テレビ東京旅バラエティ番組
出川哲朗の充電させてもらえませんか?
これ考えた人は天才かよ!?
気づけたらきっと幸せな気分になれる!?ダジャレいっぱいのハイセンスな選曲
はじめに
TVやラジオにおけるCMの存在は、視聴者・聴取者からしたら鬱陶しく感じるものなのかもしれない。
いいところでCMを入れてくる業界お約束の手法は、今も昔も変わらない。
何かと鬱陶しいCMを飛ばせる録画機能が現れた時は、なんて便利な機能なんだと多くのユーザーが喜んだものだ。
だが鬱陶しいと思われるCMの中には、そのセンス良さから思わず見入ってしまうものがある。
映像で魅せるものや、秀逸すぎるキャッチコピーで考えさせられるもの。
CMの、ただ品物を宣伝し売上げを上げる目的を超えた、アーティスティックなCMも数多く存在する。
たかだか30秒ほどのCMだが、ひとつのクリエイティブ作品に昇華させたものがあるのだ。
本稿では、独断と偏見ではあるが、あまりのセンスの良さに思わず唸ったCMをご紹介したいと思う。
今回はCMの話題ではないが、皆があまり気に留めないであろうTV番組内のBGMに注目してみた。
『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』とは
『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』は、2017年4月15日より放送されているテレビ東京制作の旅バラエティ番組である。
「電動バイクでニッポンを縦断する人情すがり旅!」というキャッチフレーズを掲げながら、出川・ゲスト・ディレクターが電動バイクに乗りながら目的地に向かうロケ番組。
飲食や観光などの目的に応じて、さまざまなスポットへの停車や宿泊をはさみながら、名所旧跡・パワースポット・温泉・寺社仏閣などの景勝地を巡る。
バッテリーで駆動する電動バイクを移動に用いる関係で、バッテリーの残量がなくなった(または極めて少なくなった)場合に、充電できる場所を求めて上記の出演者が地元の住民や施設関係者などへ交渉することが最大の特徴である。
当番組のベースになったのは、テレビ東京系列の『ソコアゲ★ナイト』月曜枠で2014年8月に4週連続で放送された『充電させてもらえませんか?』で、同年12月から2017年1月には特別番組(第2弾 - 第7弾)として『土曜スペシャル』枠などで5回にわたって放送された。
2015年の年末に放送された第3弾で、テレビ東京の放送対象地域である関東地区での世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ)が同時間帯の番組における全局1位を記録したことなどを背景に、ゴールデン帯における出川哲朗初の冠番組として2017年4月からレギュラー化。
「日本全国縦断!47都道府県全制覇」を目標に、日本列島で特定の地域を移動しながらロケを収録することから、テレビ東京の系列局がない地域内の民放テレビ局でも系列外からの購入番組扱いで放送されることが相次いでいる。
基本として1時間番組として制作されているが、テレビ東京ではレギュラー放送の開始当初から、『土曜スペシャル』と交互に2時間半スペシャルとして放送することが多い。
テレビ東京系列以外の民放局や、一部の系列局では、放送枠に応じた再編集版を主に放送。
ただし、2019年以降はテレビ東京の系列局向けに、新春特別番組として正月三が日にもゴールデンタイムに同時ネットで放送されている。
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番組内で流れる独特のBGM
番組内で流れるBGMには1960年代から2000年代までの、懐かしいTV番組やアニメのテーマ曲のほか、幅広い様々な曲が使用されている。
特定の場面や状況に応じ固定化された選曲の他に、訪問先の地名や施設名、人名や食べ物の名前などを、その曲名や歌詞、歌手名などに絡めたお遊び的な選曲(ダジャレBGM)がよく使われているのが大きな特徴である。
番組の誕生から携わる平山大吾プロデューサーは、バラエティー豊かな選曲について、「(局の)番組審議会で『BGMが面白いと初めて思った』と言ってもらえて、それ以来、『突き詰めなきゃ』という使命感を持っている」と話す。
食べ物関係に使用される曲
◆カレー
- 「華麗なる一族」メインテーマ - カレーが登場するシーンに使用。
- 「ALONE AND ALONE」(宇崎竜童) - ドラマ「ライスカレー」主題歌。カレーライス(インドカレー含む)を食べている時に使用。
- 「わたしの彼は左きき」(麻丘めぐみ) - カレーを食べている時に使用。
◆麺類
- 「ラーメンたべたい」(矢野顕子) - ラーメンを食べている時に使用。
- 「君のそばに…」(長渕剛) - そばを食べている時に使用。
- 「SUPER STAR」(長渕剛) - スパゲッティを食べている時に使用。
◆その他
- 「たべちゃうぞ」(矢沢邦江) - 食べる時に使用。
- 「お肉食べようのうた」(ハル&チッチ歌族) - 肉料理を食べている時に使用。
- 「今すぐKiss Me」(LINDBERG) - ハンバーグを食べている時に使用。
- 「クレクレタコラ」(石川進) - タコまたはたこ焼きを食べているときに使用。
- 「守ってあげたい」(松任谷由実) - 揚げ物または鯛またはタイ料理を食べているシーンに使用。
- 「となりのトトロ」(井上あずみ) - トロまたはトロロを食べている時に使用。
- 「ら・ら・ら」(大黒摩季) - マグロを食べている時に使用。
- 「どんなときも。」(槇原敬之) - 丼物を食べているシーンに使用。
- 「カーマは気まぐれ」(カルチャー・クラブ) - 釜飯や釜揚げうどんを食べているシーンに使用。
- 「うなずきマーチ」(うなずきトリオ) - うなぎが登場するシーンに使用。
- 「TANGO NOIR」(中森明菜) - 団子(いきなり団子含む)が登場するシーンに使用。
- 「離したくはない」(T-BOLAN) - お茶が登場するシーンに使用。
気づけたらきっと幸せな気分になれる
ダジャレいっぱいのハイセンスな選曲
『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』のBGMを意識するようになったのは、流れるシーンとはまったく場違いな曲ばかり流れていることに気づいたからだ。
普通の番組なら、そのシーン(映像)に即したBGMが使用されるのが通常だ。
例えるなら、チャリティーマラソンで武道館が近づいてくれば『負けないで』(ZARD)が流れるだろう。
水泳なら『ultra soul』(B'z)が流れ、ラグビーなら『兵、走る』(B'z)が流れる。
どれも楽曲のイメージとシーン(映像)のイメージが合致していて、BGMがシーン(映像)を一層盛り上げている。
これが従来の常識だった。
だが『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』では、そんな常識が一切通用しなかった。
その最たる例が、パワースポット参拝の際での尾崎豊「OH MY LITTLE GIRL」だろう。
まさか、参拝→お参り→オーマイリ→オーマイリトルガールとダジャレで繋げるとは、誰が想像できるだろう。
不可解なBGMは他にもたくさんある。
普通の番組ならカレーを食べるシーンで、「わたしの彼は左きき」は流れない。(カレーと彼のダジャレ)
丼ものを食べるシーンで、「どんなときも。」は流れない。(丼と「どんな〜」のダジャレ)
お茶を飲むシーンで、「離したくはない」は絶対に流れない。(お茶とT-BOLANのダジャレ)
出演者がファンにサインを書くシーンで、「サインはV」は流れない。(サインのダジャレ)
馬に乗るシーンで、アン・ルイスの「WOMAN」が流れる番組なんか観たこともない。(馬とウーマンのダジャレ)
仁右衛門島に渡るのに、THE YELLOW MONKEYの「JAM」や、サントリー緑茶「伊右衛門」CM曲なんか絶対に流れない。(これは本気で考えた…仁右衛門とイエモンのダジャレ)
御朱印をもらうのに、B'zの「衝動」も流れない。(御朱印→書道→衝動のダジャレ。また「衝動」のPVは書道がテーマ)
極めつけは平城京で流れてきた、ビートルズの「ヘイ・ジュード」。
完敗だ。
『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』の本来の楽しみ方とは擬似旅体験なのだろうが、著者の楽しみ方はちょっと違う。
BGMのセンスの良すぎる選曲のせいで、もはや旅そっちのけでBGMばかりが気になってしまう。
だって頭つかうんだもの(笑)
場面とBGMに違和感を感じたら、それはダジャレ・チャンス。
何と何がかかって、この選曲に至ったのか…
その答えがわかった時には、決まって思わず笑みがこぼれる。
思わず笑ってしまうぐらい、場面とBGMが釣り合っていないのだ。
よくもまぁ、こんなダジャレをこんなにいくつも思いつくものだと、毎度感心しきりだ。
制作者側の選曲の意図を読み解いた時の歓びといったら、擬似旅行体験の比ではない。
『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』は、著者にとって単なる旅番組ではなく、旅&クイズ番組と化している。
人気者の出川哲郎氏冠番組だけあって、ファンが多い『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』だが、実はこんな楽しみ方もあるのだ。
次に『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』を観る機会には、遊び心いっぱいのBGMにも是非注目してほしい。
あまりに無理矢理で、あまりにバカバカしいダジャレだが、それに気づけると面白さ倍増間違いなしだ。
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