい。
断片的な情報の不気味さは最高なのに、それら全部を収束させたら結末はなぜか微妙
日本映画『近畿地方のある場所について』とは
全国で話題沸騰中!
タイトルが気になりすぎる "あの小説"
ついに映画実写化!
2023年、Web小説サイトのカクヨムに投稿されると、「これは本当に虚構のストーリー?」「その場所は実在するのではないか」…など様々な反響がSNSに投稿され、小説の世界観に引き込まれた読者の間で熱を帯びた議論が巻き起こる。
瞬く間に大注目作として話題になり、累計2300万PVを超えるヒットを記録。
同年8月に単行本化されると、たちまち人気が爆発。
2024年版「このホラーがすごい!」で国内編第1位。
今や日本全国の書店でベストセラーの棚を独占し、読者を魅了している異色作がついに実写映画化!
監督は『ノロイ』『貞子vs伽椰子』も好評だったJ・ホラーの旗手、白石晃士氏。
登場人物がビデオカメラやスマホで撮影した映像を使うモキュメンタリー(疑似ドキュメンタリー)の手法を積極的に駆使。
リアリズム重視のスタイルで、観客を現代社会の闇や生々しい恐怖体験に引きずり込んでみせる。
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原作:『 近畿地方のある場所について』/ 背筋
背筋先生によるホラー小説、モキュメンタリー。
2023年に小説投稿サイト「カクヨム」に投稿された作品で、2023年1月28日に第1話が、同年4月20日に第34話(最終話)が投稿された。
単行本は同年8月30日にKADOKAWAより出版。
単行本と内容が異なる『文庫版 近畿地方のある場所について』が2025年7月25日に角川文庫より刊行された。
あらすじ
「私の友人が行方不明になりました」
…から始まる衝撃展開の連続!
これは、あなたを "ある場所" へと誘う、
近畿の禁忌の物語。
行方不明になったオカルト雑誌の編集者。
彼が消息を断つ直前まで調べていたのは、幼女失踪、中学生の集団ヒステリー、心霊スポットでの動画配信騒動など、過去の未解決事件と怪現象。
彼はなぜ消息を断ったのか?
いまはどこにいるのか?
同僚の編集部員は、女性記者とともに彼の行方を探すうちに、恐るべき事実に気がついた。
すべての謎は「近畿地方のある場所」へとつながっていたのだった……。
登場人物
瀬野千紘
演 - 菅野美穂
女性ライター。
佐山が失踪したため、特集記事を手伝うことになる。
小沢悠生
演 - 赤楚衛二
オカルト雑誌「不思議マガジン」の編集部員。
佐山武史
演 - 夙川アトム
オカルト雑誌「不思議マガジン」の編集長。
永野遥
演 - 佐藤京
オカルト雑誌「不思議マガジン」の編集部員。
凸劇ヒトバシラ
演 - 九十九黄助
動画配信者。
目黒裕司
演 - のせりん
染井文化大学経済学部2年。
種村栄作
演 - 木村圭作
バイカー。
塚田正純
演 - ドン・クサイ
住職。
最高の「点」が「線」に繋がった瞬間の残念すぎたトーンダウン
気になりすぎるタイトル。
ネット掲示板や古い雑誌記事といった、断片的な情報の数々。
入り口から導入にかけての評価は満点だ。
本作の「点」、つまり物語を構成しているパーツなのだが、これはどれをとっても非常に秀逸である。
なんといってもタイトルの引きが強い。
『近畿地方のある場所について』。
この実話、実在を臭わせたタイトルのインパクトは絶大で、ただそれだけで観たくなる強烈な引きとなっている。
また、真相へと近づいていくまでの過程も実に素晴らしい。
特にネット掲示板や古い雑誌記事のリアリティと再現度は、あたかもそれが過去に本当に起きた出来事のようで、背筋が凍っていくのがわかるほどのクオリティである。
だがそれがいざ「線」、つまり物語になってくると途端にトーンダウンしてしまうのはなぜだろう。
思うに、断片的な情報のときは触れる者の想像力の中で恐怖が無限に膨らんでいた。
しかし、それらが一つの物語として説明(収束)されていくことで、恐怖の輪郭がはっきりしすぎてしまった。
結果、逆にただの作り物という安心感を与えてしまったのではないだろうか。
タイトルの無機質さや掲示板の生々しさは、まさしく実話怪談の肌触りだった。
だが、結末に向かうにつれて、あまりに綺麗に、そしてあまりに物語的に伏線が回収されすぎてしまい、いかにもホラー映画的なセオリーに収まってしまったのが口惜しい。
"近畿地方のある場所" という広大な不気味さが、最終的に特定の因縁や特定のキャラクターの物語に矮小化されてしまった。
この点に本作のタイトル負け、つまりは出オチ感の正体があるのだろう。
「点」が非常に素晴らしかっただけに、「線」になった時の失望はあまりに大きかった。
ラストシーンのSFチックな描写は本当に必要だったのだろうか?
実体がないうちは「自分たちのすぐ隣にあるかもしれない恐怖」だったものが、SF的な視覚情報に落とし込まれた瞬間に「自分とは無関係な別世界の出来事」に切り替わってしまう……。
ジャパニーズホラー好きとして期待していた作品だっただけに、このガッカリ感は如何ともしがたい。
あえて見せないことで恐怖を煽るジャパニーズホラーの真髄は、いったいどこへいってしまったのだろうか。
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