新海誠監督作品
彼女と彼女の猫
『彼女と彼女の猫』とは
『彼女と彼女の猫』は新海誠監督による自主制作短編アニメーション作品、およびそれを原作とした短編テレビアニメである。
『彼女と彼女の猫 Their standing points』は1999年の初夏から初冬にかけて新海が日本ファルコムに勤めながら作った作品であり、完全に個人で制作された5分弱のモノクロアニメーション作品である。
生活していくことの漠然とした寂しさ・微かな痛み・ささやかな温もりなど、言葉では伝えにくい感情を映像と音に託した作品に仕上がっている。
心の琴線に触れるそのプロット構成や、全編モノトーンながらも緻密に描かれた作画やカット割の良い演出などは、従来の自主制作アニメーションのクオリティーを遥かに超え高く評価されている。
また音楽は天門が手がけており、これが新海氏のアニメーションの魅力を引き出すことに成功している。
これらの画面描写や演出技法、天門との音楽性の一致などは、後の新海作品のまさに原点となっている。
編集の違いにより、フルバージョン・3分版・ダイジェスト版の3つのバージョンが存在する。
後に制作・販売された『ほしのこえ』のDVD版にも映像特典として収録された。
2016年3月に、新たな制作陣によるオリジナルストーリーのテレビアニメが放映された。
なお、自主制作版は第12回CGアニメコンテストグランプリ受賞。
彼女と彼女の猫 - Everything Flows -(完全版)
あらすじ
都会で一人暮らしをする彼女と、偶然彼女に拾われた一匹の猫の物語。
ある日、彼女の留守電に彼からのメッセージが入る。
飼っているペットがこんな風に思ってくれていたら、どんなに幸せだろう…
もしペットと話すことができたなら…。
ペットを飼ったことがある人が、一度は思い描く夢である。
我が家でもそうだった。
この子は我が家に来て幸せだろうか?
我が家なんかより、もっと幸せにしてくれる飼い主が他にいたんじゃないのか?
もしペットの声が聴けたのなら、そんなことを心配する必要もなかっただろう。
その子が幸せであることが、飼い主にとって一番の幸せだ。
声が聴けたなら、望み通りにしてあげることができるのに…。
ペットを飼う人間にとっての願いでもある、ペットからの視線で飼い主の生活を描いたのが、新海誠監督作品『彼女と彼女の猫』である。
物語の語り手は「彼女の猫」である。
ありきたりな設定と思われるかもしれない。
だがそこはさすがの新海誠監督だ。
実に繊細な作品に仕上がっている。
今作品はペットを飼う以上、決して避けては通れないペットロスについても触れている。
一度でもペット飼ったことがある人には、それがどれほど辛いことなのかおわかりだろう。
我が子ともいえるペットが最期を迎えようとする時、こんな風に思っていてくれたならどんなに幸せだろう。
今作品を観ると、きっとそうだったと信じたくなる。
今日は愛娘だった愛犬の命日。
向こうで元気に走り回ってるかな?
たくさんのわんこに囲まれて幸せに過ごしているかな?
たまにでいいから夢に出てきておくれ。
じゃないと淋しくて仕方ないぞ…
ちなみに短編テレビアニメながら、彼女役の声優をつとめるのは今をトキメク花澤香菜さん。
このキャスティングだけでも、一見の価値があるだろう。
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