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ioritorei’s blog

完全趣味の世界

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【ラジオドラマ『NISSAN あ、安部礼司 ~BEYOND THE AVERAGE~』】名作ラジオドラマのほっこりエピソード「広告の裏に書いた手紙」。

 

 

 

 

ラジオドラマ『あ、安部礼司 ~BEYOND THE AVERAGE~』

名作ラジオドラマのほっこりエピソード「広告の裏に書いた手紙」

 

 

ラジオドラマ『NISSAN あ、安部礼司 ~BEYOND THE AVERAGE~』とは

 

 

NISSAN あ、安部礼司 〜 BEYOND THE AVERAGE 〜』は、TOKYO FMで放送されているラジオドラマ番組。

日産自動車の一社提供で、同時間枠前番組の松任谷由実 For Your Departure』あるいは実質的な前身である日産一社提供番組のSHIHONISSANナチュラル・パレット』のようなトーク&ミュージックの路線とは大きく変わり、40〜50歳代をターゲットにした、1970年代から1990年代のポップス(番組的には「今さらツボな選曲」や「今ツボ」と称している)を交えて展開されるラジオドラマとなっている。

番組の舞台は、東京・神田神保町にある中堅企業「大日本ジェネラル」で、ここに勤務する平均的男性社員・安部礼司の会社内外でのストーリーを中心に展開される。

ドラマは会社よろしく年度替わりである4月をスタートとする1年度単位を1シーズンとしており、2023年度でシーズン18である。

 

 

NISSAN あ、安部礼司 脚本集 第1話~第5話セット(シーズン1): BEYOND THE AVERAGEセット本 (TOKYO FM出版)

NISSAN あ、安部礼司 脚本集 第1話~第5話セット(シーズン1): BEYOND THE AVERAGEセット本 (TOKYO FM出版)

 

 

「あ、安部礼司~beyond the average~」脚本集SEASON 3

「あ、安部礼司~beyond the average~」脚本集SEASON 3

 

 

 

 

 

 

 

絶滅危惧種のラジオドラマ

 

 

もともとラジオ好きな著者ではあるが、ラジオドラマとなると格別。

耳で聴くドラマというのは、TVのそれと比べて内容がかなり異なる。

なんといっても視覚情報がないから、情報はコンパクトにまとめられ、不足分を想像力で補う。

だから当然、見えてくる景色はリスナーごとに異なる。

また、ラジオというコンテンツの特性を存分に活かし切っていることも、ラジオドラマの特徴だ。

情報はオンタイム。

だから時間や時事の話題、季節のイベントなどを耳からじんわり感じることができる。

ラジオドラマには、TVからでは感じられない情緒があるのだ。

しかし現在ではトーク&ミュージック中心の番組が大半を占め、ラジオドラマはもはや絶滅危惧種といえるだろう。

ラジオドラマはポッドキャストへ移行され、電波に乗る機会がめっきり減ってしまった。

それはそれで仕方のないことなのだけど、ポッドキャストでは "今この瞬間" をダイレクトに感じることができなくなってしまった。

寂しい限りだ。

そんな時流の中で、本稿で取り上げるNISSAN あ、安部礼司 〜 BEYOND THE AVERAGE 〜』は、ラジオドラマの代表格であり、もはや唯一無二の存在となった長寿番組。

とにかく放送時間が絶妙。

日曜日の黄昏時。

休日の終わりを感じる一歩手前のまだ微妙な切なさを、粋なドラマとグッドミュージックが彩ってくれる。

NISSAN あ、安部礼司 〜 BEYOND THE AVERAGE 〜』は、構成も独特だ。

TVドラマとは違って、特段ドラマチックなことが起こるわけではない。

日常の、何でもない出来事を切り取るのがラジオドラマの特徴だ。

ただしその切り口は新鮮で、常に新しい気付きを与えてくれる。

そんな新しい気付きのひとつが本稿で取り上げる『広告の裏に書いた手紙』。

父から娘へ宛てた手紙という、あまりに擦り倒されたシチュエーションではあるが、これほど斜め上から書かれた手紙を著者は他に知らない。

あまりに斬新な視点すぎて、聴けば聴くほどジワる名作エピソードだ。

 

 

 

広告の裏に書いた手紙

 

 

この手紙はNISSAN あ、安部礼司 〜 BEYOND THE AVERAGE 〜』の主要登場人物のひとりである大場嘉門が、娘へ宛てて書いたものである。

 

大場嘉門

声:増田晋

 

安部の上司で開発本部部長(2009年3月まではコンテンツビジネス部部長)。

長野県出身。

血液型はB型。

1959年7月7日生まれ。

自称「神保町の種馬」、「アザラシ部長」。

名前の由来は「大バカモン」で、彼の口癖でもある。

バブル世代なだけあって、周囲には美食家として知られており、愛読書は『東京カレンダー』と『大人の隠れ家』。

また、『LEON』も愛読していることから、いわゆるちょい不良オヤジだが、その反面、熟年離婚の危機も感じている。

家族は妻・カヨ(声:野沢雅子)と息子・まなぶ、娘・ケイコ(声:伊藤修子)の4人家族。

他に、見た目と声がそっくりなタクシー運転手の弟がいる。

趣味は自分の経験を元にした官能小説の執筆(ペンネームは「ピエール大場」)。

携帯電話の着信音はサザンオールスターズの「いとしのエリー」。

愛車はエルグランド。

不定期に送る「大人の電話相談室」のMC(相棒は毎回変わる)を務めるほか、2022年9月だけドクターストップ中の五十嵐に代わって、ナレーションをしていた(彼がいない回は別の人が担当)。

また、2022年10月から雌犬を飼い始めて「新たな恋人」としている。

新人時代にミスした安部に「ネアカ、のびのび、へこたれず」の言葉をプレゼント(この言葉は彼のオリジナルではなく、三井物産会長・八尋俊邦の著書「ネアカ経営論」、大学時代の剣道部の恩師の言葉リレーであった)。

 

大場嘉門は、今ではすっかり見なくなってしまった、所謂チョイ悪オヤジというやつだ。

仕事はデキるが、遊びもデキる。

普段はおちゃらけてはいるが、部下のために戦える理想的な上司でもある。

だからだろうか、大場嘉門の言葉にはとにかく含蓄がある。

大場嘉門の発する綺麗すぎない言葉は、経験に裏付けられた人間力が溢れている。

その言葉は当ブログでも名言として幾度となく取り上げているが、この手紙は別格でどうしても唸らずにはいられなかった。

それはラジオドラマ『NISSAN あ、安部礼司 ~BEYOND THE AVERAGE~』第760回「部長のポケットから、キュンです!」でのヒトコマ。

今ではどうかわからないが、バブル世代の父親と年頃の娘の関係は非常に繊細で微妙なもの。

基本的に娘は父親の存在をウザがる。

"亭主元気で留守がいい" という言葉で表されるように、家庭に父親の居場所は無いに等しい。

ましてや娘とふたりきりで飲みに行くなど以ての外。

そんな背景のある中で、(おそらく番組史上初めて)娘・ケイコにサシ飲みをねだる父・大場嘉門。

理由もわからず渋々承諾するケイコに、大場嘉門はこう伝える。

自分が責任を持って面倒を見るから、今日は飲み明かすぞ…と。

予告通り、ベロベロになるまで飲み明かし酔い潰れてしまったケイコ。

もちろん父・大場嘉門と共にタクシーに乗せられ、無事帰宅しているが記憶は途中で途切れていた。

朝、ケイコが起きると、母から広告の裏に書いた父・大場嘉門からの手紙を渡された。

 

 

ケイコへ

 

 

昨日は楽しかったな。

また、一緒に行こうな。

 

そうだ。

昨日、ケイコが飲んでグロッキーになった酒の量はわかるか?

 

ビールが2杯。

酎ハイ5杯。

ハイボールが4杯にワインが3杯。

そして梅酒が2杯。

 

いいか。

それがお前の "量" だぞ。

だから今後、誰かと飲みに行くことがあっても、その "量" の手前で帰ってこい。

いいな。

 

世の中は善い奴ばかりじゃない。

もしもお前がどこかの悪い奴に騙されて、どこかに連れてかれたら、お父さんはお前を守ってやれないから。

 

だからお前の "量" を教えようと思ったんだ。

必ず守ってくれよ。

 

まぁ、私はお前のことを信じてるけどな。

 

 


www.youtube.com

 

 

 

酒の席での失敗を身をもって体験してきたであろうバブル世代の、なんとも深みのある言葉。

何度読んでも目から鱗が落ちる思いだ。

自分の酒の "量" というのは、自身では意外とわからないものである。

実際、一度失敗を経験しなければ生涯その "量" は知り得ないのかもしれない。

しかし一度のその失敗が、人生を狂わせることだっておおいにあり得る話なのである。

それを、嫌がられながらも一緒に飲みに行くことで敢えて教えた大場嘉門。

何とも粋ではないか。

そもそも、父親が娘に教えてやれることなんてほとんどない。

いくら手を差し伸ばしたくても、どうしたらいいのか皆目見当も付かないのが父親心だろう。

自分は娘に何を残してあげられるのか?

きっと必死に考えたに違いない。

その結果が娘との飲みであり、件の手紙である。

なんとも不器用ではあるが、この手紙には清々しいまでに嘘偽りのない愛情が目一杯感じられる。

読めば読むほど、こういう手紙が書ける人間になりたい。

こういう視点でモノを観れる人間になりたい。

不細工でも、大切な人と真摯に向き合える人間に著者はなりたいと心から思う。

世知辛い日常の中で、この手紙であなたの心が少しでも癒されたなら嬉しい。

さらには、この手紙を通じて多くの人にラジオドラマの魅力が伝わってくれれば幸いだ。

兎にも角にも、娘を子に持つすべての父親に幸あれ。

不器用な父親心が娘の心にちゃんと届くことを願って…。

 

 

NISSAN あ、安部礼司 ~BEYOND THE AVERAGE~

NISSAN あ、安部礼司 ~BEYOND THE AVERAGE~

 

 

あ、安部礼司です。 1: BEYOND THE AVERAGE (PASH!コミックス)

あ、安部礼司です。 1: BEYOND THE AVERAGE (PASH!コミックス)

 

 

 

 

 

 

 

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