アニメ
勇者、辞めます
サクッと観れてしっかり笑ってちゃんと泣ける!1クールアニメの傑作!!
『勇者、辞めます〜次の職場は魔王城〜』とは
『勇者、辞めます〜次の職場は魔王城〜』は、クオンタム先生によるライトノベル作品。KADOKAWAの小説投稿サイト「カクヨム」にて2017年1月12日から2月7日まで連載された。
第2回カクヨムWeb小説コンテストファンタジー部門で大賞を受賞。
四六判版は2017年12月10日から2018年10月10日まで同社の『カドカワBOOKS』より全3巻が刊行され、その後文庫版が『富士見ファンタジア文庫』にて2022年2月19日から刊行されている。
メディアミックスとして、漫画版『勇者、辞めます』が「ヤングエースUP」(KADOKAWA)にて2018年5月31日から連載されているほか、2022年4月から同タイトルでテレビアニメが放送された。
勇者、辞めます ~次の職場は魔王城~ (富士見ファンタジア文庫)
アニメ『勇者、辞めます』とは
クオンタム先生によるライトノベル作品『勇者、辞めます〜次の職場は魔王城〜』を原作として、『勇者、辞めます』のタイトルで2022年4月から6月までAT-Xほかにて放送された。
あらすじ
剣術や魔術、様々な技術に精通する勇者に魔王軍は敗れ、戦後再起を図るべく活動していた。
そこへ、かつての勇者であったレオが訪れる。
単独で魔王軍を倒したその強大さを危険視され、人間の国から追放されていたレオは、戦後の様々な問題を抱えている魔王軍に正体を隠したまま入ると、迅速に立て直していく。
まもなく、レオは新たな幹部にまで昇格するが、彼の真の目的は世界全体の立て直しにあった。
登場人物
レオ・デモンハート / DH-05
声 - 小野賢章
本作の主人公である世界最強のかつての勇者。様々な戦闘能力を持つ。
ある目的の為に魔王軍に加わろうとするが、魔王エキドナからは拒まれた。
だが四天王には承諾してもらい軍に参入。
エキドナの前では黒い鎧で正体を隠してオニキスと名乗る。
その正体は3000年以上も前に人間界に侵攻してきた悪魔(後の魔族)に対抗すべく、人間の技術を結集して作られた対悪魔用自動成長型生体兵器「デモンハートシリーズ」の第5号。
デモンハートは12体作られたが、度重なる闘争でレオを除いて命を落としていった。
強靭に作られ過ぎた影響で長い時を生きており、人類を守るという与えられた使命を頑なに守り続けていた。
デモンハートとしての能力「超成長」を持ち、交戦した敵の能力を模倣し無限に成長出来るのだという。
心臓に無限エネルギー機関「虚空機関(アカシックエンジン)」(現代では賢者の石と呼ばれている)が埋め込まれている。
エキドナ
声 - 本渡楓
魔界で生まれ育った魔王の一人。
人間界にやって来た目的は謎となっている。
元々は大人のナイスバディな姿だったが、レオに敗北したため少女の姿になっている。
荒廃した魔界を立て直すべく、人間界にある賢者の石を求めて侵攻する。
部下に対し侵略先の人間への不必要な殺生を禁じるなど、かなり穏健的な姿勢を見せている。
シュティーナ
声 - 伊藤静
魔将軍。
魔王軍四天王の一人であり、種族は淫魔である。レオの監査役を担当。
生真面目な性格でエキドナから再起のための職務に大きな期待をかけられているため、レオが参加するまで過重労働で過労死するところであった。
リリ
声 - 大和田仁美
獣将軍。
同じく魔王軍四天王の一人であり、種族は疑似獣人である。
レオのことが大好き。
自分より強い異性のお嫁さんになるという種族の掟があるらしく、自身を打ち負かしたレオへしきりに婚姻を迫っている。
メルネス
声 - 内山夕実
無影将軍。
同じく魔王軍四天王の一人であり、種族は人間だが半人半魔である。
優れた隠密スキルもある。
幼い頃に両親に奴隷として売り飛ばされ、その後は暗殺者(アサシン)ギルドに拾われる。
境遇から人間に対して憎悪を抱いており、人間を滅ぼしたいという想いから魔王軍に肩入れし、そのまま四天王の一人として加わった。
エドヴァルト
声 - 稲田徹
竜将軍。
同じく魔王軍四天王の一人であり、種族は竜人族である。
屈強な肉体ではあるものの、娘のジュリエッタ(声 - 松岡美里)には弱いところがある。
エイブラッド
声 - 平松広和
インプ族。
過去にレオと接触し、彼の自我の確立に多大な影響を及ぼした。
エピソードリスト
- Episode.1 「次の職場は魔王城」
- Episode.2 「明日の自分が楽になる仕事をしろ」
- Episode.3 「ちょっとした気付きが仕事の効率をあげる」
- Episode.4 「地獄の飲み会」
- Episode.5 「仕事を辞めたくなったら一度相談しろ」
- Episode.6 「勇者、長年の悩みを聞いてもらう」
- Episode.7 「良い戦士が良い上司になるとは限らない」
- Episode.8 「A.D.2060東京某所にて」
- Episode.9 「勇者、辞めたい」
- Episode.10 「世界を滅ぼしてでも、世界を救おう」
- Episode.11 「勇者の資格」
- Episode.12 「勇者、辞めます」
- Episode.13 「研修旅行は目的を見失うな(前編)」 ※BD&DVD BOX特典
斬新な展開
勇者が自分で潰した魔王軍へ再就職
物語冒頭。
魔王城へと向かう勇者。
普通に考えたら魔王討伐のためだと思うだろう。
だが違う。
魔王と魔王軍幹部たちの前に立った元勇者は、自分を売り込みはじめる。
実に元勇者らしい優秀な能力を存分に自己アピールした挙げ句、当の本人を前にし魔王討伐の功績までアピールする始末…。
これが著者にとっては、あまりに斬新な展開だった。
そもそも魔王軍に就職という概念があることも笑えるが、その面接会場に恥ずかしげもなく現れる元勇者。
第1話最初のこのシーンを観ただけで、面白いことを直感した本作だった。
ビジネス書かと見紛う序盤(笑)
普段なら載せないエピソードリストを今回あえて載せたのは、ビジネス書感を感じてほしかったからだ。
如何だろう。
Episode.8「A.D.2060東京某所にて」までは、何かしらのビジネス本で読んだことがあるようなタイトルではないだろうか?
それでも勇者と魔王の話なのだから、きっと内容は違うとお思いだろう。
残念ながら内容もビジネス書だ。
もちろん魔王軍という特殊な組織内での話ではあるのだが、原則としては組織再編の How To を描いている。
これが存外に面白い。
自分で潰した魔王軍の再編に奔走する勇者という設定も笑えるが、それ以上に勇者の万能・優秀ぶりに次第にのめり込んでいく。
衝撃展開
新しい勇者像
序盤を観る限りでは、本作は元勇者が自ら潰した魔王軍を再編する物語だ。
元勇者には何か企みがありそうだが、それでも本気で魔王軍を再編しようとしていることは伝わってくる。
どうやって終わらせるつもりだろう?
そんなささやかな疑問が生まれてきた中盤で、衝撃の事実が明かされる。
元来勇者とは、ただ単純に世界最強の特殊なひとりの人間だとばかり思っていた。
常識はずれの能力は持っているが、あくまでひとりの人間として設定されているとばかり思っていた。
しかし本作の勇者像は異質だった。
その正体は3000年以上も前に人間界に侵攻してきた悪魔(後の魔族)に対抗すべく、人間の技術を結集して作られた対悪魔用自動成長型生体兵器「デモンハートシリーズ」の第5号だったのだ。
自動成長で自我を獲得こそしてはいるが、そもそも人ではない存在が勇者だったという衝撃展開。
この事実が明かされてから、物語は大きく方向転換していくことになる。
ビジネス書からまさかの感動作へ
正体が明かされた勇者には深刻な悩みがあった。
最強の生体兵器であるため、不死であることだ。
魔族は滅ぼすようインプットされているし、守るべき人間からはその強さ故に疎まれ恐れられる存在になっていた。
世界でひとりぼっちの孤独な存在。
それが元勇者の正体だった。
元勇者は信用できる他の誰かに世界を託し、自分は死ぬことを望んでいた。
目をつけたのが魔王・エキドナだ。
魔王軍への再就職も、エキドナという魔王の本質を見極めるためだった。
エキドナが世界を託すに足る存在だと認めた元勇者は、そろそろ信頼し合い出していた魔王軍の手によって自ら滅ぶ道を選ぶ…。
序盤の展開が嘘のようなシリアスな展開。
序盤からお笑いビジネス書感満載で、ギャグアニメだとばかり思っていた本作が、一気に感動作へと変貌してしまった。
元勇者が良いキャラクターをしていただけに感情移入しやすく、ラストの感動展開には余計に泣けてくる。
この展開は必見だ。
1クールアニメの最高傑作
今のところ本作は、1クールのみの放送にとどまっている。
散々申し上げてきた通り、たかだかアニメ1クール分では原作の内容のほとんどを描けない。
だから1クールアニメでは、不完全かつ中途半端な作品になってしまうのが常である。
しかし本作は違った。
たしかに時間的な制約は感じるが、見事に1クールで笑いから涙まで詰め込んでみせた。
だが一番素晴らしいのは、それに加えて続編制作の可能性まで残したことだ。
これで終わりと言われれば、それもよし。
続編あるよと言われても、それはそれでよし。
どちらに転ぼうと満足な終わり方をしている。
これほど見事な幕の引き方は、他に類をみない。
おまけに1クールアニメだから、サクッと観終われるメリットまである。
本作は1クールアニメの縛りを逆手にとったような名作アニメである。
興味を持った人は是非。
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