アニソンの "じゃないほう"
『タッチ』編
アニソンの "じゃないほう"
今でこそその傾向も弱くなったが、昔のアニメにはその作品を代表するテーマ曲が、必ずといっていいくらい存在した。
その曲はアニメと同義に語られるほど人気を博す。
まさに王道のアニメソング(アニソン)。
しかし天邪鬼の著者はどうやら邪道を好むらしい。
一般的なアニソンランキングにランクインしない王道 "じゃないほう" の曲が、なぜか心に強く響いたりする。
本稿(シリーズ)では、そんな "じゃないほう" の曲に熱くフィーチャーしていきたい。
最強の表題曲のひとつ
「タッチ」
「タッチ」は、岩崎良美さんの20枚目のシングル。
1985年3月21日にキャニオン・レコードから発売された。
フジテレビ系列で放映されたアニメ『タッチ』の第1期オープニングテーマ曲。
ちなみにB面に収録の「君がいなければ」は、同アニメの第1期エンディングテーマ。
オリコンチャートのデータでは、1980年(昭和55年)5月リリースの「涼風」の第18位を上回る、週間最高第12位まで上昇。
また1985年度の年間売上第39位となり、岩崎良美さんのシングルとしては自身最大のセールスを記録した。
シングル発売から40年近く経過した現在も「狙いうち」「サウスポー」などと共に、日本の高校野球の応援歌として定番の楽曲である。
この頃のテーマ曲はアニメと同タイトル、すなわち表題曲が非常に多かった。
その代表格である「タッチ」は、疑いようもなく最強のアニメ表題曲のひとつである。
しかしよくよく思い出してもらいたい。
アニメ『タッチ』は名曲の宝庫だった。
改めてアニメを観直せば、もっとテンションの上がるテーマ曲があることを、きっと思い出すだろう。
タッチの "じゃないほう"
「愛がひとりぼっち」
「愛がひとりぼっち」は、1985年10月にリリースされた岩崎良美さんの21枚目のシングルである。
フジテレビ系列で放映されたテレビアニメ『タッチ』の第2期オープニングテーマ曲。
なおB面に収録された「青春」(第2・3期エンディングテーマ曲)は、1986年3・4月に開催された第58回センバツ高校野球大会の入場行進曲に起用され、岩崎良美さんは同大会開会式のゲストとして生出演している。
岩崎良美さんにとって、週間オリコンチャートにおいてベスト10入りした唯一の楽曲である(2016年現在・最高位10位)。
ちなみに姉の岩崎宏美さんも、過去に「センチメンタル」(1976年・第48回センバツ大会)と、「聖母たちのララバイ」(1983年・第55回センバツ大会)の2曲が、同じくセンバツ高校野球の入場行進曲に採用されていた。
日本の姉妹歌手が、同大会入場行進曲に揃っての起用は初めてである。
なぜ「タッチ」じゃなく「愛はひとりぼっち」かって?
それは「タッチ」の時より、テーマ曲が「愛がひとりぼっち」に変わってからの方が物語が断然面白くなるからだ。
「タッチ」使用時の煮え切らない三角関係時代は、アニメ『タッチ』のプロローグ、いわば作品紹介にすぎない。
本当の物語は「タッチ」以降に始まるのだ。
さらにテーマ曲が「愛がひとりぼっち」に変わると、映像が一気に格好良くなる。
これは物語が動き出したことと無縁ではない。
ようやく主人公が本気を出しだしたのだから、音楽も映像も主人公向けに格好良くなって然るべきなのだ。
そして楽曲の素晴らしさはいうまでもない。
また、表題曲「タッチ」のあまりのヘビロテぶりに、少々聴き飽きてしまったところもある。
アニメ『タッチ』=「タッチ」が強烈に印象付いたせいで、皆他の曲の存在を忘れてしまっているのではないだろうか?
アニメ『タッチ』のテーマ曲は、本来名曲の宝庫なのだ。
故に、アニメ『タッチ』の "じゃないほう" については、異論反論があっても致し方ないとすら思っている。
斯くいう著者も、「青春」とどちらにするかで悩みに悩んだ。
「愛がひとりぼっち」と「青春」。
結果的に前者を選んだが、この2曲が1枚のシングルに収められているというのだから、今考えると昔のCDの内容はかなりの大盤振る舞いだった。
アニメ『タッチ』は名曲の宝庫だけあって、実はさらに「チェッ!チェッ!チェッ!」も候補のひとつだったりする。
オリコンチャート上では、同じく「タッチ」「愛がひとりぼっち」と共に、3作連続で週間15位以内にランクされた名曲である。
この曲もスピード感があって非常に良い。
やはり素晴らしい作品には素晴らしい音楽が付きものという考え方に間違いはなかったようだ。
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