若者のすべて/フジファブリック(2007年)
『若者のすべて』とは
『若者のすべて』は、日本のバンド、フジファブリックの通算10枚目のシングル。
作詞者の志村正彦氏曰く、「夏の終わりの最後の花火大会が終わった後の切なさや虚しさなど、感傷的になり考えてしまう所を歌った曲」。
前作から2ヶ月と短いペースでのリリースされた。
アルバム『TEENAGER』の先行シングルとなった。
元々志村氏はシングルとして出す自信作としてこの曲を会議に持って行ったが、メンバーやスタッフの反応が今ひとつだったためシングルとしてはボツになったと思っていた。
しかし『TEENAGER』のリリース前に急遽シングルを一枚出す事になり、この曲が選ばれた。
そのため、歌詞の内容に合わない11月のリリースとなった。
初回盤はジャケットと同絵柄のしおりを封入。
曲中にある「花火」は、志村氏の地元である山梨県の河口湖で上がる花火をイメージしている。
志村氏急逝後の2012年12月22日から24日までの3日間、志村氏の故郷富士吉田市にて歌詞の通り夕方5時のチャイムとしてこの曲が流れた。
2018年7月26日より、LINEモバイル「虹篇」のCMソングとして起用されている。
志村氏が生前に出演を希望していたテレビ朝日「ミュージックステーション」に、志村氏没後10年の2019年に初出演。
志村氏の歌唱映像を交えた演出で披露された。
教育芸術社が刊行する高校音楽の教科書「MOUSA 1」(令和4年度版)に、時代を彩る歌唱教材・2000年代を代表する曲として本楽曲が掲載される。
夏の終わりを感じさせる隠れた名曲
夏の終わりを感じさせる本作は、ラジオ好きならお馴染みであろう。
毎年この曲がラジオから流れ出すと、暑かった夏がいよいよ終わりを告げる。
夕方5時のチャイムが 今日はなんだか胸に響いて
「運命」なんて便利なものでぼんやりさせて
最後の花火に今年もなったな
何年経っても思い出してしまうな
ないかな ないよな きっとね いないよな
会ったら言えるかな まぶた閉じて浮かべているよ
タイトルから季節感は感じられない。
歌詞にも特に目ぼしいパワーワードが遣われているわけでもないのに、何故か哀愁を誘われる不思議な魅力を湛えた隠れた名曲。
最後の花火に今年もなったな
何年経っても思い出してしまうな
ないかな ないよな なんてね 思ってた
まいったな まいったな 話すことに迷うな
最後の最後の花火が終わったら
僕らは変わるかな 同じ空を見上げているよ
本作のフワッとした独特の空気感は、フジファブリック・志村氏の作品ならでは。
知らなかった人は是非聴いてみてほしい。
子供の頃の夏の終わりの淋しさを、きっと思い出すことだろう。
その魅力は多くのアーティストにリスペクトされ、例えばこんなビッグアーティストにもカバーされている。
ちなみにこのカバーはMr.Children名義のものではなく、Bank Band名義によるもの。
Bank Bandは、音楽プロデューサーの小林武史氏とMr.Childrenの櫻井和寿氏を中心としたスーパーバンド。
小林氏、櫻井氏、坂本龍一氏によって設立された非営利組織「ap bank」の可能性を広げるために小林氏と櫻井氏が結成したグループで、ライブ活動やCDやDVDなどパッケージ製品からの収益はすべて「ap bank」の活動資金や融資に充てられている。
ちなみに、小林氏、櫻井氏以外のメンバーは固定されていない。
あらゆる名曲をカバーしているBank Bandに選ばれたということは、名曲認定を受けたも同然。
やっぱりこの曲はフェスで歌われるのが良く似合う。
フェスでなくても、ヒグラシの鳴き声響く黄昏時に聴いてみると一層響くから是非お試しあれ。
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