アニソンの "これぞ" が曖昧な作品
『マクロスシリーズ』編
アニソンの "これぞ"
アニメにはその作品を代表するテーマ曲が、必ずといっていいくらいに存在した。
しかし現在では、"これぞ" というテーマ曲が存在しない作品の方が多い。
その曲をアニメと同義に語られるほどのテーマ曲が存在しないのだ。
そこで、定番アニソンが曖昧な作品の王道のアニメソング(アニソン)を勝手に決めてしまおうと思いついた。
一般的なアニソンランキングにランクインする王道テーマ曲。
本稿(シリーズ)では、そんな "これぞ" という曲に熱くフィーチャーしていきたい。
『マクロスシリーズ』とは
『マクロスシリーズ』は、SF・ロボットアニメ『超時空要塞マクロス』およびその続編、外伝からなる、アニメを中心とした作品群である。
1982年に連続テレビアニメ『超時空要塞マクロス』がビックウエスト製作、スタジオぬえ原作という体制で放送。
1992年にはスタジオぬえが関与しないかたちでOVA『超時空要塞マクロスII -LOVERS AGAIN-』がリリースされる。
1994年にスタジオぬえが原作に戻りOVA『マクロスプラス』、テレビアニメ『マクロス7』が発表され、シリーズ化の土台が確立。
以降、テレビアニメ、OVA、アニメーション映画を中心にシリーズ作品が展開されており、2002年にはOVA『マクロス ゼロ』、2008年にはテレビアニメ『マクロスF』、2016年にはテレビアニメ『マクロスΔ』が発表され、各種メディアミックス展開も行なわれている。
映像作品のみならず出版・音楽・玩具(プラモデル)・ゲームなども多数発売されている。
それぞれの作品に共通し、物語においてとても重要な部分を占めているのは、「バルキリーと呼ばれる可変戦闘機の高速メカアクション」、「歌」、「三角関係の恋愛ドラマ」である。
これら3つを織り交ぜる独創的なSF感覚が特徴であり、映像と音楽の一体化を重視している。
手描きや3DCG作画の限界に挑戦する姿勢や、歌謡曲、ロック、テクノ、オーケストラなど多彩な音楽の魅力がファンに支持されている。
マクロス アーカイヴス『超時空要塞マクロス』『マクロスプラス』『マクロスゼロ』他編
【メーカー特典あり】マクロスF Blu-ray Box(メーカー特典:キャラクターデザイン<江端里沙> 描き下ろし収納ケースイラスト使用A3サイズビジュアルシート付)
エントリー曲紹介
『マクロスシリーズ』もガンダムシリーズ同様、作品数の多い作品だ。
ただガンダムシリーズと違う点(作品にもよるが)は、作品ごとに "これぞ" というテーマ曲がかなりの割合で存在すること。
しかし『マクロスシリーズ』を代表するテーマ曲となると、かなりボヤける。
故に『超時空要塞マクロス』に関しては、作品ごとではなく、シリーズを代表するテーマ曲を(勝手に)決めたいと思う。
- 「マクロス」
- 「愛・おぼえてますか」
- 「トライアングラー」
- 「ライオン」
『マクロスシリーズ』も実に名曲揃いの作品だ。
しかし代表曲を決めるとなると、新旧の代表二作品の争いといっていい。
完全に独断と偏見ではあるが、1曲を決めるなら間違いなくこの二作品からしかないだろう。
アニソンの定番を勝手に決めてみる
マクロスシリーズ「ライオン」
「ライオン」は、May'nと中島愛さんによるデュエットシングル。
2008年8月20日にflying DOG(JVCエンタテインメント)から発売された。
テレビアニメ『マクロスF』の音楽を手掛ける菅野よう子さんによる楽曲である。
シェリル・ノーム starring May'n、ランカ・リー=中島愛として、ともに2作目のシングルとなる。
表題曲の「ライオン」は『マクロスF』第18話からのオープニングテーマ。
テレビで放送されるまえに「マクロスF 超時空スーパーライブ」で披露された。
本曲のテーマは菅野さんによると、『マクロスF』の前期オープニングテーマである「トライアングラー」と同じく「三角関係」で、サビの冒頭で繰り返される言葉を「ふたりが "あなた" に同時に言っていることで、三角関係が成立している」といい、「争うふたりに小さな連帯感や共感が生まれてる風にしたかった。」とも述べている。
May'nは「同じ歌詞でも違う想いが込められているところを感じてほしい」、中島さんは「表現力の違う2人だけど合わせるとすごい威力になった」と語っている。
カップリング曲の「ノーザンクロス」はシェリル・ノーム starring May'nのソロで、同アニメ第16話からのエンディングテーマ。
また、同アニメ第22話では挿入歌として使用され、サブタイトルにもなっている。
物語上、本曲はシェリルが病を押して復帰したあと、「真空のダイアモンドクレバス」「妖精」に次いで発表した「復活ソング第三弾」という設定である。
菅野さんは、死の運命を目前にしたシェリルの「今まで虚勢を張っていたのがダメになったという瞬間の叫び」のようなものを表現したという。
May'nは「この曲を歌ったときに菅野さんに褒められて嬉しかった」と語っている。
菅野さんはぎりぎりで畳みかける雰囲気が欲しかったので、ライブではMay'nに内緒でさらにテンポを上げてみたが、May'nが「超絶早口」の歌詞を歌いながら踊ってみせたことが「信じられない」と述べている。
菅野さんは『マクロスF』のオープニングテーマの候補として、「トライアングラー」「ライオン」「ノーザンクロス」の3曲を同時に、総監督の河森正治氏へ渡したと語っている。
河森氏は『マクロスF』のシリーズ前半を学園ものにし、後半になるにつれ深刻さが増してゆくという構成にしたいという話をしており、菅野さんは物語の深刻さのレベルを測るために、上記3曲を一緒に渡したという。
菅野さんによれば深刻さは「トライアングラー」がもっとも軽く、次いで「ライオン」、「ノーザンクロス」の順に重くなっているといい、菅野さんは当初より「トライアングラー」、河森氏は「ライオン」を推しており、最終的にほかのスタッフも入りシリーズ前半のオープニングテーマは「トライアングラー」に決定され、後半のオープニングテーマにはデュエットができるものとして「ライオン」が選ばれた。
一方、「ノーザンクロス」をエンディングテーマとしたことについて河森氏は、『マクロスF』においてはオープニングよりもエンディングのほうが「お話の感情を引っ張っているもの」であり印象に残るため、「強くていい曲」である本曲を選んだと述べている。
「ライオン」については、朝日新聞の紙面に広告を掲載したり、ジャケットのデザインを施した「ライオン」宣伝トレーラーが新宿・渋谷・秋葉原などの歓楽街を楽曲を拡声しつつ走行するというキャンペーンが行われた。
「マクロス」関連の音楽イベントを除けば、ふたりが同じアニメソングのイベントに出演する場合でも、「ライオン」をデュエットすることは滅多にない。
2019年2月に行われたフライングドッグ10周年ライブ「犬フェス!」では、あえてキャラクターを意識せず、10年の時を重ねた今のわたしたちのままで歌おうと約束し、ふたりで5年ぶりに「ライオン」を披露した。
2023年1月31日にNHK総合テレビジョンで放送された『うたコン』にMay’n、中島さん、菅野さんの3人が出演し、「ライオン」を生放送・生演奏で披露した。
この3人がそろって「ライオン」を披露するのはテレビ初で、番組では河森氏からのメッセージも紹介された。
通信カラオケ・JOYSOUNDを運営するエクシングが発表するカラオケ年間ランキングでは、アニメソング部門において2009年・2010年・2011年・2012年と4年連続2位を記録している。
ちなみに1位は、いずれも「残酷な天使のテーゼ」(テレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』のオープニングテーマ)である。
2019年5月4日にNHK BSプレミアムで放送された『発表!全マクロス大投票』の「歌」部門において、「ライオン」は『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』の主題歌「愛・おぼえていますか」に次ぐ第2位を獲得し、「ノーザンクロス」も第12位に選ばれた。
正直、過去イチ悩んだこの選曲。
普通に考えれば「愛・おぼえていますか」を「マクロスシリーズ」のテーマ曲とするのが、一番自然な形なのかもしれない。
わかる、わかってる。
しかしいかんせん、それだと支持年齢層があまりに偏りすぎてはいないだろうか。
「マクロス」は、今や若い子にも人気のシリーズだ。
そんな作品のテーマ曲を決めるのに、初代どうこうの古臭い拘りがあってはいけないような気がする。
何より、「ライオン」が「マクロスシリーズ」に再びブームを生んだ功績はあまりにも大きい。
「ライオン」を聴いた時のテンションの上がり方も抜群だ。
したがって、著者は「ライオン」を推す。
賛否は潔く受け止めよう。
さて、いかがだろう?
☆今すぐApp Storeでダウンロード⤵︎